表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/78

トモくん2

 ボクはね、産まれてしまった異能が暴走を始めないか、監視する役割を持って誕生した。

 キミが想像もつかないほど昔のことだよ。


 異能者にもタイプがある。一生それに目覚めない者もいれば、気が付いても否定し、一度も能力を使わずに生涯を終える者もいる。


 それなら良いんだ――。いや、そうしていて欲しいんだ。


 でも、やっくんやヨシカズくんのように、一度でも異能を使ってしまったら、ビリオンバード部隊の標的になる。


 やっくんのおじいさんと会ったのは、彼が異能を発動させる前だから、特別だった。


 ある日、真・ビリオンバードが慌てた様子でボクのところへ飛んできた。


「しくじった」


 金色の羽の下が青ざめているんじゃないかと思うほど、深刻な声だ。こいつがしくじるなんて、いつものことじゃないか。


 ジドっとした目で見てしまう。彼らが完璧な仕事をしてくれていたら、ボクはどんなに幸せだろう。


「で?」


 うなだれる真・ビリオンバードに冷たく言ってしまう。


「顔だけを奪ってしまったんだ」


「なんだって!?」


 これには驚いた。今までだって幾度となくこいつのしくじりは聞いてきたが、これは初めてのケースだ。


「それは……顔の機能だけを奪ったってことだよね?」


 お願いだ、そうだと言ってくれ。


「いや、顔そのものを奪ってしまった」


 希望が打ち砕かれる。


 真・ビリオンバードが失敗のたびに真っ先にボクのところへ来るのも、今これだけ落ち込んだ姿をさらしているのにも訳がある。


 彼とわたしは兄弟のような関係だ。


 そして彼は失敗しても、相手の人間との関わりはそこまでだ。


 でも、ボクにとってはこれからが本番。


 滅ぼし損ねた異能の監視がボクの仕事。


「本当にすまない。意外な出来事が起こって、動揺してしまったんだ」


 あまりに落ち込んでいるので、責めるのが可哀想になって聞いてしまう。


「まあ……仕方ないよ。それで、何があったの?」


 真・ビリオンバードの話は、にわかに信じられなかった。


 なんと、異能の母親が救いを求めてきたというのだ。子どもを奪わないで欲しいというのでも、自分だけは助けてくれというのでもなく――。


「ねえ、もしかしてだけど……」


 言うのも憚られたが、はっきりさせておきたい。


「あの女、わたし達の目的を知っている」


 真・ビリオンバードはきっぱりと言い切った。


「まさか……。どうやって……」


 これまで、ボク達は――特に真・ビリオンバードは、胎児を奪う魔物のような扱いを受けてきたはずだ。


 人間たちの間では『件の鳥』などと呼ばれている。


 奪われた胎児のその後など、知る者はいないはずだ。しかし、その母親は確かに『救って』と言ったという。


 ボク達が胎児を奪うことは、世界の秩序を保つためだけじゃない。神様に近い魂を回収する目的もある。


 神様には遠く及ばないが、それに近しい力を持つ者。放っておくと使い方を間違え、暴走することがある彼らを、罪を犯す前に拾ってやるのがボクらの務めだ。


 そうすれば、循環の過程で限りなく神様に近い役割を与えてもらえる。ボクや真・ビリオンバードのように。欲や苦痛からの永遠の解放だ。


 だから、救ってくれと言ったのか……? その女、何者だ? ボクの知らないボクたちの仲間か? いや、そんなわけない――。


「わかった……あとは任せて。ボクがその異能を監視する」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ