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54話 連合の府

「連合の府」、「イズムルド連合」の首都にして、最大の都市。


別名は旧王都、富と癒しを与える街、万象を見渡す獅子の瞳の輝きを持つ街、など。


帝国から移動している内に冬になってしまったが、この街では降る雪が魔力灯の光を乱反射し、それが安らぎを与える風景を与えてくれる。


また、夏では隣接する海の風が気持ちいいらしい。


海の風と言えば、日本ではかなり湿気た風が不快感を与えてくれたが、この国は日本よりも高緯度地域なのか、温度と湿度がいい感じになるのだろうか。


話を戻して、街についての話。


この街がいまだどこの国にも属していなかった時、それらが良く採掘されたことから、翠玉すいぎょくの街とも言われていた。


「イズムルド王国」とは、その翠玉の利権争いに勝ち、その土地の中心地を王都とし、王城を築いて長らく治めてきた国であった。


そして、前述したことから「イズムルド」が「王国」から「連合」に代わる際、「王都」や「翠玉の街」と呼ばれていた街の名は「連合の府」という名前に変わり、王城は連合議会議事堂(及びイズムルド共和制議会議事堂)と議員や政府職員の寮の役割を持つ建物へと変わった。


今の連合内部国家は「イズムルド共和制」のみであるため、議会は現在連合議会に統合運用されており、イズムルド共和制議会議事堂としての部屋は物置と化しているらしい。


王城がもともと持っていた役割の1つである、後宮としての役割は失われ、旧王家は王城近くの「やや大きい邸宅」程度の家に引っ越したとのこと。


そんな「連合の府」には他にも様々行政機関の建造物群が存在しており、そしてそんな議員や政府職員にお近づきになりたい者たちと、政府に不満を持っているのかいないのか、とにかく政府に不満を言いたい者たちが各所より集まってくる。


そしてそういった人々が金を使い、この国は繁栄してきたのだった。


連合への移行の際の意図もあり、中央集権化がなされ、他の都市よりも繁栄しているのだ。


文化面で言えば、もともと翠玉が採掘され、それを直接売買したり、加工して販売するなどしたりして経済を動かしていたこともあり、「黒曜石の街」と「銀の街」のような面も、それらの街よりは強くはないが含まれている。


もっとも、この街の“色”として出ているのは、やはり“国家、政府、行政としての機構”と言える。


出典、ミハルさんの話に依る。


「ここが『連合の府』か……」


「ミハルさんから聞いていた通り、『銀の街』や『州都』よりも大きいですね」


「『州都』の建物よりも高い建物が多い!」


「俺は……久しぶりに、帰ってきたな……」


自分と科若さん、アズハは街の様子に感嘆の声をそれぞれ出していたけど、ミハルさんだけは回顧して懐かしんでいるようだった。


確かミハルさんは自分と科若さんが「黒曜石の街」と「銀の街」を繋ぐ街道で初めて会ったときよりも更に前に「連合の府」に居たときがあったらしいので、そう考えると数か月前になるのか。


因みに自分と科若さんは「街用の服」を着て、アズハとミハルさんは新たに買った服を身に纏っている。


そのおかげか、その服に着替えてからというもの、噂をしているような視線を送られることはなくなっていた。


「ミハルさんは、『連合の府』の街の構造とか覚えてます?地図とかの」


「少しは、な。主要な宿屋や飯屋とかはまだ覚えている」


とのこと。


ここは「連合の府」内部ではあるが、この街の入り口近くの場所であり、更に中央に行けば、より栄えているのが分かるらしい。


であるのに、アズハはここで分かるほど、建物の大きさについて言及していた。


つまり、それほどこの街は今まで見てきたこの世界のどの街よりも大きいということが分かる。


ということは、一度この街に来たことのあるミハルさんが頼りだ。


……ハッキリ言って、この街は東京やら、他日本の地方都市よりも小さいと思えるが、今はスマホやGPSはおろか、ある程度詳細な地図すらないので、一度迷ったり、はぐれたりしてしまったら厄介だ。


魔法は発達していても、地図の情報はかなり重要な情報であるのは変わりないらしく、この街の地図はかなり大まかに描かれた地図がたまに見る程度に点在している、といった感じだ。


日本の地方都市よりも小さい街とは言ったけど、それはあくまで「縦方向」についての話で、「横方向」については、それと同程度ではある。


そして「縦方向」についても、魔法を使ってある程度大きい建物が作れるためか、王城のような特別な建物でなくても、街の中央部には十数階程度の建物が乱立しているらしい。


それくらいなら、街の奥行について方向感覚を失えば、すぐにでも迷ってしまうだろう。


「取り敢えず、ここでの拠点となる場所でも決めておいた方がいいか」


「そうですね」


「街の中心部の宿屋だと高くつくから、なるべく外側の宿屋にしましょう」


「俺がこの街で一度泊まっていた宿がある。街の相場では結構安いが値段の割には悪くない寝床があって、近くにそこそこ旨い飯屋もある」


「なら、別のところを探す理由もあまりないですかね?そこって、女の子が泊っても問題はなさそうな場所でしたか?」


「ああ、暴力沙汰や女を引っ掛けるような連中は見なかったな」


「じゃあ、そこにしましょうか」


そこで、科若さんが以前思っていたことについて口にしたのだった。


「それじゃあ、これからどの道順で、どの組み合わせ行くか、宿で決める?」

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