× 『 ☾ 閑話 ☽ 』✕ 〚 熱の神と水の神。 〛 ×
〚前編〛
「じゃあバーシル、これからよろしくね。」
艶の有るルビー色の髪の女が、そう言った。美しいがどこか、なにがが、違う。あまり好きに成れないタイプだと、みていた『俺』は、思った。女の笑んだ表情が見えた。相手の男はみえなかった。俺の『席』からは。ーーーーーー
☾ ☾ ☾
この『街』の名は、『ラムシュ・タウン』。それなりに古い街だ。俺は『冒険者』を生業にしている。だからこの街に居た。この『街』が、好きだ。冒険者達の中には好んでもっと寂れた町で薬草なんか採って暮らしてる奴等もいるが、だったら何故アウトワーカーなんかやってるのかと、思う。冒険者の醍醐味は、『戦闘』だろう。ーーーーーーそう思うんだよ。
俺は主に『護衛』を仕事にしてた。なぜならそれが『楽しい』からだ。薬草『採取』なんて『専門屋』にまかせておけば、いい。ーーーーそう思うよ。そうだろ? 奴等が『採取』してる間に向ってくる『魔獣』を始末する事こそが、冒険者の『役割』じゃあないのか。そうだろ?
採取屋は『戦闘』なんて、出来やしないんだから。✕✕✕✕✕✕
☾ ☾ ☾
ある晩、俺は呑んでいた。これも冒険者の『醍醐味』だろ?✕✕✕✕
✕ ✕
「で? “ザッシュ”。やっとで“一人前”になった感想は?」
知り合いにそう聞かれた。✕✕✕✕
✕ ✕
その時だった。『店の中』が、ざわついたのは。✕✕✕✕✕✕
騷ぎに目をやると、きれいな顔した“男”が、不似合いにも堂々と、店に入って来たのだ。彼奴は絶対に冒険者ではないな。俺はそう思った。✕✕✕✕
「ん?ーーーーッ!? “カーズィ”?!」
俺に声をかけた顔見知りの冒険者がそう言った。✕✕✕✕カーズィ?やはり聞かない名だった。この冒険者はこの街でも『古株』だと聞く。だから知っていたのかも知れないが。✕✕✕✕
声をかけられた事に気付いた“カーズィ”とやらが、こちらに来た。俺はそっと魔力を解放してみた。そいつの“ステータス”がみえた。ーーーーーーなるほど“やはり”な。大した奴じゃなかった。“スターマーク”が、1個も無い。“無能”だった。✕✕✕✕✕✕優男めっ。なにしに来たのやらだな。
「何だ? バーディシュナ。何してんだこんな場所で? 迷子かよ?」
ーーーーーーは?
途端に周囲に“どっ”と、笑いが起きた。下品な声が、げらげらとあざ笑う。正直うるさかった。
「あほ。誰が迷子だ。“仕事”で来たんだよ。久々に来たら“長居”しちまったがな。コミュニティに顔出すと、お前のせいでポート・マスターが色々頼んで来んだよ。たくっな。色男はツライぜ。なあ?“カーズィ”? で?『お前』は?なんで居るんだ??」
「俺は『ミカク』まで行く途中だな。」
“カーズィ”と呼ばれた“男”は、そう答えた。✕✕✕✕
「よおっ“美人”な“にーさん”、“ミカク”になにしに行くんだ?アンタ“菓子職人”か?甘い“におい”するぜ?」
近くの卓の男が、そう聞いた。その男も冒険者だった。
「ん? 俺の事か? 俺は『結婚式』だな。彼処に『良い教会』が、在るんだよ。後『俺』は『美人』では無いなあ。俺の知り合いに在るんだ。凄え『美人』な『男』が、な。驚くぜ?
ああ、後『甘い香り』なら、多分『香草』だな。昼間弄ったからな。『調合』で。」
その男はそう答えた。『調合』ーーーーーーもしかしてーーーー
「! にいさん『調合師』かっ? もしかしてーーーー」 「ん?ああ、まあーーーー」
「! っ! “カーズィ”っ!」
「おわっと。何だよ。ーーーー大声出すなよ、“ミーミー”。久し振りだな。あ、“大将”居るか?」
“給仕”の女が叫んで、カーズィという男はそう言った。
「お兄ちゃんっ、お兄ちゃん“カーズィ”が居るっ!カーズィが来てる!お兄ちゃんっ!」
給仕の女はそう言って、運んでいたビアーなんかを雑に卓へと給仕してから奥へと引っ込んだ。
✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕
「よっ、“ムーアット”。久し振りだな。元気だったか?相変わらず“混んで”んね。忙しいだろ?」
「カーズィっ!」
「カーズィてば。何処行ってたのよ? なんで“いなくなった”の?」
「はは。違う違う。ミーミー。“街”変えたんだよ。“要請”があってな。今“カンミ”に在るんだよ。」
「!」
「は? “要請”ってなによ?」
「ん〜?此の場合の“要請”なら、“任務”的意味だろ。ちょっと前に“災害”があったろ? 植物が枯れた“件”だ。“カンミ”は被害規模が多かったからな。未だ“後片付け”中なんだよ。」
「! ーーーーそうだったのか。いや、お前が来なくなって心配はしてたんだ。ーーーーはあ。無事で良かったよ。」
「ちょっ、お兄ちゃん! もう! カーズィ、それで? いつ“戻って”来れるの? とっ、当分“先”なの?」
「んな事より“ミーミー”ちゃん。俺の“頼んだ”果物酒、まだですかね?」
「! 黙ってて! バーディシュナっ! 今“忙しい”から!見て分かるでしょ!何よ!」
「ははは。ミーミー。“仕事”しろ。で、ムーアット、悪い。“頼み”だ。“夕食”二人前、貰える? 包んで欲しいんだ。“宿”で食べるからさ。悪いが頼むよ。ーーーーお前の“飯”が、食いたい。」
「!」
「ははは、カーズィお前相変わらずな。“殺し文句”だな。いいぜ、作るが、なんで“宿”なんだ?」
「ん? “連れ”を宿に置いて来た。待たせてるからさ。」
「ん?カーズィお前、“パーティー”組んだのか?」
「ムーアットさん、カーズィなら“変わらず”の“ソロ野郎”だぜ? いけ好かねえだろ。」
「何で“バーディシュナ”は、絡んで来るんだ?“お連れさん”呆れてるぞ? 席戻れよ。あ、“ムーアット”、持ち込みで悪いが、バーディシュナに“酒”出しても良いか? “グーレーフ”の熟成酒だ。未だ“試作品”でな。
バーディシュナ、熟成酒に関する“舌”だけは中々だから、味見させたい。ムーアットも後で呑んでみてくれ。特製の奴、何本か置いてくよ。帰りに“又”寄るから、さ。」
「! いいのか?カーズィ! で? “帰り”ってなんだ?何処か“行く”のか?」
店の大将“ムーアット”が、カーズィへとそう聞いた。
✕✕✕✕
「ん? ああ、『ミカク』まで、な。ミカクに良い『教会』が、在るから。後帰りに“ローバーラ”のダンジョンに寄って来る。“採取”もしたいしさ。何か“土産”に欲しいか?ムーアット?」
「?」
「? ん? 教会? なんでだ?カーズィ。教会ならこの街にも『ある』ぞ? 知ってるだろ?」
「? 仕事なの? カーズィ?ーーーーーー」
「嫌?」
そうカーズィは答えた。✕✕✕✕✕✕
「『式』挙げて来るんだ。『ミカク』で。『プライベート』だよ。」
“カーズィ”は“笑顔”だった。✕✕✕✕✕✕。
「はあ〜。うらやましい“男”だ、よ。お前は。はあ。聞け、マスター。カーズィの奴な、柄にも無く“洗濯屋”さんを、“射とめた”んだ。ーーーー必要ないだろ、カーズィ。お前にはさ。はあ。“ゆずれ”。」
バーディシュナさんが、そうため息をついた。✕✕✕✕✕✕
「煩いぞバーディシュナ。俺に“ユリシア”は“必要”だ。誰が譲るか。寝言吐くな。たくっ、あ、悪い“ムーアット”。そういう訳だ。宿で連れが待ってるから。頼めるか?悪いんだが。ーーーー」
「はあ。この頑固者。お前なら“よりどりみどり”だ。よりによってあんな大人しそうなーーーー嫌々、“大人しい”だな。はあ。かわいいよなあ、“ユリシア”。なんでお前ばっかり………………はあ。」
「本気で煩い“バーディシュナ”。理解った。もうお前に“酒”は出さん。ムーアット、バーディシュナの分も……………」
「! 悪かった!悪かったカーズィ! 頼むよ! お前の“熟成酒”最高なんだよ〜頼むってほんと〜カーズィさんすみませんでした! な?カーズィ?」
「はあ。たく。」
「………………馬鹿なバーディシュナ。」
「ふっ、惜しかったな。カーズィ待ってろ、すぐ“包む”から。ミー、カーズィになにか出してやれよ。」
「! あ、うん!」
「悪いな、ムーアット。助かる。“愛してる”ぜ。」
「ははは」
「!っ、お兄ちゃん!」
「ふ〜たく。カーズィは。おどかすんだから。頼むぜ〜『最高の調合師』さんよお。あんまり“イジメ”ないで・くれよ。はあ。」
『………………、“ブレンド・メーカー”?』ーーーーつまり。この“優男”は、『調合師』なのか。そう言えばさっき『そう』言いかけてたな。ーーーーーーなるほど?✕✕✕✕✕✕
✕✕✕✕
「悪いね? バーディシュナの“お連れ”君? ーーーー若いな? アウト×ワーカーだろ? 見習いか?」
“席”が無いからと、カーズィとやらは俺達の席に、座ったのだ。バーディシュナさんの顔をたてて、俺はそれを了承した。
「右から“ルーバット”、となりが“マールッシュ”、あと“シュガー”だったな。」
「“シュガー”は、女の子? 魔道士…………嫌、“偵察師”か。剣は何?“ダガー”? “アクディション・ナイフ”じゃ無いんだな? ふ〜ん?“珍しい”、な。拘り?」
「?!」
「っ?」
「え……………っ、? …………………え?こだわ……………いえ、“貰いもの”で……………っ、」
「あ、成程な。“ダガー”に“魔法”掛かって無いし、何でかと思って、さ。“偵察師”ーーだよな?」
「あ………………っ、えっと。“魔道士”と“兼用”で………………っ」
「そうなのか? “魔法具”少ないよな? 大丈夫なのか? “魔力量”多いの?」
「いえ……………………、あんまり。道具は……………お金足りなくて……………。」
「あ〜そ〜か。成程。………………と、」
「カーズィ、お待たせ。“熟成酒”受け取ったぜ、悪いな、ありがとな。」
「こっちこそ。あ、ムーアット、“此の子達”は、“常連サン”か?」
“カーズィ”は、そう、“俺達”を、ゆび指した。大将は“ん〜まあ?”と返した。✕✕✕✕
「最近“結構”な。まだ“新米”でね。見習い終えたばかりだ。」
「あ、そっか。成程。」
ーーーーーー『この人“なるほど”しか言わないな。』ーーーー俺はそう思った。✕✕✕✕
「あ〜じゃあ。“此れ”は“礼”だ。“俺の持ち物”で“悪い”が。有っても“困らない”だろ?」
「「「?! 」」」
「! おいカーズィ!」
「ちょっ、カーズィ!…………………。いいのか?」
「ん? 何が? “礼”は“大事”だろ? “師匠”の“教え”なんだよ。ほい、シュガーちゃん。」
「は? えーーーーー」
「ちょっおいシュガーっ、」
「“マールッシュ”と“ルーバット”は、“此れ”な。悪いな〜“出先”だからろくな物無くて。」
「えっ! “俺達の分”も?!」
ーーーー“マールッシュ”が、俺の横でそう叫んだ。✕✕✕✕✕✕“マジック・アイテム”を、見て。✕✕✕✕
✕ ✕
「はは、ひよっこ共、“過ぎたる物”だな。なんだ“にいさん”、貰えるならこの席呼んだぜ? ははは。」
「ひゅ〜“にいさん”気前いいな。ちょっとこっち“来い”よ? いっぱい“おごったる”から。はは!」
「ば〜か! あんな“きれいな”にいさんは、こんな“店”で呑むかよ! なあ!にいさん!あれだろ?
おしゃれ〜な“カクテル?”とか、なんとかを“呑む”んだよなあ?でも残念だな? “キルシュ”の“すぺしゃりてぃ・ぶれんど”ーーーーとやらに、『出会え』なくて。ーーーーはははは。
俺らもな? 『呑みたくて』この『街』に、来たんだ。だが『いなかった』。『キルシュ』さんは、よ。
今『どの街』に、『居る』のかねえ。一度『飲んで』みたかったよな? なあ?」
近くで冒険者がそう騒いだが、なぜか“バーディシュナ”サンが、肩をふるわせてた。
カーズィとやらに、あきれられながら。ーーーーーーーー
カーズィとやらが、大将へ何か言った。大将が頷いた。そして、
「お〜い、『カクテル』飲みたい奴は『居る』のかー?俺でも作れるぜー? あ、『代金』は払えよ? 『大将』に、な。『スペシャル・ブレンド』で良いのか? あれは『強い』ぞ?」
カーズィがそう、店中へ言ったのだ。『因みに“カクテル”って、甘いんだぜ?“スペシャル”は』と。
✕ ✕
店中“きょとん”と、してた。そして、男がひとり、言った。最初にカーズィに声を掛けた冒険者だった。
「にいさん、“俺”に、1つ。ただし“俺”に“似合う”酒を、な。ーーーー」と。
にやりと笑ったカーズィが、「渋いな。“オーダー・スタイル”が。はは。“了解”」そう応えた。
❂ ❂ ❂
「っ、っ、っ! ーーーーっ! うっまあ! なんだこれにいさん!」
「嫌だから“カクテル”だよ。“カクテル”ってのは、な、おっちゃん。“酒”と“酒”を“混ぜて”作んのさ。
まあ“比率”在るけど。何“混ぜても”良い訳じゃ無い。だから俺達“ブレンド・メーカー”が必要な訳。理解る?
てか俺“行く”な、“宿”に嫁さん置いて来てて。凄え心配だから。じゃ〜な、おっさん達。“元気”で、な。さて行くかな。あ、じゃ〜な、“シュガー”達も、ありがとな。“頑張れ”よ。
まあーーーー俺は今“カンミ”の町を拠点にしてるから、何かあったら言ってくれ。“コミュニティ”で聞けば“直ぐ分かる”からさ。じゃあな、バーディシュナ。」
“カーズィ”は、そう言って、去った。俺達の席に、“魔導具”だけ、残して。“魔力補給”の、アイテムだった。✕✕✕✕✕✕“これ、貰って良いのかな? バーディシュナさん…………”シュガーがそう言った。
シュガーが受け取ったのは、〚熱の女神〛と〚水の新神〛の紋様の施された、『マジックソード』だった。朱と蒼の石が、キラリと輝いた。美しい『装飾』の。
バーディシュナさんが言ったのだ。「流石カーズィ。〚器用な物〛造りやがる。」と。
to be continue.→
〚後編〛へ続く。




