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ギベオンハート  作者: SHIROKI


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アイデンティティ2

 社長は異能と神の免疫は見分けることが出来ても、わたしたち――サギヌマさんも含めてですが、その他の重要な部品を見分けることはできない。


 わたしは喜々として、社長の片腕として異能を全国、いや海外からも集めました。


 妻とわたしの魂は二人で一つです。

 彼女は彼女で復讐を始めていました。サギヌマさんを通じて、社長を島へ呼び寄せる作戦を実行中でした。


 妻も約束を守ってくれている。

 わたしはそれだけで生きていける……。


 ところで、異能収集は思いのほかとても簡単だった。


 彼らを探して、監視していた鳥たち――例えばビリオンバードやトモくんには悪いけれど。


 彼らは追われると逃げる、隠れる。

 じゃあどうするか? 求めれば良いのです。


 あなたが必要です。


 そう叫べば良いのです。


 わたしを助けてください。


 そう叫べば良いのです。


 それだけで、彼らの方から喜んでこちらに来てくれる。


 ヨシカズくんは最後のピースでした。


 すっかりわたしに気を許していた社長は「お前に異能がないのは知っているけれど、異能王国でもずっとわたしのそばに居て欲しい」なんて言って笑いました。とても無邪気にね。


 その時、わたしの心に初めての感情が芽生えたことを勇気を出して告白しておかなければなりません。


 胸の端がずきっとしました。

 これはなんという感情なんでしょうね?


 わたしにはわかりませんでした。


 別に名前などどうでも良いです。

 何にでもラベルをつけて分類したがるのは人間の最も悪い癖です。


 とにかく、社長はヨシカズくんを連れて島へ向かうことになりました。

 わたしも社長に内緒で少し時間をずらして後を追いました。


 こうなると面倒なのはトモくんです。


 アレは昔から何を考えているのかわからない。

 職務に興味がなさそうだったり、人間に興味を抱いてみたり。


 でも、少しわかるような気もしてしまったんです。


 あの「ずきっ」ですよ。

 名前のないあの感情、トモくんはそれに敏感だったのでしょう。


 しかし、わたしには幸い妻との絆がありました。

「ずきっ」に呪われずにすんだのです。


 そして、彼らがミリオンバンブー島に到着してからの一部始終もオシドリになって見ていました。


 妻に見つからないようにするのは至難の業でした。

 その姿を見た時は思わず飛びつきそうになりました。奪われた顔もすっかり修復していました。


 さあ、復讐まで目前だ――。


 そう思った時です。

 やっぱり恐れていた通りのことが起きた。


 トモくんです。


 そもそも彼が、わたしの妻に言っていたことを知っていますか?

 社長の前で自殺することがわたしと再会できる条件と伝えたんですよ。


 バカげた嘘を――純粋な妻は信じてしまいましたが。


 それもこれも、自分が『やっくん』と永遠に一つになるためです。


 やっくんはこうして生きています。

 ヨシカズくんの異能が強かったために、身体まで若返って。

 これは思わぬ効果でしょう。


 そして、ヨシカズくんと他の異能は全員神様に浄化されてめでたしという魂胆だったのでしょう。


 誤算はヨシカズくんを見くびっていたことです。


 ヨシカズくんは強かった。


 この世界、本当にまだ動いていると思ってますか?


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