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45話 馬車

「この2人は、それぞれ旅の目的地だったり、互いの得になりえる目標がかさなっていたりして、同行してる仲間です。男の人はミハル・マサリクさんといって、僕と科若さんより1歳年上で、女の人の方はアズハ・ミーシンという人で、僕たちより1歳年下の子です」


「はぇ~、一緒んいるんが増えたなぁ~」


因みに、エフセイ・グランさんは「外」から「イズムルド」に来る途中だったとのこと。


自分たちが「黒の森の東の村」で泊まることになった次の日に「外」の国に渡り、僕たちが旅をしている間に「外」の国々で売買を行い、そして今になって再び「イズムルド」にくることになり、自分たちが「ボルカン帝国」から「イズムルド連合」に帰るときとたまたま重なり、合うことになったようだ。


自分たちはこの道に入ってからまだまだ殆ど歩いた時間がないというのもあるけど、「ヘイスト」を使わず、休憩も挟んで歩いていたというのと、グランさんは馬車で食事と睡眠時以外は休まず移動し続けていたため、自分たちに追いついたのだろう。


「んじゃ、乗ってくかぇ?」


「良いんですか?」


「最近、ここいらぁ、物騒になってるいうな、どっちゃの兵卒もそんだが、盗賊みたんなんも現れとん知れん。護衛っちゅうの込みでやってくれんか?」


「それならいいですけど……、グランさんは『外』で護衛の人たちを雇わなかったんですか?」


「それ聞いたんは、他の馬車とすれ違ったときに聞いたから、前に出るときはまだまだ安全やと思っとったんき」


なるほど。


それでも1人で安全なのかと聞きたくもなったけど、自分たちが最初に出会ったときは、グランさんは1人で「イズムルド」から「外」の国に行こうとしていたみたいだし、この道はもともとそれでも大丈夫なほど安全なのだろう。


「2人は中で休んどって大丈夫んけど、2人は幌の上で見張りしてくれんかぇ?」


「はい、分かりました」


特に他の仲間たちも他に意見はなかったようだ。


「それで、組み分けはどうする?」


自分は適当に分かれるだろうと思っていたけど、科若さんは気になったらしく、聞いてきた。


う~ん……、適当でいいとは思っていたけど、これを機により話しやすくした方がいい組み合わせもあるかも知れない。


問題はアズハを誰とくっつけるか、だ。


自分は科若さんとは最初から旅の仲間として同行しているし、ミハルさんとは同性で気兼ねなく話せているかと思う。


科若さんにとって、アズハは同性で、ミハルさんはアズハよりは長く旅に同行しているけど、どちらとを一緒にした方がいいかは未知数だ。


アズハさんから見れば、自分もミハルさんも異性で旅の仲間になったのも同じ時期でどちらかにというアドバンテージはないだろう。


ミハルさんにとってアズハが一番新しい仲間でかつ異性だから最適かとも思うけど、それだと自分と科若さんのペアになって、そちらの新規性が欠けてしまう、と思う。


「じゃあ、僕とアズハのペア、科若さんとミハルさんのペアはどうかな?ミハルさんは僕と同性だから話すことも多いから一番話す機会が少ないとも思えるし。あと、科若さんとミハルさんは異性で、この旅が終われば必然的に分かれちゃうことになるから、今の内に話せることとかあれば、話しとくのとか良いと思うから」


「うーん……そうだね。それがいいかも」


とのことで、見張りと休憩のペアは自分とアズハ、科若さんとミハルさんのペアで行うこととなった。


最初は科若さんとミハルさんが見張り、自分とアズハが幌の中で休憩という順番になった。


因みにそれを決めたのは、自分と科若さんのじゃんけんだった。


……。


「そういえばアズハは、帰る手立てとか、ちゃんと考えてある?」


「帰る手立て……、ですか?」


「僕たちの目的地の内で、その途中で分かれるかどうかはまた別として、『月見草』を採ったあと、僕たちは別の場所に行くからミハルさんとアズハと別れることになるけど、そのあと、アズハは帝国にまた戻ることになるでしょ?ミハルさんは一緒に帝国に行ってくれるって、少し前に言ってたとは思うけど……」


「いえ、特にこれと言っては……。『イズムルド』に行く道を使って帰るつもりでしたから」


「それでいいとは思うけど、場合によってはこの道が使えなくなることとかも考えて、他の道や方法とかも考えた方がいいと思うよ。そのときは、僕と科若さんはいないと思うからね」


「そういえば、桜木さんと科若さんは、どうして旅をしているんでしたっけ?」


「あー……まぁ色々あってね。必要なモノを集め終わったら、『イズムルド』からまた別の場所に帰るためにね。その帰るために必要なモノを集めるために旅をしてるってわけ」


「そうなんですか~……?」


「……アズハは帝国に帰ったあと、なにかする予定とか……計画みたなのってあるの?」


「そうですね~……」


こうして暫くの間はグランさんの馬車に乗せてもらって、多少長くはあれど、比較的快適な旅を過ごせることになったのであった。

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