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14話 銀の街と武具屋

「銀の街」


「黒曜石の街」と同様、街の名になった銀の採掘と加工で有名になった街だ。


だが、この街の本質はそこではない。


この国のお金は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、そして証券の五種類だ。


……詳しく言うと証券には細かな分類もあるらしいけど、今回はそれの説明含めて割愛する。


鉄貨は最も安いとされる貨幣で、子供の小遣いで何枚かやるのが普通だそう。


銅貨は日常の比較的安いものを買うための貨幣。


この国の物価ではだいたい銅貨1枚でリンゴ(のような果物)数個が普通。


銀貨ともなると、1枚で多めの買い物が足りるかどうか、というくらいらしい。


買いだめなら銀貨1枚と銅貨数枚、家具を買うなら種類にもよるが銀貨数枚程度。


そして金貨となるとこの国で大きめの家が買えるほどの金額。


金貨ともなると銀貨までの価値から離れ、大金持ちや地方自治体、国の間でのみ取引されることでしか殆ど流通しない。


金貨はそのまま国家間の取引で重さを量って用いられるらしい。


つまり何が言いたいかというと、この国の一般的な国民がよく見るお金の最高額が「銀貨」ということになる。


その銀貨が発達した商業により特に流通し、見ることの多くなる街。


それがここ、「銀の街」らしい。


首都である「連合の府」も大金の動く街ではあるが、それは基本行政などに関わるお金などであり、金貨が用いられる。


金貨は人目につかないように運搬されるので、「連合の府」の一般市民たちはそこにどれだけお金があるのかというのを自覚しない。


実際は「銀の街」より「連合の府」の方が、大金が動いているらしいけど。


そして今からこの街で、護身用の武器を買う。


街の人に武具屋の場所を聞き、狩りと護身用どちらにも、そして初心者にも扱えるものも取り揃えているお店に来た。



「―――という訳でして」


「なるほど、それではこちらの方なんかも一度持ってみては如何でしょうか?」


「は、はぁ……」


こんな感じで自分はナイフと棍棒、両方と、更に砥石や手入れ用の布までを言葉巧みに買わされてしまった。


リーチを長くするために棍棒を、対人への警告とその他さまざまな場面で使えるナイフを、と。


商業の街、銀の街、恐ろしき。


一方、科若さんはというと。


「弓道……競技で弓をしていたのである程度はできると思うんですが……」


「ですが狩りなどの実践の場ではあまりしたことがないと?」


「そうですねぇ……」


「と、なりますと……ある程度軽くて、矢筒も結構入るモノがいいという感じですかねぇ」


「そうですね、やっぱり自然の中を往くときは矢数に余裕があった方がいいですから」


店員さんと話をして、上手いこと弓と矢筒、そして矢と換えの弦を購入していた。


「お買い上げ、ありがとうございましたー!」


流石商業の街、武具屋とはあまり愛想のない店主、店員が対応してくるものかと思ったけど、物腰柔らかな対応で最後まで仕立て上げてくれた。



「私は最初から買うものを決めていたから、必要以上のものを買わされなかっただけ」


武具を購入後、街で取った宿屋への帰り道、科若さんからお説教を受けていた。


「桜木君は『護身用の武具を買う』ことは決めていたけど、『何を買うか』までは決めてなかったから、店員さんに『念のために』って、ナイフも棍棒も両方買わされたのよ」


「はいぃ……」


普通に正論で、反論することはできない。


「まぁ、今回は両方あってもよかったと思うし、次からは冷静に考えられるようにしていけばいいと思うよ」


その後のフォローも忘れない。


やはり強かな頼れる人気サブヒロインなだけはある。


「私も色々買っちゃったし、額で言えば私の方がちょっと多めだったから、あんまり偉そうなことは言えないけどね……エヘヘ」


そして笑顔も可愛い、最高だね。


いや、笑顔でなくても可愛かった、至高だったね。



これで一通り準備が整い、本格的に自然の中にある転移魔法に必要なモノを取りに行くことができる……と、思う。


ここ、「銀の街」から行けるのは「獣の森」と言われる場所。


「獣の森」の中にある「静谷」という谷のとある一帯に狂月花が咲いているところがあるらしい。


必要なのは狂月花という花の種だけど、その花自体は一年中咲いているとのこと。


だから花が咲く時期はあまり関係がないのはいい。


だが、「獣の森」には問題がある。


この「獣の森」、この国の森の中では最も危険な動物が多いと言われている。


森以外の山や島では更に危険な場所もあるらしいが、森では最も危険らしい。


そして「静谷」は「獣の森」の奥地にある。


「銀の街」を出てすぐに「獣の森」はあるけど、その中を片道1か月歩き続けなければならない。


「獣の森」の中は鬱蒼としており、今は初夏だが夏でも日があまり届かず涼しいらしい。


そして冬には気温が下がり、体温を保ちにくいので入るのは憚られる。


冬の森はクマやヘビなどが冬眠するが、彼らを天敵とするまた別の危険な動物の活動期となるため、「獣の森」で長期間入るようなことがある場合は夏が勧められるらしい。


……っと、これくらいで一先ずの説明はいいか。


さて、明日からは「獣の森」。


気を引き締めて行かなければ。

良ければ是非ともご評価・ご感想を頂ければと思います!


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