↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/121

12.vs聖騎士団長アステリア

 

「さてと」


 タケルは残ったもう一人サルビオ枢機卿の方に顔を向ける。


 タケルはこの偉そうな男もセラフィナを利用していた一味のような感じがするので、一発ぐらいぶん殴ってからこの場を去ろうとする。


 ガウェインがあっさりと倒され周囲に自分を守る騎士たちがいないことで、サルビオは後ずさる。


「き、貴様ら教会に対してタダで済むと思っているのか!」


「覚悟はできてる。女神様のクエストだからしょうがねーけど」


「女神様のクエストだと!?」


「セラフィナを救い出せってな」


「なんだとっ!」


 サルビオ枢機卿はなぜセラフィナが教会から出て行こうとしているのか分かってしまった。もし目の前にいる男が言っていることが本当なら女神様への信仰心が篤いセラフィナがこの男について行くのは当然だからだ。


「サルビオ枢機卿。この方は女神アメリア様の使徒様なのです」


「いや、違うから」


 タケルはツッコミを入れるがそれを無視してセラフィナは続ける。


「女神様の声が聞こえる私は使徒様のそばにいるべきだと女神様は思っていらっしゃるのかもしれません」


「何をふざけた話を! そんなものを信じるか!」


「ですが、それが真実です」


「くそっ! どうしてこうも私に不都合なことばかりが起こるのだ!」


 サルビオは癇癪のように喚き散らかす。


「サルビオ枢機卿。どうか私がタケル様のところに行くのを教会で公認していただけませんか?」


 セラフィナは教会後任としてタケルのところに行くことができれば追手が来ないのでそれが一番だと考え、サルビオにお願いしをした。


「認められるか! 認められるわけないだろ!」


「はあ、ダメか。穏便に済ませたかったんだがな。しょうがねー、一発ぶん殴ってずらかるか」


「な、なぜそうなるのだ」


 タケルはサルビオの問いかけを無視する。


「歯ぁ、食いしばれ!」


「ぐはっ」


 タケルは手加減をしながらも、顔面をぶん殴る。


「少しはスッキリしたな。さっさとずらかるとするか」


 タケルたちはこの場から立ち去ろうとするとサルビオは喚き散らかすように叫び始めた。


「誰か! 誰かこの賊をどうにかせよ! 早くここに来い!」


 今から黙らせるのも手間なので、タケルたちは移動を始めるが、目の前から一人の騎士がやってきた。


 前からやってくる騎士たちが只ものでないと感じたタケルは思わず足を止める。


「止まれ」


 暗闇の向こうから現れたのは一人の女騎士だった。


「これは一体どういう状況だ」


 現れた女騎士は、タケルとフォリンは神殿騎士の恰好をしているため、状況がうまくつかめずにいた。だが、神殿騎士長のガウェインが倒れているのを見るにただ事ではない状況だということだけは分かる。


「ふはっはっはっは! 人類最強の超越者! 聖騎士団長のアステリアだ! ガウェインとは比べ物にならんぞ! 貴様がいくら強かろうともう終わりだ! さあ、早く聖女を連れ去ろうとしている賊を殺すのだ!」


 サルビオは現れたのが聖騎士団長アステリアだったこともあり、高笑いしながら嬉しそうに命令をする。


「どういうことかよく分からないが、聖女様を置いてゆけ」


 アステリアは剣を抜いてそう言った。アステリアが剣を抜くのに合わせてタケルも剣を抜いていた。


「どうやら引くつもりはないようだな」


「当然だ」


 タケルとアステリアは両者踏み込んで一気に距離を縮めていく。


「ま、待ってください」


 セラフィナがそう叫ぶが、両者は止まらない。


 タケルとアステリアの互いの袈裟切りがぶつかり合う。ぶつかり合いは互角。そしてタケルは弾かれた剣を胴に向かって打ち込むが、アステリアはそれを技で受け流し隙ができたところに攻撃をしてくる。それをタケルが何とか防御する。


(やべーな)


 まだ数回しか切り結んでいないが、タケルの中で焦りが生まれる。力だけでなく技術もあるのが厄介で、ガウェインとは比べ物にならない強さだ。


 ガウェイン相手なら様子見をしていられるだけの余裕があった。しかし、目の前の女を相手ではそんな余裕がない。一瞬でも気を抜いたらやられる。それほどタケルと実力が拮抗している。


「驚いた。この私とまともやり合えるとはな。お前、只ものではないな」


「こっちも驚いてるよ。こんな強い奴がここにいるとはな」


 タケルは神殿に潜入するにあたって騎士たちの実力を見ていたが、そこまで強い奴はいないと判断して今回の作戦を実行していた。目の前にいる聖騎士団長の強さは想定外だった。そこでタケルはある決断をする。


「フォリン、セラフィナを連れて先に行け」


「でも……」


「こいつ相手じゃあ、時間稼ぎが精いっぱいだ。お前たちがいると逃げるチャンスがなくなる」


 いかにタケルと言っても、実力が拮抗している相手から誰かを守りながら逃げることは難しい。いや、そもそも逃げることすら難しいのだが、あえてそれは言わずにフォリンたちを行かせることを優先させる。


「……くっ。分かったっす」


 フォリンは歯を食いしばりながらも了承する。あそこまで余裕のなさそうなタケルを見るのは初めてだった。ここにいても足手まといにしかならないことに悔しさが込み上げてきた。だからこそ、自分にできることをすることにする。


「行きますよ。セラフィナさん」


「ま、待ってください」


 フォリンがセラフィナを引っ張っていこうとするが、セラフィナはそれに抵抗する。


「いや、今逃げないと兄貴に迷惑がかかるっす」


「分かってます。でも、アステリアなら話せば分かってもらえるはずです」


「そうなんすか?」


「アステリアはとても強いです。タケル様を救うためにもどうかここは私に任せてください」


 フォリンはタケルとアステリアの戦をちらりと見る。その戦いはフォリンなんかには立ち入る隙が無いくらい壮絶な戦いだ。それに危険察知も反応している。このままこの場にいるのは危険だということだ。


「どうにかできるんすか?」


「はい、任せてください!」


 セラフィナは深呼吸を一度した後、二人が戦っている間に駆け出した。そして、両者の剣が交錯するかというときにその間に目を瞑りながら入り込む。


 両者の剣はセラフィナに当たるギリギリのところで止まった。


「「セラフィナ!」」


 タケルとアステリアは同時にセラフィナの名を叫ぶ。


「よかった。止まりました」


 二人の戦いが止まったことにセラフィナはほっと胸をなでおろす。


「なんて無茶するんだよ」


「セラフィナ、その男は賊なのでしょう? 危険です」


 そう言ってアステリアはセラフィナをタケルから引き離して守ろうとする。


「いいえ、違います。タケル様は女神様の使徒様なのです」


「いや、違うから」


「違うと言っているが?」


「いいえ、あなたなら分かるはずです。落ち着いてこの方のオーラを見てみてください」


「オーラ?」


「一度だけでいいのです。そうすれば私の言っていることが嘘じゃないと分かるはずです」


 アステリアは困惑しながらもタケルの方を観察すると攻撃を仕掛けてくる様子がないことは分かった。それにセラフィナを傷つける気がないことも先ほど分かった。


 それでも迷いはあるが、セラフィナの真剣な表情を見てアステリアは了承する。


「分かった」


 一度戦いで荒ぶった気持ちを落ち着かせるために目を閉じる。ゆっくりと呼吸をし落ち着いたあと目を開きオーラを見ようとしてみる。


 するとタケルから神々しい光があふれんばかりに輝いている様子が見えた。


 アステリアもオーラが見える人間ではあるが、セラフィナほど感度は高くない。にもかかわらずこれほどの光を放っているという事実にアステリアは衝撃を受けた。


「あ、ああ」


 アステリアはセラフィナが使徒様と言っていたことを理解した。そして自然にタケルに対して跪いた。


「どうか使徒様に刃を向けたことをお許しください」


「いや、使徒様じゃねーし、見逃してくれるんなら別にいいけどな」


 タケルはもう戦う気配ではないと思って剣を収める。


「いえ、詳しい事情か存じませんが、聖女様を連れて行くのはお待ちいただけないでしょうか? 使徒様とセラフィナの身の安全はこの私が保証させていただきます」


「タケル様、教会を敵に回さないためにも、アステリアに協力してもらった方がいいと思います」


「……分かった。お前に任せるよ」


「ありがとうございます」


 こうしてタケルたちは超越者であり聖騎士団長のアステリアの協力を得たのであった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。