【フェーズ】
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・【フェーズ】
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『一般人がSNSをするな』
『するにしても身元を晒せ』
こんな暴論とも言える意見のフェーズが変わったように思える。
突然芸能人たちがこぞって賞賛し始めたのだ。
そういうフェーズに入ったのか、それともそういう指示が裏で出始めたのか、なんて陰謀論を考えてしまう。
裏なんてきっと無いのに、組織的に誰かが動き出したかのように考えてしまう自分がいる。
でもあまりにも芸能人がたくさん褒めていくので、何だか違和感を抱くところもあって。
あとお笑い芸人とかも賞賛する人がいるんだけども、何故か決まってネタを書いていないほうのお笑い芸人がそういうことを言っている。
一般人をバカにするようなお笑い芸人は決まって、ネタを書いていないか、積極的にもうネタを書いていない人ばかりだ。
一般人も意外と創作活動をしているという目線が無いのだろうか、創作物というものに興味が無いので一般人も創作活動をしているという前提さえも分かっていないのだろうか。
今の時代、結構いろんな人が創作活動をしている。もしかしたら『一般人がSNSをするな』に賛同している一般人は自分が創作者枠だと思っているのかもしれない。
『洗練された俺の呟きはもはや創作物だ、欲しいものリスト公開しています』みたいなことなのかもしれない。だとしたらそれは小説や漫画を舐め過ぎているとも思う。
でも自分の呟きを芸術品の類だと思っている人たちは結構いるのかもしれない。僕はそんなことは思えないけども。呟きは呟き、吐き捨てた言葉なだけだ。やっぱりゴミに近い。
そもそも自分で考えた呟きじゃないものを呟いている人もいるだろう。もしかしたら生成AIに時事ネタを考えさせて呟いている人もいるかもしれない。
それくらい生成AIは身近になり、誰でも使えるものになっている。
生成AIで二次創作のエロ絵を軽く作って、欲しいものリスト公開していますなんて人も絶対いるだろう。skebまでいくと抵抗感があるけども、欲しいものリストくらいならいいだろうって人はいると思う。
長谷川ブックスの話じゃないけども、生成AIに一体何の意味があるのだろうか。プロンプトに自分の意向があるから、自分の所有物なのだろうか。
絶対そんなことは思えないけどなぁ。
さて、今日は長谷川ブックスのラジオ配信の日じゃないけども、夜も起きていないといけない。
何故ならハイシー出演の音楽番組が今日の深夜にあるからだ。深夜番組とは言え、天下のNHKだ。胸が躍らないはずがない。
ハイシーの練習はLINEメッセージからも、何なら動画も送ってくれて、感想を聞かれたりしたので、頑張りはよく分かっている。
僕はスマホを片手に、ハイシーの放送を待った。
いつもはずっと憂鬱な気持ちを抱えて生活しているんだけども、今日は楽しみな気持ちしかなかった。
放送開始時間になり、一応SNSのタイムラインを見ながら、ハイシーの出番を心待ちにしている。
ハイシーのグループ・エンドレスマイルは無名だけども、だからって本当に誰にも知られていないわけではなくて、多少なりにファンがいるようで、
『エンドレスマイルの地上波デビュー、熱』
などの呟きが散見される。
僕以外にもハイシー個人のことを楽しみにしている人もいるのかな、そんなことを思いながら、ついにエンドレスマイルの出番になった。番組のハッシュタグ付きの呟きしか見れていないけども、
『何この顔面偏差値高いグループ』
とか、
『ヤバ、イケメンかも』
など、エンドレスマイルのことを知らない人も好反応を示しているっぽい。
トークはそこそこにエンドレスマイルの楽曲がスタートする。
揃っているダンスに、ソロで代わる代わるカッコつけるターンに、社交ダンスのようにペアになって六人組のグループが三つに分かれてダンスをするシーンなど盛り沢山。
歌もちゃんと口パクじゃないで歌っていて、タイムラインの熱も帯びていく。
元々のファンも、知らなかった人たちも熱狂しているようだった。
SNSのタイムラインにはアンチは一人もいなくて、かなり上々な感じ。
そこが本当に嬉しいんだけども、その反面、取り残されているような感じが少しだけした……いや、元々取り残されているんだけどな、何を今更という言葉が浮かんで、僕の表情はスンと落ち着いた。良い意味で落ち着いたわけじゃないけども。
生放送も無事終わり、僕は落ち着いた状態で寝ようかなと思っていると、即座にハイシーからLINEが送られてきて、メッセージと共にハイテンションな面持ちで舞台裏にて写真を撮るハイシーと他のメンバーたちの写真が送られてきて、逆にこんな写真、僕なんかが見ていいの? と思ってしまった。絶対自分たちの公式SNSにあげるべき写真でしょ。
勿論すぐにメッセージを返信すると、矢継ぎ早にまたメッセージが送られてきて、もうハイシーはかなりハイになっているようだった。
というか(多分)最初にLINEする相手が僕ということが本当に嬉しいというか、なんというか。
未だに僕を大事にしてくれていることが分かって、心の底から嬉しかった。
でも同時に、僕のことを忘れてもっと遠いところへ行ってほしいとも少し願った。
もっと大事な人が向こうでできたっていいとは思っている。なんせ僕はこのていたらくなんで、なんて何で自分を逆鼓舞するような言葉が浮かんでしまうのかな。
自分のネガティブ思考が本当に好きになれないし、慣れない。実家のドアノブがスライム状くらい慣れない。そんなことは無いけども。
次の日、夜遅くまで起きて若干物音を立てていたことを家族に知られたせいもあるのだろう、ドアをノックされて、ドア越しに母親からこんなことを急に言われた。
『大学病院にカウンセリングに行かないか?』というような話だった。
話によると、精神科病院よりも、もっとライトに相談ができて良いという話だ。
きっと僕が不眠症なのかもしれない、何か悩んでいるせいで眠れないのかもしれない、と思っているみたいだ。
悩んでいる、か……でもそうか、僕は確かに悩んでいるのかもしれない、否、悩んでいるんだろうな。
過去のイジメで人間関係が怖くなって、一歩が踏み出せなくなったんだから、そりゃ悩んでいるんだろうな。一般的にはこれを悩んでいると言うのだろう。
イジメはイジメで本当に怖かったわけだけども、それ以上に怖かったのはむしろイジメが終わったあたりでのこと。
僕は当時聴いていたお笑い芸人のラジオで貰ったキーホルダーを通学バッグに付けていた。それに気付いたハイシーが僕に話し掛ける形で仲がスタートしたわけだけども、ハイシーが僕と会話するようになってから、ピタッとイジメが無くなったのだ。
ハイシーは、ちょっと天然なところ(ちょいバカなところ)と、圧倒的なイケメンで、クラスの人気者だった。
そのクラスの人気者が僕と仲良くし始めたら、本当にすぐにイジメが無くなった。クラスの人気者が関わるものは全て正になることが無性に怖かったのだ。
この顔面格差というものが僕には恐怖過ぎて、イジメに参加していた女子以外の女子も、何か無理になってしまった。
そんなことを改めて高速で反芻した結果、悩んでいるというかこんな話をカウンセリングでしてもなぁ、とか思ってしまい、一応保留にした。
それ以降は母親からも(父親からも)ガンガン詰められることはなく、保留のまま一日が経過したところで、このことはそんな言われないかもと思って、ホッと胸を撫でおろした。
僕は正直言われたその日はビクビク生活していたけども、それ以上言われなかったので、多分もう言われないだろうと思って、次の日から平常心でSNSを眺めることができている。
とは言え、見ているSNSの内容は本当『一般人がSNSをするな』『するにしても身元を晒せ』への言及ばかりで、その言葉自体も、つい見てしまう自分も本当に嫌になる。
勿論否定派は未だにいるけども、何だか勢いが衰えているというか、否定すると肯定派からネチネチとした返信が届き、喧嘩になったり、もう嫌になったりといった感じだ。
肯定派は肯定派で、いちいち否定派の呟きを見つけては喧嘩を売っていて、性格が終わっていると思う。
決まって『貴方が無職だから恐れているんですね』という文句をつけていて、それこそ元々の『一般人がSNSをするな』の話なんじゃないか?
『誹謗中傷をする一般人がSNSをするな』みたいな話だったのに、それをネタにして人に誹謗中傷をしている。
覚えていないというか経緯とか調べないのか、調べずに見出しだけで全てを分かった気になって、ただただ自分が気持ち良くなるためだけにSNSを使っていて、ハッキリ言えば気持ち悪い。
人が快楽に浸っているところを遠目から見る時は、得てして不快なものだけども、このSNSというヤツはどこでもそんな連中を観測することができる。
と思っている僕も傍から見たらそうなのかもしれない。悪口はSNSで言わないようにしているつもりだけども、何らかの差別が滲み出ているのかもしれない。
だってこんなことを考えるような人間だもの。きっと気持ちの悪い成分が匂っているのかもしれない。他人のフリ見て我がフリ直せ。という、ことわざでどうこう考えるのが既に老害おじさんではあるんだろうな。
二十三歳でも無職でSNSばかりしていればもう立派な老害おじさんだと思う。老害おじさんかどうかは年齢では決してないということは分かっています。
せめてこの世の邪魔にならないよう、リポストだけにしようか、そういう心掛けでいくことにします。
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・【ハイシーの画像】
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いつも通り、SNSを巡回していると、突然のとある画像に僕は目を丸くしてしまった。
なんとハイシーの裸の画像が現れたからだ。
確かにハイシーでよく検索しているし、タイムラインもフォロー中じゃなくてオススメを見ているから、知らないアカウントの突然の画像には慣れているけども、まさかハイシーの裸の画像とは。
しかもその画像は上半身裸の、インスタグラムの無断転載みたいなものじゃなくて、なんと股間も丸出しになったハイシーの画像。
でも『画像が流出したんだ!』とは一切思わなかった。何故ならこの画像のハイシーの股間がダビデ像並に小さかったからだ。ダビデ像の時代って股間が大きい人はグロテスクで気持ち悪いという概念だったらしい、この世で一番いらない雑学。
いやいやそんな脳内雑学披露の儀じゃなくて、ハイシーの股間はこんなに小さくはない。中学生の時点で相当デカかったはず。
つまりこのハイシーの裸の画像は生成AIで作られた、簡単に言えばディープフェイクだ。ディープフェイクなんて言葉が簡単に表現するために使われる世界なんて嫌過ぎるけども。
僕はすぐさまハイシーに連絡を、とも思ったんだけども、こういう”陰口があったよ”と伝えるような行為も陰口の一種では、と思って躊躇した。
けどもハイシーはそんなこと気にしないかとも思い、やっぱり運営側にも伝わって対応してもらえたほうがいいだろうと思い、ハイシーにスクショ付きでメッセージを送ると、
『最近は生成AIを使って、こういう画像を作られるからなぁ、人気者はつらいね!』
と明るく返信がきた。
何かニュアンス的にこのまま終わりそうだったので、
『運営にも伝えたほうがいいよ。』
と送ると、ハイシーからは、
『まあ既にこういう事案はあるから、どうにかしてくれるっしょ!』
とサムアップしていること確定な文章が返ってきた。
でもそうか、運営だってもう知っているというわけか。じゃあいらん心配というか、むしろ気持ち悪い画像をスクショで送りつけてしまって申し訳無かった。
僕はまたSNSの巡回に戻ったわけだけども、実際に行なった公式のインスタグラムでのノリとかじゃなくて、という画像がどんどん目についてきた。メンバー同士でキスをしているBL画像や、裸で抱き合っているヤツとか結構な量。
イケメンだとこんなことも起きるんだと改めて人間が怖くなった……というか結局僕のようなブサイクも、ハイシーのようなイケメンも被害を受けるということ?
いやまあハイシーはアイドルという出役だからという側面もあるだろうけど。
何で人間ってこんなに簡単に加害してしまうのか、それとも生成AIでBL画像を作るとかは加害とも思っていないのか。
どこまで罪の意識があるのか、これを見たら人はどう思うかという部分が希薄のような気がする。ここは誹謗中傷とも繋がるような話だ。
とにかくこれをしたら周りの人からどう思われるかが抜け落ちているというか、だからって監視社会が良いとも思わないけども、多少のモラルはやっぱり大切だなと再認識した。
こんな感じでゆるゆると時間だけが経過していき、長谷川ブックスのラジオ配信の時間がやって来た。
いつも通り遼太朗が楽しそうに、
「長谷川遼太朗の、長谷川ブックスー!」
翔也が呆れるように、
「もうツッコまないけどさぁ」
遼太朗が笑いながら、
「さぁ、公式に俺だけとなったわけですが」
と言えば、すぐさま翔也が、
「そういうことじゃないよ! 三人で長谷川ブックスのラジオ配信だよ!」
遼太朗は上機嫌そうに、
「最初からそう言ってよ」
翔也が即座に、
「こっちの台詞だよ!」
と言ったところで圭が、
「じゃあ同時にみんなで合唱しようよ!」
遼太朗と翔也がまるで同じ空間にいるように、
「長谷川ブックスー!」
と言ったのち、翔也のほうが、
「これ合うっ?」
とビックリするように言った。
遼太朗は戦々恐々としているような演技で、
「もしかすると翔也、東京の本屋に移籍して東京にいる? 俺の後ろにいる? いやでも翔也に東京へ行ける実力は無いはず……」
翔也がデカい声で、
「何でぼくの能力ディスに繋がるんだよ! 合ったことを褒め称えあえよ!」
遼太朗が仕切り直すように、
「というわけでね、そっちの田舎本屋はどうですか」
翔也が「ちょっと」と小声で言ってから、
「田舎という枕詞いらないでしょ、こっちの本屋は別にいつも通りお年寄りがナンプレ買って行くよ」
遼太朗が笑ってから、
「田舎の表現巧ぇー、こっちはね、何かAIで売れる本の予測をして仕入れましょうみたいになっていてさ、もう思考力が死んでます」
翔也も笑って、
「じゃあもうそっちのほうが終わってるじゃん」
遼太朗が「はー」と言ってから、
「もう終わりも終わり、全然都会のほうが終わってるね、amazonのランキングでいいもんね、そんなん」
すると圭が、
「じゃあジュース屋でも始めろよ!」
翔也が矢継ぎ早に、
「突飛過ぎるよ!」
と言えば、遼太朗が、
「もっと長くツッコんでやれよ、圭のお通りだぞ」
翔也が「ちょ」と少し困惑してから、
「ジュース屋って何だよ! リンゴは通年で買えるから大体リンゴジュースを売っちゃうなぁ、じゃぁないんだよ!」
遼太朗が爆笑してから、
「ジュース屋の引き出し少な過ぎだろ!」
翔也が恥ずかしそうに笑ってから、
「そんなもんでしょっ。というか本当にAI予測で行くの? そっちの本屋」
遼太朗が「いやー」と言ってから、
「分からんけども、そうかも。もうさ、人間が売っている必要無いんだわ、全部セルフレジになったし。全然レジくらいするけどね」
翔也は「そうだね」と小声で言ってから、
「こっちの本屋は個人商店みたいな感じだけども、大手チェーンの本屋は田舎でも、もう全部セルフレジだよ」
遼太朗が頷きながら、
「というか店長とかもさ、レジしてあげると客がつけ上がるから基本はセルフレジやらせろとか言うんだけどもさ、図書カードを初見でセルフレジできるはずないじゃん」
翔也が吹き出してから、
「図書カードを初見でセルフレジさせる店なんてあるのっ? 図書カードは普通のレジにするでしょ!」
遼太朗がちょっと腹立っているように、
「あるある、本当あんのよ。俺がセルフレジに行って説明すんのよ、図書カードはリーダーに置きっぱなしにしておくんです、みたいな。誰が分かるんだよ! 何でバーコードはすぐに放すのに図書カードはリーダーに置きっぱなしにするんだよ! 俺も忘れそうになるわ! 二回目の図書カードの人とかも絶対忘れてるわ! 図書カードってそんな頻繁にもらうものじゃないから!」
そのタイミングで圭が、
「結構もらうよ! 親戚のおじさんから!」
と言ってきて、翔也が困った感じで、
「じゃあ何か、その親戚のおじさん、新聞の投書とか採用されやすいんだろうね」
遼太朗が相槌を打つように、
「才能のあるおじさんね」
と言って、僕は何か笑ってしまった。
でもそうか、図書カードってコンテストの副賞がちだから、いっぱいもらえるんだったら、才能のあるおじさんだろうな。
遼太朗が「まあね」と言ってから、
「セルフレジはまあよくて、売れ線考えるのもAIってのは本当納得いっていなくてさ、書店員のセンスも必要だよなぁ。翔也は何してる?」
翔也はう~んと唸ってから、
「結構難しいナンプレも置いてるかな、超難問と書かれているヤツ」
遼太朗が笑ってから、
「人間が考えているなぁ、田舎のお年寄り過ぎるけども考えてるわ。AIって何か人間に優しくしようとするよな、または舐めてる」
翔也も頷きながら、
「そうそう、同調しようとしてくるよね。例えばこのルーティンは健康ですか? って聞いたら健康と答えて、でも本当は不健康なルーティンかも、どうかな? と聞いたら、不健康かもしれませんって言ってきて、もう聞き方だけなんだよね、AIって」
すると遼太朗が何かムッとしているような声で、
「翔也、俺に同調してきやがって……AIか?」
翔也が即座に、
「AIじゃないよ! 同調したからってだよ!」
遼太朗がムムッて感じで、
「いやでもタイトルコールも合ったし……」
翔也は、
「逆にAIじゃ無理でしょ! 人間の息のあったプレーでしょ! あれは!」
と声を荒らげた。
すると遼太朗が、
「まあ確かにAIってデカい声出さないもんな」
翔也が今日一の声のデカさで、
「そこぉぉぉおおっ?」
と叫んだ。
すると圭が嬉しそうに、
「そこそこそこそこそこぉぉおー!」
と叫んだところで、遼太朗が、
「それはさすがに分かんない。翔也に代わってお送りするけども、それは本当に分からない」
と言ったあとに吹き出して笑った。
(多分遼太朗が)柏手一発叩いたところで遼太朗が、
「でさ、俺は結構真面目な社員だからさ、AIよりも書店員の人柄が出る方向性が良いと進言しているんだけどもさ、具体策が俺も全然出せていないから、AI優先みたいになっているんだよね」
そこで僕は一個ピンと浮かんだことがあった。最近流行っているあの手法だ。
僕はあまり生配信中はコメントを送らないんだけども、ここはと思ってコメントを送ってみることにした。
『棚を貸して個人本屋さんができるシステムが今流行っていると思うので、書店員さんバージョンもやってみたらどうですか?』
そのコメントにすぐ反応したのは遼太朗だった。
「うわ! ベイルアウトさん! それめっちゃいいね! 流行っているもんな、それ! というか俺それやりたいかも! これちょっと進言してみるわ! 有難う! ベイルアウトさん!」
翔也が感嘆の息を漏らしながら、
「それは本当に良いかも、というかぼくもやりたいよ、ぼくはぼくでもうやろうかな。本当ベイルアウトさんは大喜利だけじゃなくてそんなことも浮かぶんだね」
と高評価で何だかめっちゃ嬉しい。何だかじゃないか、別に普通に本当に嬉しい。
その後、大喜利コーナーでも採用してもらえて、最高にテンションがあがった。
ラジオ配信後、ハイシーからもLINEでまず本棚の件を褒められてめっちゃテンションがあがった。
するとハイシーからこんなメッセージが送られてきた。
『ぶっちゃけ仕事も順調でしょ? 案がキレキレだもんな! 仕事の自慢もしてくれよ!』
僕は一気に「うっ」と実際に声にも出してしまった。
一瞬ここで仕事をしていないで、引きこもりだということを言ってしまうかと思ったけども、やっぱり見栄が出てしまい、そのことは書けないまま、やり取りは終わった。
というかハイシーも余計なことを書かなければ良い気持ちのまま一日を終えられたのに、とイライラし出してしまった。
僕は結局眠れず、そのままSNSを眺め始めた。
タレント政治家の為田仁の『一般人はSNSをするな』が本当にムーブメントになってきているきらいがある。
賛否両論という状況から、何だか誰彼構わずネタにするみたいな。
その、ある種、論としての勢いが削がれたものの、みんなが言っていいギャグみたいな。
でもそういう浸透こそ僕は怖いと思ってて、その言葉が普遍的になった時、本当に始まっちゃうんじゃないかなとも思っている。考え過ぎか。考え過ぎならいいけども。
僕はなんとか目を瞑って寝ようとした、けども、結局あまり眠れなかった。いやでも記憶の無い時間帯はあったので、眠れたのかもしれない。何だこの記憶の無い時間帯って。この小さな寝るあるある。記憶の無い時間帯があるという記憶があるという寝るあるある。




