第六部 第五章 焚き火
「今日はとりあえず、ここで泊まって様子見ますか? 」
俺が和弘おじさんに聞いた。
「それが良いかも知れないね」
俺の話を聞いて警戒したのか、和弘おじさんも同意してくれた。
「じゃあ、今日はタレ漬けの肉を焼きましょう」
由宇が早速、肉のタレ漬け真空パックを出した。
「わしはちょっと後方の様子を見てくる」
非常食さんがやはり後方に引っかかるものがあるらしい。
「何かあるんですか? 」
雄二が聞いた。
「何か追って来てる気がする」
非常食さんはそう言うと一目散に戻って行った。
「何かやばそうな気配はあった? 」
俺が雄二に聞いた。
「いや、俺はしないんだがな」
雄二が首を傾げた。
雄二の索敵も侮れないから、気配がしないなら気のせいだと言いたい所だが、そう言う察知されないのが得意な奴がいるのかも知れない。
正直、あまり良い予感はしてない。
とりあえず、ブルーシートで屋根を作る。
本当に便利なんだが、絶対キャンプじゃ無いよな、これ。
まあ、言ってもいられないし、密閉されて無いから、焚き火を炊いても大丈夫なのは良い。
日が暮れる前に焚き火を作らないと。
「ゴブリンが寄って来るかもな」
雄二が懸念している。
「ああ、それに対しては対策がある」
俺が答えて、宿泊するブルーシート側から三十メートルくらい離れた、同じようにちょっと広いスペースに大きな焚き火を始めた。
キャンプなんかで虫除けで離れた場所に明るいガスランタンとかを置いて虫を集めて、自分達の生活スペースは弱い光のランタンで生活するやり方だ。
幸い、お弟子さんのエルフ達が弓が上手なので、この大きな焚き火の方でゴブリンなどを集めて撃退し、こちらの生活スペースは小さな焚き火で生活するわけだ。
「なるほどな。やってる事が分かった。こちらの焚き火を囮にするわけか」
雄二がすぐに理解した。
こういうのをすぐ理解してくれるのはありがたい。
そして日が落ちて、あたりが薄暗くなってきた。
「おかしい。何かが追ってきてるはずなんだが。妙に逃げるのが速くて」
非常食さんが愚痴りながら帰ってきた。
「やはり、何か追って来てるの? 」
由宇が珍しく少し心配そうだ。
流石にあのホラーは懲りたのだろう。
実際、俺も嫌だ。
「とにかく、早めにご飯を食べて、交代で見張りをして今日は休もう」
雄二が皆を見回した。
確かに疲れているのは確かなので、そうする事にした。
だが、やはり追って来てるのはいたのだ。
うんざりする夜が始まろうとしていた。




