第六部 第一章 プロローグ
「えらいところに来てしまったな」
のっぺりとした顔を解剖した後、和弘おじさんがため息をついた。
「本当に昆虫だ」
由宇も呆れたような声を出した。
あれから、さらにのっぺりとした顔を解剖したが頭がおかしくなるかのような出来事ばかりだ。
顔はまさに人間が巨大化しただけだが、身体は完全に昆虫だった。
どうやって、節足動物と哺乳類がくっついてるのか訳が分かんない状態らしい。
「おじさんがこちらに来た間に、こんなのはいなかったの? 」
俺が不思議そうに聞いた。
「いないない。一人の時に会ってたら発狂してたと思う」
和弘おじさんが首を振った。
「節足動物の脳だと人間の顔とか知能って無理だと思うんだけどね」
由宇もうんざりしている。
「何となくそう言うので無くて、呪術とかに近いんじゃ無いか? 」
雄二が真顔で呟いた。
「漫画とかならあり得るけど、現実に人間と節足動物って呪術でくっつけれるの? 」
俺が聞いた。
「知らね」
雄二が肩を竦めた。
「とにかく、早く一旦帰って約束とやらを調べるべきだろう」
和弘おじさんがしょうがないという感じで話す。
「約束覚えてる人っているかね」
「いや、それを言うと二階堂家だからなぁ」
和弘おじさんも自信が無い様だ。
俺も自信が無い。
「代々の家族づきあいしてる俺からすると無理じゃ無いかなぁ。曽祖父の代から、約束を完全に忘れてるのが良くあったって言ってたからな。先生もあれで良く政財界にいれるなぁって笑ってたし」
雄二が実も蓋もない事を呟く。
その通りだとしか俺にも言えない。
「どうでも良いが、昨日あんだけ保存食作ったのに朝食をとりに行かすなよ」
非常食さんか猪のモンスターを一頭背負って愚痴る。
「え? 一頭だけなの? 」
由宇が不満そうだ。
「昨日の化け物のせいだろう。動物が皆逃げてる」
「まあ、相当なヤバイ気配だったしね」
雄二が答えた。
「奥にもう一体居ただろう」
非常食さんが異様な事を言った。
「ああ、やっぱりそうだったんだ」
雄二も同意した。
「「「ええええええ? 」」」
俺達ドン引き。
「晋作より強い奴だよね」
「恐らくな」
雄二と非常食さんもかなり警戒しているようだ。
「じゃあ、ちゃんと役目を果たすかの監視してたのか」
俺がため息をついた。
「そもそも、ここの死んでる奴もそうだが、あんな強い奴等って初めて会ったわ」
非常食さんもうんざりしてる。
「え? ドラゴンもいたじゃん」
由宇が驚いた。
「あれは簡単に死ぬけど、昨日のは死なないからな」
非常食さんが猪をお弟子のエルフさんに渡しながら話す。
確かに節足動物はなかなか死なないなぁ。
正直、俺もうんざりしてる。




