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君だけに降る星  作者: 春待 ことり
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おまけ

最終話の少しあと。

夏祭りから帰った2人の、ほんの短いお話です。

夏祭りからの帰り道、灯と陽流は手をつないで歩いていた。


 花火はもう終わり、住宅街まで戻ると、祭り帰りの人の声も遠くなっている。浴衣の袖が触れるたび、重ねた指の間へ互いの体温が伝わった。


「やっぱり、改めて灯のお母さんには報告したほうがいいと思うんだ」


何を言い出したのかと灯は陽流の顔を見上げた。


「俺たちが付き合うことになったって」


「えー、いいよ。別に」


 灯にとっては、昨日まで幼なじみだった陽流が、今日から恋人になっただけだった。家は隣で、互いの母親も小さい頃から2人を知っている。わざわざ居間へ座り、改まって話すほどのことには思えなかった。


「よくないだろ。黙ってるのも変だし」


「そんなにかしこまったら、結婚の挨拶みたいじゃん」


「けっ……結婚?」


 陽流の足が止まった。


 つないだ手まで固まり、花火の下で告白した時より明らかに慌てている。灯はその横顔を見上げた。いつもなら灯のほうが困らされるのに、今は陽流が何を言えばいいのかわからない顔をしている。


 珍しく余裕をなくした姿が妙に可愛くて、同時に、灯との結婚という言葉をそれほど意識したことが少しうれしかった。


「挨拶するだけで、まだ結婚しないよ?」


「まだって言うなよ。余計におかしくなるだろ」


「陽流が勝手に慌てたんでしょ」


 灯は笑いながら、止まっていた手を引いた。


     *


「そんなわけで、改めて灯さんとお付き合いさせていただくことになりまして」


 灯の家の居間で、陽流は正座をしていた。


 隣に座る灯は、まだ浴衣姿のまま笑いを堪えている。向かいにいた灯の母親は、陽流の報告を聞くと意外そうに目を瞬いた。


「えっ、そうなの? あなたたちの事だからとっくに付き合ってるのかと思ってたわ」


 言葉を失い、その場で固まる陽流。


 灯は隣でそんな陽流の顔を覗き込み、いたずらっぽく笑った。


「ねっ?」

今度こそ、本当におしまいです。

最後のおまけまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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