・『水曜日』・
「カーズィさんが、凄過ぎます。」
華月 海は、友人達へ、そう言った。教室でだった。
「ん〜おはよ〜海君。又唐突だけど、どうしたの?」
相瀬良 広陽は、海へと聞いてみた。
「うん。おはよ。あのね………………、」
「おっは〜海君! 今日も可愛いね〜w」
原 理で在った。
「おはよう原君。抱き着くの止めてね。友達も止めるよ?」
海はそう応えた。慌てた原が、身を後ろに下げた。“ホールドアップ”しながらだった。広陽に“阿呆”と言われた。“海君、上出来ですよ”と彼は言った。そんな朝だったのだが。
下がった原に、衝撃があった。見ると態とだろうと彼は思った。同じクラスの男子生徒だった。原は気付いて在た。其の彼の持つ“敵意”に。思わず退かずに、相手を睨んだ“原 理”が、其処に在た。そして思った。嫌“納得”であった。自分の“属性”の話だ。
“明”と“暗”ならば、原は“暗”なのだと。“光”在らばこそ出来る“影”の部分が自分だと、つい先日海の父陽藍から教わった事だった。“それも必要”なのだと。ショックはあったが、思い直した。そして、何とかその感情を、受け入れた“ばかり”で在った。
「ーーーーっ、ちッ」
生徒はあから様な舌打ちをした。成る程。理は思った。海の兄“巧”に、舌打ちは良く注意を受ける彼等だが、“他人がやってるの見ると、確かに。俺もやめよ。”ーーーー原 理、彼はそう思った。
“他人事”だと、“ださ”かった。思わず彼は笑った。嫌吹き出した。舌打ちを吹かれたと初め理解出来なかった態度悪いクラスメイトは、原が笑い収まらずずっと笑っていたので、流石に何かに勘付いた。“原は自分を笑っている”ーーーーとだ。当然の様に、食って掛かって来た訳だ。
“上山 大揮”という此の生徒は、珍しくも転入生だった。此のクラスに割り振られたのは、元々のクラスメイト、原 理の友人でもある“弓削 光明”が、休学中だからであった。空いて在た“ところ”へ入れられた“訳”だ。手抜きの様にも。ーーーーーー
上山 大揮は、好戦的だった。
元々。鹿島 悠緋等は、面倒見が好い。海の“面倒”も、何だかんだと悠緋が一番良く熟して在る。仲嶺 深織も中々近い“タイプ”なのだが、彼は何しろ一番“面倒”見なくてはいけないのが、
“妹”で在った。何故なら“母”に叱られるからだった。深織とて自分の母の事は、それなりに恐い存在なのだ。未だ学生。主に“経済面”で。
更に加野 なつめ。彼はクラス委員長であった。余談だが、入試トップはなつめで在った。なつめは志願してクラス委員に立候補したのだが、それが無くとも学校の校則には成っていない暗黙ルールで、クラス委員に指名される筈で在った。なつめには教えられてはいなかったが。海の従兄弟、瀬野尾 紹は、一年入学時、其のルールに依り其の務めを熟したので、実は知って在た。
彼も又教えなかったが。海が務める事に成らずに、安堵したのであった。
“海、天然だからーーーー「無理だろ。ーーーー」”と。
さておき。
そんな“彼等”の“海君と仲良し隊”もとい、“愉快な仲間達”が、転入生を面倒見ない訳は無く。
悠緋も深織も、広陽も。当初積極的に、話し掛けたのだが。
返って来たのは“拒絶”で在った。
委員長“加野”だけには、些かだが警戒心も解いている様ではあったのだが。
中でも原 理には敵対心剥き出しであった。理由は未だ、判らないのだが。始まりは体育の時間であった。人数の関係で上山は理と同じ班となったのだが。
具体的に敵対心を剥き出されたのは、その時だった。
種目はバスケット。上山 大揮は、“チームワーク”を、知らなかった。 ×××××× 理は朝から彼の顔を見て、うんざりしたのであった。“面倒臭っ”と。 ××××××
“悠緋”と“なつめ”が登校して来ねば、一揉め二揉めしたかも知れぬが、理は退いた。
“俺大人だな”と、内心思いながら。
「ごめんね、上山君。朝からうちの“原”が、“馬鹿”で。」
悠緋が言ったので、理は思った。“呼び方変えんな”と。悠緋は普段、理と呼んで来る。相瀬良は頑なに呼ばないーーが。加野も癖になっているらしく、大方“原”と呼んで在た。偶に“理”になる位でだ。原 理は出来れば海には名で呼んで欲しかった。海は中々呼んでくれないのだが。理由は意外にも簡単だった。“文字数”だ。“原 君”は、ゴロも良いらしい。海はその呼び方を気に入っていた様だった。
珍しく“深織”が未だ来て居なかった。 ××××××
「こら、何してんだー。喧嘩駄目だぞー。」
そして教室に入って来たのは、教師だったのだが。
海は言った。
「先生〜? 1限英語じゃ無いよ? 教室間違えたの?」と。 橋本 和希だったからだ。
苦笑した和希は答えた。“海”と言って。
「間違えてません。止めに来たの。御前等さ〜問題起こすなよ。転校生を、苛めんな。俺が御前等苛めるぞこら。」
和希の、言葉に。クラス中が呆れたのであった。“ひとり”を、除いて。上山 大揮は呆れていなかった。 ××××××
「おはよ〜間に合った〜あれ? 和希先生? 何してるの? 1限英語に変更なの?」
待望の仲嶺 深織は、そんな感じで現われたので在った。そしてチャイムが鳴った。朝のホームルーム為にクラス担任が来て、頷き合った橋本 和希と、“其れ”が始まった。
悠緋、なつめ、海、そして原。広陽と、何も知らない深織も前に呼ばれ、和希の“御説教”だった。
“一蓮托生”らしい。「御前等さ、もっと頑張って原の暴走を止めろよ。」と。そして。
頷き合った“担任”と“和希”が、納得し合った様に、和希だけ教室を去った。席へ戻された“愉快な仲間達”を見送った担任が、出席を取り始めたーーーーそんな“朝”だった。愉快な仲間達は、不服だったが。 ××××××××××
「はあ〜。」
昼休みだった。 仲嶺 深織は盛大に溜息を吐いた。珍しくも。その横で引き攣った“悠緋”達を、他所に。橋本 和希は華月 海に、弁当を貰って在た。“あ〜ん”と。いつも“通り”に。
「今日のごはんも美味しいが、海。今日何か“違く”無い?」
和希はけろりとそう言った。原は言った。“そんな事より”ーーーーと。
「先生、日曜日の“話”が、“未だ”だよ。海君も詳しく聞いて無いって言うしさ。」
「話す様な事が“無い”からだよ。行って帰って来た“だけ”だからな。」
橋本 和希はそう答えた。「で? 海?」と。
海は器用に。自分で食べながらも、和希にも食べさせて在た。そして答えた。“カーズィさん。”と。
「ん?」
和希はそう反応した。仲間達も。
「海君? どゆ事?」
なつめ以外、興味津々で問い掛けた。なつめなら、のんびりマイペースに、食事中だった。いつも“通り”に。
「ん〜? だから。今日のごはんはカーズィさん。」華月 海は、そう答えた。
“中々上手だよ”と。
××××××××××××
「あ、海君。朝の或れは其れ?」
広陽が聞いた。居なかった他の面々は解らない。“ん?” “何?”と。海は違うと答えた。
“朝の或れ”はーー。と。
「『ロープレリア』。『2日前』。ーーーー。月曜の夜だよ。『ランキング』確認したよね?
僕を抜いてランキング上位に入った新人さんだよ。ーーーー」と。
「………………………『プレイヤー名・《BLOODY SPIRIT.》?』……………?」
広陽が言うと、深織が頷いた。悠緋も。そして、“和希”が成程と言った。
「“ブラッディ・スピリット”か。よっぽど思い付かなかったんだな。はは。」と。
「“血”と“魂”?」
理がやや、のほほんと問い掛けた。なつめは聴いて居たが、食事続行だった。
他の面子は、既に“完食”だった。早いーーそう思った“なつめ”の“デザート”は、陽藍さん特製マドレーヌ(オレンジ・ピール入り)だが、食べ切れないので、お土産風に、包まれて在た。
用意周到に。陽藍に依って。油断すると理に食べられるからだ。海の報告で陽藍が用意したので在った。さておき。
“違うよ理。ーーーー”と、英語教師が、妖しく笑んだ。理は些か“ぞくり”とした。
和希のオーラは、殺気等とは又違う。実に奇しい“気”で在った。陽藍に、彼は教えられた。
“和希の気は、殺気要らずで殺人出来るぜ”と。意味が理解らなくて彼は聞いた。陽藍はそれに答えた。“殺気て何だと思う?”ーーーーーーと。
原 理には未だ解らなかった。彼の師は言った。なら大丈夫だと。
「だったらお前は“暗”でも“闇”でも大丈夫だ、理。何も殺せないだろうよ。」と。
“和希には成らないよ”と。
「何、ぼおっとして。大丈夫か、理は。叱り過ぎたか? ま、いいけど。」
と、教師橋本は言った。
××××××××××××
「カーズィ。此の“ブラッディ・スピリット”だけど。他に思い付かなかったのか?
“安易”過ぎて、受けたよ俺は。御前もどれだけ酒好きなんだよ。」
“華月 陽藍”が言った。“俺”は答えた。勿論“五月蝿い”と。
オレガノとカルセオに陽藍が解説してた。「“カクテル”だよ」と。
「「??」」
「不思議顔するなよ。二人して。カクテルは“COOK・TAIL”が語源て言われててな。諸説あるけどな。“酒”に“雄鶏の血”を、垂らして作ったのがはじまりなんだと。
“尻尾”を切って、血を垂らしたから“COOK”-“TAIL”で、『カクテル』な。スペルそのままなんだよ。スピリットは此の場合“酒”だけど、“精霊”の意味も持つだろ?
カクテル話もな。中々奥深いんだよ。興味あるなら後で自分で調べてみろ。書庫にも関連の本あるしな。ネットでも調べられるだろ。ま、程々にしとけよ。“深酒”するなよ。」
確かに。にやりと笑う陽藍を見ながらカーズィは思った。“庭”に“精霊”が、『在た』せいだと。
苦い顔をしてたら、女神に救われた。“ごはんよ〜?”と、ね。ーーーー昼飯らしい。
女神がふふふと笑った。「うん、やっぱり似合ってるわね。」と、御満悦だった。
勿論昨日は、買い物だった。「女神…………。」とね。
「な〜に〜? “普通”に呼んで〜? ほら、ごはん冷めちゃうでしょ。」
女神“友美”に、急かされた。 ××××××××××
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「やるな…………………あの“美形”………………っ」
“はっ”と理が吐き捨てた。そして其処でなつめがやっと“参加”した。“なあ”と。“バーテンと、どう違うの?”かと。
和希が答えた。“ん〜”と。
「違わないけどさ。細かい事いえば、君等大好き“錬金”術だよ。昔は“錬金術師”だったんだってさ、呼び方が。“魔法”が発展、発達したから、道具が簡略化され、錬金というより、“ブレンダー”の呼び方に“成った”と。」
“だってさ”と言った和希が続けた。“化学者”な訳だよね。と。横で海が無言で頷いた。
「“陸”君と話合う訳だよな、海ーーーー“お兄ちゃん”取られたかーーーー」と。
横で“海”が、無言で頷いた。ーーーーーー
“口きいて、無いよ。ーー”「月曜からずっと。」と。 ーーーー。




