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19.グリムヴェイル大森林の南部掌握

 

 グリムヴェイル大森林の南部では一番大きな里で安定したいて場所が、タケルの下につくという話はあっという間に広がった。特に北部からの危険が迫っているということも相まって、まだタケルの傘下になっていなかった村々の行動は早く、タケルのところに大勢やってきた。


 そしてタケルの自宅にて、タケルは今日も面談があるということをフィリーから聞いた。


「今日も他の村の村長との面談の予定があるわよ」


「……今日もか」


 タケルの下につくという話はタケルが受けるべきだということで、必ずタケルが立ち会うことになっている。大事な農業の時間を減らされるので、少しうんざりしている。


「嫌なら断ればいいじゃない」


「今更そんなことできるわけねーだろ」


 タケルは弱弱しい声で反論したあと、朝食をかきこんでいく。


 タケルとしても引っ込みがつかなくなってきていたのだ。今まで人を受け入れてきたのに、いきなりお前からはダメだとは言えないのだ。まだまだ食料にも余裕があるし。


「まあ、なるようになるか。とりあえず畑行ってくる」


「はい、いってらっしゃい」


 タケルは朝食を食べ終えた後、畑に向かうのであった。





 それから数日後、ヤマトの町の主要メンバーを集めて今後について話し合う会議が開かれた。


 会議に参加するメンバーはタケル、フィリー、バラル、エルドール、バルガス、ピルカ、ヴェルノア、ダルム、シェイド、あとなぜかフォリンも参加している。


 ヴェルノアが司会進行役だ。


「この度、グリムヴェイル大森林の南部を実質的にタケル様が掌握したことになりました。タケル様おめでとうございます」


「「「おめでとうございます!」」」


「いや、そんなつもりはなかったんだがな」


 勢いと流れでそうなってしまっただけで、タケルはここまで大きな勢力を築くつもりはなかった。なのでおめでとうございますと言われても正直ピンと来ていなかった。


「改めて今の町の状態を皆で要求したいと思います。まずはバラルから。難民たちの状況について報告してください」


「はい。難民の状況ですが、大きなトラブルなく皆過ごせています。特にクルガンが難民たちを引っ張り町に貢献しようとしています」


「こいつはよかった。いきなり大量の難民を引き取ったから少し心配していたんだが、大きなトラブルがないようでよかった」


「これもタケル様のご威光のおかげですね。それでは次に海辺の近くの里について、エルドール報告してください」


「ケルヴァたちがタケル様の傘下に加わったことを里の皆に周知したのですが、こちらも大きなトラブルは発生していないようです。食料支援や軍事的なメリットが大きいですからのう」


「傘下に加わったのに、それだけですか? 対応が少し甘いのでは?」


 ヴェルノアがエルドールに傘下に加わってメリットを享受しているだけだと指摘した。もっと何かタケルのために働いたり貢がせたりするべきだという主張だ。


「それについてはおいおいやってくつもりです。少なくとも道ができないことには交流もままなりませんからのう」


「それでいい。それなりに大変な状況にあるんだ。すぐに何かしなくてもいいだろ」


「かしこまりました」


 タケルの許可を出したことでヴェルノアはあっさりと引き下がる。


 そして次の話題に移る。


「北から迫ってきている部族連合について、現状どうなっているのかをピルカ、説明してください」


「あんたに指図されるのは嫌なんだけど……。まあ、いいわ。今難民で来ている部族たちを倒した後は、誰もいなくなった村から食料を集めたり、魔獣を捕まえたりとか、いろいろ準備しているわね。今の場所で止まる気配はないわ」


「じゃあ、そのうちぶつかるな」


 タケルは何の気負いもなしに、そう言った。タケルの支配領域が南部全体まで広がったことによって、このまま南下してくるのであれば、タケルはそれに対処しなければいけなくなるのはもう分かっていたことだ。


「ねえ、あいつらも食べ物に困っているんだし、食料渡せばいいんじゃないの?」


 ピルカがタケルに言った。


「はあ? そんなふざけたことできるかよ。あいつらが頭下げてきたんなら考えてやらんこともないが、こっちを襲ってくる気が満々な奴らにビビって食料を渡すとか絶対に嫌だ」


「まあ、この町の面子的にも無理よね」


 感情論を言うタケルに対して、理性的にも無理だとフィリーが補足をする。


 脅せば食料を渡してくるとなったら、次から次へと同じような要求をしてくるだろうし、他の奴らまで現れる可能性がある。そんなことになればヤマトの町は他者に食い物にされる町に成り下がる。そうなれば、この町にいる人たちは離れていくだろう。つまり、戦わずして脅しに屈することは避けなければいけないのである。


「では、北部部族連合への対処はどうなさいますか?」


「うーん、来るなら潰すんだが……一応警告ぐらい出してやるか。ここからは俺の支配地域だから手を出すなら潰すってな」


「それを誰がするのよ?」


「む、確かに……」


 敵地に乗り込んでわざわざ警告をしに行くのは普通に危ないためフィリーから突っ込みが入った。下手したら死ぬ可能性があるのだ。そんな危険地帯に送り込むのはタケルとしても少々気が引けた。


「それでしたら私が行きましょう。ついでに敵情視察もしてきます」


「……ヴェルノアなら大丈夫か。じゃあ、頼んだぞ」


 ヴェルノアなら仮に単体で敵地に向かっても簡単にはやられないだろうとタケルは判断し、行かせることにした。


「お任せください」


「まあ、危なそうなら無理せず早めに戻って来いよ」


「かしこまりました」


 こうして会議は終了した。



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