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28話 フォーメーション

本日は10話ほど投稿いたします。


明日からは水曜日4回、それ以外2回の投稿に戻ります。

「イズムルド電力研究所」から出てしばらくして、マサリクさんと出会った店の前に到着した。


「……どうも」


「どうも……。それでは、行きましょうか」


「っと、その前にちょっと、確認したいんだけど……」


男二人が無難な挨拶をして出発しようとしたところを、紅一点科若さんが割り込んだ。


「どうしたの?」


「この際だから一応フォーメーションを考えておこうと思って」


「フォーメーション?」


「マサリクさんは―――」


「えっと、ミハルでいい」


「そ、そう?じゃあ、ミハルさんで……」


「それでいい」


名字では呼ばれ慣れないのだろうか、ミハルさんは呼び名を変えていた。


自分も「ミハルさん」と呼ぶことにしよう。


「ええと……。ミハルさんは剣使いで前衛だけど、魔法がメインだけどナイフや棍棒を使う桜木君は遠距離だけじゃなくて近接戦もするから、入れ代わり立ち代わり、桜木君が近接戦と遠距離戦を交えて戦うときは私やミハルさんも気にして位置取りをしないと互いに邪魔になってしまうかもしれないから」


それは確かに重要だ。


いざというときの場の立ち位置の混乱で、窮地に陥るなんてことは避けたい。


「確かに……というかミハルさん、魔法はどれほど使えますか?」


これも聞いておかなければ。


ミハルさんもある程度攻撃魔法が使えるなら、フォーメーションもより複雑になりそうだ。


「B種とD種が1……それ以外は使えない」


強化魔法と防御魔法が1、これらはどちらも自己に対してのみの魔法が使えるといったところだ。


「ということは、完全に近距離型ってことでいいですか?」


「……済まない」


「いや、フォーメーションを考えるなら簡単になるので大丈夫です。その代わり、前衛に徹してもらえれば」


「助かる」


「ということは、僕の位置取りが最も重要になるってことになるよね」


「そうね。桜木君も遠距離攻撃が出来るし、自己回復もできるからある程度独立して動けるから、少し離れたところから支援して、ミハルさんがピンチになったら近接戦に加勢してもらえるといいと思う」


自分は所謂遠距離主軸のオールラウンダー、若しくは遊撃担当ってところか。


「ミハルさんは基本前衛で、傷ついたら私が回復魔法とかで支援しつつ、治ったら復帰ってところかな。私は隙を見て弓矢での攻撃と、回復、強化をメインとする方がいいかも?」


「相手が攻撃を遠距離攻撃としていたら、どうしたらいい?」


「それなら私と桜木君が攻撃のメインとなって、ミハルさんが隠れることが出来そうな場所なら隠れながら敵に急接近して急襲、隠れることが出来なさそうなら後方の警戒と敵の他からの急襲に対する護衛か、偵察とか戦闘の指揮や戦況の把握をしてもらえると、私たちも助かりますね」


「ふむ……指揮とかはあまり得意ではないが、なるべく出来るようにしておこう」


「最後に私は、あまり近距離での戦いはあまり得意ではないから、基本的に遠距離で攻撃ね。狭くて弓も攻撃魔法も使いにくい状況だと、回復と強化を主軸に動くことになりそう」


科若さんはミハルさんと一緒に旅することになったときから、こういったことを考えていたのだろうか。


それとも、今さっきフォーメーションについて気が付いて、そこから考えだしたのだろうか。


どちらにせよ、ぼんやりと「マサリクさんは剣が使えそうだから、前衛に回ってもらおう」などと考えていた自分とは大違いだ。


「こんな感じで考えてみたけど、なにか変えた方がいいこととか、若しくは気づいたことがあったら言ってほしいけど……」


「特にはないよ。僕もそれ以上は考えつかないし」


「俺もだ」


「じゃあ、戦ってみて、何か問題が分かればそこで変えるってことで」


「分かった」


「了解した」


そういうことで、自分たち三人のフォーメーションが決定し、街から出発するのだった。


……。


「……ところで科若さん」


出発してから数十分後、話題も少なくなり、気になっていたことを訊いてみることにした。


「どうしたの?」


「朝、言っていたフォーメーションって、いつくらいから考えてたの?」


「いつくらいからって……朝だよ?」


「それって、起きてから?」


「いいや?ミハルさんが剣だけって分かってからだよ。魔法が使えたって言っていたら、また別のフォーメーションを考えてたよ。といっても、それならそれで、剣と魔法の扱いを聞いてからだと思ってたけど」


「あの一瞬でそこまで……」


「そこまでって……そんなに凄いことじゃないと思うけど?」


「いやいや……僕なんかはぼんんやりと『ミハルさんは前衛かな~』って考えてただけだったし、そこまで深いというか……色々なことを考えられるって、凄いことだと思うよ?」


「ふーん……」


意図せず褒めることになったけど、科若さんのレスポンスはあまり芳しいものではなかった。


逆に自分の浅はかさがバレただけだったのかもしれない。


科若さんの目もややジト目よりの感じになってたし、これは失敗したかなぁ……。


どこかで挽回できるときが来たらいいなぁ……。

良ければ是非ともご評価・ご感想を頂ければと思います!

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