表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/110

第45話 深まる謎

新規追加キャラに関する情報をいろいろ詰め込んだ結果、結構な長さになってしまった。

ま、まあいいよね。こんなの今に始まった事じゃないんだし。

あの激闘から一夜が明ける。

日はすっかり昇っており、零治の部屋の窓からは朝日が差し込み、外からは小鳥のさえずり声が聞こえてくる。

それにより、零治の脳が徐々に覚醒し始めて、零治は気怠そうに瞼を開けてムクリと起き上がる。



「んん……ふわぁ~……あぁ、よく寝た。こんなに眠ったのは久しぶりかもしれんな」


「すぅ……すぅ……」


「すぴ~……すぴ~……」


「……フッ。この二人の穏やかな寝顔を見たのも久しぶりだな」



両脇で未だに気持ちよさそうに寝息を立てながら寝ている奈々瑠と臥々瑠の姿に、零治は穏やかな笑みを浮かべながら二人の頭をそっと撫でて、奈々瑠と臥々瑠を起こさないようにゆっくりとベッドから降りる。

そして奈々瑠と臥々瑠に掛布団をかけ直し、ハンガーにかけてあるベストとコートを着込んで扉の前に足を進める。



「行ってくるぜ。奈々瑠、臥々瑠。ゆっくり休めよ」



零治は小声で二人に声をかけ、扉をゆっくりと開けて音と立てないようにそっと閉めて部屋を後にした。



「ふわぁぁ~……とりあえず顔を洗ってくるか」



まだ眠気が残っているのか、零治は気怠そうに欠伸をして眼をゴシゴシと擦り、身体をほぐすように思いっ切り伸びをして、城の中庭に設けられている井戸まで足を運んでいく。



「……うぅ、眠むてぇなぁ。早いとこコーヒーを飲めるようにしないとなぁ」



零治は誰にいう訳でもなく、一人ブツブツと呟きながら城内を歩いていき、しばらくして中庭に設置されている井戸の前まで到着する。

零治は井戸に設置されているロープに括り付けられた木桶を井戸の中に放り込み、ボチャンと水音が聞こえた事を確認してそのままロープを引っ張り木桶を中から引き揚げ、その桶を井戸を囲っている石垣の上に置いて両手で中に入っている水をすくい上げてバシャバシャと顔を洗い始める。



「うぅ! 冷てぇ!」



冷え切った井戸水が零治の肌を刺激し、その冷感のおかげで眠気も一気に吹っ飛びようやく眼が覚める。

零治は懐からハンカチを取出し、顔の水気を拭き取ってハンカチを懐にしまった。



「ったく。慣れたつもりではいたんだが、顔を洗うだけでもいちいち井戸まで来なきゃいけないのはやはり不便だなぁ」


「おや? 零治、おはようございます」


「おはよう、零治。昨夜はよく眠れたかい?」


「ん? あぁ、亜弥、姉さん。おはよう。二人も顔を洗いに来たのか?」


「ええ。こっちじゃこうでもしないと眠気が取れませんからね。零治、その桶の水、使っても?」


「ああ。オレはもう済んだからな」


「では、失礼しますよ」



亜弥は零治がくみ上げた桶の水を左手ですくい取って零治同様にバシャバシャと顔を洗い始める。



「まったく。アタシはコーヒーを飲んでる方がいいんだけどねぇ」


「無茶言うなよ。この時代の中国にコーヒー豆が流通している訳ないだろ……」


「それは分かってるけどさ……零治~。アンタのお得意の物質変換魔法でどうにか出来ないのかい? アタシがコーヒーが大好きな事は知ってるだろ~」



どうしても恭佳はコーヒーが飲みたいのか、今すぐにでも何とかして用意してくれと言わんばかりに零治の肩を掴んでゆさゆさと揺さぶり始める。



「あぁもう。傷に響くから揺さぶるなよな。……まあ、オレもコーヒーは飲みたいと思ってるさ。だから近い内に何とかしてみるよ」


「おおっ! 流石はアタシの弟だ! いやー、姉想いの弟が持ててアタシは幸せだねぇ~」



恭佳は零治の言葉がよほど嬉しいのか、感極まりの表情で泣き真似をして喜びを露わにする。

どうしてコーヒー如きでここまで喜べるのか不思議でならない。



「姉さん。コーヒーぐらいで大袈裟すぎだぞ」


「大袈裟なもんかい。アタシはそれだけ嬉しいんだよ」


「はいはい。そうですか……」


「恭佳。何をそんなにはしゃいでいるんですか?」



いつの間にか顔を洗い終えた亜弥が会話に加わってくる。



「おお! 亜弥、零治の奴がコーヒーをこっちの世界でも飲めるようにしてくれるんだってさ!」


「コーヒー?」



それまで顔を洗っていたので話の内容が理解できない亜弥は怪訝な表情で首を傾げる。



「ああ。コーヒーが飲みたいって言ったら零治が何とかしてくれるんだってさぁ! いやー、流石はアタシの自慢の弟だよ!」


「はいはい。それはもういいから、姉さんもさっさと顔を洗えよ。この後は朝議で姉さんの事を華琳達に説明しなきゃならないんだから」


「はいよ~」



零治に言われ、恭佳もようやく顔を洗い始める。



「しかしコーヒーですか。零治、ホントに可能なんですか?」


「それはやって見なきゃ分からん。だが、お前もたまに飲みたくなる時があるんだろ?」


「まあ、私もコーヒーは嫌いではありませんし、飲みたいって思う時も確かにありますよ。まっ、何か必要な情報が要るのなら私も協力してあげますよ」


「悪い。その時は頼むな」


「は~い。おまたせ~。さあさあ。とっととその朝議とやらを済ませに行こうじゃないか」


「その朝議の話題である張本人が何を言ってやがるんだ……」


「細かい事は気にしなーい、気にしなーい。ほら、二人とも行くよ」


「ちょっ!? 姉さん! 分かったから引っ張るなよ!」


「あいででででっ!! きょ、恭佳! 右腕はやめてください! 私はそっちの腕を骨折してるんですからっ!!」



コーヒーの件ですっかり上機嫌になった恭佳は、零治と亜弥を掴んでそのまま強引にズルズルと引っ張りながら玉座の間を目指し、中庭を後にする。


………


……



その日の朝議は、まずは先の劉備軍との戦いで受けた損害やその戦にの結果により他国がどういった動きを見せてるかなどから始まり、それらの報告を桂花が締めくくる。



「以上の点から、他国が我が国への警戒をより一層強めるのは間違いないでしょう」


「それは当然でしょうね。桂花。あれから他の国の動きの方は?」


「はっ。今の所目立った動きは見せていません。恐らく先日の戦いの結果により、こちらに偵察を出すのを恐れているのでしょう。今後は偵察の規模も減り、動きも鈍る可能性があるかと」


「でしょうね。これで少しは自国の強化にも集中できる余裕も出来るわね」



受けた損害は決して小さい物ではないが、得た物はとても大きな物。

圧倒的不利な状況から劉備軍との激闘を乗り切った結果は瞬く間に他国にも広がるだろう。

これで零治達の負担も減り、自国の事にも専念できるはずである。



「桂花。これを機に、稟と風と共に我が国の強化に専念する事。いいわね?」


「御意!」


「ただし、他国の動きの監視も決して怠らないように」


「承知しております」


「よろしい。……では、零治。貴方の番よ」


「ああ。……姉さん」


「はいよ」



華琳に促され、零治は恭佳と一緒に玉座に腰かけている華琳の前まで進み出て、グルリと首脳陣達を見回してから口を開く。



「もうみんな知っていると思うが、改めて紹介しよう。彼女の名前は音無恭佳。オレの実の姉だ」


「みんな。これからよろしくね~」



恭佳はヒラヒラと右手を振りながら首脳陣達を見回して愛嬌ある笑みを浮かべながら挨拶をする。

周りからは突如として現れた謎の人物が実は零治の姉と言う驚愕の事実について、ヒソヒソと小声で話し合う声が聞こえてくる。



「しっかしあの姉ちゃんが零治の姉とはな~。昨日、秋蘭から聞かされた時はホンマに驚いたで」


「霞様。確か昨日はあの方と一緒に劉備軍の追撃に向かってましたよね」


「ああ」


「彼女、武の方はどうでしたか?」



と、凪がその瞳に興味心の光を宿しながら霞に尋ねる。

凪は零治の事を警備隊の上官として、そして武人としてとても尊敬しており、凪にとっては零治は目標でもある。

その目標である零治の実の姉と言うだけあって、武の腕前の方も凪としてはとても気になるようだ。



「ん~……正直言うと、メッチャおっかなかったわ……」



凪の質問に、霞は嫌な事でも思い出すように表情を歪めながら答えた。



「おっかない? 姐さん、あの人そんなに強かったんですか?」


「確かに強いってのは間違いない。やけどウチが言うてるんは、恭佳個人が怖いんやのうて、あいつが使っとる武器が怖いんよ……」


「霞様。一体何を使ってたんですかー?」


「沙和……言わなあかんの……?」


「だって気になるのー」



どうも霞は答えるのが嫌らしい。

だが沙和はよほど気になるのか霞に詰め寄ってくるし、凪と真桜も沙和の言葉に同意するように首を縦に振る。



「はぁ~。しゃあない。答えたるわ。……あいつが使っとった武器は華琳と同じ大鎌なんよ。やけど……大きさが半端やなかったで。ありゃ間違いなく華琳が使っとる物よりでかいわ……」


「……霞様。それのどこが怖いんですか? 別に大きいぐらいで怖がるような事は」


「凪。ちゃうで。ホンマに怖いんはその鎌の隠し玉やねん。多分なんかの絡繰なんやと思うねんけど……」


「絡繰っ!? ね、姐さん! もったいぶらんと早く続きを!」



絡繰と言う単語に真桜が過剰なまでに反応し、それこそ今にも霞に掴み掛りそうな勢いで詰め寄ってくる。



「分かったき静かにせんか。華琳に怒られるやろが」


「あぁ、すんません。で、姐さん」


「はいはい。……でや、あいつが使っとる武器の隠し玉やけどな……」



霞はそこで言葉を区切り、凪、真桜、沙和の三人を見回し、凪達は霞が続きを話すのを固唾を飲んで見守る。



「鋸やねん……」


「はい? あの……霞様。鋸とは一体……」


「あいつが使っとる大鎌の刃の間にはな、鋸状の刃が隠されとるんよ。ウチも初めて見たときは驚いたで。それこそ獣の牙みたいな形をしとったからな……」


「うぅ……確かにそれは沙和も怖いと思うのー……」


「沙和。甘いで。ホンマに怖いんはこの先やで……」


「へっ?」


「その鋸刃な……回転しよったんよ」


「はっ? 鋸が回転? 姐さん、意味が分からんのやけど」


「せやからその鋸刃が絡繰やったんよ。こう……刃のふちを沿うように回転を起こし始めたんや。あんなもんで斬りつけられたら激痛でのた打ち回る羽目になるわ……」



鋸とは普通の刃物と違い、一瞬で切断するのではなく、刃の接触面を徐々に削り取りながら木材などを切断する用途で使われる物だ。当然ながら人の力に頼る普通の鋸では武器としては役には立たない。だがそこに機械の力が加われば話は別だ。ただ恭佳が扱っているのは神器なので、本来は魔法の力と表現すべきなのだろうが。

チェーンソーのように電動モーターやエンジンなどの動力源が鋸刃を高速で動かすのであれば、それを使う人間は扱いに注意していればいいだけの話。

これならば樹の切断だけに限らず、それこそ人を殺す事だっていとも簡単に出来る立派な凶器となるのだ。



「おまけにその鋸刃が回転しとった時のあの音……あれが堪らんかったわ……」


「あの、霞様。音とは?」


「ん~……なんて表現すればええんやろ? なんやこう……何かの唸り音みたいな感じやったなぁ」


「姐さん。唸り音はともかくとして、その何かってなんやの?」


「それが説明できりゃ苦労せんわ。まっ、そんなに気になるんやったら本人に頼んで直接聞きゃええんやないが。正直ウチはおすすめせんけどな……」


「そんなに嫌な音だったんですかー?」


「ああ。あの身の毛もよだつような音……ウチはもう二度と聞きたくないで……。まさにあれは一種の拷問やな」


「へぇ~……霞はアタシの事をそんな風に見ていたのかい……」



話に夢中になっていて気付いていなかったのか、いつの間にか霞達の話に聞き耳を立てていた恭佳が背後から声をかけてきたので、霞達は驚きのあまりその場から飛び上がり、大きく後ろに下がっていく。



「どわぁ!? き、恭佳! い、いつからそこに……っ!?」


「ん? ……いつからがいいかしらねぇ……?」


「きょ、恭佳。お、落ち着いて話そうや、なっ? なっ?」



霞は恭佳が怒っていると思い、必死の形相で宥める。

しばらくの間、恭佳は霞に威圧感がある無言の視線をぶつけるが、突然表情が緩み、思わず吹き出す。



「ぷっ……」


「へっ?」


「アハハハハハ! 霞ったらおっかし~! アーッハッハッハッハ! アタシがそんな事言われたぐらいで怒るわけないじゃん」


「なっ!? 恭佳! ウチを騙しとったんか!」


「ええ。ハハハ。ホント霞ったらからかいがあるわね~」


「くぅ~……っ! ムカつくやっちゃなーっ!」


「ほらほら。そんなに怒らない、怒らない。せっかくの美人が台無しよ」


「姉さん。話が先に進まないから霞をからかうのはその辺にしてくれ。ほら……華琳がこっちを睨んでるぞ……」


「はいはい」



零治に戻るように促され、恭佳は終始満足げな表情で改めて華琳の前まで戻る。



「すまん、華琳。姉さんには後でオレが言っておくから」


「零治。その女は本当に貴方の姉なの……?」


「……時々自分でも疑問に思う事がある」


「ちょっ!? 二人揃って随分な言い草してくれるじゃないか!」


「ならこんな時ぐらいちゃんとしてくれ」


「はいはい……」



自分が悪いから注意されるのは当然だと言うのに、恭佳はまるで子供のように不満げに頬を膨らませる。



「はぁ……話を続けるわね。恭佳」


「何?」


「貴方が零治の実の姉という事は分かったわ。では次の質問よ。貴方、元居た世界では何をしていたの?」


「ん~? 零治と同じ部隊に所属していたよ」


「同じ部隊に? なら貴方も五色狼の一員という事なの?」


「ええ。アタシは零治の前任者でね。零治はアタシの後釜なのよ」


「なるほど。なら次の質問。貴方は今までどこに身を隠していたの? 私達の事などを既に知っていた点から、この近辺に居たのは間違いないのでしょう?」


「そうねぇ。さて、一体どこから話したものか……」



先程までのふざけた態度とは一変して、恭佳は顎に右手を添えながら床を睨み付けて真剣な表情で思考を巡らせる。

やがて話すべき事の結論が出たのか、華琳に視線を戻す。



「ではお答えしようか。私が今までどこに居たのか。それは……零治の背後さ」



恭佳の出した答えがこれだ。

しかし玉座の間に集まっている首脳陣達は言っている意味が理解できないどころか、こいつは何を言っているんだと言いたげな視線を向ける者も居る。だがそれでも恭佳の表情は真剣そのもの。

華琳は他の者達を手で制止しながら恭佳に話の先を進めるように促す。



「恭佳。それは一体どういう意味なの?」


「隠しても意味ないし、正直に白状しよう。……今のアタシは人間じゃない。この世界の言葉で分かりやすく言うと……アタシは幽霊なのさ」


「はっ?」



流石にこんな単語を聞かされては華琳も怪訝な表情になってしまう。

おまけにその横に控えている春蘭が、もう我慢できないと言わんばかりに怒鳴り声を上げ始める。



「貴様ぁ! 今の言動といい、さっきのふざけた態度といい、お前は我々をからかっているのか! そんな戯言を誰が信じるというのだ!」


「まあ、そう言われても仕方ないね。だけど……アタシが言っている事は本当よ」


「華琳様! いくら音無の姉とはいえ、これでは時間を無駄にするだけです! こんなふざけた事を言うような奴の話を聞く価値などありません!」


「黙りなさい、春蘭」


「しかし!」


「黙りなさいと言っているのが聞こえないの」


「うっ……! は、はい……」



口調こそ普段と変わらないが、いま春蘭に見せたその威圧的な視線はまさに王としての振る舞い。

その視線に気圧された春蘭は渋々ではあるが口を閉じて黙った。



「確かに春蘭の言いたい事は分かるわ。でも、それを最終的に判断するのはこの私よ。以後は口を慎みなさい」


「はい。申し訳ありません……」


「悪かったわね、恭佳。春蘭には後で私からちゃんと言っておくから」


「いや、アタシは気にしてないよ」


「そう言ってくれると助かるわ。……で、さっきの続きだけど、一体どういう意味なの?」


「文字通りの意味さ。今のアタシは魂だけの存在なんでね。アタシは元居た世界で死んだ……いや、正確に言えば殺された身でね……」


「殺された? 一体誰に?」


「…………」



華琳の質問に恭佳は口ごもり、チラリと隣に立つ零治に視線をやる。

その視線を受けた零治は、恭佳の代わりに華琳の質問に答える。



「オレだ。オレが殺したんだ……」



零治の口から告げられた言葉。誰がこのような答えを予想できるだろうか。出来る訳が無い。

恭佳を殺した犯人が実の弟である零治。それは玉座の間に集まっている首脳陣達にとってはあまりにも衝撃的で、たちまちその場にはどよめきが起こり、口を挟んでくる者まで現れる。



「待ってください隊長! いくらなんでもそんな話は信じられません! どうして隊長が実の姉を殺さなければならないんですかっ!?」


「そうだよ! 恭佳ちゃんは兄ちゃんにとって大事な人なんでしょ! そんなの嘘に決まってるよ!!」


「凪、季衣。静かになさい。まだ零治の話は終わっていないわよ」


「しかし華琳様っ!」


「静かにしないさいと言っているのが聞こえないの!」


「「っ!」」



華琳の一喝により凪と季衣は肩をビクリと震わせて口を閉じる。

凪と季衣だけに限らず、他の首脳陣達もその迫力に気圧されて黙り込み、玉座の間に走っていたどよめきは瞬く間に静まる。



「二人の言いたい事は分かるわ。でも、それは零治の話を最後まで聞いてからにしなさい。いいわね?」


「はい。申し訳ありませんでした、隊長、華琳様……」


「ごめんなさい……」


「分かればいいのよ。……零治、話しの続きを」


「あ、あぁ……」



零治は自分の過去を話す事に緊張しているのか、呼吸が荒くなり、顔には冷や汗も浮かんでいる。

その様子が気がかりな恭佳が隣から零治の顔を覗き込みながら心配そうに尋ねてくる。



「零治。大丈夫かい?」


「はぁ、はぁ……へ、平気だ……」


「もし無理ならアタシが代わりに……」


「いや、本当に大丈夫だ。これは……これはオレが言わなきゃいけないんだ……っ!」



零治は気持ちを落ち着けるために、その場で大きく数回深呼吸をして息を整えて何とか気丈に振る舞い華琳に向き直る。

しかしまたもや呼吸が荒くなり始め、なかなか言葉が出てこようとしない。



「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」


「零治。大丈夫なの? もしも辛いのなら無理に言わなくても良いのよ」


「はぁ、はぁ……。だ、大丈夫だ。……オ、オレが……姉さんを殺した理由……そ、それは……」



零治は何とか少しずつではあるが、恭佳を殺した理由について首脳陣達に述べ始め、その場に集まっているメンバー全員はその姿を無言で見守る。

だが、荒くなっている息遣いがそれを邪魔し、その先の言葉がなかなか言えず話が前に進まずにある。



「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」


「零治。一度落ち着きなって。そんなに激しく息を繰り返すと過換気症候群を引き起こすよ」



過換気症候群とは精神的な不安やストレスなどによる過呼吸が原因で手足や唇の痺れ、動機や眩暈などの症状が現れる心身症の事である。

因みにこれは過呼吸症候群と称されてもいるが、一般的に知られている過呼吸は激しい運動の後などに起こるのが過呼吸症候群と称されており、この二つは症状こそ同じではあるが、前者は原因が肉体面ではなく精神面にあるため、混在しないために本来は過換気症候群と称するのだ。



「はぁ、はぁ、はぁ……っ! うっ!」


「ほら、言わんこっちゃない!」



恭佳の指摘通り、零治は激しい呼吸の繰り返しが原因で案の定過換気症候群の症状が現れてしまい、急な眩暈に襲われ、そのままフラリと後ろに倒れそうになったので、恭佳が横から抱き止める。

零治の異変のおかげで玉座の間は騒然となり、会議どころではなくなってしまう。



「隊長!?」


「兄ちゃん!?」


「大丈夫。只の眩暈だよ。……零治。いいかい。今からアタシの言う通りにするんだよ?」


「はぁ、はぁ、はぁ……っ!」



零治は未だに激しく息を繰り返しているが、恭佳の言葉はしっかりと届いていたようで、荒い息遣いをしながら小さく頷いた。



「零治。まずは一回、口から大きく息を吸うんだ。はい、吸ってー」


「スーー……」


「そのまま数秒間止める。……はい、今度は吐いてー」


「ハーー……」


「はいもう一度吸ってー」


「スーー……」


「数秒間止めて……はい、吐いてー」


「ハーー……」


「……どう。落ち着いた?」


「……あぁ。すまない、姉さん……」


「気にしないの。ほら、肩を貸してやるよ」



まだ足元がおぼつかない様子なので、恭佳は零治に肩を貸してなんとかその場から立ち上がらせる。



「零治、大丈夫なの?」


「あぁ。心配かけてすまない、華琳」


「華琳。零治はこんな状態だし、悪いが零治がアタシを殺した理由については詮索しないでもらえるかい?」


「ええ。いいでしょう。……皆もいいわね? 気になる者も居るかもしれないでしょうけど、この事についてはこれ以上余計な詮索はしない事。分かったわね」



華琳は集まっている首脳陣達をグルリと見回し、全員に釘を刺すように言う。

一部納得をしていない者も居るが、零治が先程みせた異変、それに華琳にここまで言われては従わざるを得なかった。



「ならば恭佳。なぜ貴方が零治に殺されたのかは置いといて……貴方は先程、自分の事を幽霊と言ったわね?」


「ええ」


「なら、いま貴方はなぜ零治に触れる事が出来るの? どう見てもその場に存在しているようにしか見えないわよ。仮に貴方が幽霊だと言うのなら、この場に居る人間全員が貴方の事を見えるとはとても思えないわ」


「あぁ、その事。……まあ、幽霊と言ったのはこっちの世界の人間にも通じやすから言っただけ。正確に言うと、それに似た存在……」


「どういう事?」


「今のアタシがこうして存在していられるのは……コイツのおかげさ……」



恭佳はスゥッと右手を横に突き出して軽く手を開いてその中に愛用している神器、ソウルイーターを呼び出してしっかりと握りしめる。



「それは……貴方の神器?」


「おや。神器って言葉は分かってるみたいだね」


「その辺の事は零治と亜弥から聞かせてもらったからね。で、それがどうしたの?」


「コレこそがアタシの本体。ここに居るアタシは自分の魂を媒材にして、生前の姿を具現化した存在なのよ……」


「神器が本体? なら貴方の魂は……」


「そう。アタシはコイツに取り憑いて生きながらえている。まあ正確に言うと、取り憑いたのではなく、乗っ取ったんだけどね」


「乗っ取った? 姉さん、それは一体……」


「零治。死神の事は憶えているよね……」


「……ああ」



自分の目の前で醜い断末魔を上げて完全消滅した死神。零治は今でもあの存在は忘れられない。

恭佳に言われ、零治の脳裏に死神が消滅した時の光景がフラッシュバックする。



「アレの正体もね……実はアタシなのさ。正確に言えばコイツ……ソウルイーターがアタシの魂を媒材にしていた存在だがね……」



恭佳は右手に持つソウルイーターを忌々しげに睨み付け、自分を利用していた事に対する怒りをぶつけるかのように軽く持ち上げて、柄の底の部分を使ってゴツンと床を叩く。



「なっ!? 死神の正体が姉さんだって!?」



零治の口から飛び出す死神と言う単語。

ここに集まっている首脳陣達は、亜弥を除くと華琳、春蘭、秋蘭の三人しか知らないため、他のメンバーが何の事かと口を挟んでくるので、またもや玉座の間は騒然となる。



「あの、兄様。死神って何の事ですか?」


「むむむー。何やら話が複雑になってきましたねー。稟ちゃん、すみませんが風の代わりに話を聞いておいてくださいねー」


「はっ? 何を言っているの。貴方もちゃんと聞きなさい」


「…………ぐぅ」


「寝るな!」


「おぉっ!」


「はいはい。みんな静かになさい。話が先に進まないでしょう」



華琳がパンパンと手を叩き、皆に静かにするように促す。

それにより騒ぎは瞬く間に静まり、事情を知らない他の首脳陣達は頭を下げて詫びの言葉を述べて口を閉じた。



「まったく。本当に騒ぎの話題が尽きない姉弟ね」


「周りが勝手に騒いでいるだけだ。オレ達のせいではないはずだぞ……」


「まあ、騒ぎの話題が尽きない点は否定できないがね。……零治、続けるよ」


「ああ」


「アタシがアンタに殺されたあの時……アタシの魂はソウルイーターに奪われた。そしてコイツはその魂を利用してあの死神を形作ったのさ」


「なぜそんな事に?」


「コイツはその名の通り、魂を喰らう事でより強くなる神器だ。喰らう魂が神器使いの物なら尚更ね……」


「…………」


「ソウルイーターはアタシの魂を喰らい、自らに宿す意思が増長し、自我を持つようになった。その結果があの死神だ。そしてコイツはアタシの魂だけでは飽き足らず、アンタにも眼を付けたのさ、零治……」


「なぜオレが……」


「理由は単純さ。零治、アンタはあの死神から聞かされたはずだよ。アンタが神器使いとして非常に優れた存在だとね……」


「…………」


「まっ、つまりはそういう事さ。コイツにとっては、内に負の感情を抱え込んだ魂を持つ者は光り輝く最高のエサってわけなんだよ」


「そいつにとっては褒めてるつもりなのだろうが、オレはちっとも嬉しくはないな……」


「アタシだって嬉しくないさ。実の弟がそんな風に見られていたんだからね」



零治と恭佳は二人で話をどんどん先に進めていくが、こちらの世界の人間で死神の事について知っているのは華琳、春蘭、秋蘭の三人だけだ。

そのため、その事を聞かされていない他のメンバーは完全に置いてきぼりを喰らっていた。



「ねえ、凪ちゃん。隊長達の話、分かるー?」


「いや、全く……」


「じゃあ、真桜ちゃんはー?」


「分かるわけないやろ。そもそも死神の事とか聞いた事ない話ばっか出てきよるのにどうやって分かれっちゅうんや……」


「ん~……やっぱり隊長に直接訊くしかないのかなー」


「それは後にしておけ。只でさえ何度も話が止まってしまっているんだ。これ以上隊長達の話の邪魔をするわけにはいかないだろ」


「分かったのー」



凪に言われ、沙和は内に抱える疑問をひとまず置いておき、零治達の話を静かに見守る事にする。



「姉さん。死神の正体については理解できた。だけどまだ疑問がある」


「なんだい?」


「なぜ今になって姉さんはこうして復活が出来たんだ? 何か理由があるはずだろ」


「あぁ、その事ね……」



恭佳はそこで言葉を区切り、グルリと首脳陣を見回し、一呼吸おいて口を開く。



「正直わからん」


「はっ?」


「いや、言葉が悪かったね。正確な理由はアタシにも分からない。でもアタシなりに解釈した答えならある」


「なんだよ?」


「まずは、零治。アンタがこの世界に来た事さ」


「……ますます分からんぞ。なぜこの世界に来た事が関係してくるんだ?」


「零治。アンタこっちの世界に来てから、戦ってる自分に変化を感じた事はなかったかい?」


「変化? ……いや、特に何も」


「そうか。まあ、アンタ自身は自覚していなくても、あの死神はそれを感じ取り、そして恐れていたのさ……」


「何を?」


「アンタの中から残虐性が薄れていくのをさ」


「どういう意味だ」


「もう分かっているだろうけど、これは神器使いだけに限った事じゃないが、兵士とは戦場で戦い、人を殺す以上は一定の残虐性が必要不可欠だ。神器を使うとなれば尚更だ」


「…………」


「アンタはこっちの世界に来てから、元居た世界での理由で戦っていた訳じゃない。だけど神器を使う以上は一定の残虐性は保たねばならないが、アンタは無意識のうちにソレが一定値から上昇しなくなり始めていたのさ。ある連中との戦いを除いてね……」



ある連中、それが誰の事を指しているのかは訊かなくても零治には分かる。

黒狼達以外に居るわけがない。



「だから死神は恐れ、焦ってたんだ。アンタから残虐性が薄れ、魂の輝きが無くなるのではないかと」


「なるほど。だから奴はこっちに来てから、やたらとオレの中にある残虐性についての話を強調していたのか……」


「そういう事」


「しかし、それだけが復活の理由じゃないだろ?」


「ああ。……あの死神は一つ決定的なミス……と言うか勘違いをしていたんだよ」


「勘違い?」


「アイツは……アタシの魂の中に有る意識が完全に消滅したと勘違いしていたんだよ。正確には消滅していたのではなく、死神自身にも感じ取れないほど薄れ、ほとんど眠っている状態にあったんだ」


「…………」


「そして極めつけは……アンタとの会話に、アタシの事を話題に出した事だ」


「姉さんの事を?」


「そうさ。零治、アンタは死神にアタシに事を話題に持ち出された時、激昂して過剰に反応していただろ」


「ああ……」


「その結果、アタシもアンタから発せられる怒りに反応して、眠っていた状態の意識が徐々に覚醒していってね。最終的には完全に眼を覚ましたんだ」


「ならばなぜ、その時に奴に意識を気取られなかったんだ?」


「その答えは単純さ。奴自身がそこまで弱っていたからね」


「弱っていた?」


「ああ。ソウルイーターは魂を喰らう事で強くなれる。だが逆に言い換えると、一定の魂を喰らい続けないと空腹になって弱るんだよ。人と同じさ」


「……それって変じゃないか? この世界でも戦争はある。それに盗賊団や野盗なんかの襲撃で被害に遭った村とかでも人死にはいくらでも起こってる。食料には困らなかったはずだぞ」


「確かにそうだね。実際にコイツはこの世界の人間の魂も喰らってはいた。だがそれでも、魂の質が悪かったからコイツの飢えは満たされなかったのさ」


「だから死神は一刻も早く、オレの魂を喰らいたかった」


「そう。だけど昨日の戦いの時にはすでに、アタシの意識は完全に覚醒していたし、死神自身は飢えで弱り切っていたからアタシとのパワーバランスは完全に逆転していた。結果アタシは奴から魂を奪い返し、こいつを乗っ取って現在に至ってる訳さ」


「なるほど」


「…………」



零治と恭佳の話に耳を傾けている春蘭は腕を組みながらしきりに首を捻り、何かを考える仕草そしている。



「どうした、姉者。考え事か?」


「なあ、秋蘭。音無達の話……分かるか……?」


「……正直、私もあまりついては行けてない」


「そうか。……華琳様はどうですか?」


「流石に完全には分からないけど、ある程度は理解できているわ。まあ、今から二人に説明はさせるから、貴方はそれを聞いていなさい」


「はぁ」


「零治。恭佳」



華琳が二人の名を呼び、零治と恭佳は玉座に腰かける華琳に視線を向ける。



「恭佳。貴方の話を聞いて、貴方の正体についてはある程度は理解できたわ。でも、気になる点があるわ……」


「なんだい?」


「まず一つ目は先程も訊いたように、なぜ今の貴方は零治に触れる事ができて、零治達も触る事が出来るの? 昨日の戦いで、貴方は黒狼と一騎打ちをしたわね」


「ええ」


「でもあの時、黒狼の一撃は貴方の身体をすり抜けたわ。アレは貴方の神器の力なの?」


「いいや。アレはアタシ自身の力さ。と言っても、コレは死んだ後に得た力だけどね」


「一体なんなの?」


「アタシは自分の身体を好きな時に実体、及び非実体と切り変える事が出来るのさ。あの時は自分の身体を非実体化していたから奴の攻撃がすり抜けたのさ。そして今は実体化しているから零治に触れるし、他の連中もアタシに触る事が出来るのさ」


「なら、あの時の貴方はあの場に存在していなかったという事なの?」


「ん~……そうなるのかな? あの時のアタシはいわば幻のような存在だったからね」


「では、あの時に神器を手に持てていた理由は?」


「あぁ、コイツは単なる例外さ。アタシが実体化していようがいまいがコイツだけは手に取れる。コイツこそが今のアタシの本体なんだからね」


「なるほど。では次の質問よ」


「はいよ」


「貴方はさっき、その神器は魂を喰らう事で強くなると言ったわね。そして喰らわなければ弱るとも……」


「ええ」


「なら、今の貴方もそうしなければ……」


「あぁ、その心配は無いよ。アタシは人間と同じ普通の食事で問題ないから。強くなる事はなくても弱る事もないよ」


「そうなの?」


「ああ。アタシの実体と非実体の切り変え能力は戦闘だけじゃなく、そのためにもあるんだ。嘘じゃないよ」


「そう。どうやら無用な心配だったようね。……さて、恭佳については一通り分かったし、誰か彼女の事について質問はあるかしら?」



華琳はグルリと首脳陣を見回し、恭佳の事で疑問が無いかを訊く。

周りのメンバーは分かったような分かってないような微妙な表情で黙り込んでおり、誰も何も言おうとはしなかった。



「ふむ。みんな今一つ理解できていないという顔をしているわね」


「まあ、この世界の人間には難しすぎたかしらね。アタシについて何か訊きたい事があるのなら、アタシに直接訊きなさい」


「だそうよ。いいわね?」



華琳の問いに、首脳陣達は無言で頷く。

が、その時、華琳が右手の人差し指をピッと上げてある事について釘を刺すように言う。



「ただし、さっきも言ったように、なぜ零治が恭佳を殺したのか……この事について追及するのは禁止よ。いいわね? この約束を破った者は誰であろうと厳しく罰するからそのつもりでいなさい」


「すまないな、華琳。気を遣わせてしまって……」


「気にしないの。……さてと、後は恭佳の役職だけど……」


「ちょっ!? 華琳! アンタは死人であるアタシまで働かせるつもりなのかいっ!?」


「あら、実体化が出来るのなら問題は無いでしょう?」


「大ありだよ! 実体化は物凄く魔力を消費するんだ! この状態を一日中維持なんかして働いてたら空腹で死んじゃうよ!」


「姉さん。貴方は既に死んでいるのでは……?」


「そこ! 細かい事にいちいちツッコムんじゃないよ!」


「その口ぶりからすると、食事をすれば問題は無いのでは?」


「うっ……確かにそうだけど、それだと最低でも一日に十食は食べる事になるわよ。それも大量にね……」


「姉さん。大量ってどれぐらいだ?」


「ん~? ……そこのおチビさんと同じぐらいかね」


「にゃ?」



恭佳に指差され、季衣は首を傾げる。



「マジ……?」


「マジだよ」



冗談としか思えないような内容に零治は疑問の視線を向けるが、恭佳は至って大真面目な表情で答える。

どうやらこれは冗談なんかではなさそうである。



「華琳。姉さんを働かせるのは却下してくれないか。姉さんは『最低でも』十食と言っていた。これはつまり、場合によっては食べる量が増える可能性もある……」


「…………」


「姉さんの扱いに関しては、オレの私兵という事にしてくれ。頼む」



零治は大きく頭を下げて華琳に懇願する。

華琳はしばらくその姿を無言で見つめ、やがて諦めたように溜息を一つ吐く。



「はぁ……いいでしょう。その話が仮に本当だとしたら、仕事なんかほとんど手が付けられないでしょうしね……」


「すまない」


「いいわ。今後の戦いの事を考えれば、恭佳という戦力が増えただけでも大きな収穫だわ。そういう事だから恭佳、普段働かない分は戦闘時に働いてもらうわよ」


「ああ。任せときな。零治専属の死神として、敵対する者すべてをあの世送りにしてやるさ」



華琳の言葉に恭佳は胸を張ってトントンと叩き、力強く答えてみせる。

その姿に華琳は満足げに頷き、朝議を締めくくる。



「よろしい。では会議はこれにて終了とする。皆それぞれの仕事に励みなさい。では、解散!」



華琳の号令でその場に居る首脳陣達は各々の仕事に赴くべく、次々と玉座の間を立ち去っていく。



「それじゃあ凪。悪いがしばらくの間、警備隊の事は任せたぞ」


「はっ! 隊長達の留守は私が責任を持ってお預かりいたします!」


「ああ。……くれぐれも、真桜と沙和から眼は離すなよ」


「はっ!」


「うへぇ~。隊長がしばらく休むっちゅうから少しは楽できるかもしれんと期待しちょったのに……」


「ホントなのー……」


「凪。もしもこの二人が何かバカをやらかしたら容赦なく始末書を書かせろ。書かせる枚数はお前の判断に任せる。親友だからって甘い顔はするなよ」


「はいっ! ……ほら、二人とも行くぞ」


「へいへい」


「ふぇーい」


「やれやれ」



零治はふて腐れ気味の真桜と沙和の姿に苦笑しながら肩をすくめ、玉座の間を後にして自分の部屋に戻っていく。



「恭佳……」


「ん? なんだい。亜弥」


「ちょっと話があります。少し付き合ってくれますか?」


「構わないよ。何だい?」


「…………」



亜弥はチラリと未だに玉座に腰かけている華琳に視線をやり、恭佳の耳元まで顔を寄せて声を潜める。



「ここじゃアレですので、私の部屋までお願いします」


「いいよ」


「では行きましょうか」



亜弥も恭佳と共に他のメンバー同様に玉座の間を立ち去る。

その後ろ姿を華琳は玉座から無言で見つめる。その場に残されたのは華琳、春蘭、秋蘭の三人のみ。



「…………」


「どうなさいました。華琳様」


「ちょっと恭佳の事で考え事をね……」


「考え事? 何か気になる点でも?」


「ええ。さっきの話で、彼女は元居た世界では零治と同じ部隊に所属していたと言っていたわ」


「……それがどうかしたのですか? 別におかしな点は何も」


「……なるほど。そういう事ですか」


「ん? 秋蘭は何か分かったのか?」


「姉者。よく考えてみてくれ。天の国で恭佳は音無と同じ部隊に所属していて、そして恭佳を殺したのも音無だ。そこから考えられる事は……」


「……っ! まさか!?」


「裏切り……」



華琳は低い声で呟く。

軍に所属しており、なおかつ同じ部隊内の人間に殺される。そこから考えられる可能性は部隊内での内輪もめや裏切り行為などだ。



「では華琳様は、あの女が我らを裏切るかもしれないとお考えなのですか!」


「そうは言っていないわ。でも、天の国で零治が恭佳を殺して理由としてはその可能性が考えられるという事よ……」


「いかがいたしますか? 万が一という事もありますし、監視を付けておきますか?」


「秋蘭の言う通りです! もしかしたら、あの女は劉備の手先かもしれません!」


「いえ、その可能性は低いわ」


「なぜです! 私はそうは思えません!」


「春蘭、少し落ち着きなさい。ちゃんと説明してあげるから」


「は、はい。申し訳ありません」


「まったく。……いい? 先日の戦いで劉備はあと一歩という所まで私を追い詰めていたわ。そして、黒狼達も零治と亜弥の二人を本気で殺すつもりでいた。あれはどう見ても、私達を油断させる演技とは思えない戦いぶりだったわ……。なのにわざわざこんな回りくどい手を使ってくるとは思えない」



春蘭と秋蘭は無言で華琳の言葉に耳を傾ける。



「仮に彼女が劉備の手の者だとして、私達の所に送り込むのならもっと早い段階で実行していたはず。向こうも春蘭達が帰還する事は予測済みだったでしょうしね。まあ、あの時の誤算は、貴方達が予想以上に早く戻ってきた点ね。あの時の事は本当に感謝しているわ」


「そ、そんな。照れるではありませんか、華琳様ぁ」



褒められた事が嬉しいのか、春蘭は顔をだらしなくニヤけさせる。



「では、華琳様は恭佳が我らを裏切る事はないとお考えで?」


「私はそう信じているわ」


「なぜ断言できるのです?」


「あの時……零治が死にかけていたあの時、私は見たのよ」


「何をですか?」


「零治に向かって必死に呼びかける彼女の顔を。あれはまさしく、弟に生きてほしいと切に願う姉の顔だったわ……」



華琳は昨日の出来事を思い出しながら、その脳裏に死にかかっている零治に向かって涙で眼を濡らしながら呼びかける恭佳の悲痛な顔が浮かび上がり、どこか遠い眼をしながらポツリと呟いた。


………


……



場所は変わってここは亜弥が使用している部屋。

部屋に辿り着き、恭佳を先に中に入れて、亜弥は部屋の戸を閉める際に少しだけ隙間を作り、周囲に誰も居ない事を確認して扉を閉め鍵をかける。



「何をそんなに警戒しているんだい。そんなにヤバい内容の話なのかい?」


「ええ。まあ。……特に零治には聞かれたくありませんからね……」


「……という事は、元の世界での事みたいだね」



恭佳の言葉に亜弥は真剣な表情をして無言で頷く。

その様子に恭佳も真剣な面持ちになり、手近のテーブルの前にある椅子に腰かけ、亜弥もその反対側の椅子に腰かける。



「で? 何が訊きたいのさ……」


「決まっています。『あの時』の事ですよ……」


「…………」


「恭佳。あの事件……貴方の裏切り行為が私はどうしても腑に落ちないんですよ」


「…………」


「当時の時点ですでに五色狼のメンバーは私を含め全員が揃っていました。ただ当時の零治は『影狼』という立ち位置ではなく、貴方の部下という扱いでしたね」


「そうだったねぇ。いや~、懐かしい話だねぇ」


「懐かしむのは結構ですが、本題はこの先にあるんですよ……」


「おや。そうかい……」


「で、恭佳。その矢先でしたね。貴方が西軍を裏切ったという報せが入ったのは……」


「…………」


「そこが疑問なんですよ。当時の戦況は既に西軍の優勢に傾き始めていました。形勢が逆転する可能性も無いに等しいこのタイミングでわざわざ東軍に亡命する理由が分からない。確かに向こうにも神器使いで構成された特殊部隊が結成されているとの情報はありましたが、アレはあくまで噂のレベルだった……」


「…………」


「恭佳、率直に訊きますよ。あの事件……もしや黒狼が絡んでいるのでは……」


「……大したものだね、亜弥。流石に黒狼が見込んだ人物だけの事はある」



恭佳は観念したように両手を上げて万歳の姿勢を取りながら椅子に大きくもたれかかりながら伸びをして、すぐに姿勢を正して真剣な表情で亜弥を正面から見つめる。



「ああ。その通りさ。あの時アタシは黒狼に濡れ衣を着せられ、裏切り者として始末されたのさ……」


「やはり……。恭佳、もしかして貴方はあの時、黒狼に関する秘密を掴んでいたのでは?」


「……何でそう思うんだい?」


「もともとあの男には不審な点が多数ありました。特に……あれだけの強さを持っていながら、過去の経歴が一切存在していないなど普通はあり得ない……。貴方が黒狼に関する何かしらの情報を掴み、奴に口封じとして裏切り者に仕立て上げられ消されたとなれば全ての説明がつく……」


「そうだね。アタシもその点には同感だよ……。アタシがあの男の過去について調べていたのも事実さ」


「ならやはり何か情報を……っ!?」



亜弥はテーブルに左手を突いて身を乗り出して恭佳に詰め寄る。

だが、恭佳の口から出てきたのは亜弥が期待しているような内容ではなかった。



「いいや。何も掴んじゃいないよ」


「えっ? ……またまたぁ。冗談でしょ?」


「本当さ。何も掴んじゃいない。散々調べたけど……あの男の過去の情報は何も無かった。それこそ、本当に『過去が存在していない』と思わせるほどにね……」


「なっ!? バカな! そんなのあり得ないでしょ!?」



亜弥の言う通り。それは普通ならあり得ない。

人が歩く事でその場に足跡が残るように、その人物が印象に残るような何かしらの行動をすればそれは周囲の人々に記憶される。それが表立ったものであろうが裏で行ったものであろうとだ。

そしてその記憶は伝染病のように人から人へと伝わり、記憶は次第に肥大化していき、やがて最終的には大きな情報となり過去の記録としてこの世に残される物なのだ。



「ほらほら。そんなデカい声を出さないの。誰にも聞かれたくないんだろ?」


「あっ! す、すみません。つい……」



恭佳に落ち着くよう手で促され、亜弥は一度深呼吸をして気持ちを静めて姿勢を正す。



「分かればいいんだよ。……まあ、アンタの言う通りさ。過去が存在していないなんてあり得ない。いくら黒狼でも、あれだけの強さを初めから持っていたなんて事は考えられない。人は強くなるためには力を得る必要がある。そしてそのために人は力を得るための技術と知識を学び、行動する」


「そうです。その人物が何も持っていなければその人は印象に残らず、周りの人間に記憶される事はない。ですが印象に残らない人物も強大な力を手にし、人々の注目を集める程の何かしらの偉業を成し遂げればそれは周囲の人間に記憶され、最終的にはそれは記録として残される」


「そうだね。だから黒狼にも必ずそういった出来事があったはず。例えそれが表社会のモノだろうが裏社会のモノだろうがね。だけど実際には何も無い。となると考えられるとすれば、奴が自分の過去の記録を人為的に消している可能性がある。これなら経歴が存在していない説明もつくだろ?」


「むっ……言われてみれば確かに」


「奴の過去の記録が存在していない理由としては、あの男自身が自分の記録を消すための情報操作や裏工作の類が上手いから、ってとこじゃないのかい?」


「……情報操作はともかくとして、裏工作というのは?」


「言わなきゃ分かんないのかい? コレさ……」



恭佳は右手を使って、自分の首を掻っ切るジェスチャーを亜弥に見せる。

これを見れば亜弥でなくてもすぐに分かる。恭佳が言いたい事、それは知る者は全て始末する、という意味だ。



「なるほど。確かにあの男ならやりそうですね……」


「だろ?」


「しかし、それだと黒狼が貴方をわざわざ裏切り者に仕立ててまで殺した理由が見当もつきませんね」


「普通ならね。だけど、見方を変えれば理由の見当はつくよ」


「何です?」


「アタシを『殺す事』こそが黒狼の目的だとしたらどうだい……?」


「……いや、恭佳。殺すからには何かしらの理由があるはずでしょう? 理由も無しに貴方を殺して何の意味があるというのですか」


「言い方が悪かったね。アタシはこう言いたいのさ。……『零治にアタシを殺させる』のが目的だったんじゃないかと……」


「なんですってっ!?」


「…………」


「そこまで言うからには、当然根拠はあるんでしょうね……」


「あくまでアタシの推論だけどね」


「聞かせてもらいましょうか」


「ああ。……まずは、黒狼が妙に零治に固執している点さ。これはアンタも感じていたんじゃないかい?」


「ええ。確かに」


「次に考えられる理由は、当時の零治の神器使いとしての資質だ」


「資質?」


「ああ。当時の零治は金狼や銀狼ほどではないが神器を手にしてから日がまだ浅かった。他の連中に比べれば優れた戦闘能力と魔法の才能を有していたが、実戦経験も少なかった」


「実戦経験が少ない? あの零治が? それは初耳ですね。確かあの頃、貴方がよく戦場に連れ回していたはずですが」


「確かに連れ回してはいたよ。でも前線にはあまり出していなかったのさ。本人は文句を言っていたがね」


「なぜです?」


「決まってるだろ。大事な弟がケガでもしたらどうするのさ」



恭佳は胸を張ってさも当たり前のように言う。

この様子から恭佳がいかに零治の事を大事に思っているのかが見て取れるが、これは少々過保護な気がしなくもない。



「やれやれ。姉バカとはまさにこの事ですね……」


「余計なお世話だよ」


「しかしなぜそんな事を? 実戦経験が少なかったとはいえ、今ほどではありませんが当時の零治は充分に強かったはずですが?」


「ああ。確かに当時の時点で零治は充分に強かったさ。だけど……あの頃の零治には危うい部分があった。あの出来事を境に、アイツは変わってしまったからね……」


「あぁ……目の前で両親が殺されたというアレですか……」


「ああ……」



それは零治にとっても恭佳にとっても忌まわしき過去の出来事。

理不尽な暴力により二人は両親を助ける事が出来ず、ただ殺される様を見ている事しか出来なかった己の無力さをひたすらに呪った。

その出来事がきっかけで零治は変わってしまい、今に至っているのだ。



「……っと、話が逸れましたね。恭佳、話を戻しますが、貴方が先程言った零治の神器使いとしての資質がどう関わってくるのですか?」


「あぁ、それは神器を使うのに必要な要素……アンタもこれが何かは分かるね?」


「ええ……」


「あの出来事が原因で、零治は『悪』という存在を異常なほど憎むようになった。つまり、敵と言うべき存在に激しい憎悪を募らせる。あの頃の零治はまさに負の感情の塊だった。そしてそれは神器を扱う者としても非常に優れていた。……が、アイツには足りない物があったのさ」


「足りない物? それは一体……」


「……敵対する者は『例外無く』全て殺す事が出来る心。つまり……相手が身内だろうが友人だろうが一片の躊躇いも無く殺す事が出来る冷酷無比な心がね。それを手にした時、その者は神器の力を最大限まで発揮できるようになるのさ……」


「なっ!? では貴方は、零治を神器使いとして育て上げる、それだけのために殺されたと言うのですかっ!?」


「そう考えれば筋は通るだろ?」


「…………」



亜弥は渋面を作って考え込む。

確かに恭佳の話は筋が通ってはいる。しかしそれでも疑問が浮かぶので、亜弥は恭佳にその疑問を投げかける。



「確かに筋は通っていますが……それでも分からない事がある。黒狼は何のためにそんな事を……」


「さあね。流石にそこまではアタシにも分からないよ。でも、あの男は零治を使って何かをしようとしている。それは間違いないはずよ……。これなら黒狼が零治に固執しているのも頷ける」


「…………」


「まっ、これはあくまでもアタシの推論にすぎない。もしかしたら本当に、黒狼が自分の事を嗅ぎまわるアタシを目障りと思い、始末したって可能性も否定できないからね」


「そうですね。……所でさっきの話ですが……まさか零治はもうその状態に……」


「いや、恐らくそれは無いはずよ」


「なぜ断言できるのです」


「零治はアタシを殺した事を表には出さないでいたが、心の奥底では後悔していた。それに本当にそんな状態になっているのなら黒狼みたいな奴になっているはずさ。あれこそまさに真の神器使いとしてのいい見本じゃないか」


「確かに。では、昨日のアレは……」


「あぁ、あの力はそれとは別物だ。確かにあれも叢雲に秘められた力だが、あれは零治が自分の意志で発動したんじゃんない。偶発的に発動してしまったんだ」


「その根拠は?」


「あの時の零治に自分の意思はなかった。あれは零治が叢雲を使っていたんじゃない。叢雲が零治の身体を媒材にして戦っていたのさ……」


「つまり……あの時、零治は叢雲に取り憑かれていたと?」


「そういう事」


「そんな事あり得るんですか?」


「亜弥、忘れていないかい? 神器には意思のようなモノが宿っている事を。今のアタシも神器なんだよ」


「そうでしたね。目の前に貴方が居るから、どうしてもその事を忘れがちになってしまうようだ。……しかし、それを聞いて少しは安心しましたよ。今の話通りなら、少なくとも現時点では黒狼の思惑通りにはなっていないという事ですからね」


「…………」



亜弥の言葉に恭佳はどこか浮かない表情で俯き、黙り込んでしまう。



「ん? どうしました? 何か気がかりな事でも?」


「……いや、何でもない。ちょいと考え事をしていただけさ」


「そうですか」


「所で、話はもう終わりかい?」


「えっ? あぁ、そうですね。まだ疑問もありますが、今日はこの辺にしておきましょう」


「そうかい。なら、アタシは零治の所に行かせてもらうよ」


「はい」



恭佳は椅子から立ち上がり、部屋の扉の前まで足を運び、ドアノブに手を掛けた所で不意に亜弥の方に振り返り口を開く。



「亜弥、分かってるだろうけど、今の話は零治にはくれぐれも……」


「分かってますよ。言える訳ないでしょう、こんな話……」


「ならいいんだ。それじゃあね」



恭佳は安堵の笑みを浮かべながらヒラヒラと右手を振って挨拶をし、亜弥の部屋を後にした。

未だに椅子に腰かけている亜弥は溜息を一つ吐き、窓の外の景色を見ながら誰に言うのでもなく呟く。



「……黒狼。貴方は一体何を考えているんだ。零治を利用して何をしようというのだ……」



その疑問に答えてくれる者は居ない。黒狼への謎はますます深まるだけだった。


………


……



亜弥の部屋を後にした恭佳は、零治の部屋を目指して一人無言で城内の廊下を練り歩く。

その際に、誰に言うのでもなく一人呟く。



「はぁ……言おうと思っていたのに、結局亜弥にも言えなかったか。いや、まだ時期尚早かな……」



恭佳は不意に足を止め城内の吹き抜けの廊下から空を見上げる。理不尽な暴力でこの世を去った両親を見つめるかのように。



「アタシがこんな身になったのも、きっとアタシの犯した罪に対する罰なんだろうね。父さん、母さん……ごめん……本当にごめんなさい……っ!」



助ける事が出来なかった事に対する罪の意識からか、恭佳はその場で頭を下げながら震えるような声で今は亡き両親に謝罪をする。

と、その時、恭佳の両眼からポタポタと涙が溢れ出てくる。



「あ、あれ……? いけないねぇ、アタシとしたことが。これじゃ零治の部屋に行けないじゃないか。仕方ない、顔を洗ってくるか」



恭佳は右手で眼をゴシゴシと擦って涙をぬぐい取り、零治に泣いた事を悟られぬように顔を洗うために一旦、井戸まで足を運ぶ事にする。

その際に恭佳は別の地に身を置いている黒狼に対して言うかの如く一人呟く。



「黒狼。アンタが何の目的で動いてるかはこの際どうでもいい。でも……零治をアンタの好きにはさせない。例えこの先に何があろうとも、アイツはアタシが守る。守ってみせる……っ!」



恭佳は残された、たった一人の肉親を守る決意をその瞳に宿しながらその想いを口にし、その場を後にした。

臥々瑠「ちょっと。今回の話アタシ達の出番が全く無いじゃん……」


作者「心配するな。お前らの出番は次の話で用意してあるからさ」


奈々瑠「ならいいんですが……」


恭佳「さ~て。だったらそんな話はこの辺にして、前回の続きと行こうかねぇ」


零治「はっ? 何を言ってるんだよ、姉さん」


恭佳「何って決まってんだろぉ。前回の奈々瑠の大胆行動についてさぁ!」


奈々瑠「っ!?」


零治「はあっ!?」


亜弥「何で前回の後書きコーナーの続きをここでするんですか……」


恭佳「細かい事は気にしない、気にしな~い。で、お二人さん。あの時の感想について聞かせてもらおうか」


零治「いや、オレは寝てただけだから……」


恭佳「あぁ、そういやそうだったね。じゃあ奈々瑠。あの時の大胆な行動をとった理由は何なんだい!」


奈々瑠「あ、あの……その……えーっと……」


臥々瑠「……なんか変なスイッチが入っちゃってるみたいなんだけど」


作者「だねぇ。完全に置いてきぼりだ……」


亜弥「何とかしなさいよ。貴方、仮にも作者でしょ?」


作者「仮は余計だっつーの……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ