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少子社会の設計図  作者: カトーSOS


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5-4 派遣は人生設計を破壊する装置である

5-4 派遣は人生設計を破壊する装置である



5-3までで、派遣には公共目的がなく、財源にも成長にも寄与しないという構造を確認してきた。では次に見なければならないのは、派遣が生活レベルにどのような影響を与えているかという点である。


ここで扱うのは、感情的な不満ではない。


人生設計という観点から見たとき、派遣という仕組みがどのように作用しているかである。


人生設計とは、将来を前提にした意思決定の連続である。住宅を購入するか、結婚するか、子どもを持つか。いずれも長期的な継続を前提とする選択だ。そしてこれらの選択には共通点がある。


途中で簡単には戻れないということだ。


住宅ローンは数十年単位で続く。結婚は生活単位を変える契約であり、出産は不可逆的な決断である。だからこそ、人は合理的に考える。将来の収入は継続するのか。生活は維持できるのか。予測可能性があるかどうかが判断基準になる。


派遣は、この予測可能性を崩す。


契約更新が保証されない。次の職場があるか分からない。収入は働いた分だけ得られるが、その継続は確約されていない。この状態では、長期契約を前提とした判断は極端に難しくなる。


ここで重要なのは、「勇気が足りない」わけではないという点だ。


合理的に判断すれば、リスクの大きな選択を避けるのは自然な行動である。


収入が不安定であれば、住宅ローンを避ける。将来の生活費が読めなければ、結婚を先送りする。収入が継続する保証がなければ、出産という不可逆的選択に踏み切れない。


これは個人の問題ではない。


仕組みが、合理的判断を困難にしているのである。


さらに重要なのは、派遣が単に現在の収入を不安定にするだけではないという点だ。将来に対する期待そのものを弱くする。長期的な計画が立てられない環境では、人は短期志向になる。今日の仕事、次の契約、それだけを見て生きることになる。


短期志向は、生存戦略としては合理的だ。


だが社会全体として見ると、長期投資が減少する。住宅購入が減り、家庭形成が遅れ、出産はさらに先送りされる。これは価値観の変化ではなく、構造への適応である。


派遣は、人の怠慢を生む制度ではない。


むしろ、人を慎重にしすぎる制度である。


将来が読めないとき、人は合理的に未来を引き受けない。その結果として、人生設計そのものが成立しなくなる。


ここで見えてくるのは、派遣が単なる雇用形態ではないという事実だ。


それは、人生設計を破壊する装置である。


個人の努力では乗り越えられない不確実性を前提とし、長期的な意思決定を回避させる。そしてその合理的な回避の積み重ねが、結婚の減少として現れ、出産の減少として現れる。


少子化は、選ばれなかった結果ではない。


選べなかった結果である。


次では、しばしば語られる別の論点――外国人労働者依存について整理していく。

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