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11話 目的地と電気

イドリス村長が言っていた目的地に着いた。


といっても敷地内に入った、という感じだが。


その敷地の外には大きな門があり、中には綺麗な花畑と花畑の広さから見ると小さい、それでも少し大きな建物があった。


建物と門の近くには街の中のよりも立派な電灯が立ち並んでおり、花畑の道にはポールが等間隔に並んでいる。


ポールをよく見ると、これらも電灯らしい。


ただ、まだ光を点ける時間ではないのか、そのどれもが灯ってはいなかった。


やがて馬車はその少し大きな建物の近くに着き、馬車を降りた。


馬車の中にいたとき、門に付けられた看板を見るのを失してしまっていたため、改めて建物に付けられた看板を見た。


そこにはこう書かれていた。


「イズムルド電力研究所」


食堂の隣の席のおじさん、自分たちの行先は多少ばかり見て回ろうと思っていたところだったようです。


どの道来たんだから期待も何もなかったな。


ただ、ここがどうして転移のための道具に詳しいのか、「流れ者」が関わっているのか、それは聞く必要があるか。


取り敢えず、中に入ってから一通り聞いてみるか。



馬車の主は商談と荷下ろしで別室に、自分たちは応接室のような部屋に案内され、ここの研究所の所長と話をすることになった。


馬車の主はそのまま別れ、通常の行商をするため馬車を出すらしい。


「長旅……というほどでもないか。兎に角、色々とお疲れ様」


そんな労いの言葉と共に入ってきたのは「イズムルド電力研究所」の所長、ダーギル・コモリさんという濃い顔をした壮年の男性だった。


名字で分かる通り、これを漢字で書くと「小森」と書く。


この人は「流れ者」であった人の孫らしい。


で。


ここが何故転移のための道具に詳しいのか、それは簡単。


「イズムルド電力研究所」は主に研究しているのが電気についてということだけで、「流れ者」に関するあらゆる事柄を研究する組織らしい。


電気を主に研究しているのは応用技術が出来やすく、使いやすいから、とのことらしい。


また、電気の発電は火力発電で、先ほど納品された菜種油と街で排出される燃えるゴミを回収してそれらを燃やしているらしい。


閑話休題。


その一環でここに一時的に斡旋され、話をしてほしいとのことらしい。


といっても、そんなに長く拘束するというものでもなく、小一時間程度話を聞いていく、というものだった。


まあ、この世界に住もうと考える人ならここで研究の支援を行いながら順応するため、ここで慣れていく、という方法もあるらしい。


自分たちはとりあえず帰ることを目的としているので、そこまで長く話をしなかったとのことだった。


それなりに話をして。


「じゃあ、今からはこっちから情報を提供する番だね」


コモリ所長はまず、大まかな地図を出してきた。


「『黒の森の東の村』で話を聞いたと思うけど―――」


村長から聞いた話を改めて話され、その上で細かな場所の話を、地図を指しながら説明してもらえた。


狂月花の種のある静谷はこの国の二番目に栄えているといわれている商業の街、「(ぎん)の街」に近い森、「(けもの)の森」にあるらしいこと。


秋華滝(しゅうかだき)河原(がわら)の石がある秋華滝はボルカン帝国の中でイズムルド連合に接している州、「グロム州」にあり、その州は小さいとはいえ、その中でも州の中でも帝都(国境から遠い)側という結構中に入らないと行かないといけないらしい。


月見草はこの国の首都「連合の府」の近くの山、「(かお)(はな)の山」で取れるらしい。


炎の飛竜の鱗を取るには「連合の府」に面する海の先にある「飛竜の巣」と呼ばれる群島の一つ、「炎の飛竜の巣」と呼ばれる島で炎の飛竜と相対せねばならないとのこと。


最後に向日葵。


これは「飛竜の巣」の島の一つ、「風の飛竜の巣」に生えているらしい。


そして、それらをどの順番で取りに行ったらよいかなど。


これらの情報は結構ありがたいものだった。


その話が終わる頃には夕方となっていた。


コモリ所長はもう遅いから宿も取れるか分からないからということで、この研究所の宿直を貸してくれるとのこと。


ありがたい。


明日からまた旅をしたらいいとの話の中で、こんな話が出た。


「ところで君たちは、その服で旅をするつもりなのかい?」


コモリ所長の話によると、この服はこの世界では目立つらしい。


目立つ格好をすると窃盗犯や誘拐犯の格好の餌食になるとのこと。


確かにこの服が珍しかったのか、食堂で隣の席のおじさんに話しかけられた。


あのおじさんは気のいいひとだったけど、すべての人があの人みたいな気のいいひとばかりではないだろう。


という訳で、どのような服がいいかをコモリ所長に聞いた。


「んー……そうだなぁ……。動きやすい服と、街に溶け込むような服の二着はあった方がいいかなぁ……」


転送魔法に必要な道具を取りに行くために、その途中で険しい道があるため動きやすい服が必要らしい。


比較的にこの服も動きやすいとは思うけど、そこまで自然の中を分け進むに向いているという訳でもない。


そして街に溶け込む服装が必要なのは、この「黒曜石の街」から「銀の街」、そして「銀の街」から「連合の府」へ向かうのに、街道を進んだ方が早いため、それにあった服装が必要とのことらしい。


「黒曜石の街」で売られている服は、街の服としては「連合の府」ではやや野暮ったい感じはするらしいが、「銀の街」や「連合の府」では物価が高いので、この街で服を買うのがオススメらしい。


兎に角、明日やるべきことは決まった。


今日は寝て、明日に備えよう。

良ければ是非ともご評価・ご感想を頂ければと思います!


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