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少子社会の設計図  作者: カトーSOS


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7-7 仲介から中間収益構造への変質

7-7 仲介から中間収益構造への変質



前節では、技術進化によって労働力へのアクセス問題が大きく緩和されたことを確認した。SNSや求人プラットフォーム、即時マッチングサービスの普及により、企業と労働者は直接接続できる環境を手に入れた。かつて派遣制度が担っていた「アクセスインフラ」としての役割は、技術によって代替可能になりつつある。


しかし制度は消えない。


むしろここから、派遣制度の性質そのものが変質し始める。


当初、派遣会社は労働市場における仲介者だった。企業は人材にアクセスできず、労働者は求人情報にアクセスできない。その間を埋める存在として派遣会社が機能していた。仲介とは、情報の非対称性を埋める役割であり、そこには明確な社会的価値があった。


だがアクセス問題が技術によって解消されたとき、仲介の意味は変わる。


企業と労働者が直接つながることが可能であるにもかかわらず、既存の制度と慣習の中では派遣経路が維持される。このとき、派遣会社の機能は「接続のための仲介」から「取引の中間地点」へと移行する。


ここで生まれるのが中間収益構造である。


労働者の報酬は企業から支払われる。しかし実際には派遣会社を経由するため、報酬は分配される。これは契約として成立している以上、不正ではない。企業はサービスとして対価を支払い、派遣会社は雇用管理や事務手続きなどの機能を提供する。


問題は善悪ではない。


構造である。


技術的には直接接続が可能であるにもかかわらず、制度上は間接経路が標準化されると、労働対価の分配構造が固定される。企業が支払う総額と、労働者が受け取る報酬の間に恒常的な差が生まれる。この差は契約上合理的であり、企業にとっては外注管理の簡略化というメリットを持つ。


しかし同時に、いくつかの構造的変化が発生する。


第一に、価格透明性の低下である。企業が支払う金額と、労働者が受け取る報酬の関係が見えにくくなる。これは市場の透明性という観点では重要な変化である。


第二に、責任の分散である。労働条件の改善や待遇の調整に関して、企業と派遣会社の間で役割が分かれるため、責任の所在が曖昧になりやすい。


第三に、中間マージンの固定化である。制度として仲介が前提になると、その構造自体が前提条件となり、直接雇用との比較が難しくなる。


ここで「搾取」という言葉がしばしば使われる。しかし本書では感情的評価としてこの言葉を使わない。


構造として見るならば、これは合理的な契約関係の結果である。


企業は合理的に外注を選ぶ。派遣会社は合理的に中間機能を提供する。労働者もまた合理的にその枠組みの中で働く。


だが合理性の積み重ねが、社会全体の構造に影響を与えることがある。


仲介が必要だった時代に生まれた制度が、仲介を必須とする構造へと変質したとき、労働市場の性質は静かに変わる。


次では、この「雇用責任の分解」が社会全体にどのような影響を与えたのかを見ていく。

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