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クレイジーフォーユー

それは突然のことでした。


私はエディを抱っこしていて、もちろん手を離してもエディは私の肩に腕をかけてぶら下がっているので落ちてしまう心配はないのですけれど・・・・。


エディと旦那様と私で土手に大量に群生しているススキを見に行った日のことでした。


ススキはあと一週間もしたら刈られてしまうそうなので、その前に私は秋を彩るススキが欲しかったのです。


思う存分に歩きススキを手に入れた私はエディの重さも重なって、旦那様の前でお行儀が悪いと思ったのですけれども、疲れというものに背に腹はかえられない断腸の思いで疲労回復すべく土手に座り込んでしまいました。


しばらくしてから、旦那様は何を思ったのか私を膝の間に挟んで一緒に座り込みました。


「あら、服が汚れてしまいますわよ」

「かまわないさ、レディの下にハンカチでもひこうか?」

「あら私はいまさらですわよ。だってもぅ座ってしまったんですもの」


私とエディをすっぽりと包むように手を前にまわす旦那様。


三人で沈む夕日を縦に並んで見ていたわ。小さい順でね。

旦那様の吐息が近くなったと思ったら・・・・・




そのまま視界がブラックアウトですわ。





ちゅっ。



と音が鳴って私は顔が活火山のように頭からドカーンと何かが飛び出す音を聞いたわ。

確かに聞いたわ。


「ふあぁ~・・・・」


と情けない声がでて何がなんだかわからなくなったあと、エディの全てを悟ったような高尚な顔を見て・・・・・

なんだか現実に引き戻されてしまったわ・・・・。



「あ・・・・愛がないのにそんなことするものじゃないわ」


乙女の唇はね、そんな安くないの。

いくら旦那様だからってホイホイ。キスするのはどうかと思うわ。

やっぱり

愛がなくちゃ嫌だわ、私。

政略結婚よ、愛がないのは当たり前だけど愛がないのがこんなに寂しいものなんだって私知らなかったわ。


あなたに会うまで・・・・。



「愛がないなんてふざけたことが、よく言えるな、君は」


「私たちは政略結婚よ」


「そうだ。そして俺たちは夫婦になった。そしてこれも何かのご縁だろう?君の言葉でゆうならな」


「・・・・そうね。何かのご縁だわ。あなたが私のことをホンの少しでも愛してくれたのなら私、とても嬉しかったわ」


「ホンの少しでいいのか?」

「そうね。欲をいえば、首ったけが望ましいわ」

「だったら、安心しろ。



俺はお前に首ったけだ」





まぁ、なんて綺麗な顔で冗談をゆうのかしら。

さすがの私もこれには怒らなくちゃだわ、

「云っていい冗談と、そうじゃないものがありますわ。あなたが万が一にも私にメロメロならば今夜の夕飯は、そうね、露店の串焼きにしていただこうかしら」


おうちで食べるのもいいけれど、たまには外でだって食べたいわ。

あなたは静かなところで落ち着いて食べたいでしょうけど、私はたまには賑やかなところで食べたいわ。


「そのくらいお安い御用だ」


「あら、本当に?冗談でしたら今すぐに撤回してくださらないと私、本気にしますわよ」

「本気にしてくれ」


「それから、」

「なんだ。」


「お弁当を残すのはいかがなものかと思うのですけれども、それについては弁明があるのかしら?」

「君の方こそ、なぜキャラクター弁当にするのだ?普通のにしてくれれば俺だって葛藤せずに食べれるのに」

「まぁ、手抜き弁当でいけとおっしゃるの?」

「あぁ、手抜きで構わない。かまわないから・・・・寝る時間を少しおそくしてくれないか・・・・」

「まぁ、夜ふかしは女性の敵よ!」

「俺は君ともっと夫婦の時間を大切にしたい、君が俺の弁当を作るために早寝早起きするのであれば、弁当を作る時間よりも俺と一緒にいる時間についやしてほしい・・・・。そう思うのは俺のわがままか?」


「我が儘なんて私はあなたが少しでも・・・」

「なんだ?」


「少しでも私のことを気にかけてくだされば・・・」

「いつだって気にしていた」


「嘘よ。平気であなた、私の手を手放すのよ、夏祭りの時みたいに・・・。自分勝手にいなくなって戻ってきて・・・それなのに・・・いつも気にしているだなんて・・・」

「君がいなくなって俺がどんな気持ちで君を探していたと思うんだ。どれだけ君が見つからなかったらと焦っていたことか、心配していたか、自分に憤りを感じていたことか・・・君の方こそなぜ、簡単に俺のそばから離れるんだ。俺から目をそらすな。手を離すな。俺がお前を見ていないときはお前が俺を見ていろ。お前が俺を見ていないときは俺がお前を見ているから。」


私は何故か何故か目から海水が流れてしまってエディのコケの生えた頭をぽたぽた汚していったわ。


エディは頭を不思議そうにカギ爪でポリポリかいていた。


それから


得意の首回転で私たちを見つめたのだけれども

旦那様がエディの瞳を隠してしまったの。




すすきの群生が風の音にのってザァァァァァとたなびき種子が飛んでゆく・・・。

新しい命を生み出すために・・・・。



私と旦那様は少し大人の階段をのぼり、長いキスを何度もしたの。


私たちは愛の無い結婚だったはずなんですけれども・・・・・・。




今ではあなたに首ったけよ・・・・。



「愛の言葉なら年中無休でうけつけるわ。寝ている時だって大歓迎よ」


「こ・・・・・今夜から・・・その・・・・一緒のベットで寝ないか・・・・・」

「は?」


まぁ?いまさらどうしたのかしら

旦那様を見れば顔を赤くして不機嫌そうに、そっぽむいていらっしゃいますわ。


「ふうふ・・だからな」

「そうですわね」

「寝ている時にだって愛の言葉を聞きたいのなら、一緒に寝るべきだ」

「まぁ有言実行してくださるの?」


無言で頷く旦那様。


かき氷のように冷たい人だって思っていたけれど・・・・・中身はフランクフルトでした・・・。









もうじき第一子が生まれます・・・・・。





なんだかんだあったけれど、わたし達とても幸せですわ。お母様。







それは、とある小さな国でのとある小さなお話なのでした・・・・。



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