学園編 71
63話から始まる学園編以降は“”(引用符、クォーテーションマーク)に囲まれた技名や固有名詞が出てきます。
その読み方に不正解はありません。自由に読んでください。
初のホームルームが終わり、ソラ達は中庭へと来ていた。そこではすでに様々な寮の様々な学園の生徒たちが友達とお弁当を囲み楽しそうに昼休みを満喫していた。
ガラスで天井が作られており陽の光が優しく入ってくる。下草と低木の生えた中庭は生徒たちを優しく包んでいた。
「知ってる、ソラ?中庭だけは暗黙の了解で私闘が禁じられてるんだよ」
学校について詳しいジーニャがつぶやく。その様子もどこかのんびりとしていた。
「みんな~、ここで食べよ~」
いつも通りのんびりとしているレイスが木の下から声を掛ける。ソラ達は木の下まで行くとその陰に腰を下ろした。
「ユーちゃん、どうぞ~」
「うん、ありがとう」
「ジーニャちゃんはこれ、ソラちゃん、ガンちゃんは男の子サイズ、キリメちゃんは何が好きかわからなかったから色々入れちゃった~」
レイスがみんなに弁当を渡していく。
「ヒーちゃんはこれね~」
そう言って、レイスは最後に可愛らしい包装の弁当をヒンネラに渡した。
「ヒーちゃん?」
「ヒーちゃんは、いや?」
ヒンネラの反応にレイスはゆるふわショートの髪を揺らす。ヒンネラは慌てて首を横に振った。
「べ、別に嫌じゃないわよ。好きに呼んだら?」
ヒンネラ腕を組みそっぽを向く。その様子を少し離れたベンチから護衛役のゼラとライラが見て微笑んでいた。
「うし、いただきまーす!」
最初にガンドレッドが弁当を開け中身にがっつく。後に続いて周りの者たちも弁当を食べだした。
「すっげえ美味え」
「ガンド口の中の物飲み込んでから喋って」
「おう、わりいな」
「美味しいよ、レイ」
「うん、さすがレイスね」
皆が口々にレイスを褒める。レイスは嬉しそうに頷いた。
「良かった~、早起きして作ったの~」
「そういえばソラ、お兄さんは料理が上手って言ってたけど貴方は料理は出来るの?」
ソラの隣に座るヒーちゃんことヒンネラがソラに聞く。ソラはまさか、と首を横に振った。
「出来るわけねえだろ、俺の屋敷には使用人だってメイドだっているんだぞ?そもそも包丁を触らせてもらえねえよ」
危ないものを触らせないのはメイドではなくカミナの方だが。
「メイドがいるってやっぱ貴族は違えなあ」
「私の屋敷だってもちろん居るわ。ソラとお揃いよ」
別の人だよバカ。ヒンネラの言葉にソラは心の中でツッコミを入れた。
「めいど?」
キリメが首を傾げる。
「えーっと、極東で言う、なんだ、女中か?」
ソラは何とか知識を捻り出しキリメに教えるとキリメはわかったようで表情をパッと明るくさせた。
「私の家にも居たでござるよ。一人だけだったでござるが。私もソラ殿と一緒でござるな」
キリメが微笑む。すると、ヒンネラがソラにしか聞こえない程の小さな舌打ちをした。
「張り合うなヒンネラ」
「な、何も張り合ってなんかないわよ」
ヒンネラは黄色のロール髪の先を弄って小声で反論する。ソラはその場はデコピンだけでもしてやろうと腕を上げたところで、輪の外から声を掛けられた。
「この中にソラさんはいますか?」
ストレノス学園の制服をしっかりと着込んだ女子生徒だった。その女子生徒はソラ達と合わせるためか膝を付く。その際、スカートに慣れていないのか赤面しながら慌ててスカートの前を押さえた。白いジャケットに白いスカート、カレーうどんはおすすめできないがとてもその女子生徒には似合っていた。
「俺がソラだけど、何か用?」
ソラは上半身だけで振り返る。すると、ソラから下着が見えてしまうのもお構いなしに片膝を付いて話をし始めた。
「私はリリスお嬢様の騎士、アルマと申します。スペードのAの冠を賜っています。お嬢様に聞いたところこの学校にはお父様だけでなくお兄さまもいるとのことで少しお話がしたく思い探しておりました」
アルマはその綺麗に整った顔でソラに微笑みかける。ソラはまずその膝を下ろさせようと言葉を返した。
「とりあえず片膝はやめない?」
「あっ、これはお見苦しいものを、つい癖で」
アルマは頬を真っ赤に染めて慌てて草の上に座った。
「代々騎士の家系で私も騎士になるように育てられたものですから、王の御前で無礼が有ってはいけないと日常生活にもその動きを取り入れるように言われているのです」
アルマは苦笑いを浮かべる。ソラは大変だな、と一言返した。
「で、リリスとはどういった関係なわけ?」
「試験の時に共闘をさせていただきました」
実技試験でのことだろう。
「まあ、トップのAなら任せられる、リリスを頼んだぜ」
「はい、お任せください」
アルマは頷くと腰にさげてある剣の柄に触れた。帯剣さえ許された学園なのだから不思議な光景ではないが。
「それと、キッカさんが試験の時はすまなかったと伝えておいてくれ、と」
「そうか、次もし会ったら殴らせろって伝えておいてくれ」
「了解しました」
アルマは立ち上がりソラに一礼をする。七十五度の深々とした礼をするがスカートの後ろに気を付けて欲しい。
「アルマさん、制服似合ってるぜ」
アルマが去る際にソラが微笑みかけるとアルマは慌てて小さく一礼をした後去って行った。
「俺、なんか変なこと言ったか?」
ソラは首を傾げる。ヒンネラは溜息を吐いた。
「貴方はバカか鈍感のどちらかね」
「俺が鈍感なわけねえだろ、そこらの主人公とは違う」
「そう、バカなのね」
理不尽にソラは肩をすくめた。




