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少子社会の設計図  作者: カトーSOS


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6-3 行政は制度を維持する装置である

6-3 行政は制度を維持する装置である



市場でもない。企業でもない。では制度を変える主体として次に思い浮かぶのは行政である。


「行政が本気になれば変わる」「省庁が方針を変えれば制度も修正される」。こうした期待は少なくない。実際、制度に関する現場の窓口は行政であり、多くの人にとって行政は制度そのもののように見えるからだ。


しかし、ここでも役割の整理が必要になる。


行政は制度を作る主体ではない。


行政は制度を運用する主体である。


この違いは決定的に重要だ。


行政の基本的な役割は、既存の法律に基づいて制度を実行することにある。法令を解釈し、手続きを整備し、現場に適用する。その過程で、運用の工夫や細かな調整は行われる。だがそれは制度の枠組みの内部での調整にすぎない。


制度の大枠そのものを変更する権限は持たない。


ここを誤解すると、議論は空回りする。


例えば、「行政がもっと積極的に指導すれば派遣の問題は改善するのではないか」という期待がある。しかし行政は法律の範囲内でしか動けない。派遣制度が法律によって認められている以上、その存在を前提として運用するしかない。


これは行政の能力不足の問題ではない。


役割の問題である。


行政は前例を重視する。法令を重視する。これは批判されがちな性質だが、本来は安定性を維持するための機能である。もし行政が独自の判断で制度の大枠を変更できるなら、それは法治ではなく恣意になる。


だからこそ行政は制度を守る。


変えるのではなく、維持する。


ここで重要なのは、行政を責めることではない。行政は与えられた制度を最も安定的に運用する装置として設計されている。制度の方向性を決める役割は別の場所にある。


しばしば「行政が動かない」という不満が語られるが、それは期待の置き場所がずれている可能性が高い。行政は自ら制度を作らない。したがって、制度の根本を変える主体として期待すること自体が誤りなのである。


市場は制度を修正しない。企業は制度を利用するだけ。行政は制度を運用する装置である。


ここまで来ると、残る主体は限られてくる。


制度を作り、変更し、廃止できる主体はどこにあるのか。


次で、その答えを固定する。

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