ep.88 もう一つの画面
優也が知らないあいだに真琴が予備室で休んでいたことを、スマートフォン側の追加表示が『直近利用――休息』と示してから一週間ほど、二人は意識して実験の回数を減らしていた。
前回の結果は大きかったが、一度だけで何かを決めるつもりはない。だからといって、同じことを何度も繰り返して「次も出るか」と待ち構えれば、普段の使い方そのものが実験になってしまう。ACROSSの変化は、これまでいつも生活の中で起きた不便や必要の後についてきた。なら今回も、まずは普通に使い、その中で自然に確認できる場面があれば拾う。それが二人の出した結論だった。
土曜の午前、優也はガレージでACROSSの簡単な片付けをしていた。
大がかりな整備ではない。前の一泊で使った物を元へ戻し、冷蔵庫の残りを確認し、後部の収納に入れてある折りたたみ式の電動アシスト自転車を一度だけ外へ出してタイヤの空気を見る。その程度だった。
真琴は少し遅れて来る予定で、優也は一人で作業を進めていた。
後部収納を閉じ、車内へ戻ってコーヒーを淹れたところで、スマートフォンに真琴からメッセージが入る。
『あと十五分くらいで着きます。何か買っていくものありますか?』
優也は冷蔵庫をもう一度開け、飲み物は足りていることを確認した。
『昼飯だけ適当に。任せる』
送ってから、少し考えて追加する。
『プリンは高いやつでも可』
数秒後、
『前回気に入ってましたね』
と返ってきた。
「俺より覚えてるやん」
誰もいないリビングで呟き、優也は笑った。
そのとき、ふと前回の『記録――継続』という言葉が頭をよぎったが、すぐに追いかけるのはやめた。何でもACROSSへ結びつけ始めると、日常まで全部が観察項目になる。それは少し違う気がしていた。
◇
真琴が到着したのは、予定どおり十五分ほど後だった。
紙袋にはサンドイッチとスープ、それから本当に少し高いプリンが二つ入っている。
「また買ってきたん?」
「許可が出てましたから。しかも今回は優也さんから」
「そこは証拠残ってるから否定できへんな」
二人は昼食を冷蔵庫へ入れ、しばらく車内の片付けを続けた。真琴は自分が置いている洗面用品や充電ケーブルを確認し、読み終えた本を一冊だけ持ち帰る代わりに新しい本を一冊置く。
優也はそれを見ながら、以前なら「忘れ物」に見えたものが、今では普通に「置いてある物」になっていることに気付いた。
「本、入れ替えてんの?」
「はい。前の読み終わったので。次に泊まったとき読む用です」
「もう家の本棚みたいになってきてるな」
「一冊だけですよ。増やしすぎたら怒るでしょう?」
「別に怒らへんけど……気付いたら十冊とかになってたら棚考える」
「それを始めると、また固定設備の話になりますよ」
「せやった。予備室みたいに、必要になってから考えたらええか」
「そのくらいでいいと思います」
何でもない会話だったが、優也はそこで前回までの追加表示を思い出した。
予備室は『用途――可変』のまま使われ続け、その使われ方だけが『休息・作業』という言葉に整理された。玄関内側の余白も、『用途――未設定』のまま『一時保管・受渡』という実績が積み上がっている。
固定しないことは、何も決めていないこととは少し違う。使いながら決まっていく部分を残しているだけなのかもしれない。
ただ、今日はその話を深める前に、真琴から別の提案があった。
「前回の再確認、一つだけやりませんか」
「俺が知らん使い方が出るかってやつ?」
「はい。でも予備室は前回と同じなので、別の場所で。今日は私が先に来たわけじゃないですし、今から無理に条件を作るのも違うので、優也さんが少し外へ出る用事があるなら、その間に普通に使える場所を使います」
「外へ出る用事……ちょうど自転車の空気入れ、車庫の奥に戻してへんわ。あと段ボールも捨てたい」
「それなら十分です。私が何をするかは、戻ってきても聞かないでください」
「了解。じゃ、俺は普通に片付けてくる」
優也はスマートフォンを車内へ置いたまま外へ出た。
時間にして二十分ほどだった。空気入れを戻し、まとめていた段ボールを所定の場所へ運び、ついでにガレージの入口付近に落ちていた小さなごみまで拾う。戻ったとき、真琴はリビングのソファへ座っていた。
「終わった?」
「はい。優也さんも?」
「終わり。何したか聞いたらあかんのやろ?」
「結果を見るまでは」
真琴が笑って、優也のスマートフォンを手に取った。
◇
どこを使ったのかも聞かない。
ただ、それでは対象を選べないので、真琴は「玄関内側の余白です」とだけ伝えた。何をしたかは言わない。
優也は右側玄関へ向かい、小さな追加空間を見る。
見た目には何も変わっていなかった。床も乾いており、荷物も置かれていない。普段と同じ空間である。
「さっき何したかは考えん。普通にここを見る。それでええ?」
「はい。私は画面だけ見ます」
優也は頷き、《鑑定》を使った。
『追加空間――形成済』
『接続――右側玄関』
『用途――未設定』
『外部寸法――変化なし』
『接続状態――安定』
『魔素反応――微弱』
六行が優也の内側に現れ、同じものがスマートフォンへ共有される。
前回の経験があるぶん、二人ともすぐには話さない。
数秒後、画面の下へ一行だけ追加された。
『直近利用――受渡』
真琴が画面を記録し、表示が消えてから優也へ向き直る。
「今、何を想像してました?」
「何も決め打ちしてへん。荷物置いたんかな、くらいは一瞬浮かんだけど、受渡とは思ってへん。……で、何したん?」
「優也さんが外にいる間、宅配便が一つ届いたんです。ガレージの入口で受け取って、いったんここに置いて、箱を開けずに中身だけ確認してから私のバッグへ移しました。だから、この空間では本当に“受け取って、一時的に置いて、移した”だけです」
「タイミング良すぎひん?」
「私も少し驚きました。でも、配送通知は朝から来てましたよ。今日届く予定だった研究用の本です」
「なるほど。わざと何かしたんちゃうんやな」
「はい。だから確認にはちょうどよかったです」
優也は玄関の余白を見下ろした。
前回は『直近利用――休息』。
今回は『直近利用――受渡』。
どちらも優也が知らない状態で、実際の使われ方と一致した。
「これで二回やな。しかも別の場所」
「そうですね。偶然だけで説明するのは、前回よりかなり難しくなりました」
真琴はノートを開き、前回と同じ形式で条件を書いた。
『優也不在中』
『真琴が玄関内余白を使用』
『使用内容――荷物の受取・一時置き・移動』
『優也へ事前説明なし』
『内部鑑定――通常六項目のみ』
『共有側追加――「直近利用――受渡」』
そこまで書いてから、少し考えて一行加える。
『ACROSS内部の利用履歴が、優也の未把握状態でも共有表示へ反映される現象――再現』
「今回は“可能性”取れたな」
「この条件については、かなり強く言えると思います。ただ、まだ“どこに記録されているか”は分かりません」
「そこは相変わらずか」
「むしろ、ここからが分からないところです」
真琴はペンを置いた。
「優也さんの《鑑定》が、ACROSSに残っている履歴を読めるようになったのか。それとも、ACROSS側から共有表示へ情報が乗っているのか。結果だけ見ると、どちらでも説明できます」
「俺の中には出えへんのに?」
「そこが、後者を少し強く見せてる理由です。でも、外部共有が始まったことで《鑑定》の出力経路だけ別に変化した可能性もあります。だから今は、まだ決められません」
優也は唸りながら、スマートフォンの画面を見た。
「このスマホが窓みたいになってんのかな」
「窓?」
「俺の《鑑定》は頭の中に出る。真琴にも見せたいって思って、ここに出るようになった。で、今は俺が知らんACROSS側の情報まで、こっちの窓から見えてくる。そんな感じ」
真琴は少し考えてから頷いた。
「分かりやすい言い方だと思います。ただ、本当に“スマートフォンそのもの”が必要なのかは、まだ分かりませんけど」
「……そこ試す?」
優也が聞くと、真琴はすぐには答えなかった。
◇
二人が最初に外部共有を試したとき、スマートフォンを選んだのは、表示装置として身近だったからだ。
優也自身のスマートフォンを《鑑定》し、表示補助やローカル処理、外部連携といった機能を知ったうえで、「頭の中に出る鑑定結果を、ここへ出せないか」と何度も試した。その過程で、単に画面があればいいのではなく、真琴という“届ける相手”を意識することが重要らしいと分かり、最終的に共有が成立した。
だから今まで、二人にとってスマートフォンはほぼ当然の出力先になっていた。
「別の画面で試すなら、普通のタブレットでもいいんちゃう?」
優也が言うと、真琴は少し首を傾げた。
「それだと“別の携帯端末”というだけなので、スマートフォンの代わりになるかを見る実験になります。今気になってるのは、共有先が端末に固定されているのか、それともACROSSの中なら別の表示装置へ広がる余地があるのか、のほうです」
「ACROSSのモニター?」
「例えば、運転席の画面です。ただし、通常の車両情報を表示する装置なので、無理に触ったり設定を変えたりはしません。見るだけです」
「そこに《鑑定》結果出たら、いよいよスマホ関係なくなるな」
「出れば、です。最初から期待しすぎないでください」
二人は運転キャビンへ移った。
ACROSSは停車中で、通常の車両状態を確認できるモニターだけが点いている。優也は運転席へ座り、真琴は助手席へ座った。
まずスマートフォンは使わない。画面を消し、リビングのテーブルへ置いたままにした。
「誰に見せるか、はどうする?」
「私がここにいます。最初に外部共有ができたときと同じように、“私にも同じ結果を見せたい”という意図だけ持ってください。ただし、モニターへ出ろとは強く考えないほうがいいと思います」
「難しい注文増えてんなあ」
「変化してる途中なので仕方ないです」
優也は苦笑しながら、ACROSS全体へ意識を向けた。
『鑑定』
『対象――ACROSS』
『空間状態――安定』
『追加空間――維持』
『外部寸法――変化なし』
『接続状態――安定』
『魔素反応――微弱』
結果は、いつもどおり優也の内側へ現れた。
真琴は運転席側のモニターを見る。
何も起きない。
通常の車両表示のままだった。
「出えへんな」
「はい。もう一回はしません。今ので、少なくとも簡単には別画面へ移らないことは分かりました」
「スマホやっぱ必要なんかな」
「今のところは、そう見えます」
二人はリビングへ戻った。
そこで今度はスマートフォンを使い、いつもの共有を一度だけ確認する。ACROSS全体の六行は問題なく表示され、追加表示は出なかった。
「普通やな」
「はい。今日はここまででいいと思います」
真琴がスマートフォンをテーブルへ置き、ノートを閉じる。
優也も「了解」と答え、そのまま昼食にすることにした。
◇
サンドイッチとスープを食べ、プリンまで終えると、午後は実験から離れるつもりだった。
真琴はソファで新しく持ってきた本を読み、優也は運転席へ戻って、次の旅行で使えそうな道を地図上で確認する。山側へ行くか、海沿いへ行くか。その程度の話で、まだ予定を決めるほどではない。
しばらくすると、真琴が本を持ったままキャビンへやって来た。
「何見てるんですか?」
「次どこ行こうかなって。こっちの山側、景色ええらしいけど、途中ちょっと道細そうなんよな」
「無理なら近くまで行って、また自転車でもいいんじゃないですか?」
「それが一番やな。でかい車で無理して入るより、そのほうが楽やし」
優也は地図を閉じ、通常の車両状態画面へ戻した。
その瞬間だった。
モニターの右端に、白い細い線が一瞬だけ走った。
二人とも言葉を止める。
「……今、何か出た?」
「線みたいなの、見えました」
「俺も」
優也は画面へ手を伸ばさず、そのまま待った。
通常表示は変わらない。
数秒経っても、何も起きなかった。
「不具合?」
「可能性はあります。今までここに《鑑定》結果が出たことはないので、まず普通の表示異常も考えないと」
「さっき試したときは何も出えへんかったのにな」
「だからこそ、一回では判断できません」
二人は時刻だけ記録し、その場では何もしなかった。
優也がもう一度《鑑定》を使おうとすると、真琴に「今日はもうやめましょう」と止められる。
「さっきから実験を終えた後です。今ここで繰り返したら、線を出そうとする条件になります。普通に使って、また同じことが起きるか見たほうがいいです」
「はいはい、先生」
「返事が軽いです」
「でも言うことは聞いてるやろ」
「そこは評価してます」
二人はキャビンを離れた。
結局、その日はそれ以上の変化はなかった。
◇
翌週、優也は仕事帰りに一人でガレージへ寄った。
忘れていた充電器を取りに来ただけで、長居するつもりはなかった。車内へ入り、必要な物を取ったあと、念のため運転席へ座って車両状態を確認する。
モニターはいつもどおりだった。
白い線も出ない。
「まあ、そら毎回出るわけないか」
優也は一人で呟き、そのまま帰ろうとした。
その週末、今度は真琴と一緒に近場までACROSSを走らせた。
特別な目的はない。しばらく停車したままだったので、車両を動かすことも兼ねて、郊外の大型駐車場がある公園まで行き、少し歩いて戻るだけの短い外出だった。
帰り、ガレージへ戻って車体を停め、優也が駐車状態を確認していると、真琴が助手席から立ち上がろうとした。
「待って」
優也が声を掛ける。
モニターの中央より少し下に、前回と同じような白い線が浮かんでいた。
今度は一瞬ではない。
二秒ほど残り、その線が短く区切られる。
まるで文字になりかけているように見えた。
真琴は座り直し、優也も手を触れずに見守る。
白い線は一度消え、もう一度だけ現れた。
『共有――』
そこまでだった。
最後の語は続かない。
表示はすぐに消え、通常の車両画面へ戻った。
車内に、少し長い沈黙が落ちた。
「……見えたよな」
「はい。『共有――』まで」
「俺、今《鑑定》使ってへんで」
「使ってません。私も何も操作してないです」
優也はスマートフォンを確認した。
画面は消えたままで、そこには何も表示されていない。
「スマホにも出てへん」
「ということは、少なくとも今の表示は、スマートフォンから映したものではなさそうです」
「でも、途中で切れた」
「はい。完全な表示にはなっていません。だから、今の時点で“モニターでも共有できた”とは言わないほうがいいです」
「また慎重やな」
「ここで飛ばしたら後で困ります」
真琴はそう言いながらも、表情は明らかにいつもより真剣だった。
優也も同じだった。
これまで、追加表示はすべてスマートフォンの画面に現れていた。最初に外部共有を成立させたときも、予備室や玄関の履歴が出たときも、優也が知らなかった『直近利用』を示したときも、ずっと同じ端末だった。
ところが今は、優也が《鑑定》を使っていない状態で、ACROSS自身の運転席モニターに『共有――』という途中までの文字が現れた。
意味を決めるには早い。
それでも、スマートフォンだけを窓と考えるには、少し無理が出てきた。
◇
二人はその場で再現実験をしなかった。
代わりにリビングへ戻り、今起きたことだけを順番に記録した。
『運転席モニター』
『通常車両表示中』
『《鑑定》未使用』
『スマートフォン画面消灯・共有表示なし』
『白線出現後、「共有――」まで表示』
『操作なし』
『表示継続――数秒』
『音声なし』
真琴は最後の『音声なし』を書いたあと、ペン先を止めた。
「ここ、大事ですね」
「声はまだないってこと?」
「はい。文字が別の画面へ出たからといって、会話になったわけではありません。それに今回は文章ですらなく、途中で切れています。だから、今起きているのは出力先が広がりかけている現象、と見るのが一番無理がないと思います」
「スマホから、ACROSSの画面へ?」
「少なくとも候補が一つ増えた、ですね。最初にスマートフォンへ外部表示できたことで、“外へ出す”経路そのものができた。その経路が、ACROSS内部の表示装置へ触れ始めているのかもしれません」
「《鑑定》とACROSSが、だんだんくっついてる?」
「そう見える結果は増えてます。ただ、完全に一つになったとは言えません。通常の鑑定結果は今でも優也さんの中へ出ますし、追加表示だけが別の場所へ現れている。今はその境目が少しずつ変わってる途中なんだと思います」
優也はノートの記録を眺めた。
最初は、真琴にも同じ鑑定結果を見せたいだけだった。
口で読み上げれば、順番や表現がずれる。研究の記録としても不便だった。だから、スマートフォンへ出せないかと考えた。
それが成功したあと、『共有――成立』という、自分の頭の中にはなかった一行が出た。
そこから、使い方を整理する言葉が増え、過去の利用が見え、自分の知らない出来事まで表示されるようになった。そして今、その表示はスマートフォン以外の場所へ、まだ不完全ながら滲み始めている。
「最初の目的、だいぶ越えてきたな」
優也が言うと、真琴も頷いた。
「そうですね。でも、始まりは今でも同じだと思います。優也さん一人にしか見えなかったものを、私にも見せたい。それで初めて外へ出た」
「二人目の相手ができたから?」
「たぶん。少なくとも、共有が始まる前には起きていなかった変化です」
真琴はノートへ新しい一行を加えた。
『外部共有は、スマートフォンという装置より、“複数人へ情報を届ける状態”そのものに関係している可能性』
「それやったら、スマホは最初の出口やっただけかもしれんな」
「はい。ただし、今日の表示は途中までです。今後も同じ場所に出るとは限りませんし、別の画面へ広がるとも限らない。そこはまだ、使いながら見ましょう」
「無理にモニター全部に出そうとはせえへん?」
「しません。今あるものを勝手に弄る必要もないですし、ACROSS側で起きているなら、こちらが配線や設定を触っても意味がないかもしれません」
「了解。普通に使う、やな」
「それが一番です」
二人はそこで記録を終えた。
◇
真琴が帰ったあと、優也はもう一度だけ運転席へ座った。
モニターは通常の表示に戻っている。
何も特別なものはない。
車両状態、電力、各部の情報。納車された頃から見てきた、ごく普通の画面だった。
優也は手を伸ばさず、ただしばらく眺めた。
数週間前まで、ここに《鑑定》の文字が出るなど考えもしなかった。そもそも、頭の中にしか見えなかったものを誰かと共有できること自体が、あり得ない話だった。
それが今は、スマートフォンという小さな画面を越えかけている。
「共有、か」
優也は小さく呟いた。
返事はない。
モニターにも何も出ない。
それでよかった。
もし今すぐ『はい』と返ってきたら、たぶん真琴に電話してしまうし、二人とも落ち着いて考えられなくなる。
今はまだ、文字の途中でいい。
声もなくていい。
どこまでが《鑑定》で、どこからがACROSSなのか分からないまま、その境目が少しずつ薄くなっている。
優也は運転席を立ち、リビングへ戻る前にもう一度だけ画面を見た。
何も表示されなかった。
けれど、そこはもう、ただ車両情報を映すだけの画面には見えなくなっていた。
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