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32話小話5

本日最後の投稿です。


R-15要素というか、CER〇:C相当要素というか……そんな感じです。

「彼女がずっとニーソックスな理由」


「州都」では、色々なものが揃っている。


食べ物、道具に服飾。


旅に関するものから全く関わりのないものまで。


店の種類は「銀の街」で見た種類よりも多く、数でも引けを取らないほどだった。


こういうのは、ウィンドウショッピングをしているだけでも楽しい。


例え買うつもりのないものでも、新たな商品と出会えるのは価値のある時間だ。


もちろん、旅の中で必要なものも調達してはいるけど、ウィンドウショッピングして心の休息も兼ねて行っている。


因みに今は科若さんと二人だ。


ミハルさんは探したいものがあると言って、書庫や書店の多い通りに消えていった。


そうしていると、科若さんはある店の前で立ち止まった。


「う~ん、服かぁ……。あ、靴下ある。もうそろそろ一足分だけ買っておこうかなぁ~。もうすぐ穴開きそうだし……」


服屋だ。


それも、靴下を買いたいらしい。


今は膝丈の靴下、所謂ニーソックスだけど、次はどのくらいの長さのものを買うんだろう?


「ガーターリングもついでに買っておこうかな~」


と、思っていたら、彼女が手にしたのはやはりというか、ニーソックスだった。


「科若さんってさ」


「んん?」


「いつも靴下買うときニーソックスだけど、何か理由があるの?」


「え」


自分としてはごく普通というか、日常会話に入るような話の切り出し方をしたつもりだったけど、科若さんの顔は驚愕に塗れていた。


え?靴下の話ってセクハラとかに入っちゃうの?


どうしよう……今まで碌に女子と話したことがないから、こういう微妙なアウトかどうかのラインが分からない……。


服の話って、部分的にグレーな話が入ってくるとは思うから、避けるべきだったかな……。


とか考えていると、科若さんは目を泳がせながら応えてくれた。


「えぇと……そ、そんなに知りたい?」


「は、はい……」


ダメだ……動揺して、単純な返ししかでてこない。


こういうときって、「いや、話したくないなら別にいいよ」とか言った方がよかったのかな?


「い、い、い、いや別に!深い理由とかないよ!?え、えと、その」


「何故科若さんがそんなに動揺しているんです?」


するとなにか逆に科若さんが自分よりも更に動揺して返してきたので、自分が冷静になったような気がする。


「あー、ほら、その、なんというかええと……とにかく!さっきのは聞かなかったことにして!」


「そこまで言われると逆に気になるんですけど……」


「あうう……」


……ってアホか!?自分は!?


恐らく地雷な話を無理やりにでも終わらせようとした科若さんの提案を、何冷静に返して続けようとしてんの!?


科若さんが動揺したのを見て、自分が冷静になったと勘違いしていた。


冷静な素振りをすることが出来ているだけで、本当に動揺しているのは自分の方かもしれない。


冷静な顔して変なこと言う人って、かなり深刻なパニックに陥っているって聞くし。


とにかく、科若さんが話したくないというのなら、話を切り上げなくては。


「いや、別に無理して聞きたいわけd……」


「隠してるんですっ!」


「ゑ?」


話を切り上げる前に科若さんが大声で何かを言ってしまったので、変な声が出てしまった。


「あっ!ええっと……その」


彼女は思ったよりも自分自身の声が大きく出してしまったのに驚いたのか、声の量を落として続けた。


「隠して……るんですよ……」


「何を……?」


って、ここで「そうですか」とか言えば、話を切り上げられたんじゃないのか?


また話の舵取りを間違えた……。


どうしよう、なにかヤバ目の傷跡とか、大きな入れ墨とかがあったら……。


結構長めに一緒に旅をしてきたとはいえ、そこそこ重い事柄だったなら、受け止めきれないかもしれない。


「その、ですね……」


そうして科若さんは声を更に落としつつ、自分の耳に手を添えて、囁くように言った。


「む……ムダ毛を……」


「……」


ん?


む……だ……げ?


むだげ……無駄……毛?


無駄な毛?


「……」


「……」


……。


「……え?ム……って、あの?」


一瞬「ムダ毛」と口に出てしまいそうになったけど、なんとか飲み込んだ。


これ以上失言を重ねることはなかった、よかった。


「……」


と、科若さんは涙目になりながら、ただ黙ってコクコクと頷いていた。


「ええと……え?」


「いや……あの……女の人でも薄い方ではあるんですけど、旅に出てから処理するのが面倒になってしまって……その……」


あー……。


え?


まだ思考が追いついていない。


「ど、どういうこと?」


その言葉が出て、なんか、また話の方向性を間違えた気がする。


「脚のその……脛といいますか……脛の毛を……処理するのがぁ……」


そう言って科若さんは泣きそうになりながら口元を手で押さえ、しゃがみ込もうとしていた。


「あぁ、いや、べ、別にこれ以上話さなくてもいいから!ね?大丈夫だから!」


「う、うん……」


危なかった……これ以上行けば自分の称号に「ムダ毛問答セクハラ野郎」が加わってしまうとこr……。


「私の脛の毛……見たいですか……?」


「え?いや、どんな流れでそういうことに?」


「み、見たいんですね?」


「いや違……」


「なら見せますっ!」


「待って!」


なにをどこで間違ってしまったのだろうか。


泣きながら長靴下を脱ごうとする少女とそれを抑えようとする男の構図。


うん、完全に犯罪の香りがする絵面だ。


科若さんは完全にパニックになって、情緒も乱れまくっている。


もう完全に冷静な判断ができなくなって、ヤケを起こしているようにも見える。


「この絵面完全にヤバいから!科若さん靴下脱がないで!」


「嫌です!私は尚人君に私の汚い脛毛を見せなくちゃならないんですっ!」


「そんな義務はこの世には存在しないからっ!お願いだから変な気を起こさないで!」


正直科若さんの脛の毛って、本当に紫色が入っているのかとか気になるし、見たい気もしなくはないんだけど、見たら後で科若さんの心に大きな傷が残りそうな気がする。


「誰か彼女を正気に……。た、助けて、ミハルさあああぁぁぁぁぁああああん!!!!!!!」


州都で過ごしたある一日は、かなり疲れてから終えることになってしまった。


因みに科若さんの脛は見ることはなかった。


一連のことを帰ってきたミハルさんに伝えると、かなりウケたようで、今までに見たことないほどの大笑いをしていたのであった。

明日は朝と夕方に投稿いたします。

明日からは水曜日4回、それ以外2回の投稿に戻ります。


良ければ是非ともご評価・ご感想を頂ければと思います!

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