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正常な世界

 わたしが語るのは真実です。

 いえ、真理というべきでしょうか。


 始めに、信じ難いかもしれませんが、この世界は神の身体の内です。

 あなたがたは、ただの細胞——でした。


 わたしの仕事は、あなた方異能が世界に産まれ出る前に処分すること。これが一番幸せなのです。


 意味がわかりませんか? あなた達に近いものに置き換えましょう。


 あなた達は『癌』なのです。意図しない動きをして神様の身体を蝕む『悪性腫瘍』。


 だから、神の使いであるわたしはあなた達を見つけ次第、排除しなければならない。免疫のような仕事、と言えば想像がつきますか?


 そう、あなた達はわたしが排除し損ねた細胞なのです。


 しかし、幸いまだ完全な癌としての力もない。わたしがそのほとんどを奪ったのだから当たり前ですが。


 わたしが排除し損ねるとき、そこには共通項があります。

 母親の抵抗が強いこと。抵抗——だったのか? ただ確かなのは、あなた達を守りたいという気持ちが、わたしすら退けたということです。


 とにかく、産まれてしまったお前たちに望むことは一つだけ。このまま、何もせず死んでください。


 死ぬというのは正確ではない。この世界から消えて欲しいのです。


 それが秩序なのです。理不尽に思いますか?


 理不尽が正常なのです。顔を奪う異能のその男、持たざる者を従えて、異能者が支配する世界を作ろうとしているお前に、はっきり言います。


 お前は間違いだ。


 癌細胞が支配した身体はどうなります? 死へ向かうだけです。


 お前たちがしようとしているのは、そういうことなのです。


 元はと言えば、生まれる前に殺せなかったわたしのせいだ。残酷なことだとはわかっている。それでも、今のお前たちを見過ごすわけにはいかないのです。


 お前たちは神の身体にはびこる癌。


 お前たちの繁栄は神の死、世界の終わりです。


 通常、わたしは生まれてしまった癌を追ってまで排除しません。

 わたしの仲間が監視し、増殖しないようにしています。


 子供に遺伝するとも限らないのが、この異能の厄介なところです。むしろそれなら単純なことです。


 意味はわかるでしょう? その血筋を最初から根絶やしにしてしまえば良いだけです。


 浅はかなあなた達は、自分たちが巨大な神の身体の一部だとも知らず、自分勝手にふるまう。


 空を見上げて神が救ってくれないとか、存在しないのではないかとか……バカげたことを言うのです。


 身体の中から神の姿が見えるわけがないというのに。こんなにも守られているというのに。


 神殺しのあなた達は、世界のためにこのまま消えるのです。わたしの緑金の炎に焼かれて——。

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