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11.vs神殿騎士長ガウェイン

 

 タケルが近づき上段切りをするのに対して、ガウェインが剣で受けると剣が押し込められる。


「うぐっ」


 タケルは次に横切りを食らわしてくるのに対して、再びガウェインは剣で受けるが、再び剣が押し込められる。


 一回一回攻撃を防ぐたびに剣がぶれる。そのため防御に徹するしかなくなったのだ。先ほどのタケルとの違いは防御をしているのか、防御をさせられているのかという決定的な違いだ。


「何が起こっているのだ」


 急にガウェインが押され始めてサルビオが驚愕する。


 タケルは最初の一合目でガウェインが実力者だと悟ると、最短で倒すためにあえて受けに回り、ガウェインの力を分析していたのだ。


 サルビオは必死に防御に徹しているガウェインを見てこのままではまずいと悟る。


「ガウェイン手を貸す! グレーターエンハンス」


「助かります」


 グレーターエンハンスによってガウェインの身体能力が強化される。強化されたことでタケルの攻撃を難なくさばけるようになった。


 ガウェインは防戦から一転して攻めに転ずる。


「食らえ!」


 ガウェインの上段切りに対してタケルはその攻撃を剣で受け流す。


「力が上がったら力に頼るのが普通だよな」


 受け流して隙ができたところに、蹴りをかます。ガウェインはその蹴りを思いっきり食らって数メートル吹き飛んだ。


「クソッ! 賊ごときが生意気な真似を」


 ガウェインは悪態をつきながらも立ち上がる。


「スキル【ホーリースラッシュ】このスキルは悪人であればあるほどダメージが大きくなる。賊である貴様が食らえばただでは済まないだろう。女神様に懺悔しながら死ね」


 ガウェインはスキルを発動し光り輝く剣で、タケルに切りかかってくる。


「なっ」


 剣でガウェインの攻撃を受け止めようとしたところ、その攻撃がすり抜ける。


「バカめ! この攻撃は防御不可能だ! 死ねええええ」


 ホーリースラッシュは非常に強力なスキルだ。いきなり防御不可能な攻撃を使われてまともに対処できる人は少ない。このスキルがガウェインを準超越者の領域まで引き上げたと言っても過言ではない。


「兄貴!」


 フォリンが叫ぶが、ガウェインのホーリースラッシュをまともに食らってしまうタケル。


 だが、その場には無傷のタケルが立っていた。


「……全然、痛くねーんだが」


「なんだとっ!」


 ホーリースラッシュをまともに食らっても全然ダメージのないタケルにガウェインは驚く。


 ホーリースラッシュは悪人であればあるほどダメージが大きくなるが、逆に言えば善人であればダメージは少なくなる。ガウェインにとって善人か悪人かの判断基準は女神様への信仰心の篤さが大きく関わっている。ゆえに聖女セラフィナであればホーリースラッシュを食らってもダメージはない。


 そして今目の前の結果が、タケルの女神様への信仰心の高さの証明になってしまったのだ。


 そのことにガウェインは動揺する。


「あり得ぬ! そんなことはあり得ないのだ! 間違いに決まっている!」


 聖女を攫おうとしている賊が善人であることなどありえない。それを認めてしまったら、神殿騎士長としての責務までもが揺らいでしまう。


 ガウェインはタケルをにらみつけ、再び攻撃を仕掛ける。


「賊めがあああああ」


 タケルはガウェインの雑な攻撃を躱し隙ができたところで横切りを食らわしガウェインは後方に吹き飛ぶ。


「渡さぬ! 聖女様は教会にいるべきお方なのだ! 決して賊なんぞには渡さぬ!」


 ガウェインは傷つきながらもなんとか立ち上がる。


「ちょっと女神様の声が聞こえなくなったくらいで追放したのにか?」


「それは……」


 ガウェインはタケルの問いに対して答えに詰まった。


 あまりに必死にセラフィナを取り戻そうとするガウェインを見てタケルは苛ついていた。そこまで必死に囲っておきたいなら、最初から大事に扱えと。


「女神様に愛されている女の子をてめーらの都合で振り回しやがって」


 女神様の声が聞こえて、女神様からスキルをもらう。タケルは異世界転生させられた身である意味特別だが、セラフィナはこの世界の住人だ。その中では最も女神様に愛されている人だと言っても過言ではない。


「聖女ってのは、てめーらの権力闘争の道具じゃねだろーが」


「聖女様のお力は多くの人を救えるものだ! ゆえに教会で管理し運用しなければならないのだ!」


「うるせー。あの力は女神様がセラフィナに与えたもんだぞ。決して教会に対して与えた力じゃねー。それを横から出てきて管理するだ? ふざけたことを抜かしてんじゃねーぞ」


 女神様は常に個人の意思を尊重している。クエストですら、受けるかどうかを決める権利はタケルにあるのだ。自分勝手な奴らを見ているとイライラしてくる。


「女神様はお前らがセラフィナを管理することを望んじゃいねーぞ」


「賊ごときが! 女神様の名を騙るな!」


 タケルが女神様を騙ったことにブチ切れるガウェインは怒りに任せてタケルに切りかかってくる。


「残念だったな。これは女神様からのクエストだ」


 タケルは切りかかってくるガウェインを切り伏せ、ガウェインは倒れる。


「正義は俺らにあるんだよ」



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