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少し短めですが、お許しください。


 竜に会いに行くために山を登り、野宿で一度夜を越し山の頂上付近まで来ていた。


「師匠、もうそろそろだよな?」

「えぇ、お兄さんの話では洞窟に住んでいるらしいわ」


俺の後ろを付いてくる師匠が答える。

俺らはその洞窟を探して山をさまよっていた。


「なかなか無いな」

「そう簡単に見つかってしまってもダメでしょう?」

「まぁ、そうだけど。もうちょっとわかりやすくしてほしかった」


俺はあからさまに肩を下げる。

そんな俺に師匠が一つ提案をする。


「火口まで行ってみる?何かわかるかも」


このまま適当に探していてもしょうがないからと、俺はその提案に賛成し火口まで向かうことにした。


そう言えば、山の途中までは魔物が出ていたが頂上に近づくにつれて少なくなっていったのは頂上付近に竜やそれに近い何かがいるということで間違いないだろうと思っている。

動物や魔物は本能的に強い者から逃げようとするって聞くし。

兄貴を一目見ただけで本能からか後ずさってた冒険者も何人か見かけている。


 そんなことを考えながら歩いていると、火口に着いてしまった。

火口の直径は、目測でだいたい200mちょっとと言ったところか。

俺らは2人で火口の上に立って下を覗く。

随分下の方にマグマが煮えたぎっているのが見えた。


「落ちたら熱そうね」

「いや、死ぬだろ」

「ソラなら大丈夫じゃない?」

「いくら熱いのと寒いのが大丈夫でもあれは死ぬだろ」

「試してみる?ところで、あの洞窟、怪しい」


師匠はくだらない話を切ると、火口の中を指さす。


「ほんとだ、以外と大きそうだな。でも、どうやって行くか」

「私のゲートを使えばいい」


そう言って、師匠は立ち上がると空間に亀裂を生ませ下の洞窟と繋いでしまった。


「師匠のゲートって一回行ったこと無いと開けないとかじゃないのか?」

「全く知らないところには無理。絵や魔法でその風景をある程度知っていれば可能」

「意外と便利なんだな」


俺は師匠のゲートをくぐる。

その瞬間、火口とは比べ物にならないほどの熱波に襲われた。

俺の後にゲートで洞窟に入った師匠も、いつも無表情で変わらない顔を少し嫌そうにしかめている。


「熱い。脱いでいい?」

「だめに決まってるだろ。俺も一応男だってことを忘れないでくれ」

「じゃあ、下着だけ……」


そう言って、師匠は自分のパンツに手を掛ける。


「待て待て待て!スカートでそれはだめだろ!」

「冗談」

「嘘つけ、止めなかったら脱いでただろ」

「さすがソラ、良く知ってる」


師匠は時々こうやって俺をからかうから、以前放置したら行くとこまで行ってかまえ、と襲われた事がある。

加速世界に入って逃げてもゲートで追いかけてくるから大変だった。

しかも裸でだ。

リリスの教育に悪いし、他の人が見ていたらどうするつもりだったのか。

まぁ、その時リリスは寝ていたからよかったが。


「とにかく奥に進もう」

「わかった」


俺は話を切り上げると洞窟を奥へと進んでいく。


しかし、この体は本当に便利だ。

熱波が来ていることはわかるのだがほとんど熱くないのだ。

その証拠に、ちらりと師匠の首筋を見るとだいぶ汗が流れているのに対し俺は全く汗をかいていない。


「師匠、どれくらい熱い?」

「冬服で真夏に砂漠で走り回っているくらい」

「そりゃ服も脱ぎたくなるわ。上で待ってても…」

「服を脱ぐ許可さえくれれば問題ない」

「だから上で待っていろって」


奥に進みながら俺らは口論する。

ふと、俺が師匠の方を見るとすでに上の服を脱いでゲートの中にしまい込んでいた。


「なんで脱いでんだよ!もういい、下は脱ぐなよ!」

「……わかった」

「なんでちょっと不満そうなんだよ」


少し不満そうな師匠に肩をすくめて俺が前を向いたその時、低い唸り声が洞窟奥から響いてきた。

俺は拳を握り師匠は腰の剣に手を添える。


「あれが……」

「行ってみる?」

「あぁ、行ってみる」


師匠にそう答えると俺は声のした方に進んでいく。

そう言えば、洞窟の中なのに暗くないなと思い壁を見ると、壁の岩と岩の隙間から光が漏れていた。

光る鉱石でもあるのかと思い近づいてよく見ると溶岩が流れていた。

そりゃ暑いわけだ。

間近にマグマが流れていたら暑いなんてもんじゃない。


「師匠、ほんとに上で待っていたらどうだ?」

「大丈夫、問題ない」


しかし、師匠の顔は明らかに辛そうだ。


「じゃあ、水分補給だけは怠らないでくれよ」

「心配してくれるの?」

「当たり前だろ」


俺がそう答えると驚いて一瞬止まった後、師匠はゲートから水筒を取り出し一気に飲み込んだ。

飲み込むとすぐに後ろを向いてしまう。


「水分は補給した。もう問題ない。進む」

「あぁ、でも辛くなったらすぐに外出てろよ」

「わかった」


師匠の様子が少し変な気もしたが、熱いせいではないだろう。

俺は前を向くとさらに奥に進んでいく。

後ろでは暑さのせいか熱くなった頬を押さえて困り顔をしたカミナがソラの背中を見ていた。


 洞窟をさらに奥へと歩いていく。

相変わらず壁から光が漏れていて暗くない。

それどころか、少しづつ明るくなっていっているような気もする。


「師匠、本当に大丈夫か?」

「……ちょっと、限界」

「な、それなら先に上に……」

「あれ」


俺の言葉を遮って師匠が指さす方を見ると、一際光が漏れる穴があった。

俺だけで見てくるから、そう言おうと思いまた振り返ると師匠は消えていた。

まさかと思い前を向くと穴の前までゲートで移動したようで俺も自分を加速させ師匠の横まで走る。


「師匠、何やってんだよ」

「しっ、静かに」


師匠に人差し指を口に向けられ反射的に黙る。


「見て」


言われて穴の中を見る。

そこには奴が静かに鎮座していた。


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