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鳥についての考察

ミニ同好会集団は勝手に意見を述べ立てる。

 どこから湧いてきたかというミニ同好会集団。その中に野鳥研究会がいた。


「ムクドリが来たらこんなもんじゃ済まなかったぞ――(ふん)

「ほう」明石(あかし)が興味深そうに促す。「ここにムクドリはいなかった――と」


「ムクドリって襲来して騒音や糞害を引き起こす鳥よね?」山縣(やまがた)が訊く。

「街路樹に(たか)って一斉(いっせい)に鳴き、うるさいし、その後の(ふん)が多いったらありゃしない」


(こめ)に群がったりするのか?」

「どうだろう。それは実験してみないとね。都市近郊に生息する野鳥の分布が知れるかもしれないけれど、そもそも米を撒いたからといってすぐに鳥が集まってくるとは限らない。生ごみを置けばカラスが来るけど、あんな小さな米粒に(たか)るのはやはりスズメか、せいぜいドバトだね」


「実際スズメとドバトだったね」

「ドバトは校内にもよく見るね」

「棲みついているんだよ。屋上の貯水槽脇に巣を作って卵を産んだりするから問題になっている」

「そうなのか?」

「糞だけの問題ではないからね。鳩の糞にはクリプトコッカスなど真菌類が混じっていてそれが体内――吸い込んで肺真菌症になったり鼻腔内から脳へと移行し脳炎を起こすことがあるんだ。鳩の糞はマスクして処理しないといけないよ」


「ふむふむ」新聞部でもある山縣は熱心にメモをとる。「マスクが必要――と」


「それで――」と明石が迫る。「――この糞の量からして鳥が集まってからどのくらい時間が経ったと推察される?」


「ムクドリの大量飛来なら数十分かもしれないけれどドバトとスズメではね一日以上かかるんじゃね? カラスやアリ、ミツバチみたいに仲間を呼び寄せるとは思えないし。実験しないとわからないよ」


「たしかに――再現実験だな」

「許可が下りるかしら?」

「交渉次第だ」

「その時は呼んでね。実験に付き合うよ。都市近郊における野鳥の分布――米散布実験」


「もったいないことするなよ」別の声が上がる。「神様のバチがあたるぞ」

「ほう――なるほど神の罰」明石は目をギラつかせた。

「それはそれ――廃棄用の古い米とか入手してさあ」

「手に入れる方法を知っているのか?」

「俺は知らないけど、そいつら食糧自給を考える会なら知っているんじゃね?」

「たしかに消費期限切れの米を手に入れられないこともない」


「ふむふむ食糧自給を考える会ならばらまく(・・・・)こともできた」山縣がメモする。

「バカ言うなよ――」


「米が新しいかどうかは見ればわかるのか?」明石が訊ねる。

「さすがに写真ではな――拡大できるのか?」

「マクロ撮影しているから」山縣が言い、適当な画像を選んで拡大表示した。

「ううむ」米に詳しそうな男子が考え込む。「新旧はわからないけど、これは混じってるな」

「混じっている?」

「白いのと透明感のあるのが混在しているように見える」

「新旧入り混じりということか?」

「というよりも――これ――うるち米(・・・・)もち米(・・・)が混じっているな」

「な、なんだとお!」明石が声を張り上げた。


 何だなんだとさらに有象無象が集まる。


「うん、実物を見ないと確信できないけどな」

「これは興味深い……」


 傍らで新聞部山縣がぶつぶつつぶやきつつ速記する。

「――その時明石会長は何かに思い当たったが如く声を張り上げ腕を組みそして顎に左手を当てて擦った。これは明石の熟考ポーズである。これが発動すると明石の脳内で連鎖反応的に推理思考の花火が打ち上がる。そう――ドドーンドドーンと……」


 一方記録者の手は止まった。


時:米がばらまかれた日の昼休み

場所:同好会室


ここの登場人物

明石透あかし とおる ミステリー研究会会長

山縣杏菜やまがた あんな 新聞部部員・ミステリー研究会会員

舞子実里まいこ みのり ミステリー研究会会員 セリフなし


その他

野鳥研究会会員

食糧自給を考える会会員


有象無象の野次馬たち

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