23
「よく眠れたか?」
宿の食堂で朝食を食べながらリクがリンカとフラケートに話しかける。
「えぇ、おかげさまでね。ふわふわのベッドで寝れたわ。」
「快適でした。ありがとうございます。」
「そうか。」
頷くとリクは紅茶に口を付けて静かになる。
横ではリリスが元気に一人前のスクランブルエッグ定食を食べていた。
「でも、ここ高いんじゃないの?」
「安いところに泊まって本来の調子が出せなくても困る。」
「冒険者やってんだからお金はあるしある程度の所で大丈夫よ。」
「そうか。」
リクは頷くと無言でリリスのフォークを持つ手を直す。
リリスはそれに一瞬首を傾げるが、リクの言わんとしたことを理解すると再び可愛らしい笑顔でソーセージを頬張った。
「それで、本題に入らせてもらうけどダンジョンでの私たちの役割を教えてちょうだい。ちなみに、自慢じゃないけど私は戦闘能力は低いわよ。」
リンカが真剣な顔になって話を始める。
リリスは二皿目に入った。
「二人は後ろからついてくればいい。後ろから来る敵の警戒だけしていてくれ。」
「一人で戦うということね。わかったわ、それでどれくらいかけてどこら辺まで行くつもりなの?」
「三日で、最下層まで。」
「そんな、リクさん、弟さんもいるんでしょう?」
フラケートが心配そうに口を挟む。
「もし万が一俺が死んだ時は骨など拾わず帰ってくれて構わない。」
「そういうわけにもいかないでしょう。」
「心配はいらん。死ぬ気はない。」
「信じていいんでしょうね?」
「あぁ。」
その後、リリスが食べ終わるのを待ってから一行は街を出てダンジョンへと向かった。
ダンジョンとは、今のこの異世界の技術では真相が解明できていない建造物の総称で、中は迷路のようになっていたり一フロアだけだったり水でいっぱいになっていたりもする。
外から中に、また中から外に干渉することは出来ず異世界や異空間ではないかという予想がされている。
リクからすればこの異世界から、囲まれているとはいえさらに違う異世界に行けるなど歓喜でしかないが。
そして、今回一行が挑戦するのは黒騎士のダンジョンと呼ばれる地下に進んでいく形式のダンジョンとなる。
地下一階から四階は地下通路の様になっていて地下五階は迷路のようになっているらしい。
らしいというのも、街の図書館でこのダンジョンについて読んだからだ。
五階の迷路を踏破すると、二階建ての家よりも大きな動く騎士鎧が一つの扉を守るように襲ってくるらしい。
ここが、他のダンジョンにもあったように宝物庫ではないかと言われている。
のだが、この黒い騎士鎧が倒せずいつの日か忘れ去られダンジョンに入る者もいなくなったというわけだ。
「ただの洞窟の様だな。」
「ダンジョンはみんなこんな感じよ。上に登っていく形式のダンジョンは塔になっているのもあるけど。」
「リクさん、本当に、入るんですか?」
話しながらそのまま入っていこうとするリクとリンカをフラケートが袖を引っ張って止める。
「大丈夫よ、何かあったら私たちだけでも逃げちゃえばいいんだから。」
笑いながらリンカは言うが、リクは何も言わない。
そう言っていたのだし、本当にそれでいいということだろう。
「でも、私の能力、モンスターラッシュは知っているんでしょう?」
フラケートは二人の袖を離すと一歩後ずさる。
それを見てリクは感情の読み取りにくい真顔で小さくため息を吐く。
そして、今度はリクからフラケートの腕を取り言った。
「それを知っていたから誘ったんだ。噂で聞いて、これ以上俺に合う者はいないと思い職員に頼んでフラケート、お前を誘導させた。この依頼、自分で見つけたのではなく職員からの紹介だっただろう。」
「っ!は、はい。」
「俺はそこら辺の冒険者とは違うと自負している。こんなところで死ぬことなどない。俺を殺せるのは未来の弟だけだ。」
「ねぇ、もしかして私も?」
「金に困っていそうな奴でと適当に頼んだらリンカが来た。」
「私だけ運命も何もないかんじなの!?」
「わかりました、付いて行きます。」
そう言うと、フラケートは少し俯きがちにリクの後ろに着いた。
「私も一応ヒロインだと思うんだけどなぁ。」
リンカのつぶやきは木々のざわめきにかき消された。
一行が入り口をくぐると一気に周りが暗くなる。
ダンジョンの中には入れたようだ。
中は地下遺跡の中の様なレンガの壁だった。
入ってすぐは少し開けた場所になっており、ところどころに松明が立てかけられておりほんのりと明るくなっている。
奥に続く道は三本あり、広場よりも暗くなっていた。
「フラケート、光は出せるか?」
「はい。」
フラケートは手のひらから光の球を出すと一行の頭上に浮かばせる。
リクは光の球を興味津々に掴みに行こうとしたリリスの腕を無言で降ろさせた。
今フラケートが出したのは、光属性の魔法である”ライト”だ。
ただの照明魔法であるが、夜に行動する際や地下の探検時には重宝される。
「フラケート、お前の能力はいつ出る?常時か、戦闘時か。」
「戦闘時だけだと思います。」
「そうか、わかった。」
一つだけ聞くと、リクは三本の道のうちの一つを進んでいく。
街の図書館の本に地下一階から地下四階までの地図は描いてあった。
それをリクは完全に覚えているのだ。
「ねぇ、リク。戦闘時って、さっきも言ったと思うけど私本当に戦えないからね。フラケートを守ることも出来ないよ。」
「わかっている。敵は全て任せろ。」
「本当に任せるからね。」
少し不満そうな、不安そうな顔をしながらもリンカはリクの横を離れることはなかった。
それから少しの間ただ通路を進むだけの作業が続き、一つ目の広場の前へとたどり着いた。
ダンジョンには基本的にフロアと呼ばれる開けた場所がいくつか存在する。
そのフロアにはダンジョンに生み出された魔物がうろついており、それをせん滅すると魔物の入ってこれないセーフエリアとなる。
しかし、24時間経過すると壁や地面、天井から再度魔物たちが生み出される。
リクたち一行はここに来るまでに運よく魔物に会わなかったが、このフロア以外にも魔物は沸くものでる。
「リク。」
「リクさん。」
リンカとフラケートがフロアの魔物たちを見るリクに声を掛ける。
リクは魔物たちを見たまま振り返らずに答えた。
「お前たちはフロアに入るな。少し試したい。」
「でもそれだと回復が……」
「問題ない。リリスを頼む。」
そうとだけ言うと、リリスを下ろしリクはフロアの中へと走っていった。
走っていったリクはすぐに魔物たちに見つかる。
魔物たちはゴブリンより少し体躯の大きいホブゴブリンたちだった。
ざっと数えて15体以上はいる。
そんな数のホブゴブリン相手にFランク冒険者では太刀打ちできないのではないか。
リンカとフラケートがそう思った時だった。
フロアから轟音が鳴り響く。
今まで破壊できないと言われていたダンジョンの地面がひびを生やし、クレーターを作っていた。
肝心のホブゴブリンはと言うと、衝撃波に飛ばされ壁で潰れていた。
白っぽかった壁が緑色の血でいっぱいになる。
リクは、たった一撃で15体以上のホブゴブリンを壊滅させたのだ。
リクは壁で潰れるホブゴブリンを一瞥すると二人の所へと戻ってくる。
そのリクの腕は、途中から大胆に折れ白い骨が見えていた。
それに気づいたリンカは慌ててリクに駆け寄ると治癒魔法を掛け始める。
フラケートもリンカの後ろからリクの元まで駆け寄った。
「リク、あれは?」
「あれが、俺の能力だ。」
リリスがリクの折れた腕を興味深そうに触る。
フラケートはリンカの後ろから心配そうにリクを見つめていた。
少しして、腕が完治するとリクはリリスを抱き上げる。
そのまま壁から出っ張った岩に座ると、質問を聞こう、とでも言いたげな顔で黙った。
「リク、あれは身体強化魔法じゃないよね?」
「違うな。」
「教えてもらえる?」
「あれは俺の能力だ。俺は能力者だ。」
「なるほどね、魔力の無い能力者は魔族たちに敵と認識されないって噂は本当なのかもね。それか、リクか奥さんが魔族ってことかな?」
「…………」
しかしリクはリンカの言葉に何も答えなかった。
もちろん、リクは魔族などではないしまだ妻もいない。
リリスを引き取ったのは自分の運命だとは思っているが魔族になる気は無いし、魔族と必要以上に仲良くするつもりもない。
この娘は人間族と同じように育てるつもりだ。
「まあそれは今聞いてもしょうがないわね。さ、進みましょう、この依頼が終わって個人的に仲良くなったら聞かせてよ。」
「わかった。」
リクはリリスを抱っこしながら立ち上がる。
それから一行はフロアを縦断し奥に進んでいった。
「ねぇ、リリスちゃん、歩けないわけじゃないんだよね?」
時たまに出てくる魔物たちを排除しながら進んでいるとリンカが気付いたようにリクに聞いた。
リクはリリスの顔を見る。
リリスは相変わらず可愛らしい笑顔で首を傾げた。
「歩けるな。」
「リクがいつも抱っこしてるの?」
「基本的にほとんどの時間、俺の腕の中に居させるようにしている。この娘自身が人間族からすれば異常であるしな。」
「へぇ。」
「何か言いたいことがあるのか?」
「そうねぇ、私も抱っこしたいなって思って。」
「リリス?」
しかし、リクがリリスに問いかけるとリリスは首を横に振った。
それに、リクは一瞬優しい顔をしてリリスを抱きしめた。
本人は気付いていないようだがリクのこの優しい笑顔は周りの女性たちを引き寄せる。
現にリンカもフラケートもそれに少しの間見惚れていた。
それから数時間歩いてついに地下一階から地下二階へと続く階段へと到達した。
一行は特にそこで止まることもなく進む。
地下二階からは、気が変わったのかリリスはリンカに抱っこされていた。
そして、その二日後、一行は地下五階への階段を下りた。
階段を降りると今までと変わらない少し開けた場所に出る。
そこからの道は三つ。
しかし、ここからはリクには道がわからなかった。
地下五階は、迷路だという情報を得ている。
しかもただの迷路ではなく、壁の動く迷路だ。
それゆえに文献を探っても正解の道はわからない。
ただわかるのはボスがいる場所が最初の位置からまっすぐ行った場所に位置することと、壁が常に動き続けていることだ。
壁の動く低い音に気付いたリンカがリクに問いかけ、リクはそれを軽く説明した。
「なるほどね、それで、解決策はあるの?」
「いくつかある。」
「あまり危険じゃないのにしてよね。」
「壁を破壊して進む。」
そう言うと、リクはリリスをリンカに預けると壁を破壊しながら進み始めた。
実は、リクがフロアの床を壊したことで初めて分かったことなのだが、ダンジョンには自己修復機能があるらしく破壊された床や壁は一分ほどすると修復が開始されてしまう。
リンカとフラケートは破壊したときに落ちてくる瓦礫に気を付けながらも置いていかれないようにリクの後を追った。
ほどなくして、一行は最奥へとたどり着いた。
後ろでは、壊してきた壁の修復がすでに始まっていた。
今、一行の前には巨人でも使えるほどに大きく重厚な門があった。
その横には帰還用の魔方陣が光を放っていた。
「いよいよ来たわね。」
リンカが門を見て呟く。
リリスは門を見て、目を輝かせていた。
「リクさん、私は、ここで待っていればいいですか?」
門を前にしてフラケートは怖気づく。
しかし、リクはフラケートに付いて来るように言うと、リリスをリンカに預けたまま門に触れた。
すると、門はそれに反応し独りでに開く。
中には下へと続く階段を守るように二階建ての家程の大きさの黒い鎧が仁王立ちしていた。
恐らく階段を下った先に宝があるのだろう。
「フラケート、絶対に俺から離れるな。」
「は、はい。」
「私は?」
「お前もだ。」
「はーい。」
フラケートは自分の特性を恐れて恐怖しているようだが、リンカは何故だか軽い返事を返した。
よもや、リクを完全に信じたわけではあるまい。
さっきまで不安そうにリクに何度も本当に大丈夫なの、と聞いていたのだ。
それかついに諦めたのか。
しかし、リクとしては全くもって負ける気はない。
「リンカ、治癒魔法を常に準備していろ。」
「了解。」
「それと、リリスを離すな。」
「わかってるよ。」
そして、リリスはと言うとでかい黒鎧を見て少し驚いているようだった。
リクは先導して進む。
一行が部屋に入るが、鎧は動く様子はない。
一行はなお進む。
周りには鎧や武器を持った白骨がいくつも転がっていた。
その時、後ろで巨大な門が独りでに閉まる。
轟音を上げ閉まりゆく様を三人は見つめる。
しかし、リリスだけは違う方向を見ていた。
「パパ。」
その言葉を聞き、リリスの方を向いたリクは瞬時に理解して腕を上にあげ能力を発動させた。
リクの元々あまり筋肉の無い体が少し隆起してそれを受け止める。
扉が立てていた轟音よりもさらに大きな音を立ててリクの足を地面に突き刺した。
その音と圧に気付いたリンカとフラケートは悲鳴を上げながら振り返る。
そこには、黒騎士の大剣を片手で受け止めるリクがいた。
「リ、リクさん。」
フラケートは驚きすぎて腰が抜けてしまったのかその場に尻もちをついて動けなくなる。
リンカは辛うじて立ててはいるものの、動けなくなっていた。
「そのままでいい。そこで、この世界の現実を垣間見ろ。」
リクは、黒鎧の大剣を受け止めながら言う。
両手で大剣を引く黒鎧。
しかし、リクは微動だにしない。
「フラケート、お前があの時一緒に行ったパーティーはBランクだった、そうだな?」
「は、はい。」
「しかし、お前を残し全滅した。」
「はい。」
フラケートは俯く。
「下を向くな、俺を見ろ。」
フラケートが上を向くと、いまだに微動だにしないリクと黒鎧がいた。
「この状況をお前はどう見る?」
「私たちがいるから、リクさんは……」
「お前からはそう見えるんだな。俺からはこう見える。仲間を守りながらでさえも、余裕で勝てる。ダンジョンの番人も大したことなかったんだな、と。」
「そんな……」
リクが拳を握ると黒鎧の大剣は真ん中からへし折れる。
「フラケート、お前はどうしたかった。仲間たちと一緒に死にたかったか?一人生きて異端だと、蔑まれたかったか?」
「私は、みんなと一緒に……」
そこまで言って、フラケートは涙を流し俯いてしまう。
「そうか、では、仲間はどう思っていた?」
リクは折れた剣先を投げる。
投げられた剣先は黒鎧の胸部装甲を貫き壁に突き刺さった。
「みんなは?」
「そうだ、仲間たちはどう思っていた?俺はあの剣を避けれた、リリスだけを助けてお前らを見捨てる道もあった。あいつらにも、お前も一緒に魔物に殺される道もあったはずだ。なぜそれをしなかった?」
「それは……」
「重く考えるな。生きて欲しかったからだ。もし、違ったとしてもそう思え。そして、先に死んでった奴の分まで生きろ。」
「……はい。はい。」
そして、リクたち一行のダンジョン進撃は終わった。
一行は、フラケートが落ち着くのを待ってから黒鎧が守っていた階段を下りる。
「すまないな、上手く喋るのは苦手なんだ。」
その途中でリクがフラケートに話しかける。
「いえ、ちゃんと伝わりましたから大丈夫ですよ。」
「そうか。」
「なんか私だけ何もなくて申し訳ない気がするなー」
リンカが苦笑する。
「そんな事ないですよ。リンカさんのその明るい性格にも助けられましたから。」
「ならよかった。」
そう言って、リンカとフラケートは笑いあう。
それを見てリクは表情のない顔でリリスの頭を撫でていた。
「あっ、そろそろですかね。」
光の球を出しても少し薄暗かった階段から下の部屋に続く入り口は嫌に光って見えた。
一行は光の球を消し少し足早に階段を下りる。
リクはリンカとフラケートの後ろを少しばかり億劫そうに付いて行っただけだが。
「わぁ~、キラキラですね。」
「目が痛いくらいね。」
一行が部屋に足を踏み入れるとそこは、黄金で出来た宝物庫であった。
「フラケート、ここからはお前の仕事だ。」
「はい!」
フラケートは元気に返事を返すと背負っていた大きなカバンを下ろす。
バディ用の大容量アイテムバッグといったところか。
冒険者が使うアイテムバッグなんかより多くの物が入るが大きい為動き回る冒険者には邪魔になる。
「やはりそのカバンにも空間属性の魔法が掛けてあるのか?」
「はい、そうですよ。王都の市販のやつですよ。リクさんのカバンもそうでしょう?」
リクに答えながらもお宝を回収する手は休めない。
さすがはその道の者ということか。
「ウェルミュレにはバディ用は無い。」
「私も王都でしか見たことはありませんね。」
「王都か、行ってみるか。」
「あっ、王都に行くなら一緒に行きませんか?私、実家が王都の方にあるんです。一回帰ってみようかなって。」
「王都から辺境に来るのは珍しくないのか?」
「あの事故以来、王都に居るのが怖くなっちゃって。田舎に逃げて来たんです。」
「そうだったか、すまないな。」
「いいえ、あなたのおかげでだいぶ楽になったんです。ありがとうございます。」
フラケートは一度手を止めてリクに向かって頭を下げる。
「ついでだ、気にするな。」
「わかりました、そういうことにしておきます。」
フラケートはクスリと笑った。
「パパ!」
そこにリンカとリリスが寄ってくる。
リリスはリクの前まで来ると、自分の頭を見せつけた。
そこには小さなティアラが乗っていた。
「欲しいなら持っていくといい。だが、街中ではあの帽子を被るのを約束しなさい。」
「うん、やくそく!」
リリスは頷くと楽しそうな笑顔でティアラを被っていた。
少しして、フラケートの作業が終わると一行は帰還用魔方陣を使ってダンジョンの外へと離脱した。
宝物庫の中身はまだまだ残っているがフラケートのカバンがいっぱいになってしまったために諦めることとなった。
踏破したダンジョンは報告する義務があるが、ダンジョンスターを回収して魔物が出ないとはいえ地下五階が動く迷路である限りはそうそう取りつくされる心配はないだろう。
そして、ダンジョンスターとはダンジョンの最深部に埋め込まれるこぶし大の虹色に光る丸い宝石の事だ。
今、その宝石は袋に入れられリリスの腰にぶら下がっている。
「ダンジョンスターと、リリスちゃんのティアラを抜いた残りの獲物を三等分して分けるということでいいですか?」
帰りは歩くのをめんどくさがったリクが馬車を借り、その中で話しながらゆっくりと帰ることになった。
「俺は良いが、スターを貰ってしまってもいいのか?」
「むしろ、何もしてない私たちが報酬を貰っていいのか聞きたいところなんだけど。」
リンカが言う。
フラケートもそれに賛成して苦笑いを浮かべていた。
「良い。俺の報酬は冒険者ギルドの金庫に全部しまっておいてくれ。」
「あれ、銀行じゃなくていいんですか?」
「冒険者ギルドとは仲良くやっていく予定だからな。」
「そうですか、わかりました。リンカさんはどうしますか?」
「私はギルドで受け渡しでお願い。」
「わかりました。手続きが終わり次第ギルド経由でお呼びしますね。」
それから他愛もない雑談をしているとすぐにウェルミュレの街まで帰ってくることが出来た。
ダンジョンを三人で制覇したとギルドに伝えると、職員どころかその場にいた全員が絶句して数秒間息をするのを忘れた。
ただ、例外もいた。
ミミュレットだけはそんなこと当たり前とでも言いたげな顔で、リクに本当にケガはないのかと追及していた。
「改めてありがとう、リク。当分は遊んで暮らせちゃうね。」
「私も、ありがとうございました。」
やっとミミュレットから解放されてソラの所へ帰るか、と思っていたリクの所に二人が来る。
「そうだな、お疲れ。リリス、おいで。」
走って来たリリスを抱き上げるとリクはギルドを出て行った。
せめて週一くらいで投稿できるように頑張りたいですね。




