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・ケース-バイ-チーム『カーズィ』・

 巧が離脱した理由は兄だった。『兄が無茶すると困るから行く』と言う。先ず意味が理解らない。それはどんな兄だよ。弟に迷惑と心配を掛ける兄。そして、『直夏がいれば』問題無いから、自分は離脱すると主張するのだ。当の直夏は、「巧程『鼻』が利かない。」ーーと言った。



 巧は「嗅覚以外で探し当てて。」ーーと言ったのだった。丸投げである。


 苦言した直夏に「『勘』で見付けてよ。『ゲーム嗅覚で』。」ーーと、巧は無理を押し付けて、そしてじゃあと言って『消えた』のだった。



 「ーー消えたーー」と、リィンツィオとリッツはーー言葉を口の端から漏らしたのだが。逆に俺は驚けなかった。直夏は『全く勝手だよな。』ーーと、又苦言した。


 『花』だから『匂い』で見付けようとする方も無茶だとは思ったが、『勘』で見付けろも大分無茶だろう。勝手とかの前にお前達は何? ーー阿呆なの?


 横を見るとナツメとサトシは何やら悟った顔をしていた。ーーいつもの事なのか? おい。


 気を取り直して探索を続行しようと、歩き出そうとした時だった。直夏の様子が、変わったのは。


 どうしたと聞くと直夏は言った訳だ。『悪い』ーーと。


 ❂__❂__❂


 「悪いが用事が出来たーーから、『カーズィ』に任せる。頼めるな?」


 彼はそう言った訳だ。用事とは何だよ。直夏に問うと、意外な返答だった。『俺にも分からない』ーーと。


 「はあ?何だそれ。どういう事だ?」


 「あ〜『陸』君だよ。呼び出された。」と、直夏は答えた。


 ナツメとサトシが問い掛けた。直夏は答えた。『メッセージ来た』と。メッセージとは何だと俺も問い詰めた。直夏はーーナツメとサトシとも顔を見合わせてから答えた。



 『此れだーー』と。彼等は薄い黒い小型の『板』を見せた。板には不明な紋様が文字の羅列の如く並んでいた。此れは何だと俺は聞いた。リィンツィオ達も同じ疑問を口にした。サトシが答えた。



 『異世界』では其の『板』に、『文字』が『送られて』来るのだと。


 「会話も出来ますけどね。今は流石に使えないらしいです。」と。試しにーーと言った彼は自分の懐から似た物を取り出し、指で何かをして其れを俺達に見せた。そして『送信』と言った彼は又指で『板』をーー触った。ひと呼吸置いて、ナツメから『音』がーー鳴り出した。



 ナツメが見せた似た物には、『同じ記号』が表示された。全く同一の、複雑な『記号の羅列』が。


 「今回に『限り』ーーですけどね。」


 サトシは続けた。彼が言うには『今回に限り』彼等の『星』では当たり前に使える此の『機械』ーー『道具』だという其れに、本来なら使えないのに、今だけ『無理矢理』『其の力』を及ぶ様に『細工』しているーーらしい。


 「からくりはーー俺等も『詳しく』はーー理解りません。」


 サトシは言った。そして、


 「ーーと、いう訳だから、俺は行くな? なつめ、ハラ君、後は宜しく。」


 「いやちょっと」  「直夏さん。」  「「『敵』来たらどうすーー」」


 「リィンツィオとリッツがいるだろ。じゃ、こいつ等『お願いします』ね。自分達位は『守れる』ーー位には、鍛えられてますから。基本的には『気にしなくて』大丈夫ですよ。」



 直夏は真顔で、大して表情も変えずにリィンツィオ達にそう言った。苦言するナツメ達には、


 「悠緋や広陽や深織だったら、何て『言う』かね?」ーーと、


 言われたサトシとナツメは言葉を引っ込めたのだった。



 そして直夏はひとり、来た道を戻ったのだ。



 ❂__❂__❂


 俺はナツメ達に聞いた。意外だったからだ。直夏も巧の様に『消える』のだと思ったのだ。が、彼は其れは出来ないらしい。リィンツィオ達も顔を見合わせていた。


 直夏は『人間』らしい。ナツメとサトシが言うには、彼の『父親』が『神』なのだと。そして詳しくは『説明出来ない』と言われた。だから聞かないで欲しいと。それ以上語るのは、ルールに反するらしいーー彼等はそう言った。



 「「俺達、『弟子』クビになりたく無いんです」」ーーと。理由は、語った。



 「海君ですね。」と。海と「友達でいたいから。」だと。苦笑いした。そして、



 それにひと呼吸置いたリィンツィオとリッツが互いの顔を見てから笑ったのだった。『成るほど』と。ーー『仲間』ーーなのかーーと。




 異変はその時に起きた。




 ❂__❂__❂



 「ーーて、訳だよ。」


 「そりゃご苦労様。『イノシシ』かあ~『ウチ』、其れは『もう』居るんだよなあ。悪いけど。」


 『外に出ろ』ーーと言われた俺達は一先ず『外』に出たのだが。



 「? 何だ?『来ない』な?」


 と、華月 陽藍が言ったので、先程から約『五分』程、俺達は立ち尽くしたままだった。暇だから『洞穴ダンジョン』内での『説明』をーーしていたが。



 サトシ達とリィンツィオ達が、やたらと頷く中で。地響きを感じた俺は警戒すると、『ブラッディボア』の群がーー突撃して来たのだった。流石『猪突猛進』だよとーー皮肉る暇は無かった。あの時はリィンツィオ達も焦ったが、先ず『俺達』は『結界』に護られていたーー事が幸いした。


 結界が無くば、多少のダメージは食らっていたかもしれない。だが、意外に一番冷静だっのはユリシアだ。



 横でちいさくユリシアの声が聞こえた気がして、彼女を見たのだ。『呪文』だった。『護符』呪文だ。『時空』魔法系列の。



 ユリシアの言葉は発動し、猪共の『スピード』を『殺し』た。速さを削がれた獣達は、急に鈍り出し、まるで停まった様だった。歩く様なスピードに為る。そしてその間にユリシアの次の『言葉』は発動した。



 『風』だった。風の爆弾、爆発的風力はーーボア共をーー遠退けた。風によりボア共は進めなくなった。その間に彼女に言われた俺は、『次の力』ーーを発動させ、獣の群れをーー蹴散らした。文字通り『吹っ飛ばした』のだ。火力で。洞穴が崩れない程度に『加減』したので、威力は落ちたーーが、リッツ達がいたので、気にしなかった。案の定免れた向って来たボア数匹はーー、剣によって倒された。



 リッツとリィンツィオは勿論だったが、参戦した俺よりも、『ナツメ』と『サトシ』がーー想定よりも『活躍』だった。ーー戦闘要員では『無い』とーーどの口が言った? それが俺の『感想』だった。


 リィンツィオが一匹、リッツが三匹倒す『間』に、二匹引き付け倒した『俺』を余所に、ナツメが二匹、サトシが四匹・・仕留めたのだ。…………片付け『過ぎ』…………だろ。




 因みにリィンツィオが一匹しか倒せて無いのは、通路が狭過ぎて、大剣が振るえなかったからだ。リッツは小回り利かして三匹仕留めたけどな。流石『剣のみ』ーーの奴は、振り加減が『違う』ね。兼業屋と違って『専門』屋だからな。ーーで、だ。




 『サトシ』ーーだよ。お前、身軽過ぎるだろ。何だあの動きは? 甘く見過ぎてて、軽く驚いたーーわ。お前には。





 勿論巧がいなかったので、リッツ達がボアの素材を諦めたが、俺が『回収』した。使えるからな。俺も。




 薬草やら何やら『採取』するには、必要だったんだよ。『収納』はさ。手も触れずに『大量』を一度に『回収』する『化物』クラスでは無いけどな、俺は。



 「『ボア』をーー飼ってんのか?」


 依頼主陽藍にーーそう聞いた時だった。



 「やっと来た。全く。『問題児』だよ。」


 華月 陽藍が俺の質問に応えずにそう言ったのは。





 「ーーーーっ、ーーーーなんだーーーー『アレ』は?」





 空を覆う様なーー黒い雲に似た『モヤ』をーーーー未だ遠い空に見たリィンツィオの口から漏れた『呟き』がーー俺の耳にも届いたのは。





 何だも何もーーーー大方今俺達と『対して』いる、『問題の靄』だろうよ、あれはさ。







 『俺達』の想像や予想よりも大幅に『デカかった』ーーだけで。『彼等』にはーー想定内なんだろうーーよ。





 焦りも慌てもせずに、あれを出迎える『彼等』には。




 兎に角俺は聞いておいた。『あれ』は『何回』倒せば、『消える』のかーー?と。何度目だよ?と。





 横の依頼主は、唇の端を笑みの形に動かしたーーそれだけだった。

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