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第五部 第二章 昔話

「ところで、約束ってどういう話だ? 」


 和弘(かずひろ)おじさんが訝しげに聞いてきた。


「いや、こちらに迷い込んだ日の夜に何かが近づいて来て、何か二階堂家の先祖の誰かが何かを約束したみたいで、約束を果たせって言われたんだけど」

 

 俺が和弘(かずひろ)おじさんに説明した。


「何か人間では無い感じだったのですけど」


 雄二の言う事に俺も同意するように頷いた。


「二階堂家の約束なぁ……」


 和弘おじさんが首を傾げた。


「俺は聞いたこと無いです」


「私も知らんなぁ。ただ、二階堂家っていい加減だからなぁ。何か適当な約束をした可能性も、そして、それをそのまま忘れてる可能性も凄く高いよなぁ……」


 十年ほったらかしにされてた自分の事も考えているんだろう、和弘(かずひろ)おじさんが深い深いため息をついた。


 まあ、そうだよな。


 身内ですら、この扱いだから。


 約束しても絶対に気にしないだろうなってのは良く分かる。


 実際に、糞いい加減だ。


 良く爺ちゃんなんかフィクサーやってると思う。


「多分、二階堂家のおおざっぱってのは不死身体質からも来てるんじゃ無いかな。実際、事故とかあっても死なないし。殆ど老衰だしなぁ」


 和弘(かずひろ)おじさんのため息がさらに深くなる。


「まあ、頑強ですよね」


「先生もいつも褒めちぎるし」


 俺に雄二が同意した。


「ああ、武術家やってる御剣家なんかにしたら、羨ましい体質だもんな。それは分かるよ。でも二階堂家なんかと交わっちゃったら、武術の訓練なんかしなくなっちゃうかもしんないからな。そう言えば、達也君は先生の元でちゃんと中伝くらいまで行ったの? 」


「ああ、皆伝まで行きました」


 一応、昔の難しい伝位を止めて、今の御剣家は初伝、中伝、奥伝、皆伝、極伝の五位に替えている。


 極伝は基本、雄二みたいな当主のみのものだ。


「マジで? 凄いな! ひょっとすると代々の二階堂家で一番強いんじゃ無いの? 」


「はあ? 」


「いや、だって、うちの二階堂家で武術なんて、ちゃんと習った人なんていないもの。全部ナチュラルに強い人ばかりだから」


 和弘おじさんが興奮して説明してくれた。


「ああ、ナチュラルに強い人って武術しなくても実戦の喧嘩とか場数増やして強くなったりしますからね」


 雄二も頷いた。


「何だと! それは良い事を聞いた! 」


 遠くでヒクヒクと耳を立てて聞いていた非常食さんが喜色満面で騒ぐ。


「はいはい、休戦中でしょ。早く、その辺のいらない臓物を穴掘って埋めて」


 由宇が非常食さんにきっぱりと言った。


 非常食さんが仕方なさそうな顔をして、いらない臓物を埋めるための穴を掘りだす。


「凄いね由宇ちゃん。前からあんなだっけ? 」


 和弘(かずひろ)おじさんが驚いてる。


「昔は猫はちゃんと被ってたんですけど」


「最近、被れなくなっちゃったみたいで」


 雄二と俺が呟いた。


「何ですって! 」


 向こうで由宇が怒鳴る。


「どうしょうもないな」


「本当だ」


 俺と雄二がため息をついた。

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