↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

103/121

16.教会との関係性

 

 その後、教会の一団は迎賓館にてヨハネスを中心に、先ほど神社であった出来事を整理した。


「あの時聖女が言った『私がここに戻ってこられるようにタケル様にお願いしてくださりありがとうございました』に対しては何かおっしゃっていた?」


「確かそれには『いいのです』とお認めになったはずです」


 アステリアが答えると他の聖女候補たちもそれに頷いた。


「ということは、タケル様が女神アメリア様の使徒様であるという話も真実だということか……」


 本来タケルが使徒であるかどうかという証明はできない。しかし、女神様がセラフィナの言ったことを認めたということは、タケルが女神様から何かを依頼される立場にいることが判明したのだ。その事実もまたヨハネスの頭を悩ませていた。


「ただ本人は使徒様であることを認めていませんが……」


「それも頭を悩ませる原因の一つよ」


 本人が使徒であると言っているのであれば、教会に招いて教会の下活動してもらうのが一番だ。しかしある意味タケルはそれを拒否しているともいえるのだ。


「本来であれば使徒様の活動に対して我々教会も協力すべきだが……使徒様本人がそれを否定されるのには何か理由があるのかもしれん」


 ただその理由は考えても思いつかない。


「これからどうなさるのですか?」


「どうとは?」


「タケル様やこの町との関係です」


「ふむ……友好的な関係を築くしかあるまい」


「当然教会の上層部としての意向で構いませんね?」


「当然だ。私が教皇様をはじめ他の枢機卿たちも説得する」


「それはよかったです」


 今回の調査結果と合わせてヨハネス枢機卿が説得するのであれば、タケルと友好的な関係を築くという方針で固まるだろう。もちろん中にはよく思わないものもいるだろうが、表立って嫌がらせや圧力をかけてこないはずだ。





 翌日、方針を固めたヨハネスたちは改めてタケルと話し合いの場を設けてもらった。この場にはタケル、フィリー、エルドール、セラフィナとヨハネス、アステリアがいる。


「聖地認定?」


「はい、この町は間違いなく女神様に愛されている土地です。ですので、ここを聖地と認定冴えていただきたいのです」


「はあ」


 あまり気のない返事をしているが、タケルとしては勝手にしてくれという話である。


「我々としてはこの町に神殿を建てたいと思っています」


「神殿ってのはリンドールにあった建物みたいな感じか?」


「あれと同等に立派な建物を建てたいと思っています」


「いや、断る」


「なぜですか!? 費用でしたら教会側で負担します!」


 ヨハネスは断られると思っていなかったため驚いた。タケルの判断にはフィリーやエルドールも驚いている。


「別に女神様を信仰するのに団体がある必要はないだろ。もっと自由に祈れる場所の方がいい」


 タケルは宗教団体にあまりいいイメージがないのだ。アメリア教会がどうかは知らないが、変な宗教団体を町の中に積極的に入れたくないというのが本音だ。


「タケル様は女神様を信仰するのに教会に入る必要がないと考えておられるのです。教会の一員でなくとも祈れる場所にしたいということですよね?」


「まあ、そんな感じかな」


 セラフィナがタケルの言ったことを補足した。ヨハネスとしてはあまり了承したい話ではないが、反論しても無駄な感じがしたので、言葉を飲み込んだ。


「……分かりました。ただ今回の話を教会に持って帰ったら多くの者はこの場所は女神アメリア様にとって特別な場所だと思うはずです。そして、一度行ってみたいと思うものも多く出るでしょう。我々の信徒がこの地に巡礼するのは構わないですか?」


「ああ、それは自由にしてくれ」


「分かりました」


「あ、そういう話なら道を作っておくからもうちょい来やすいようになると思うぞ」


「それは多くの者が感謝するでしょう」


 ヨハネスは内心ほっとした。一瞬教会の締め出しが狙いなのかと思ったが、別に入るのは構わないというので、拒絶されているわけではないことが分かったからだ。


「それでは我々は早速中央神殿に戻り報告をしたいと思いますので、これで失礼させていただきます。最後にもう一度神社で祈りを捧げてもよろしいでしょうか?」


「それは自由にしてくれ」


「ありがとうございます」


 ヨハネスとアステリアが退出したところで、フィリーがタケルに気になっていることを聞いてきた。


「断ってよかったの? アメリア教会の神殿を建ててもらうのって結構名誉なことよ?」


「いや、いらん。教会の権威とか権力抗争とか邪魔だし」


「普通はそれをうまく利用するのだけれども……まあ、あなたらしいわね」


 教会の一団は再び神社にやってきてお供え物をして祈りを捧げた。すると、お供えした者は光の粒子となって天へと昇って行った。


 それを体験したヨハネスは心の中で思った。


(やはり、この場所は特別だ。何としても教会の上層部を納得させなければならないな)


 ヨハネスは神社で一人そう決意するのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。