16話小話3
小話です。こういう話を書きたかった。
少し試験的にこの時間帯に投稿します。
また、本日の本編の投稿は朝と昼です。
「鼻歌」
今、二人は次の目的地に向け、森の中を歩いている。
「♪~」
歩く以外にすることもなく、会話も一通りして尽きてきたころ、科若さんは鼻歌を歌いだした。
確かこの曲……。
「科若さん」
「うん?」
「その曲って……」
「あー、なんか学園に入ったときから頭に浮かんでくる曲で、することないと歌っちゃうんだよねー」
「……なるほど」
そういうことなら言いにくいなぁ……。
「作詞とかも浮かんできて、一人のときとか歌っちゃうよ。ここに来る前はお風呂とかでも歌ってたね。実は作曲の才能があるんじゃないかって思ってたけど、この一曲しか思いつかないからすぐに諦めちゃったね」
苦笑いした顔が更に言いにくくさせる。
「ま、歌の方は誰にも聞かせる気なんてないけどね!」
そういって科若さんはウインクした。
うん、これ以上言いにくくなって、言えなくなってしまってから科若さんが歌うたびに心が痛くなりそう。
それは嫌なので言ってしまおう。
「言いにくいんだけど実はそれさ……」
「ほほう?」
「君のテーマソング……、なんだよね」
「え?」
彼女の笑顔は固まった。
「所謂キャラソン……ってやつ」
「え…………え?」
彼女は固まった笑顔のまま呆然として、少し首を傾げていた
……そう、彼女が鼻歌で歌っていたのはゲームにおける彼女自身のキャラソンだった。
彼女は彼女のルートこそないが、キャラソンはあった。
ボーカルなしのアレンジ曲がゲーム内の彼女のテーマ曲としてBGMに。
ボーカルありの曲はオリジナルサウンドトラックに収録されている。
因みにオリジナルサウンドトラックは初回限定版全てに付属している。
「つ……まり……私が歌っていた曲が……人に聞かれてる……?」
「一人一つ購入したと考えて……数万人くらいかな?」
この数は初回限定版とオリジナルサウンドトラックの売上の合計。
「そんな……結構恥ずかしめの曲を……?数万人に……?」
気が付くと彼女は膝と手を地面についていた。
「服と手が汚れるよ……?」
「それも私が考えたと勘違いして……?」
顔は心なしか青白くなっている。
「別にそれは科若さんが考えたってことでいいんじゃない?」
「それはそれで私があんな乙女な歌詞を考えてるってことに……」
どうしよう。
今の自分にはフォローのしようがない。
「と、取り敢えず、結構歩いたし、休憩する?」
「……ぁい……」
どこからそんな声が出せるのか、という低い声で彼女は応えた。
不自然な感じで話題転換し、気を使っていると感づかれないよう、他のBGMを鼻歌で歌うと、日常シーンの数々のBGMはショッピングモールで流れている曲や昼休みに学園の放送で流れている曲だったらしい。
……他のヒロインのキャラソンも、彼女ら自身が考えたものなのだろうか?
そうこうしている内に彼女の調子も元に戻ったので、再び森の中を移動するのであった。
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