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13.タケルとセラフィナの処遇

 

 アステリアの協力を得たタケルたちは、とりあえず起こした騒動は不問になった。アステリアが話をつけるまでどこかに行っても困るということで、タケルとセラフィナは神殿に軟禁という形で囚われている。


「まさか一週間もかかるとはな」


 タケルとしては農作物の面倒を見る必要があるので、早く帰りたいのだが、状況的にそうもいっていられない。さらにタケルは神殿でやることは全くないので暇を持て余している。


「私たちの処遇を決めるために何人かの枢機卿様や大司教様が集まる必要があるみたいですからね」


「いったん帰らして欲しいくらいだが、まあしょうがねーな」


 タケルたちはアステリアに事情を話して、教会の上層部を説得できるように聖女候補生たちと合ったりして時間を過ごしていった。





 時は過ぎ、教皇と三人の枢機卿と五人の大司教が集まった。神殿内の会議室でタケルたちの処遇に関する会議が始まった。


「それでは聖女セラフィナと使徒タケルの処遇についての会議を始めます」


「まず一ついいかね?」


 一人の枢機卿が、進行役に質問をした。


「そのタケル殿が女神アメリア様の使徒様であるというのは本当の話なのか?」


「それについては……」


 進行役が言いよどんだところで、アステリアが話始めた。


「その件については、暫定的にそう言うことにしています。あくまで聖女セラフィナの言葉を重視しています」


「それでは何か証拠はあるのか?」


「ありません。それに証明することもできないでしょう。なぜなら本人ですら否定しているのですから」


 本人が使徒であると否定しているということに対して、ざわつき始める。


「しかし、聖女候補生たちにもタケル様を視てもらったところ、神々しい光を放っているというのは確認できています。ですので、少なくとも女神様に対して篤い信仰心を持っていることは確かでしょう」


「それは我々よりもということか?」


「比較になりません。私が最も神々しい光を放っていると思っていたのが、聖女セラフィナですが、それと比べてもタケル様の放つ光はけた違いでした。そしてこれは聖女候補生たちも同意見です」


「ふーむ」


 質問をしていた枢機卿は自分の中で話を咀嚼しているが、そう簡単には受け入れられない。そこにさらなる衝撃的な事実が加わる。


「あくまで本人からの言葉のみになりますが、タケル様は一度女神様に会ったことがあるそうです」


「なんだと!?」


 会議室が驚きに包まれてざわつく。女神様の声を聞ける聖女という存在はいるが、直接目にしたものは今までの歴史で存在しない。その事実に驚愕する者、疑惑を持つものなど様々だ。


 そのざわつきが収まったところでアステリアが次の言葉を言う。


「その時に女神様から直接農業スキルをもらったとのことです。さらに聖女セラフィナが回復魔法に目覚めたのも女神様から種をもらってその実を食べたところ癒しの手というスキルが目覚めたそうです」


「女神様から種をもらう?」


「はい。どうやらタケル様は女神様から農業に関する物であればもらえるスキルをお持ちなようで、それを経由して女神様から種をもらったとのことです」


「……」


 あまりの情報量の多さに沈黙が流れる。


「またこの他にもタケル様が住まわれている町の神社という場所では、お供え物をすると光の粒子になって女神様のところに届くという話やそこに光の柱が立っているという話、女神様からクエストが依頼されるという話もあります」


「待て待て待て。情報量が多すぎて私の頭は混乱している」


 先ほどから質問をしていた枢機卿が言った。


「だが、それはあくまであの二人の言葉だけなのだろう?」


 サルビオ枢機卿がそれは本当のことなのか?いくらでも嘘はつけると言わんばかりの発言をした。


「そうです。ですから、ある程度真偽を確かめるためにも一度タケル様が住まわれているヤマトという町に行く必要があると考えています」


「それはそうだな」


「それではそのような形で進めても?」


 特に反論が出ることなく、そういう形で話が終わりそうになった瞬間、サルビオ枢機卿が口を挟んできた。


「待て。もし事実だったらどうするつもりだ」


「聖女様はタケル様と共にヤマトの町にいるべきだと思います」


「それはならん! 少なくとも聖女はこの神殿にいるべきだ!」


 サルビオ枢機卿が大声を上げるが、アステリアは一切ひるまない。


「教皇様はどうお考えで?」


 皆の視線が教皇に集まる。教会のトップであり最も発言力のある人物だ。この人の言うことが絶対というわけではないが、会議の方向性はほぼ決まると言っても過言ではない。


「……聖女セラフィナは女神様のお声が聞こえるようになったのですか?」


「はい、ヤマトの地にて神社でお祈りをしたところ、女神様からのお声をかけてもらったそうです。さらに今回タケル様がセラフィナ様を連れて行こうとしたのは、女神様からクエストがあったからだそうです」


「それは本当ですか?」


「あくまで本人から聞いた話ですが、私はタケル様が女神様を騙ることは絶対にしないと思っています」


「……分かりました。それが女神様のご意志であるなら、聖女セラフィナはタケル殿と一緒にヤマトの町にいるべきでしょう」


 サルビオ枢機卿は悔しそうな顔をするが、ここで反論はしないようだ。


「ですが、まずは真偽を確かめることが先決です。何名かの聖女候補生とヨハネス枢機卿と共にヤマトの町に行ってください。もし嘘だった場合は、聖敵として討ちなさい。いいですね?」


「分かりました」


 こうしてタケルとセラフィナの処遇は決定した。



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