表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/105

80話 朝焼けの光の中に立つ影は

「話が、ある」


「ほう?」


せめて、この3人だけでも。


「僕は、この3人を束ねている」


「ちょ……」


「何を……」


アズハもミハルも動揺した声を出していた。


「だから、何だというのだ?」


「『裁く』というのであれば、その責任者だけでもいいんじゃないか?」


こちらの世界では従犯やら共同正犯やら色々あったような気がするけど、この男の考えが容易なものであることを願う。


「ふむ、続けろ」


「……貴方も無暗に市井を取り締まっているという印象が付けば、貴方に対して不信の目を向ける人たちが増えてしまうかもしれない。だが貴方も街の風紀秩序を守らなければならない」


「まぁ、そうだな」


「だから、その代表者のみを裁いて、それに無理やり付き添わされていた解放したこととなると、市井の中にも貴方に好感を持つ人が増えるかもしれません」


パーヴェルは何か、考えるような目をしている。


「あと、こちらのことをすぐに済ませて、そこの男たちを治してやったらどうだ?多少、粗暴な面がある連中だとは言え、ただの市民であることに変わりない。ここで貴方に与している人たちを見殺しにすれば、貴方の悪評が広まってしまうでしょう」


血を流して倒れ伏す男たちを指して大げさにものを言う。


畳みかけ、なるべく冷静に考えさせないようにする。


「おいパーヴェル!もういいだろ!俺たちはコイツ等をヤりたくて仕方ねぇんだよ!」


痺れを切らしたのか、男らの1人が大声を荒げてパーヴェルに怒鳴りつけた。


「五月蠅い!余の考え事を邪魔するでない!」


それに対してパーヴェルも、多少のイラつきを見せて応じた。


「ナオト……」


「……」


アズハは、青ざめながらもこちらに注意を向けており、ミハルはこちらと胡桃の方の両方に警戒の目を向けていた。


また、周りの男達はいつの間にか、いつでも攻撃できるよう、剣を振り魔法を撃てるように準備していた。


「パーヴェルさん、貴方も分かりやすく明確な勧善懲悪を、それも民衆に対していい印象を持たせながらしたいでしょう?」


「パーヴェル!早くしやがれ!」


パーヴェルは敵味方両方から急かされ、焦りの表情が出てきていた。


「パーヴェルッ!」


それも、パーヴェルが恐らく見下していそうな連中だとは言え、味方の方から強く急かされていた。


「五月蠅いといっておろうが!余は余のしたいようにする!」


「チッ……クソが……」


急かされた末、パーヴェルはその方法を決したらしかった。


「その考え、受け入れようではないか」


自らの悲観的な予想とは裏腹に、パーヴェルは自分が出した意見を採用したらしい。


「ナオト!」


「尚人君!」


「……っ!」


アズハと胡桃が制止するような声で叫び、ミハルもこちらを見て目を見張っていた。


しかし全員、なんらかの攻撃する手段を男達から向けられ、動けないでいた。


「貴様のその覚悟、確かに見届けたぞ?まあ、すぐに忘れてしまうかも知れぬがな」


パーヴェルは愉快そうな顔をしていた。


逆に周りの男達は自らの手で下せないためか、不満そうな顔をしていた。


「言い残すことはないか?一応、聞いておくだけはしておこう。栄えあるイズムルドの貴族として、な」


“栄えあるイズムルドの貴族“……か。


こんなことをしておいて、何が“栄えある”なのか訊いてみたかったが、もう、そんなことはどうでもよかった。


「ない」


「そうか。ならここに頭を垂れよ。余が直々に手を下してやる」


こうなってしまった以上、こうする他無かった。


「おいおい、パーヴェル!俺らの誰かにヤらせてくれよっ!」


「ふん。余の支援があってこそ、貴様らはこの現場を見ることができているということを忘れるでない。これはその支援を行った余の特権よ。弁えよ!」


「あーあー、わーったよ、クソが……」


男は嫌々、パーヴェルの言葉を了承したようだった。


「ナオト、お前がいなかったら、俺たちは……」


「ナオト……」


ミハルとアズハは悔しそうに、こちらを見ていた。


「尚人君がいないと、この旅の意味がっ……!!!」


「五月蠅ェッ!このアマがっ!テメェ、どういう状況か分かってンのかっ!!!」


胡桃が叫び、ナイフをあてがっている男がそれに怒鳴った。


「これで貴様も終わりなのだ。せめてその終わらせる魔法くらい、選ばせてやるが、どうする?」


「なんだっていい」


もう、自暴自棄になっていた。


この3人が解放されるならと、どうでもよくなっていた。


「ふむ。ならば、以前仕留めそこなったこの技で、仕留めさせてもらおうぞ」


そして、パーヴェルはその魔法を、満を持してと言わんばかりに唱えた。


「では、動くでないぞ。フッフッフ……。『ストームエッジ』!」


ここで自らの旅と人生が終わった。


……はずだった。


「は~……なんとか私の『マジカルドレイン』が間に合ったみたいだね!」


夜が明け、朝焼けの光の中に立つ影は、いついかなる時でも笑っている男、ボリス・ビリビンという男だった。

タイトルをこんな感じにした理由は特にありません。


良ければ是非ともご評価・ご感想を頂ければと思います!

ブックマークもお願いします!


書く気力に繋がります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ