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32話 州都

本日はたくさん投稿してきましたが、

明日からは水曜日4回、それ以外2回の投稿に戻ります。

さて、国境付近の村、「クライ・ラヴニニィ」の宿屋の店主から「州都」を通過して、「ゴラ・ゴスポディナ」の山中……というか、麓あたりにある村、「ザ・ゴロイ」で準備し、「秋華滝」に向かう方法を聞いた自分たちは、数日を掛け「州都」付近にまで来ていた。


「あそこに見えるのが『州都』かー」


「目的地と国境の丁度中央ぐらいにあるから、片道の折り返し。帰りまで入れるとだいたい4分の1くらいね」


「流石『帝国』。一地方都市の街とはいえ、流石に『連合の府』には劣るが、『銀の街』くらいの大きさはあるかも知れん」


外から街を見て、三者三様の言葉をそれぞれ口にした。


「言っても、『州』っていうのは国の中の国、『イズムルド連合』の中にある『イズムルド共和制』って感じで、首都にも等しいから、それくらいあっても不思議じゃないね」


「「なるほど……」」


科若さんの言葉に、二人、感嘆の声を出した。


「桜木君はコモリ所長からこの話聞いてたよね……?」


やっべ。


「と、とにかく、街に入って、情報収集してみようよ。場合によっては、気を付けておいた方がいいこともあるかもしれないし……」


無理やり話を逸らし、


「今、話、逸らしたよね?まぁいいけど……」


何とか見逃してもらえた。


……。


と、いうわけで、街中で情報収集(オシント)だ。


とはいえ、大半は「イズムルド」で聞くような話や、「クライ・ラヴニニィ」の宿屋の店主から聞いた話と変わるものはなかった。


軍事強国であるということ、そしてそれが理由であるからか、田舎の者はともかく、街の兵士、軍人ではない者も血気盛んな者多いということ。


食料自給率が1を切っていて、貿易と弱小国・属国(への恫喝(どうかつ)と、それに応じる彼ら)からの朝貢(ちょうこう)で国民の食を支えているということ。


これらの話は他でも聞けたが、次の話はここに来てから分かったことだ。


「ボルカン帝国」全域で、技術は率先して「生活」より「軍事」へ優先されている気風があり、生活に必要で、軍事には必要のない技術はあまり発展していないらしいということだった。


一例を挙げると、「イズムルド連合」の殆どの街で見かける「魔力灯」。


これは、平時にしか必要のない技術で、敵国に攻め入られたらそのまま敵に使われかねないうえ、逆に迎撃や攻め入るときにはあまり使えない技術だ。


行軍では魔術師数人が交代しながら照らす魔法「ライトアップ」を使っていればいいし、軍の一時的な駐留地では、近場の木を切って、火の魔法、例えば「ファイアボール」などで着火していればいいだけのもの。


「ボルカン帝国」で開発されないのも頷ける。


非魔法、魔法問わず、技術技能はほぼ軍事分野から民生に降りてくる、といった形だ。


「イズムルド連合」と比較した場合、軍事技術は「ボルカン帝国」が上で、それ以外の技術は「イズムルド連合」に軍配が上がるかも知れない、といった具合だった。


こういった気風、雰囲気、伝統といった感じの国らしい。


正直、この国自体のことについてはこういう話以外あまり新たな話は聞けなかったので、次に情勢など、最近の出来事を聞いてみることにした。


街の人から聞けたのは、引き続き外からでも聞けるような情報だった。


先の食料関係の話から、「イズムルド連合」の技術を奪おうといつか戦争を起こそうと画策しているらしいということ。


他、どこどこと領土の帰属がどうのこうので、紛争が起きたり止んだりしているらしいという、元の世界でもどこにでもあるようなことなど。


これくらいだった。


だが、街の警備を担当しているらしい騎士?のような人からはこういう話も聞けた。


「あー、最近、軍の方が何かきな臭いことになってきててな……」


「どんな風に、ですか?」


話を振ると話していた騎士のような人は少し屈んで片手を口にして声を落として言った。


「ここだけの話、軍の基地や演習場付近の地域に戒厳令(かいげんれい」)が敷かれていたり、軍の中の話で、なにかは分からないが、緘口令(かんこうれい)が敷かれていたりするらしい」


「その状況に、何か心当たりとか、ありませんか……?」


「心当たりとなると全く。ただ……」


騎士は少し言い澱んだ。


「ただ……?」


「『イズムルド連合』との国境あたりに近づくにつれて、その状況の色合いが濃くなっていくらしい。あくまで噂だが、軍がそろそろ戦争を考えているだとか、国境付近で向こうの部隊と遭遇戦が起こって、衝突が激しくなっているなんて話もある」


「そんな話が……」


自分たちは陸路で入国していないわけだから、その手の話を聞いていないのも頷ける。


「あくまで噂だがな。……そうそう、噂の一つで、あんまり信ぴょう性のないものもあったな」


「どんなのですか?」


信ぴょう性がないらしいとはいえ、一応聞いておこう。


「あのあたりでよく聞く、『空飛ぶ大魚』が発見された、なんて話だ」


「『空飛ぶ』……?」


その言葉に、冷や汗が頬を伝った。


「聞いたことないか?大体10年くらいに一度、空を飛ぶ、ヒレがついたような何かが現れるって話」


「いえ、この国周辺にも最近来たばかりで……」


「そうか?なら仕方ない。話によると、この『空飛ぶ大魚』、『イズムルド連合』の新兵器って噂もある。『イズムルド連合』に問い合わせても、常に分からないと言っているらしいからな。まあ、そろそろ前回見たって話から10年くらい経つってんで、そろそろ見るヤツが出るんじゃないかって、巷で話が上がっていたらこれだから、そんな話が出てくるのも不思議じゃないって話だ」


「へ、へー。そうなんですかー」


だいたい10年に一度。


ヒレが付いたような何か。


そして、空を飛ぶ。


これ、グライダー……か?


もしかしたら……いやいや。


「ま、くだらない噂だよ」


騎士みたいな人もこういっている。


本当に軍事衝突みたいな話が本当かもしれない。


いや、それでも帰るとき困るけど。


とにかく、あまり考えず、イズムルドに帰る方法自体は色々考えるようにしておこう。


グライダーを埋めたときのこともあるし、考える必要性自体はあるだろうから。

本日最後は小話を投稿する予定です。


良ければ是非ともご評価・ご感想を頂ければと思います!

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