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鳥の協力者

 意外と普通の声だった。

 いや、普通ではない。静かな鏡に落ちる水滴のような声だ。

 落ちて、広がって、消えずに静かに残る。


「ちゃんと声が出るんだな。あの電話の声は何だったんだ。この助手の声でも真似たか?」


 社長が鳥に挑戦的な視線を向ける。俺は一体どっちの味方をするべきなんだ。


「逆です。このオシドリ――あなた達が助手と呼んでいる者が、わたしの声の一部を使っているのです」


 助手さんをチラリと見たが、その表情に変化はない。この人、本当に人間に化けたオシドリかもしれない。


「まあ、いい。目星はついてる。お前との橋渡しをしていたのは、あの若い女だな? 本社のオフィスでいつも爪を気にしている、サギヌマという社員だ」


「え?!」


 久しぶりに彼女の本名を思い出した。俺を見下した態度を取る、正社員のあのネイル女だ。


「彼女も異能だったんですか?」


 社長に向かって言ったが、答えたのは鳥の方だった。


「あなた達と同じではありません。彼女は正常です」


 その言葉が俺の心を抉る。俺たちは正常ではない――この世界の異物、あってはならないものだ。


「お前の差し金ってことか――わたしが異能者を集めるのを阻止していたんだな」

 

 社長が悔しそうに呟いた。


 俺にもだんだん状況がつかめてきた。世界には三種類の人間がいるのだ。俺たち異能、持たざる通常の者、そして鳥の仲間。


 サギヌマネイル女も鳥の仲間だった――。

 彼女は『社長に関わるな』というメッセージを送っていたのだ。


「わたしを支配しようというのは無理な話です。戦っても、わたしの勝利は決まっています」


 静かに言う鳥を、全員が息をのんで見守った。


「理由を……話せ、時間はある」


 社長が絞り出すように言い、鳥の物語が始まった。

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