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・調合師、活躍しない。・

 「ーー頼むよ陽藍ーーたすけてくれよ………………」


 後生だからと言わんばかりに、神様だった酒呑みは言ったのだった。あからさまにその顔色は悪かった。ーーーーーー



 ーーーーーーーーーーーーーーー



 『たすかりたいのか』ーー華月 陽藍は冷たい声を出した。救ける気等微塵も無いと言う様な声色の其の声を。笑みもせずに。




 「馬鹿だな。救けないよ。」


 代わりに答えたのは息子の青だった。酒呑み元神はぎりっと唇を噛み締めた。その青をどろんとした瞳で見て。まるで黙れと語る様に。暗雲の瞳で。



 陽藍は静かに息子へ言った。『青、黙ってろ』ーーと。息子は、不服だった。逆らいはーーしないが。代わりにと父を見た。彼の藍色の光彩が不服を写し出したが、それは父には届く代物ではなかった。

 父は彼を見なかったのだ。目を綴じた。そして開いた瞳は別の色に変わっていた。父特有の、掴みどころの無い色に。複雑な色合に変化する捉え切れぬ輝きの色彩イロミは感情の昂ぶりを表す。つまり、父は今の状態でーー誰の意見も聞かないーー恐らく意思ならば曲げない。


 感情や意思が怒りなのか呆れなのか等迄は、ーー誰にも分からなかったが。


 ただ、


 力を抑えていない事だけはそれを『知っている』者達にだけ、理解出来た。


 こうなった父へは息子達は誰も意見等決してしない。父に殺されたく等無いからだった。何しろ此の状態の父はーー、加減等一切利かないのだ。する気が無い状態に生る。




 誤りもーー起きる。手加減を違えた父に殺されたくは無い。又、父に『それ』をさせたくも無いからだ。


 


 『父親』である彼ならば、絶対に息子を殺める事等しない。ーーだが、




 『神』の『仕事』としてならばーー『出来る』ーー。やらねば為らぬ責務だとしたら華月 陽藍は『加減』しない。




 だから息子達を始めとした彼等は間違えれない。万が一にも選択肢を違えないのが、ーーそれが彼等の境界ボーダーラインだった。それを越えて父をーー哀しい生き物にはしたくない。誰しもが。





 陽藍は言った。静かにだ。『救ける』ーー「方法が思い付かないなーー」と。






 笑うでもなしに。







 ーーーーーーーーーーーーーーーーー




 酒の神だった男は、目の前の古き友人は、自分の『知らない』男なのだろうーーと思った。



 自分はこんなにも冷たい男の事は、知らないーーと。





 そう思うしかなかった。ーーーーーーーーーーーーー死ぬしかないのかーーと。







 神で『った』のにと。碧い狐が目に付いた。此の差は『何だ?』ーーと。理不尽だった。




 狐も『過ち』ならば、『犯した』だろうと。ーーーーーーーーーーそしてお前もと。






 「理不尽だな」と彼は声を出した。ぼそりと言ったそれだが、皆の耳に届いたのだ。『呪符』の様にも。×××××××××××××××××××××××××××××××





 ××××××××××××××××××××××××××××××





 然し、華月 陽藍はこう言った。だから何だ?と。




 『世の中は』「理不尽で出来てんだよ。」ーーと。確かにそう言ったのだ。





 ×××××××××××××××××××××××××××××××



 華月 紺こと、『神』ポンターー彼の犯した『失敗』の話は、神々の間では割りかし有名な話であった。少なくとも、此の元神なる男が、知る位には。酒星の神だった男が、神の身分を追われたのは罪を犯した訳ではなかった。理由は『行方知れず』だ。長く帰らずに職務放棄扱いで、それで新しい神が選ばれたのだった。其れが『ポンタ』を拾い、そして名を付けた男ーー『神』であった。


 その神はポンタの兄と成った。ポンタを『弟』として育てたのだ。兄神は此の星以外にも管理する星を持っていた。此の近くの星だった。優秀なので、此の辺りの星々の『長』とも言える古い神に、管理者不在と為った此の星の管理を託されたのだ。兄神は『遠視』で、此の酒星の様子を視て、管理していた。正式な『管理者』が就任する迄の『代理』としての仕事だった。



 そして、


 古い神だが、長く務めたが故に力が衰えていた。その為に決断し職を退いた。兄神に後任を託す事としてだった。

 そうして任務、管理地域の増えた兄神は、成長したポンタに『此の星』を任せたのだった。


 管理者為る『神』としてポンタを就任させた。ーーーーーーー




 最終的にポンタは『運営』に失敗してしまうのだが、原因はポンタではなかった。余所者の神達が小さな狐のポンタを侮り、からかい馬鹿にする為に『襲来』したのだ。



 傷付けられたポンタは『報告』をすれば良かったのだが、悔しさからそれをしなかった。情けな過ぎて出来なかったのだ。又、兄に心配を掛けたくなかった為もある。




 そしてポンタは間違いを犯してしまう。規定をーー幾つも破ってしまったのだった。ーー犯した失敗を繕う為に。


 最終的に『人間』を傷付けてしまったポンタはその時死ぬ気であった。だがその前に『傷付けた』人達を『たすけたい』と考え思った。それが間違った方法ーーではあったのだが。然しそれがその時のポンタの精一杯の努力であり、又力量の限界だった。ポンタがたすけたかった人達は、結局は陽藍達が済ってくれたのだったがーー。その時、ポンタも一緒に救けられた。ーーーー



 『橋本 和希』、彼がポンタを救う為の『身体』を持って来てくれたのだった。其れにポンタを入れたのは陽藍達だったが。


 佐木 友理奈ーー、彼女は当初橋本 和希に『狐』の剥製を頼んだのだが、和希はそのハクセイを失くしてしまい、代わりにと『狸』の剥製を持って来たーーという『珍事アクシデント』有りきではあったのだが。ーーそれでも『ポンタ』は救われたのだった。




 ーーそれは事実だーー。

 確かに華月 陽藍も橋本 和希も、佐木 友理奈も皆、ポンタと言う狐神を救ったのだ。陽藍の息子達も又その時の協力者だった。



 狸に入れられた狐だった筈のポンタだが、ーー感謝していた。ーーずっと欲しかった家族がーー彼には出来たのだ。兄と離れた神様時代はとても寂しくて。あの頃ポンタは泣いていた。泣いた振りはしないで。ポンタは今ーー『幸せ』だった。





 だから酒の神だった男は思うのだ。『此の差』と。





 拾ってくれた兄に感謝しかしていないポンタは、懸命に頑張った。




 そもそも。





 ポンタが襲来の神々と闘ったのは大好きな尊敬する大切な兄から名付けられた『名』をーー馬鹿にされたせいだった。『間抜けた名だ』ーーと。『獣のくせに神か』とーー言われたそれより悔しく、感情が暴走した為だった。






 ポンタは実は未だ子狐なのだ。勿論、子供でも神ならば暴走するべきでは無い。然し、『理不尽』と言うならば其の時の事こそ理不尽と言えるのだろう。





 仮にも神を名乗る者達が、男神達が、大勢で、数にして十数名程が、






 小さな子狐神『ひとり』を、からかう為だけに暴行いじめたーーしたのだから。






 堪えた子狐神は傷だらけでも、最初やり返しはしなかったのだ。『出て行け』と指示するだけで。元々ポンタは幻術や幻惑を得意とする神だ。闘いの神ではない。多勢無勢で来られれば、避け切れずに攻撃を喰らった。防戦一方なのだから、それも仕方無かった。そもそも。



 不法侵入神達を力で追い出すーー『排除』する事自体は、規定に違反しない。星を害されない為に、管理者は居るのだから。ポンタが手を出さなかったのは、自分が獣だからだ。




 『理性』で解決したかったのだ。『兄』の様に。力づくなら『誰でも』出来るーーと。






 然し。解決『出来なかった』のだ。やられたポンタはエネルギーを奪われた。そうして等々反撃してしまった。『こんない奴等に』ーーけたくいーーと。





 思ってしまったのだった。そして、





 劣勢に為りし神々は、苦し紛れにポンタから有り得ない程の『エネルギー』を略奪した。自分達でも驚く程の力量を奪いし愚か者達は、ポンタのエネルギーを使って、辛くも星から逃げ出したのだ。それこそ『命からがら』だった。




 狐が強いと考えもしなかった愚か者達は、後にしっかりと陽藍達の手に依り罰せられた。未だに『反省』させられている。『労働力』として。強制労働中だ。三男陸の手下の管理の下にて。







 

 問題は、




 ポンタが管理していた『此の星』に、此の星を造りし『此の酒の神』だった男が、『不在』では無かった事であった。




 酒好きの神の造った『此の星』の『エネルギー基盤』は、『酒』だった。つまり、







 星の『真ん中』にが在るのだ。ーーーー地中深くに。知られた『名も無き星』ならば、『マグマ』在りしーーそんな場所に。エネルギーとして。






 呑んだくれ神は『其処』で永く眠っていたのだ。ーーに呑まれて。永い永い時間を。







 忘れ去られる迄も。




 そして起きてしまったのだ。『ポンタ』と阿呆神々との『いざこざ』の際に。




 既に自分がもう神ではないとはーー知らずに。『神』に『ろう』としたのだ。そして今で在る。




 『星神』許可無く『力』を使えば違反にあたり、処理として『災害』が起きる。ーー違反者にーーだ。



 災害に『囲まれた』違反者・・・は、制止も聞かず力を使い『続け』此の樣だった。






 辛くもか阿呆なのか。ーー『後者かーー』と。(言われても仕方無いーー)






 「おまえ、(※本物の)『馬鹿』だろう?ーーーーー」





 華月 陽藍は言うしかなかった。苦々しくだったのは、見間違い無く。

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