静止の境目2
「待ってください。なんで社長がその役をやらないんですか。トモくんと社長、二人でヒーローになればいいんですよ。俺は大人しく健闘を祈ってますから」
そうだ、思い返してみろ。俺はここに社長に誘われて来た。異能を消してくれる鳥がいると聞いて。
半分は――いや三分の一は本当で、三分の二は騙されていた。
そこには異能を消してくれるというか、俺を消す勢いのビリオンバードがいた。社長は異能が世界を支配するトンでも計画を発表してくる始末。
観光課の気の良いおじさんと思っていたトモくんも異能。なんなら神様サイドから寝返った鳥だった。
そこに更に人の姿をしたオシドリが乱入しているというカオスだ。ただでさえ被害者の俺に、これ以上何をさせようというのか。
「ヨシカズくん、キミに頼みたい。わたしもトモくんも、既に神様に知られている」
「トモくんはまだしも、社長なんてコロコロ顔を変えているんですから、関係ないじゃないですか」
やばい、もう配慮ができなくなってきた。
社長が悲しい顔をしている。
「神様は顔がいくら変わろうと、魂の色で人を見分けるから無理だよ」
トモくんが補足する。
「そうですか――じゃあこの蝶たちだけでやってもらうのは? 神様が諦めた頃を見計らって、俺と社長が合流するとか」
「それもだめだよ。この不死蝶は、異能の魂そのものだ。感情や意志は残っているけど、知性が抜けてしまっている。率いてくれる人間が必要だ」
「そんな、俺は――」
顔に衝撃を感じた――直後、暗転。




