凡人が望むゴールのありかた
「ようこそ、後藤明道さん、あなたはたった今、死にました」
目の前に金髪の美少女がいた。
顔立ちは目がクリリと大きく、それでいて、花は小さく少し高い。
クレオパトラの顔面は黄金比と言われているが、それすらも霞む、オリハルコン比と言っても差し支えない完璧な比率で構成されているパーツ。
これは、女神様ですねわかります。
「ただ、死に際にあなたは1人の少女を救いました。これはすごいことなんです。 なのであなたに転生のチャンスを与えましょう。 それも特典を3つも付けて! これは中々ない機会です。 もう存分に欲望のまま特典を希望しちゃってください」
さっきまでの顔をいやらしく歪めてそう言う。
「わかりました。 もう特典は決まってますのでもう言ってもいいですか?」
もう、特典は決まっている。
二次元の住人たる俺がこの手の想像をしないわけがない。
「なんと! 話が早くて助かります。 もう準備は出来ているので、いつでも言ってもらって大丈夫ですよ」
ここまで、早く特典を決める人間はそうそういないのであろう。
そう考えると、あの反応も妥当である。
「では、俺が希望する特典は――――」
全ての希望特典を伝える。
「ほ、本当にそれでよろしいのですか?」
俺の望んだ特典は確かに、テンプレにはないだろう、おおよそ、この状態とは似つかわしくない特典だ。
しかし、これが今の俺の願いであり欲望だ。
「構いません、ちゃちゃっと、やっちゃってください。 もしかして、出来ない感じですか?」
女神は困惑の表情のまま、答える。
「いえ、可能です。 しかしこれでは………」
「なら、お願いします。 俺はもう決めたので、それで」
「わかりました、ではその特典で、送らせてもらいます」
そして笑顔で、言葉の続きを女神は話はじめる。
「あなたの人生は見させてもらいました。 平凡というのが最もお似合いの人生ですね」
流石に、自分では自覚している分、女神から言われると堪える。
女神からも、太鼓判を押された俺は平凡なんだろう。
でもそれは、俺にとって決してマイナスじゃない。
ついさっき出来た、俺の夢を実現させる為の最低条件には俺が平凡でなければいけない。
「ふふふ、なるほど、実に面白い人ですね。 ここ数百年、この転生の間に入ることのできた人間はあなただけです。 しかしその理由がわかりました」
女神は嬉しそうに笑う。
「どんな、欲望も叶えられる、このチャンスを、こう使う人がいるなんて、きっと前代未聞ですよ。 そこは誇ってもらって大丈夫です」
段々と女神の周りから光が溢れ出す。
そろそろ、転生の準備が整った様だ。
「では、送りますね。 あなたの人生に幸があらん事を心より願っております。 では言ってらっしゃいませ後藤明道さん」
俺の体にも光がともり、そして強く発行する。
そして本日?二度目の意識が遠のくのを感じる。
後藤明道
転生特典
1つ目 元の世界での転生
転生する世界の選択
2つ目 俺こと後藤明道に転生
転生する人物の選択
3つ目 俺の才能を全て消してくれ
凡人であると胸を張れる選択
俺には夢ができた、それは、凡人が、努力で何処まででもいけると証明すること。
凡人が希望を掴める事を証明すること。
しかしこれは《ホープ・インズ・ピープル》が言っていた世界に対する物ではなく、俺自身に証明する為の夢。
遅すぎることはない、確かにその通りだった。
あの女子高生を俺は救うことができた。
しかし、完全に俺自身を救うことができなかった。
これでは、まだ遠い。
死ぬ直前に感じた、圧倒的な希望への距離。
それは遠く、凡人が歩いても、一生届かないかもしれない。
なら、早歩きをして、掴み取ろう。
それでもダメなら走ればいい。
届かない事が諦める理由にはならないのだから。
だから、俺は自分自身で自分自身に証明する。
凡人でも希望に手が届くと。
その決意を胸にまたも、俺の視界はブラックアウトした。




