・『木曜日』・
「おはよ〜」
華月 海は、クラスメイト達へ、声を掛けながら教室へと入った。木曜日の“朝”だった。
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前日のカーズィ・キルシュは、華月家の女神に言われた。昼食の後だった。
「カーズィ君。明日は“スイーツ”いこうね。」と。 キルシュは「は?」と答えた。 ××××
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「おはよ、海君。珍しいね。“皆”より早いじゃん。」
「凄いな海君。“やれば”出来る子?」
仲の良いクラスの男子生徒達に、言われた海で在った。海は応えた。“違う”と。
“居づらい”んだよね。ーーーーと。 ×××××××
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「ーーーーなんで? あ、“例”の“臨時”の“居候”君?」
海はその問いに、頷いた。“やり辛い”と。そんな時だった。“上山 大揮”からの“視線”に気付いた海は、そちらを見ずに、やり過ごした。
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「ふふ。楽しいわね。」
木曜日の“午後”に、カーズィ・キルシュは友美と共に、出掛けて在た。
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その前日の、午後。昼食を終えて、後片付けも終えた彼等。家主の陽藍は仕事するからと言った。
「部屋に籠るから、後宜しくな〜」と。部屋で小説書きの仕事だった。それが彼の本業らしい。
「後で珈琲持ってくわね。後、カーズィ“君”」
彼の“妻”は、そう言った。夫への珈琲の“ついで”の様に。 ×××××ד明日出掛けましょう”と。 ××××××
「“昨日”出掛けただろ?」
カーズィは答えた。だが反論される。
「昨日は必要な物買っただけだもの。明日は“お出掛け”です。お茶しに行くんです。私と“デート”ね。 午後からで良いからね〜ふふ楽しみ。」
彼女はそう言った。オレガノとカルセオは見ない“振り”をした。“経験者”故にだ。“止めても無駄”では無い。“止める権利”すら、“無い”ーーーーと。
陽藍が部屋に行かずに、彼に言った。“カーズィ”と。
「悪いな。我儘で。明日そいつ“宜しく”な。じゃ。」と。部屋へ行こうとして。
“弟子”の「…………………カルミア? ……………、どうした?」ーー呼び止められた。 ×××××××
カルミア・カルムは、師、陽藍の前に立って在た。表情は、暗かった。先程の昼食の時も、元気が無い様に感じだキルシュだったが、未だ親しい間柄でも無いカーズィ・キルシュは、そうは言えなかった。“具合悪いのか?”とは。“お節介過ぎるか”ーーーーと。
「カルミア?」
と、師が問うと、彼は応えた。“……………「先生」………………、”と。
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「…………………………先生、『お願い』が、あります……………………………っ」
カルミア・カルムはそう言った。真剣な面持ちで。“幼馴染”だという、オレガノ達が、不安そうに其れを“見る”中で。
「“基礎”卒業させていただいて……………ありがとうございました。あの、俺やっぱり。」
言い淀んだカルミアは、手を握り締めた。力を込めて。陽藍は黙って在た。
「“帰ろう”と思うんです。帰していだだけますか? 先生ーーーー?」と。カルミア・カルムは師を真っ直ぐに見て。
そう言った。とても純粋な瞳だった。
沈黙があって。そして彼の師は言った。“そうか”ーーーーと。静かだった。其れが水曜日の、午後の出来事で在った。 ××××××
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「え、そうなの?」
クラスの友人、瀬多 詩穏はそう言った。瀬多は海の斜め前の席で、良く話をする間柄だった。深織と同じ中学だったのも、理由だった。深織は、「クラス一緒になったの初めてだけどね。」ーーーーと、以前言っていた。瀬多も“そうだよな”と答えていた。
“伊織とは一度同じクラスだったでしょ。”と。中二の時に、深織の妹、伊織と同じクラスだったそうだ。それで互いに覚えて在たと。
“明るくて良い子。”と、瀬多は深織に紹介されて在た。“クラスの人気者キャラ”と。
相瀬良と光明と原 理は、同じ中学出身なのだが、実は深織は違った。仲嶺 深織は入学時、割当てられた席が、原 理と近かったのだ。原が“ナンパし”て、何となく彼等は昼食を共にする様に為ったので在った。
瀬多が出遅れたのは、授業初日から風邪で欠席したからで在った。
入学に浮かれた彼が犯した初歩的な失敗で在った。 ××××××
「クラス“表”には名前在った筈なのにさ。初日から“瀬多”君居ないんだもん。結構僕も焦ったんだよ。入学式で声掛けそびれたもので。登校初日は早速声掛けようと思ってたのにさ。」
登校して来た“仲嶺 深織”は、そう言った。原と一緒だった。大概どうしても、原と仲堺 加那と、妹の伊織は一緒に登校して来るので、深織と原はエンカウント率が、高いのだった。
深織は「不本意。」ーーと、そう言った。 ××××××
海は深織達の話を聴きながら、思った。“大丈夫。”ーーだと。
海は別に“初日”に欠席した訳では無かったのだが、中学で仲の良かった子達とクラスが離れ、会いに行っている“隙”に、当初“輪”に入りそびれた“子”で、在ったからだ。“僕に比べればーー”
華月 “海”は、そう思った。真実なら、少し違う。
“華月 海”は、云うならば“美少年”だったのだ。“当時”から。
周りは圧倒されて、近付け無かっただけで在った。 ×××××××××דイケメン”と言われる“悠緋”や、“なつめ”迄も、声を掛けるタイミングが判らないままに、一ヶ月程過ぎた“頃”に、
海は“弓削 光明”に、救われた。光明が無意識に作ってくれた“切っ掛け”で、海はクラスに“友人”が出来たのであった。今でも海はそう思って在る。“光明君の、お陰だよ。”ーーーーと。
彼に、そう伝えた様に。 ××××××××××
「えっ、ちょっ、海君?! ちょ、なつめ。やばいよ。海君“今日”も早いよ?」
瀬多と、深織達と話して在た海だが、その“声”を、聴いた。知って在る其の声は、鹿島 悠緋だった。 ×××××× 悠緋はナチュラルに“天然”だった。さらりとナチュラルな毒ある言葉を吐き出すが、悪気は全く無い。その“辺り”が、彼の従姉弟“友理奈さんに、似てるよね〜”
と、海は思っていたのであった。以前友理奈に焦がれて在た、華月 海は、悠緋を憎くは思っていなかった。“間違った事、言ってないんだよね。ーー悠緋君て。”ーーーーそう思った。
寧ろ彼は爽やかに言うので、かえって清々しく、海は悠緋が好きだった。悠緋の兄やお姉さんとも中々良い関係の海は、それも影響しているのかもしれない。
悠緋の両親とも面識ある海だったが、悠緋の兄“朝陽”に、特に可愛いがられていて、悠緋の家には時々招かれるのであった。
勿論というか悠緋の母“由奈”さんや、悠緋の姉“真妃瑠”さんにも海は大人気だった。“可愛い”と。其れは余談ではあるのだが。さておき。
「……………………おはよ〜。」
“加野 なつめ”は、そう言った。
「ちょっ、なつめ! おまっ、実は内心焦ってる癖にスルーが盛大過ぎるぞっ。全く。あ、おはよ。」
“鹿島 悠緋”も、そう言った。周囲の“眼”ならば、華麗なる“スルー”を会得した。
“師”陽藍の、名の元に。見様見真似だが。 ×××××××××× 彼等は本日も、マイペースであった。 ××××××××××
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“華月 友美”は、御機嫌で在った。“カーズィ・キルシュ”の腕を取って。“デート”に喜びを表して在た。
「ひとりだと、行きづらいのよ。」と。
「…………………………“ボディーガード”?」カーズィ・キルシュは、そう問い掛けた。
「え〜? “違う”わよ。 因みに。オレガノちゃんとカルセオちゃんは、護衛“役”は熟せませんでした。」
と、友美が言ったので、カーズィは驚いた。
「“カルセオ”も?」
友美は頷く。「“実践”だと、どうもーーね。気遅れしちゃうみたい。」
“魔物さん達には、あの子も「強い」のにーーね。”と。
対してオレガノは、「人間相手でも怯む訳では“無い”んだけどね。ーーーー」と。
“相手が強いと、普通に「負けちゃう」の。ほら「魔法ーーーー」禁止だからーー”と。
どんっ!
ーーーーーーーーーーーーーッ、!
「あ? “やり過ぎ”? か? ーーーー」
“カーズィ・キルシュ”は、そう言ったが。友美は「大丈夫。」だと返した。
友美こと、元“人気モデル”ーーーー“華月 華”は、出歩くと“襲われる”事が在るので、基本“ひとりでの外出”ーー禁止を、夫から言われて在た。ーーーー
今も襲われた“ところ”であった。カーズィ・キルシュが、地面に投げ伏した、此の“男”ーーに。
“華さ〜んッ!!! 『好き』です〜っっッ、ッッツッ!!!”と、叫びながら向かって走って来た“男”が在たので、何も言われずにカーズィ・キルシュは相手の“ソレ”を、投げたのであった。腕を掴み、引き、其の力を利用し、流れを作り素早さを糧にし流線を描く様に、彼は男を地面に伏させた。華麗にも思える、其の動きで。
暴れる“男”は、カーズィに抑えられたまま、警備員が駆け寄って来たので、引き渡された。友美が言った。う〜んと唸り。“陽藍さんの言う事を聞いて、”
「予定変更で“タウン・タウン”内にして、正解かな。」ーーーーと。“新しい”
「“ケーキ屋”さん、カーズィ君と、行きたかったけどね。」と。“残念。”と。不敵な、妖艶な、
美しい女性が、笑って“在”た。そして言った。「じゃ、“メインイベント”」ねーーと。
“カーズィ・キルシュ”に。
キルシュは応えた。溜息が出たのは仕方無い。そう思った。何故ならーーーー
「なあ? “カルミア”の心配とか、しねーの。」そう言った。
彼女は少し離れた其の場所から、カーズィ・キルシュへと笑顔を向けた。妖しい美女を、キルシュは見たのだった。“大丈夫”と妖しく美しい声が、聴こえた。彼女の唇から。
「“旦那様”を、信じて?」と。キルシュは返した。「信じてるがな。」と。
「カルミア。彼奴、未だ“子供”だろ。信じて無いというなら、向こうをだよ。」と。
“俺に「云わせれば」だかなーー”と。女神は其れに返した。彼に歩み寄りながら。近い距離まで来た女神は調合師へ言った。「信じてあげて?」と。美しく妖しい女神は、非現実の今居る世界を、肯定した。
「“彼”の“弟子”だもの。弟みたいなものでしょ?
だもの“信じ”られるでしょ? 」と、友美が言うので、返した。“いいや”と。
「残念だが。」ーーーーーーーーー
「“弟”じゃ無いね。」と。 ×××××××××××× カルミア・カルムは、カーズィ・キルシュの、
「“兄”だーー」と。言われた友美は、ふふふと笑った。「あら、そう?」と。
「“兄”弟子なんだ。“弟”とは呼べないだろ?」と。
其のキルシュの言葉に、彼女は可笑しそうに、ふふふと笑った。“そうね”と。 ××××××
行きましょうと彼女が言って、共だった彼等は其の場を後にし、去って行った。
“華月 陽藍”は、此の日も又、引き籠もりの“仕事日”だった。 ××××
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「正直ーーーー」
“カーズィさんの件”より、「“此方”のが、大変に成っちゃったよ。一応“ジニア”が、ついてるんだけどね?」
“華月 海”が、そう言ったので、“愉快な仲間達”が、叫ぶ様に言った。
「カルミアが?!」と。
「ーーーーはあ? 何してんの、彼奴。ーーーーっ」
「えーーーー本気かあ。告白かあ。」
「希望ゼロなのに?」
「おい、言うな。少し応援してやれよ。」
「待って、それも“どう”なの?」
「皆ーーーー。結構“好き放題”言うよねーーーー」海はそう言った。
その頃。
“友美”に連れられたカーズィ・キルシュは、と或る“場所”に、在た。秘密だった。
“カーズィ君、良い子だから。”「“内緒”に“出来る”でしょ?」と、女神が言った。まるで、子供を“あやす”みたいな、言い方で。そして木曜日は過ぎたのだった。ーーーー“彼等”の、方は。
“海”はーー、やはり“視線”に気が付いて在た。痛い位に刺さるのは、敵意だと知って在た。それが海の“木曜日”だった。 ーーーーーーーー
“上山 大揮”は、華月 “海”が、嫌いなのだ。“原 理”では無く。
理に当たるのは理が海を好きだからだ。海等「“孤立”すればいいのにーーーッ」
上山はそう思って在たのだ。 ×××××××××× 心の底から。




