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第五部 第一章 プロローグ

 ようやく、非常食さんが落ち着いた。


 その間にまた三十回近く投げられた俺の立場はどうなんだか。


 雄二が和弘(かずひろ)おじさんに内緒で話をしてくれたお陰で、非常食の意味は非常食さんにばれずに済んだが。


 それにしても、由宇のせいで碌な事がない。


 本当にトラブルメーカーにさらに磨きがかかっていやがる。


「にしても、大きくなったなぁ」


 和弘(かずひろ)おじさんがしみじみ俺を見て呟いた。


「いや、だって十年ですもん」


「そうだよなぁ」


「それにしても、髪や髭が真っ白なんで本当に分かりませんでしたよ」


 俺が和弘(かずひろ)おじさんの髪や髭を見て笑った。


「いやいや、本当に生きた心地のしない生活してたからね。知らないうちにこんなに白くなってしまって……」


「ショックで、髪の毛が白くなるって本当なんですね」


 雄二が笑った。


「幸い、薬剤師の免許を持ってたのと、二階堂家の漢方の知識があったから、こちらの世界で良く似た植物を見つけては試して、薬を作って売ってたんだ。そうしたら、いつの間にか薬師と認められてね。それで、これだけお弟子さんが出来たんだ」


 和弘(かずひろ)おじさんが笑った。


「いや、修験者にしか見えなかったけど」


 雄二が真顔で答える。


「ああ、こちらの世界の薬師は全部ああいう格好なんだ。ぶっちゃけ、修験者が昔は我々の世界も山間部は医者みたいな事をやってた人もいただろう。それで、こちらの世界に迷い込んで来た修験者がこちらでも薬を作ったりしてたみたいでね。それで、その格好が薬師の証拠みたいになってしまった」


 なるほど、修験者は長い事山に入ったりするから、自分を治すために、自然と薬草とかの知識を蓄えたりするそうだからな。


 陀羅尼助とかもそんな感じで出来たのだろう。


 由来は役行者や弘法大師になってはいるけれど。


「まあ、昔は呪い師や修験者なんかが治療したとか言いますからね」


 雄二が頷いた。


「それは良いんだけど、あれは良いんですかね? 」


 俺が由宇達を指差した。


 和弘(かずひろ)おじさんから、彼らも解体とかも一通りできると聞いたから、お弟子さんを全部手伝わせて鹿のモンスターの解体をやらせている。


 さらに猪のモンスターが美味しいと言う話をお弟子さん達に聞いて、暴れてきまりが悪かった非常食さんに無理矢理に獲りに行かせていた。


「なんてこった。本当に姉御やんけ」


「姉御だよな」


 俺と雄二がしみじみ呟いた。


 いや、初対面の人をあそこまでこき使ったり、あの山王(さんのう)である非常食さんを言い負かして、猪のモンスターを獲りに行かせたり、普通じゃ無いわ。


「絶対、彼氏は無理だな」


 雄二が呟いた。


 俺も深く頷いた。


「やかましいっ! 」


 そしたら、由宇から石が飛んできた。


 困ったもんである。


 

 

 ブックマークと評価をありがとうございます。m(_ _)m


 無茶苦茶、嬉しいです。*\(^o^)/*


 今後とも宜しくお願いいたします。m(_ _)m

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