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3話 説明

科若さんにストーカーと誤解(誤解でもないのか?)され、どう説明しようか……。


ええいままよ、もう正直に話そう。


「実は―――」



彼女が自分の持っているギャルゲの世界のヒロインと同じであることを伝えている間に、なぜ自分がさっきの質問で彼女が本物であったかを説明しよう。


まず初めに、国土に関する情報。


彼女が言ったのは、沖縄はアメリカの準州、中国といえば中華民国、東トルキスタンとモンゴルが独立と統合をしたということ。


彼女はそのことをさも当然のこととして言った。


勿論自分の世界では沖縄は日本の領土、中国といえば中華人民……の方、東トルキスタンもモンゴルも、独立、統合はしていない。


これは「モモミネウィンドリグレット」の設定・裏設定の数々だ。


世界観を一応共有する前作、「ハナイロブルーミング」の設定や、店舗限定初回購入特典の資料集、もちろん「モモウィグ」でサラッと説明される社会の授業のシーンなども。


この情報が知っていて「あたりまえ」だということ。


これがまず一つ目。


次に科若胡桃の設定。


これを口にすると彼女はドン引きしていた。


この情報をしっていると「変」であるということ。


これが二つ目。


もし「モモミネウィンドリグレット」という作品のみを知っている、“こちら側”の世界の人ならヒロインの情報の方を知っていて、裏設定やあまり出てこない設定を知っていると奇異の目で見るだろう。


だが彼女の反応は逆。


コスプレイヤーがすっとぼけている可能性は低くなる。


偶然赤信号を無視してしまった自分をトラックに轢かせ、こんな高度なドッキリをしているのなら寧ろひっかかってもいいだろう。


ドッキリならドッキリで今後に期待だ。


「というわけでして……」


「……」


っと、そうこうしているうちに彼女への説明が終わった。


出来るだけ丁寧に説明したつもりだけど、信じてもらえるかどうか……。


「う~ん……」


彼女は腕を組み、なかなかに渋い顔をしていた。


自分の世界がギャルゲの世界とは、なかなかに信じられない話だろう。


「じゃあ……」


何を聞かれるのだろうか……正直、証明できるものなんて今の自分にはない。


勿論のことながらそのギャルゲのパッケージなんて常時持ち歩いているわけではない。


「そのゲームでは他に誰が攻略可能なヒロインになっているんだ?」


まさかの質問。


さっきの説明では彼女が「萩野憂」のルートにおいてどういう経緯を辿ったかしか説明してなかったので、ほかのキャラのルートのことでも気になったのだろうか。


とりあえず全てのルートを説明すると長いので簡単に説明。


「なるほど……」


まだ渋い顔をして考えている。


そりゃそうだろう、ほかのルートでも共通ルート終盤から個別ルート序盤の間で死ぬことが確定しているのだ。


さっきとは別の意味で渋い顔をしていても当たり前な理由だ。


「他にもうちょっと……ないかな?」


これはもう少し説明すればイケるか……?


「そういやシュガーベーグル……いや、カスガーベーグルっていうギャルゲブランドを知っていますか?」


「え?……あぁ、知っているけど……」


発売ブランドシュガーベーグルは作品中ではカスガーベーグルとされている。


「その作品の『ハナイロブルーミング』という作品は?」


「知ってる……」


「その続編です」


「なっ……!?」


シュガーベーグルのゲームは大抵販促として前作を共通ルートの体験版でもできる範囲で多少なりとも触れられる。


彼女もそのことについて触れている一人だ。


「ということは……しかし……うーん……」


今度こそ大丈夫だろうか。


「最後に聞きたいんだけど、『ハナイロブルーミング』の前作、『オトメプルーフ』のセンターヒロインの担当声優って」


「……同じですね」


「そう……」


そういって彼女は天を仰ぎ、暫く黙り込んだ。


というか、彼女の声、本物とほぼ同じだ。


少し違うのは、ゲーム内の声は「演じている」感があるけど、彼女は地声でコレだからだろうか。


直に比べたわけじゃないけどそう感じた。


……ということは萩野憂の声は藤沢〇い香さん似で、後輩ヒロイン秋風竜胆あきかぜ りんどうの声は藤〇茜さんの声似で、先輩ヒロイン神無月桜かんなづき さくらの声は種〇敦美さんの声に、担任の先生の声は田〇涼子さんの声に聞こえるのだろうか……。


「ハナイロブルーミング」の親友キャラ、南風都理想はえと りそうの声の担当は木〇良平さんだけど、これ以前の作品も同様なのだろうか。


そんなことを考えていると彼女はまっすぐな顔でコチラを見てきた。


美人だからそんな真剣な顔で見られると照れるな。


「分かったわ。あなたの言うこと、信じる」


「いや、こっちもそういうコスプレしている人だと思っていたから……ハハハ」


「そうですね……ゲームみたいな人がいたらそう見えますよね……フフッ」


笑顔も綺麗で少し目を逸らしてしまう。


兎にも角にも、一応互いに信用することができたのでよかった……ということにしておこう。

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