5-5 外国人労働者依存は結果である
5-5 外国人労働者依存は結果である
ここまでの議論を進めると、必ず出てくる論点がある。
「人手不足だから外国人労働者が必要なのではないか」という問いである。
あるいは、「日本人が働かないから外国人に頼らざるを得ない」という見方もある。ニュースや日常会話の中でも、この説明は広く共有されているように見える。
しかし、本章の立場は明確だ。
外国人労働者は原因ではない。
結果である。
まず確認しておきたいのは、人手不足という言葉の意味だ。人手不足とは、単純に働き手の絶対数が足りない状態を指すのだろうか。それとも、提示された条件で働く人が集まらない状態を指すのだろうか。
この違いは決定的に重要である。
もし前者であれば、人口減少が直接の原因になる。しかし実際には、多くの現場で見られるのは後者である。つまり、仕事そのものが存在しないのではなく、条件が安定していないために人が集まらないという状況だ。
ここで第4章の内容がつながってくる。
派遣という仕組みは、雇用の継続性を弱め、収入の予測可能性を下げる。将来の見通しが立てにくい環境では、人は合理的にリスクを避ける。これは怠慢ではない。合理的な判断である。
長期的な生活設計が難しい条件を避けるのは、むしろ自然な行動だ。
その結果、安定性の低い職場では日本人労働者が集まりにくくなる。そしてその空白を埋める形で、外国人労働者が導入される。
ここで順序を間違えてはいけない。
外国人労働者が来たから日本人が働かなくなったのではない。
派遣によって労働条件が不安定化し、日本人が合理的に離れた結果として、外国人労働が増えているのである。
つまり、外国人労働者は問題の本体ではない。
問題の本体は、雇用の安定性を壊した制度設計にある。
さらに重要なのは、外国人労働者の存在そのものを否定する議論ではないという点だ。労働力の国際移動は、現代社会では珍しいものではない。多様な人材が働くこと自体は、社会の自然な姿でもある。
だが、それが「不安定な条件を維持するための補填」として機能しているのであれば話は別になる。
本来なら改善されるべき条件が、別の労働力によって埋められることで固定化される。この構造は、問題の先送りを生む。
派遣によって生活の予測可能性が失われる。日本人労働者は合理的に離れる。人手不足が生まれる。その穴を外国人労働で埋める。結果として、不安定な雇用構造そのものは維持され続ける。
ここに、因果の逆転がある。
外国人労働者を制限すれば問題が解決するという議論は、この順序を見誤っている。根本原因が派遣制度にある限り、別の形で同じ問題が繰り返されるだけである。
結論は明確だ。
外国人労働者依存は原因ではない。
派遣制度によって作られた結果である。
したがって、派遣を止めずに外国人労働だけを制限しても、問題の構造は変わらない。
では、なぜこの制度は今も続いているのか。そして本当に止めることは可能なのか。
次では、その問いに具体的に答える。




