24.ヴェルノアVS鳥人族族長ガルーダン
ヴェルノアの部隊と鳥人族の部隊の戦いは一進一退の攻防が続いていた。
地上では互いに剣や槍で戦っているものの、鳥人族は空を飛ぶことができ空から突撃をかまそうとしていた。
それに対応するためにヴェルノアの部隊にいるエルフたちは弓や魔法で応戦しており、うまく突撃できない状態であった。
しかし、その均衡を崩す存在がいた。それが鳥人族の族長であるガルーダンだ。
「我らが突撃をして敵を混乱させる! 勇敢なる戦士たちを俺に続け!」
「「「「おおおお!」」」」
ガルーダンは自分の部隊を率いてヴェルノアの部隊へ空から突撃をかました。
「あそこだ!」
ガルーダンたちに気付いたエルフたちから矢や魔法が飛んでくるが、それを時には躱し、時には剣ではじいて前に突き進んでいく。
そしてエルフに接近すると一撃を加え、すぐさまその場から離脱する。
ガルーダンたちは上空を飛び回り、戦場を駆け巡っており、急に死角から襲ってくるためヴェルノアの部隊にいる兵士たちは非常に戦いづらそうにしている。
「よし! このまま敵を撹乱し我らの有利を広げるぞ!」
ガルーダンが自分の部隊に向かって鼓舞をする。
「族長! 向こうから敵が一人やってきます!」
「我らの領域である空に一体誰が……」
ガルーダンは訝しんだ。この周辺にいる鳥人族は自分がまとめているし、仮にはぐれの鳥人族がいたとしても一人で自分たちに挑むのは自殺行為だ。
近づいてくるものを空で待ち構えるとようやく正体が分かった。
「貴様はあの時の使者か……」
「記憶力は悪くないようですね」
ヴェルノアはガルーダンをバカにするかのように言う。それを察したガルーダンは以前のバカにした態度も相まって怒りがこみあげてくる。
「殺してやるっ!」
「手加減してあげますから、さっさとかかってきなさい」
「その余裕! いつまで続くか!」
その余裕面のヴェルノアにむかついたガルーダンはヴェルノアに向かって飛び、攻撃を仕掛ける。
ヴェルノアはガルーダンの攻撃を軽々と避ける。
「空を飛べるというのは便利ですね」
ヴェルノアは魔法の力を使って空を飛んでいるが、飛行魔法を使えるものは少ない。なので、種族として空を飛べるというのはタケルに仕えたときに役に立つため評価を上げる。
「いくら貴様が魔法で空を飛ぼうが、空では俺のスピードにはついてこれまい!」
ガルーダンはさらにスピードを上げ、空を縦横無尽に飛び回りヴェルノアを撹乱する。
そしてヴェルノアの背後を取り、その背中に向かって剣を振り下ろす。
しかし、ヴェルノアは振り向きもせずに剣を指二本で掴み、攻撃を防いだ。そして、そのちらりと見た。
「これは……普通の武器とは少し違いますね。どこで手に入れたので?」
「敵である貴様に教えるわけがないだろ!」
そう言ってガルーダンは強引に剣を引き寄せる。
「それもそうですね。それはあなたを倒した後に教えてもらいましょう」
自分も知らない未知なる武器があるのであれば、主であるタケルの役に立つ可能性が高い。だからこそ、その情報を得ることをヴェルノアの中で確定させた。
「ほざけ!」
それからガルーダンはヴェルノアに一撃を入れようと、再び攻撃をする。時に飛び回って撹乱し、時に接近して攻撃を繰り返すが、一向にヴェルノアに攻撃を当てることができなかった。
「はぁはぁはぁ……」
攻撃を繰り返し続けた結果、ガルーダンの息が上がっていた。その一方でヴェルノアは今も余裕そうに空に浮いている。
「なるほど。あなたの力はだいたい把握できました。ですので、そろそろ終わりにしようかと思います」
「ふん! 今まで何もできずにいた者が何を偉そうに!」
「何もできず、ではありません。何もしなかっただけですよ?」
「バカにしよって!」
相変わらず敵を煽るヴェルノアにますますガルーダンのイライラは募っていった。
そんなガルーダンに対してヴェルノアは攻撃を仕掛け始めた。
「ウィンドショット」
「この程度の魔法、俺には当たらぬ!」
ヴェルノアは風魔法であるウィンドショットをガルーダンに何発も放つが、ガルーダンは飛び回りそれを避けていく。
そして再びヴェルノアに攻撃するべく向かって行くと急にヴェルノアが消えてしまった。
「消え――」
「あまり早くないのに自慢するのはやめた方がいいですよ」
「なっ!」
ヴェルノアはガルーダンの後ろを取っていた。
「ウィンドバースト」
「ぐはっ!」
ウィンドバス―ストをもろに食らったガルーダンはそのまま地面に衝突する。
なんとか意識を失わなかったガルーダンは起き上がろうとしたが、ヴェルノアが武器を持っている手を踏みつけ、手のひらに黒い炎を作り出し、ガルーダンに向けていた。そう、チェックメイトであると伝えるために。
「まさか! その魔法は……」
「分かるのですか? これが黒魔法で強化された炎魔法だということを……」
炎の色が黒く染まっているヘルフレイムは黒魔法を使って炎魔法を強化した証だ。並の人間であればこれを食らったら消し炭すら残らない。
「これはあなたごときでは耐えることができない炎です。降参しないのであれば……もっと巨大なヘルフレイムをあなたの同族がいるところに打ち込みますが、どうします?」
「……降参する」
ガルーダンは手に持っていた武器から手を放す。
ガルーダンは理解したのだ。その気になれば目の前にいる男一人で鳥人族の部隊は壊滅させられることを。
「鳥人族族長ガルーダンは降伏を選択した。これ以上争う気がない者は武器を捨てなさい」
地べたに倒されているガルーダンを見た周囲の鳥人族たちは、自分たちの負けを悟り順に武器を捨てていった。
「ほら、あなたも寝っ転がってないで同族を止めてきなさい。これ以上やるのであれば私が動きますよ」
「わ、分かった」
これ以上無駄な犠牲を出さないためにもガルーダンは何とか起き上がって同族を止めに向かった。
こうしてヴェルノアと鳥人族族長ガルーダンの争いはヴェルノアの勝利に終わったのであった。




