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8話 魔法

朝。


慣れない二段ベッドで起きる。


と、ここで下に降りたら科若さんが着替えているかもしれない。


「おーい、今着替えてるー?」


と声を出してみたけど返事はなかった。


声が出せなくてモゴモゴしている風でもないので降りると、科若さんは未だ寝ていた。


ラッキースケベは実際起きると弁明が大変だから起こらなくて良かった。


中学の頃、体育がグラウンドで雨になって保健の授業になったとき、帰るときに自分の教室が女子の更衣室代わりになっていることを忘れ、扉をあけてしまってから三日間は「スケベマン」なんて不名誉なあだ名で呼ばれてしまっていた。


そんな苦い出来事もあったなとか考えながら、朝一のトイレに向かう。


トイレには小便だけしようとしたけど、トイレの中を見るとトイレットペーパーがあった。


後で聞いたら、それは以前来た「流れ者」の発明らしい。


発明といっても再現が近いだろうけど。


トイレの不快感に耐え切れなかったのだろうか。


自分としてもトイレで大をするときあった方がいいから、先人が発明?再現?をしていてくれてよかった。



用を足して部屋に戻ってきた。


勿論、ドアでのノックは欠かさない。


エッチなのはいけないと思います。


「はーい、どうぞー」


科若さんは自分が用を足している間に起きて着替えていたようだった。


服は昨日とほぼ同じだった。


「靴下……履かないの?」


「二日連続同じ靴下を履くのはちょっとねぇ……」


ここの朝は少し冷える、そのうえスカートも膝上なので寒いだろうに。


人の不快感の基準は人それぞれか。


「あ、靴下に興味あるの?」


「いやいや」


あるけど。


勿論その魅力的な生足にも。


でも、そんなにイタズラっぽく笑われながら訊かれると、冷静に返してしまいたくなるのが自分の持つチンケな男のプライド。


そんなことを話していると朝の鐘が鳴った。


朝食を食べ、その後は暫く魔法と法律の勉強、昨日の続きと確認だ。


国家試験の試験官が来るのは朝の9時ごろ。


9時からA種、B種、C種の試験をそれぞれ20分間、そして10分ほど休憩してからD種、E種、そして最後に共通の魔法に関する法律の試験を更に20分ずつだ。


実技試験は昼食を食べた後、午後に行われるらしい。


今日の試験の結果はだいたい2週間後くらいに帰ってくるらしい。


まあ何かしら技能がある可能性は高いから、そんなに心配はしていないけど、法律の問題が少し心配だ。


これが評価されないと技能水準が種別問わず「2」以上にならない。


その中でもやや厄介なのが正誤の二択問題。


例を挙げると次の問題。


「夜間、自分以外に影響のある魔法を使用する場合、気を付けて使用しなければならない、正か誤か」


この答えは誤。


理由は「昼か夜かに関わらず自分以外に影響のある魔法を使用する場合は気を付けなければならないから」、だそうで。


昨日、魔法の国家資格について、「車とかの免許みたい」とか思ったけど、これ本格的に車とかの免許をもとに作られてないか?


親父は車の免許の試験で意地悪なマルバツ問題があると例えを挙げられて聞いたけど、大体こんな感じの問題だった気がする。


この国家資格、「流れ者」の人の考案らしいけど、もしかしてそのあたりからアイデアを取っているのか?


まあそれは兎も角、今日の試験を頑張ろう。



試験が終わった。


今回の試験で二人ともE種の日常で使えるような魔法が使えると分かって良かった、周囲を照らす魔法とか。


そのあとすぐにイドリス村長がやってきて、帰る転送魔法についての説明があった。


転送魔法は魔法陣を描き、その中央に帰る世界の基準となる人を立たせ、同じ世界に帰る人が魔法陣の中に立ち、魔力を流すらしい。


また、他に必要なものを準備して、使わなければならない。


それらは以下の通りだ。


水……10Lほど(一つの魔法陣に1セット)

油……50㏄ほど(同上)

木炭……2~3本(1人1セット)

鉄……鉄の硬貨20枚分らしい。なぜかこれだけ転送に失敗しても消失する(同上)


ここまではこの村で用意してもらえるとのこと。


問題はここから。


次のものは採取が難しく、また十年以上効果がもたないから取りに行ってないものらしいので、これらは旅をして、取りに行かなければならない。


狂月花(きょうげっか)の種……1つ。麻薬にも使われるらしい希少な花の種で、静谷しずかだにという場所の一部でのみ育ち他では育成不可らしい(1人1セット)

秋華滝(しゅうかだき)河原(がわら)の石……2個。秋華滝という滝の河原の石で、物品で唯一国外(ボルカン帝国)にあるため越境が困難(一つの魔法陣に1セット)

炎の飛竜の鱗……1枚。一般に炎の飛竜が寝ているところとるか他のモンスターと争っているときにたまたま剥がれるものを採取していいため炎の飛竜を倒す必要はない(一つの魔法陣に1セット)

月見草……一輪。切り取ったものだと失敗するため鉢植えか何かに植えた状態でないといけない。この世界だと特定の地域で咲く比較的希少な花で、花屋などでは売ってない(一つの魔法陣に1セット)

向日葵(ひまわり)……同上(一つの魔法陣に1セット)


このうち、種、石、鱗についてはものによっては採取してから1~3年は効果があるので先に取りに行っても構わないけど、月見草と向日葵については生えている状態で使用しなければならないため、転送魔法をする前くらいに採取しなければ枯れてしまう。


そのうえ、月見草と向日葵は生えている場所が異なるため、二人別々に行くか、どちらかを誰かに依頼して取ってきてもらう方がいいらしい。


……この世界の月見草と向日葵は同じ読み方だけど、もしかしたら違う品種なのかもしれない。


気を付けておこう。


誰かに依頼して、ってことだけど、この世界には冒険者ギルドみたいなものはない。


日雇い労働、短期間労働を斡旋する職業紹介所みたいな場所はあるけど、そんな内容を受けようとする人は少ないし、受けさせても高額になるそうだ。


それらは採取地点の近くの街に立ち寄った時にでも考えよう。


さて、こうして村長からの説明が終わった。


明日からはある程度お金が貯まるまで労働することになる。

良ければ是非ともご評価・ご感想を頂ければと思います!

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