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6話 村

自分たちをこの村に送ってくれたグランさんが目の前の建物に入ってから数分。


グランさんが出てきた。


「二人ともこん中さ入って、話してくんきゃ」


とのことで中に。


この建物はどうやら村長さんの家らしい。


人が多くいる村ではないようなので、村長さんの家が村役場を兼ねているらしい。


その所為もあってか、さっきまで見た家々よりも一回りか二回り、大きい気がする。


家の中は木造らしく木の匂いがして、そして少し涼しいと感じる。


自分と科若さんがトラックに轢かれたときの季節は秋だったが、馬車でグランさんと話したときに、今は春の中頃の季節とのこと。


ここが南半球(地球と同じような自転・公転をしていると仮定して)でなければ、季節が反転しているのか。


っとと、そんなことより村長さんとの話だ。


「あんたらが、今回の『流れ者』かえ?」


「そう、らしいです?」


今回の、とか言われても。


それはそれとして、村長さんはハシム・イドリスさんというらしい。


姓名順はグランさんと同じく、前の名ハシムが名、後ろの名イドリスが姓であるらしい。


このあたりではその名前の順番が当たり前なのかもしれない。


イドリス村長は「濃い」顔の人だった。


なんというかこう……中東とかインドとか、そのあたりの「濃さ」というか。


村長はグランさんより年上に見える。


そんなイドリス村長は自分たちに様々なことを教えてくれた。


グランさんから聞いたこととも少し被っていることもあった。


まず初めに、この周辺に関することについて。


あの「霊気の平原」では不思議なことが多く起こるということや、「流れ者」が時折現れるということ。


「霊気の平原」を包む森の名は「黒の森」という森ということ。


あの森はそこまで危険ではないが、野生動物と遭遇するとただでは済まないくらいにはある程度危険な動物が出るということ。


そしてこの村は「黒の森の東の村」というらしい。


特別、村の名前などはなく、考えるのも面倒だとのことで、「黒の森」の東側にあって最も近い村だということから「黒の森の東の村」ということらしい。


この「黒の森の東の村」は「黒の森」、そしては「霊気の平原」に近いということもあり、「流れ者」に対する対応がある程度受け継がれている。


この村では、「流れ者」がある程度自活できるまでの職能開発と短期の就労支援がある。


また、「流れ者」が帰れるように、帰るための転移魔法とでもいうべきか、その魔法のために必要な、日常でも使うような消耗品の類のものが作られている。


多く作られたものは街と行商人を介して交易し、村では手に入らないものを手に入れているらしい。


交易相手はこの村から最も近い地方都市「黒曜石の街」らしい。


このあたりから周辺に関することから国土、地理について変わってくる。


ここは「イズムルド連合」と呼ばれる国らしい。


海と山があり、それらの恵みを加工したりして貿易している一般的な国家。


国境の多くを領土拡張主義で互いに仮想敵国としている「ボルカン帝国」と接している。


100年と少し前に王国から連合、いわゆる連邦制になったのだが、その加盟国は「イズムルド共和制」のみなので実際のところ単一の共和国。


王政から変わる際の国王が法律の齟齬が文化間であると考えたための念のためらしい。


そして王室が「イズムルド共和制」の象徴存在として存在し続けているため、「共和制」としながらも実質「立憲君主制」である。


首都は「連合の府」と呼ばれていて、海に面している。


国土と地理はこのくらい。


次に魔法について。


イドリス村長に「おみゃらのところん『魔法』かあるか?」と聞かれたのでないと答えた。


魔法とは、いまだ未解明の力であり、ありとあらゆることを可能とする。


純粋な時間遡行以外はできるらしい。


時間遡行はしても並行世界の生成がなされるだけで、この世界が変わるわけではない……という仮説が存在するだけ。


他の法律は必要に応じて説明されるらしいが、魔法についての大まかな法律をされた。


犯罪に魔法を使用すると「魔法の濫用」として通常の犯罪の懲役、罰則よりさらに重くなるということ。


犯罪に魔法が使われていた際、魔法に関する国家資格を持ち合わせていないと疑われやすくなるということ。


魔法に関する国家資格は一枚のカードによって証明される。


魔法はA種(攻撃魔法)、B種(強化魔法)、C種(回復魔法)、D種(防御魔法)、そしてE種(その他の魔法)の5種類に分けられ、いくつかの水準に分けられる。


詳しくは変わるが大体以下の通りで1が受かりやすく数字が増えると高度な内容になる。

1、基礎魔法が行使できる技能、および魔法基礎知識と簡単な魔法の法知識

2、中級魔法が行使できる技能、および魔法応用知識と魔法の法知識

3、高級魔法が行使できる技能、または高度な魔法応用知識

4、高級魔法が行使できる技能、および高度な魔法応用知識


攻撃魔法が1だけできるならA1と表される。


1は大体誰でもでき、2が2人に1人くらいが受かり、3や4はそれだけである飯が食べられるほどに高度かつ合格者が少ないという。


これらの国家資格と個人の証明となる制度は以前に来た「流れ者」によって作られたらしい。


この国家資格はこの国家での証明はもちろん、友好国でもある程度信用に繋がるものとして扱われる。


車とかの免許証みたいな感じかな?


車はおろか原付の免許すら持ってないから分からないけど。


敵対的であるボルカン帝国ではこれが見つかるとスパイかと疑われやすくなるのだとか。


話を戻して魔法について。


自分たちみたいな「魔法のない世界」から来た人でもこの世界に来れば魔法が使える人がいるらしい。


というか、今まで魔法を使ったことがなくても大体この世界の魔法が出来る人と同じくらいの割合で出来るらしい。


というわけで、身分証作成にもなる魔法の国家資格の試験を明日やるらしい。


まったく才能がなくてもどれかの1はできるはずだから、基礎的な魔法の知識を学んでおいてほしいと本を二冊渡された。


魔法の知識についての本と魔法の法律に関する本だった。


一応、基礎的な魔法の法の知識はさっきの話で十分らしい。


これで一通り、今日説明するだけの分の話は終わったようだ。


これから暫く住むことになるところに移動するとのこと。


イドリス村長の家から出て、再びグランさんの馬車に村長と共に乗り込んだ。

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