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第33話 王としての在り方

この話は元からですが、一刀の登場によりやはり蜀に対するアンチ色が以前よりも強くなっています。読む際はご注意を。

稟と風が華琳の軍勢に加わってからすぐの事。

その間に袁術の軍が動き、劉備の治める領土に攻め込み、防衛に徹する劉備軍。

その本陣では劉備軍を支える軍師、諸葛亮が慌ただしく兵達に指示を飛ばしている。



「張飛将軍が李豊隊を撃破! このまま追撃に移るとの事です!」


「分かりました。鈴々ちゃんには、あまり深追いをしないように伝えてください」


「了解です!」


「関羽様から報告です! 我、楽就隊を撃破せり。引き続き、戦闘を継続す!」


「はい。北側に梁剛将軍の隊が居るはずです。守備隊が苦戦していますから、そちらの援護に向かってください」


「はっ!」


「……はふぅ」



一通り指示を出し終えた諸葛亮は大きな溜め息を吐く。現在軍は彼女一人で動かしているのだからその疲労度は相当のモノであろう。



「お疲れ様、朱里ちゃん」



同じく本陣に居る劉備が諸葛亮に労いの言葉をかける。



「はい。けど、これで何とか……袁術さんの第一波は凌げたはずです」


「そうだねぇ。大軍団っていう報告を受けてたから、どうなるかと思ったけど……朱里ちゃんの作戦のおかげで何とかなりそうだよ」


「かなり無茶な作戦でしたけど、愛紗さんと鈴々ちゃんが何とかしてくれましたから。でも、この後には袁術さんの本隊と……」


「……孫策さんか。厳しいね」


「とにかく、孫策さんの部隊とどう戦うか……。孫策さんほどの相手では、今回のような奇策も通用しないでしょうし」


「うー。白蓮ちゃんと星ちゃん、金狼さんと銀狼さんに留守番を任せたの、失敗だったかなぁ……」


「でも、他国の動きもありますから。城を雛里ちゃん一人にするわけにもいきませんし……」


「そうだよねぇ。……ご主人様、上手くみんなを纏めれてるといいんだけど。何だか心配だよぉ……」



劉備は城の留守を任せている一刀の事を想いながら空を見上げる。

星と公孫賛はともかくとして、問題は金狼と銀狼の二人である。金狼は表面上の人当たりは普通に振る舞うので何かあった場合も大丈夫かもしれないが、銀狼の場合はそうはいかないだろう。

銀狼は元居た世界では凶悪な殺人鬼だった上に非常に攻撃的な性格をした人物だ。それに対して一刀は只の高校生。

もし城で何かあり、銀狼が騒ぎ出した場合、まず一刀に止める事など出来やしないだろう。金狼に至っては間違いなく火に油を注ぐような事を言うだろうし、公孫賛と星にも止められるかも分からないとしか言いようがない。

そういった点から、劉備は城の方がとても心配になり、今すぐにでも飛んで帰りたいのが正直な本音だった。



「……ならば、孫策は私が相手をしてやろうか?」



劉備が抱く不安を悟ってなのか、それまで終始無言で本陣の隅に腕を組みながら佇んでいた黒狼が口を開く。



「えっ? 黒狼さんが……ですか?」


「ああ……」


「で、ですが……」


「何か問題でもあるのか? 諸葛亮。……あぁ、相手の軍勢の数が心配なのか? それなら問題ない。私にとって……敵の数など関係ないのだからな。お前が命令さえしてくれれば、いつでも出撃してやるぞ」


「…………」



諸葛亮はどうしたものかと考え込む。確かにこの場に居る人間全員が黒狼の強さは嫌というほど知っている。反董卓連合時にシ水関であれだけの事をやってのけた彼なら、孫策の部隊と正面から渡り合う事も可能だろう。

だが、その強大な強さこそが諸葛亮の悩みの種だった。黒狼の力はあまりにも危険すぎるものだ。

もし仮に黒狼と孫策の軍勢が戦い、シ水関の時以上の結果になれば、場合によっては劉備の風評に影響を及ぼすかもしれない。それ故に諸葛亮は悩んでいるのだ。



「どうした? 敵はいつまでも待ってはくれんぞ。決断を下すのなら早々にした方がいいぞ、諸葛亮……」


「朱里ちゃん……」


「桃香様! 桃香様はいらっしゃるか!」



と、その時、城の留守を任されていたはずの星が慌てた様子で本陣まで駆け込んでくる。



「え? 星ちゃん!? どうしてこんな所に……?」


「星さん? お城に何かあったんですか?」


「おお、朱里も居たか。……どうもこうもない! 袁紹が動いた!」


「袁紹さんがっ!?」


「だって、袁紹さんは間違いなく曹操さんに戦いを挑むだろうって……!」


「袁術で手一杯の我々の領を見て、欲が出たのかもしれんが……」


「お城はどうなっていますか? 皆さんご無事ですか?」


「連中はまだ国境を越えたばかりだ。城では伯珪殿が雛里と共に籠城の支度をしているが……正直、勝ち目が薄そうでな」


「……趙雲」


「ん? 何だ?」


「金狼と銀狼はどうしてる。ちゃんと城に居るのだろうな……?」


「一応な。……ただ銀狼の奴が話を聞いた途端、今すぐ出撃させろと騒ぎ出してな。それに金狼が余計な事を言ってくれたおかげで二人して例の如く喧嘩を始めだしたのでな。お主が居ないおかげで止めるのには随分と苦労したぞ……」


「フッ、私がこちらに来たのは失敗だったか……?」


「まあ今はそんな事はどうでも良い。それよりも……」


「はい。……ともかく、第一波を退けたら、愛紗さんと鈴々ちゃんを呼び戻しましょう。それから、方針を決め直さないと……」


………


……



袁紹が劉備達の国、徐州の国境を越えた。

その報が華琳達の下に入ったのは、軍師達を集めての軍議が終わる直前の事だった。



「……そう。麗羽が」


「ん? あまり驚かないんだな」


「可能性としては有り得たもの。まさか本当にやるとは思わなかったけれど」


「袁術相手で精一杯の劉備を見て、好機と思ったのでしょうか?」



と、稟がメガネのつるに手を当てながら思った事を口にする。

それに対し華琳は右手をひらひらと振りながら呆れた表情で返す。



「……袁術に徐州を一人占めされるのが急に惜しくなったんでしょうよ」


「んな、ガキじゃあるまいし……」


「大して変わらないわよ。……風、お茶をもう一杯貰えるかしら?」


「はいー」


「それで、今後の方針はどうするんです?」



先程の軍議で決まっていたのは、近いうちに攻めてくるであろう袁紹への対応である。

華琳はこちらに攻め入る事を前提にした決定を下していたので、こんな事態になった以上は先程の軍議で決定した事は白紙に戻さねばならない。



「皆の意見を聞きたいわ。これから我らはどうするべきかしら?」



華琳は玉座の間に集まっている首脳陣を見渡す。

最初に意見を述べたのは稟である。



「徐州の遠征軍には袁紹、文醜、顔良という敵の主力が揃っています。この機に南皮へ攻め入り、徹底的に袁紹を叩くべきではないでしょうか」


「袁紹も袁術も大軍ではありますが、先見の明の無い小物ゆえ、放っておいても良いでしょう。しかし、劉備はいずれ華琳様の前に立ち塞がるであろう相手です。これを期に、まずは徐州を攻め、劉備を討つべきかと」



桂花と稟の意見が見事なまでに分かれる。



「零治はどう思う?」


「あ? オレ?」


「そうよ。……貴方の意見も聞いてみたいわ。天の国では、貴方は軍人だったのでしょう」


「……そういった建設的な意見が聞きたいんなら、オレより亜弥にしろよ。コイツ、元居た世界では戦略家だったからな」


「……私は貴方に訊いてるのだけれど?」



華琳がすぅと眼を細めながら睨み付けるので、零治は仕方なくひょいっと肩をすくめながら華琳の問いにおどけ交じりに答えて見せる。



「……他国の首脳陣を暗殺するための作戦ならいくらでも提案してやるぜ?」


「はぁ……」



華琳は零治の態度に額を手で押さえながら呆れたように溜め息を吐く。



「悪いな華琳。向こうの世界ではオレの仕事はもっぱら暗殺が主だったんでな」


「ただの言い訳にしか聞こえないのは、私の気のせいかしら……?」


「それは気のせいだ」


「……分かったわ。もう貴方には訊かない」


「そうしてくれると助かる」


「そういう訳だから亜弥、貴方の意見を聞かせてくれるかしら?」



華琳の問いに、亜弥は顎に右手を当て、無言で足元を睨み付けながら考える仕草をし、やがて静かに口を開く。



「そうですねぇ……私は現状を静観するのが妥当かと思いますが……」


「ふむ。その理由は?」


「まず、稟と桂花の提案には正当性が全くありません。今の状況で劉備を攻めても弱い者虐めにしかなりませんし、かと言って逆に袁紹を攻めても只の火事場泥棒。これでは民は納得などしないでしょう」



この世界だけに限った事ではないが、戦争をするにしても何よりも正当性というものは非常に重要なのだ。

いくら領地を護るためとはいえ、領民の心が付いて来なければ何の意味も無いのだ。

領民が納得もしていないのに無意味な戦を起こせば、民達からは当然の如く暴君として扱われ、今まで築き上げてきた評判もガタ落ちだ。

そういった点からの亜弥の鋭い指摘に稟と桂花は反論する事も出来ず、ただ黙り込む事しか出来なかった。



「それに……仮に劉備軍に戦いを挑むにしても、向こうには黒狼達が居ます。勝てる可能性は無いに等しいでしょうね……」


「なるほど。でもその理屈だと、麗羽達にも勝ち目は無いのではないかしら?」


「普通に考えればそうでしょうが……恐らく劉備達は黒狼達の扱いに頭を悩ませていると思いますよ」


「というと?」


「華琳、貴方は当然憶えていますよね? 私と零治も含め、黒狼達が反董卓連合時にシ水関で何をしたのか……」


「ええ……」


「劉備軍にはあれだけの強さを持った人間が三人も居ます。黒狼達がその気になれば、彼らだけで袁紹軍を全滅させるなど造作もない事。ですがそんな事をすれば、場合によってはシ水関の時以上の虐殺になりかねない。特に銀狼は加減という言葉を知りませんからね……」


「なるほど。下手をすれば劉備の風評に悪影響を及ぼすかもしれない。それ故、黒狼達をどう動かすか決断を下せずにいると……そういう事なのね?」


「はい」


「分かったわ。……風、貴方の意見は?」


「風もお姉さんに同意見ですねー。今は力を溜めて、次の動きに最善の一手が打てるよう静観するべきだと思いますねー」


「分かったわ。なら方針は現状を静観するものとする。以上、解散」



華琳の号令に従い、その場に集まった零治達は玉座の間を退室しだす。


………


……



場所は変わって再び劉備軍陣営。

関羽と張飛を本陣に呼び戻し、袁紹軍と袁術軍に挟まれてるこの状況をどうやって打開するか話し合いをしているが、未だに良い案が出てこない状況にあった。



「……袁術も本気の様子か」


「さっきの戦いでみんな疲れてるからなー。……ここでさっきよりも多い相手が来たら、きっと勝てないのだ」


「それに城の事もある。主と伯珪殿と雛里が居るとはいえ、今の城の兵だけでは袁紹は防ぎきれんし、何より主達だけでは金狼と銀狼の抑え役は務まらんぞ」


「……むー」



諸葛亮は現状の打開策を考えようと顎に手を当てながら唸り、思考を巡らせる。



「朱里ちゃん。何か良い策はないの?」


「あるには……あるのですが」



諸葛亮はそうは言うが、その表情は浮かないものだった。



「ほお。あるのか?」



関羽の表情に期待の色が浮かぶが、それとは対照的に諸葛亮は首を激しく横に振る。



「……ううん、駄目なんです。この策を実行すれば、きっと沢山の犠牲が出ちゃいます」


「しかし……この窮地を乗り切るためには……多少の犠牲はやむなしとするしかないぞ?」


「星! 何を言うんだっ!?」


「しかしな、愛紗よ。他に打つ手が無い以上、そう判断するしかあるまい?」


「……ぐっ!」


「朱里。その策、私に授けてみせよ。……見事果たしてみせる」


「星……お前……!」


「生存率の問題だ。お主と鈴々は、桃香様と朱里を守らねばならんしな。……だが私一人なら、どうとでもなるさ」


「……ダメだよ」



それまで終始無言で話を聞いていた劉備が小さく呟く。

そこから更に首を激しく横に振り、脇目も振らずに声を張り上げる。



「そんなのダメ! 絶対ダメ! みんなで無事に生き残るの!」


(どこまでも甘い事を抜かす女だ。犠牲無き戦争など有りはしないというのに……)



傍らで劉備の言葉を聞いていた黒狼は正論でもあると同時に、どこまでも冷たい言葉をその胸中に抱く。



「しかしな、桃香様。他に方策が無い以上、仕方ない事で―――――」


「……あるよ。一つだけ」


「桃香様……? まさか降伏を……?」



不安げに関羽が口を開くが、劉備は首を左右に振り、関羽の言葉を否定する。



「ううん。降参はしないよ。……袁紹さん達のやり方は絶対間違ってると思うから……」


「だったら何を……?」


「朱里ちゃん、前に言ってたよね……」


「……はい?」


………


……



その日の夜、華琳から急に集合命令がかけられ、玉座の間に首脳陣が集められるが、辺りはすでに真っ暗。

普段なら寝ている時間である。



「ったく、こんな夜中になんだよ? 仕事も片付いて寝ようと思ってたのによ……」



零治は苛立ちを込めて誰に言うでもなく呟く。

寝ようと思った瞬間に呼び出されたためか、零治はいささか不機嫌な様子だ。



「ふわ……ウチかて知らんわ……。急に伝令が来て、急いで全員集合て……何やろなぁ」



零治の隣に立つ真桜は軽く欠伸をし、眼を擦りながら気怠そうな様子で言う。



「…………」


「お、凪はいつ何時もビシッとしているなぁ。感心感心」



零治はいつもと何一つ変わらない様子の凪の姿を見て、感心したようにうんうんと頷く。



「…………」



しかし、当の本人は無反応である。



「……おい、凪?」


「…………」


「……寝とる」


「眼を開けたまま寝るとかって……どんだけ器用なんだよ……」


「……ぐぅ」


「……むにゃむにゃ」


「ったく、それに引き替え沙和と風は全力で寝てるしよ……。おい、二人とも、起きろっ!」


「「……おおっ!」」



零治が二人に向かって声を張り上げる。

沙和と風はびくりと身体を震わせて眼を覚ます。見事に反応まで同じである。



「起きたか?」


「……流石お兄さん。女の子の寝こみを襲うとか、いい度胸をしてますねー」


「んー。時と場所を考えてほしいかなぁ? 出来ればもうちょっと、雰囲気のいい場所がいいのー」



沙和と風は零治をからかうつもりで言ったのだろうが、零治は右手をひらひらと振りながら涼しげな顔をして受け流す。



「そういう事は、本当に心の底から愛したいと思う男にでも言ってやるんだな」


「ならウチは言うてもええんやな、零治?」



更にその場に悪乗りした霞が背後から抱き付いて加わってくるが、零治は素早くそれを振り解いて、周りの予想に反する素っ気ない態度を繰り返す。



「霞、お前は男を見る眼が無さすぎだな」


「零治、何でそんな素っ気ない反応しかせんがよ……?」


「貴方達、零治にその手の冗談を言っても無駄ですよ」


「あ、亜弥様、おはようございます」


「って、凪、いつから起きてたんだよ?」


「……女の子の寝こみを襲う、辺りですか」


「起きてたんならこいつらを止めろよな」


「隊長、ノリが悪いで。そこはもうちょっと空気を読まんと」


「空気を読んでないのはお前らだ。……アホらしい。これ以上付き合ってられるか」



零治は軽く溜息を一つ吐き、自分の所定の場所に足を運んでいく。



「……なあ、亜弥」


「何ですか?」


「なんで零治ってあんな素っ気ない反応しかせんがよ。零治って冗談も通じん堅物やったっけ?」


「いやー、彼の場合は少々特殊な事情がありましてね……」


「何ですか? 特殊な事情とは」


「彼は自分に対して常日頃、人を愛する事も愛される資格も無いと言い聞かせてますからね……。だからああいった態度を取るんですよ」


「えー? でもー、奈々瑠ちゃんと臥々瑠ちゃんにはすごく優しくしてると沙和は思うんだけどー?」


「その場合、彼は恋愛感情と家族愛は別物だと言うでしょうね」


「なぜそんな事を……?」


「まあ……自身に対する戒めとでも言いましょうか……」


「なんや? 隊長、ひょっとして女に騙された事でもあるん?」


「すみませんが、これ以上は彼個人の事になるので私の口からは言えませんね。どうしても気になるのなら、自分達で本人から聞き出すんですね」



亜弥はそう言ってその場を適当に誤魔化し、零治が立ってる位置の隣に足を運び、チラリと表情を窺う。零治は両腕を組み、眼を閉じていて普段となんら変わらない様子だが、付き合いの長い亜弥は気づいていた。彼が苛立っている事に。



(零治、確かに貴方が過去にした事は決して無償で許されるような事ではない。ですがそれは私も同じ。そしてそれは一生背負っていかなければならない十字架。戦争だから仕方のない事だと言ってしまえばそれまでですが……だからと言って、人から愛される事を拒絶したり、人を愛する事までやめる必要は無いでしょう? 誰かを愛したり、人から愛されるのは全ての人が持つ権利なんです。少なくとも私はそう思いますよ。例え貴方が復讐のために戦いに身を投じた人間だとしても……)



零治にも、もう少し人間らしく生きてほしい。これは亜弥が友として 一人の女性として切に願っている事。

しかしその反面、零治にとってそれがいかに難しい事なのも理解していた。そこには神器使いならではの特殊な理由があったからだ。



(まあ、私は比較的影響は少ない方ですが、彼の持つ叢雲は精神に与える影響が黒狼の魔王剣ディスキャリバー並みですからね。なかなか難しい問題……っと、やっと華琳が来ましたか)



首脳陣が定位置に揃ったところで、ようやく華琳、春蘭、秋蘭の三人が玉座の間にやってきた。



「全員揃ったようね。急に集まってもらったのは他でもないわ。秋蘭」


「先ほど早馬で、徐州から国境を越える許可を受けに来た輩が居る」


「……何やて?」


「入りなさい」


「……は」



華琳に促され、一人の女性が入口の前で一礼し、玉座の間に入ってくる。

そしてその女性に大半の者が驚く。その女性は見覚えのある人物だったのだ。



「な…………」


「何やて……!」


「関羽……!?」


「見覚えのある者も居るようだけれど、一応、名を名乗ってもらいましょうか」


「我が名は関雲長。徐州を治める劉玄徳が一の家臣にして、その大業を支える者」


「なんで関羽がこないな所に……」


「それは今から話を聞けば分かるわ。説明してくれるかしら?」


「……私は、曹操殿の領地の通行許可を求めに参りました」


「通行許可? ……フッ、なるほど」


「そういう事ですか……」


「おい、なに二人だけで納得したような顔をしているのだ?」


「零治と亜弥以外に気付いた者は居る?」



華琳は玉座の間に集まっている首脳陣を見渡す。

それからすぐに、流琉がおずおずと手を挙げる。



「あの……」


「流琉。言ってみなさい」


「袁紹さんと袁術さんから逃げるために、私達の領を抜けて、益州に向かうという事ですか?」


「……その通りです」



関羽は頷いて答える。その答えに、玉座の間にはどよめきが走る。



「なんと無謀な……」


「けど、袁紹や袁術と正面からぶつかるよりは、マシやと思うで」


「それはそうだが、我々とて別に劉備殿の国と同盟を組んでいるわけではないだろう?」



凪の言う通り。華琳と劉備は同盟関係を結んでいるわけではない。同盟国が通行許可受けに来るならいざ知らず、同盟を結んでもいない国の人間が他国の領地の通行許可を求めるなど、無謀以外の何物でもない。



「そういう事。それに正直、関羽もこの案には納得していないようでね……そんな相手に返事をする気にはなれないのよ」


「…………」



関羽は何も言おうとはしない。



「ほんならなんで、こんな決死の使いを買って出たんや?」


「我が主、一刀様と桃香様の願いを叶えられるのが、私だけだったからだ。それに我々が生き残る可能性としては、これが最も高い選択でもあった」


(フッ、果たしてそれは本当なのか? もう一つの選択の方が、確実に生き残れるとオレは思うのだがな……。単に気付いていないだけか、それとも気付かないフリをしているのか……)



零治は関羽の言葉を嘲笑うように口元に小さな笑みを浮かべる。



「……主のためやて。どっかの誰かさんみたいな事言うやん」



霞の言葉に同意するように、首脳陣の視線が春蘭に集中する。



「わ……私はこんなに愚直ではないぞ!」



春蘭は否定するが、誰も何も言わない。



「誰か何とか言えよ!」


「だからこれから、その返答をしに劉備の元へ向かおうと思うのだけれど……。誰か、付いて来てくれる子は居るかしら?」


………


……



「結局全員か……。愛されているな、華琳」



夜を徹しての行軍だというのに、準備は早い、誰も文句を言わない。

如何に華琳が慕われているのかも頷ける。



「おだてても何も出ないわよ」


(よく言うぜ。まんざらでもない顔をしてるくせによ)


「そうよ。何でアンタまで付いて来るのよ」



華琳の隣に立つ桂花が口を尖らせてブーたれる。



「何でだと? じゃあ訊くが、もし劉備の所に黒狼が居て、万が一戦闘になった場合、誰が奴の足止めをするんだ……。お前にそれが出来るのか……?」


「ぐっ……そ、それは……」


「二人とも喧嘩はやめなさい」


「……感謝します、曹操殿」


「さあ。その言葉は、無事に事が済んでから聞く事にするわ」


「それはどういう……?」



関羽は華琳の言葉の意味が今一つ理解できずに首を傾げる。

その時、秋蘭が先鋒から受けた連絡の報告にやって来る。



「華琳様。先鋒から連絡が来ました。……前方に劉の牙門旗。劉備の本陣のようです」



劉備軍の本陣は国境ギリギリの所に張られている。

これ以上奥に入っては話がややこしい事になるからだろう。



「なら関羽、貴方の主の所に案内して頂戴。何人か一緒に付いて来てくれる?」


「華琳様! この状況で劉備の本陣に向かうなど、危険すぎます! 罠かもしれません!」


「桂花の言う通りです! せめて、劉備をこちらに呼び出すなどさせては……!」


「でしょうね。私も別に、劉備の事を信用している訳ではないわ」


「……曹操殿」


「けれど、そんな臆病な振る舞いを、覇者たらんとしているこの私がして良いと思うのかしら?」


「……ぐっ」


「だから関羽。もしこれが罠だったなら……貴方達にはこの場で残らず死んで貰いましょう」


「ご随意に」



華琳の威圧的な視線にも臆することなく、関羽は余裕の笑みを浮かべながら短く答える。



「それで……誰が私を守ってくれるのかしら?」


「はっ!」


「ボクも行きます!」


「私も!」


「なら、春蘭、季衣、流琉、霞……それから、稟と零治に亜弥、奈々瑠と臥々瑠も……」


「華琳……」



零治は華琳の耳元まで口を寄せ、小さく囁いて話を遮る。



「どうしたの? 何か問題でも?」



それに応じるように華琳も小声で返答する。



「奈々瑠と臥々瑠だが……コイツらは後方に残しておけ。二人を本陣まで連れて行って、もし後方に黒狼達が現れたら場合、存在を察知できる人間が居なくなるからな……」


「片方だけ連れて行くとかはダメなの?」


「それでも問題ないが、あの二人は一緒に戦ってこそ本領が発揮できる。二人揃っている状況が一番好ましい」


「分かったわ。……奈々瑠と臥々瑠だけど、二人はここに残ってもらえる?」


「分かりました」


「は~い」



奈々瑠と臥々瑠は零治の考えを察し、華琳の頼みを承諾する。

二人は反董卓連合時と同じように、全身にフードつきの布を身にまとい、犬耳と尻尾を隠した姿をしている。



「決まりね。では残りの者はこの場に待機。異変があったなら、秋蘭と桂花の指示に従いなさい」


「華琳様、お気を付けくださいませ。春蘭、絶対に華琳様の事をお守りするのよ!」


「言われるまでもないわ」


「では関羽。案内してちょうだい」



一同は関羽の案内に付いていき、劉備が待つ本陣まで足を運んでいく。


………


……



「曹操さん!」


「久しいわね、劉備。連合軍の時以来かしら?」


「はい。あの時はお世話になりました」



本陣に到着後、劉備が満面の笑みで華琳達を出迎える。そしてその脇には、一刀と諸葛亮が控えていた。

そのやり取りをよそに、零治、亜弥の二人は辺りに黒狼達の気配が無いかを、全神経を集中して調べ上げる。



「……どうだ?」


「いや……ここには居ないようですね……」


「そうか。だが警戒は怠るなよ……」



零治達は普段と変わらぬ様子だが、周囲に不穏な動きが無いかを全神経を張り巡らせ警戒に当たり、華琳と劉備のやり取りを見守る。



「それで今度は私の領地を抜けたいなどと……また、随分と無茶を言ってきたものね」


「すみません。でも、皆が無事に生き延びるためには、これしか思いつかなかったので……」


「まあ、それを堂々と行う貴方の胆力は大したものだわ。……いいでしょう。私の領を通る事を許可しましょう」


「本当ですか!」



劉備の表情がぱぁっと輝く。

しかし、それを傍らで見ていた零治と亜弥の反応は冷めたものだった。



「即決か……だが、それには当然理由があるんだろうな……」


「でしょうね。あの華琳が無償で劉備達に領を通行させるのは考えにくいですからね……」


「華琳様!?」


「華琳様。劉備にはまだ何も話しておりませんが……」


「聞かずとも良い。……こうして劉備を前にすれば、何を考えているのかが分かるのだから」


「曹操さん……」


「ただし街道はこちらで指定させてもらう。……米の一粒でも強奪したなら、生きて私の領を出られないと知りなさい」


「はい! ありがとうございます!」


「それから通行料は……そうね。関羽でいいわ」


「…………え?」



華琳の口から出てきた思わぬ言葉。その言葉に劉備はどう反応していいか分からず、キョトンとしてしまう。



「なるほど。即決の理由はそれか……」


「あぁ、史実でも曹操は関羽の事をえらく気に入ってたようですからねぇ。まあ、明らかに理由はこっちの世界とは別物でしょうが……」


「それは言わないお約束だろ」


「何を不思議そうな顔をしているの? 行商も関所では通行料くらい払うわよ? 当たり前でしょう」


「え、でも、それって……!」


「貴方の全軍が無事に生き延びられるのよ? もちろん、追撃に来るだろう袁紹と袁術もこちらで何とかしてあげましょう。その代価をたった一人の将の身柄であがなえるのだから……安いものだと思わない?」


「……桃香様」


「曹操さん、ありがとうございます」


「なっ!? おい、桃香っ!?」


「桃香様っ!?」


「お姉ちゃん!」



すぐ後ろに控える一刀と張飛と諸葛亮は劉備が承諾したと思ったのか、声を張り上げる。

だが、劉備が出した答えはそれとは正反対のものだった。



「……でも、ごめんなさい」


「あら」


「愛紗ちゃんは大事な私の妹です。ご主人様も鈴々ちゃんも朱里ちゃんも……他のみんなも、誰一人欠けさせないための、今回の作戦なんです。だから、愛紗ちゃんがいなくなるんじゃ、意味がないんです。こんな所まで来てもらったのに……本当にごめんなさい」



劉備はそう言って、ぺこりと頭を下げる。



「そう。……さすが徳を持って政事を成すという劉備だわ。……残念ね」


「桃香様……私なら」


「言ったでしょう? 愛紗ちゃんがいなくなるんじゃ、意味がないって。朱里ちゃん、他の経路をもう一度調べてみて。袁紹さんか袁術さんの国境辺りで、抜けられそうな道はない?」


「……はい。もう一度候補を洗い直してみます!」


(綺麗事を抜かす奴だ。こんなんでよく王が務まるな……。劉備もそうだが、周りの連中も甘すぎだな……)



劉備の甘い考えに、零治の苛立ちは募る。



「劉備」


「……はい?」


「甘えるのもいい加減になさい!」


「……っ!」



それまで黙っていた華琳は劉備を一喝し、その迫力に劉備は肩をびくりと震わせる。



「たった一人の将のために、全軍を犠牲にするですって? 寝惚けた物言いも大概にすることね!」


「で……でも、愛紗ちゃんはそれだけ大切な人なんです!」


「なら、そのために他の将……張飛や諸葛亮、そして生き残った兵が死んでもいいというの!?」


「だから今、朱里ちゃんに何とかなりそうな経路の策定を……!」


「それが無いから、私の領を抜けるという暴挙を思いついたのでしょう? ……違うかしら?」


「…………そ、それは……」


「諸葛亮」


「はひっ!」



いきなり華琳に話を振られた諸葛亮は上ずった声で返事、しかも噛んでしまう。



「そんな都合の良い道はあるの?」


「そ……それは……」



諸葛亮は言葉に詰まる。もうこの時点で答えは明白である。



「稟。この規模の軍が、袁紹や袁術の追跡を振り切りつつ、安全に荊州や益州に抜けられる経路に心当たりはある? 大陸中を渡り歩いた貴方なら、分かるわよね?」


「はい。幾つか候補はありますが……追跡を完全に振り切れる経路はありませんし、危険な箇所が幾つもあります。我が国の精兵を基準としても、戦闘もしくは強行軍で半数は脱落するのではないかと……」


「……っ。朱里ちゃん……」


「…………」


「そんな……」



厳しい現実を思い知らされ、劉備は言葉を失ってしまう。

それでも華琳は容赦なく言って聞かせる。一人の王として……。



「現実を受け止めなさい、劉備。貴方が本当に兵のためを思うなら、関羽を通行料に、私の領を安全に抜けるのが一番なのよ」


「桃香様……」


「曹操さん……だったら……」


「それから、貴方が関羽の代わりになる、などという寝惚けた提案をする気なら、この場で貴方を叩き斬るわよ。国が王を失ってどうするつもりなの?」


「…………っ!」


(おいおい。それは王として一番やっちゃいけない事だろ。どこまでも愚かしい奴だな……)


「……どうしても関羽を譲る気はないの?」


「…………」


「まるで駄々っ子ね。今度は沈黙?」


「…………」


「……だったら、俺が残る」



それまで傍らで話を聞いていた一刀が一歩前に進み名乗り出てきた。



「ご主人様!?」


「桃香、これでいいんだ。こうする事で誰も死なずに済む。これが最善の選択なんだ……」


「で、でもっ!」


「ご主人様! 私の事は気にしないでください! 貴方が私の身代わりになる必要など無いのです!」


「そうなのだ! 愛紗の事は大事だけど、お兄ちゃんはみんなにとってもっと大事なのだ!」


「そうです! 何もご主人様が犠牲になる必要なんてありません! お願いですから考え直してください!」



劉備、関羽、張飛、諸葛亮の四人は必死の形相で考え直すように一刀に懇願する。

この様子から如何に一刀が彼女達に大事な存在なのかが見て取れる。

彼女達の気持ちを理解しながら一刀は笑みを浮かべるが、首を横に振る。



「みんな、ありがとう。でも、俺にはこれしか思いつかなかったから。ごめんな。……曹操。俺は天の御遣いだ。愛紗同様の価値がある通行料のはずだ。文句は無いだろう?」


「ふむ。確かにそうだけど……」



華琳はそこで言葉を区切り、チラリと零治に視線をやる。どうやら意見を求めているようだ。

それを理解した零治は一刀に対して口を開く。



「おい、一刀。お前に一つ確認したい事がある」


「何だよ……」



反董卓位連合時の一件が原因でか、一刀は不機嫌そうに返事をする。



「お前、今まで戦場で戦った経験はあるのか……」


「ただの高校生だった俺にそんな経験あるわけないだろ」


「…………」


「だけど、こっちの世界で言う天の国の知識はある。それだけでも充分な価値が……」


「一刀、忘れてるんじゃないか? お前とオレは同じ境遇だという事をな……」


「っ!? そ、それはそうだけど……でも、俺とお前じゃ住んでいる時代が……っ!」


「確かに時代は違うな。だが、お前はオレにとっては過去の時代の人間だ。つまりお前が持つ知識はオレも持っている。しかしオレが持っている知識はお前には無いだろ……」


「くっ! 確かにそうだが……でも、もしかしたら俺しか知らないような事もきっと……っ!」



諦めきれない一刀は零治になお食い下がる。

これ以上付き合いきれないと思った零治は、一刀に対して尤も残酷な言葉を言い放つ。



「この際だからハッキリ言わせてもらうぞ、一刀。……お前の持つ『天の御遣い』は所詮は上辺だけの肩書、ハリボテと同じだ。お前はオレ達と違って何の力も取り柄も持たないただの平凡な男にすぎないんだよ……」


「なっ!?」


「それにこっちにはオレ以上に博識な御遣いが一人居るんでな。知識に関しては間に合ってるんだよ。仮にこっちに残ったとしても余計なお荷物になるだけだ。悪いが諦めろ。今のお前に通行料としての価値は全く無い……」


「……くっ!」



一刀は零治に対して何も言えなくなってしまい、悔しげに歯を食いしばりながら俯いてしまう。

そのやり取りを傍らで見ていた華琳は劉備に視線を戻し、もう一度問いかける。



「だそうよ、劉備。どうする? 素直に関羽を明け渡した方が最善だと思うわよ」


「…………」



一刀と劉備は何も言えずにただ呆然と立ち尽くし、その場が静寂に包まれる。

だがすぐに、その静寂を打ち破るように、零治が冷笑しながら笑いを漏らす。



「フッ……クックック……フフフ……」



零治の笑い声によって、先ほどまでその場を支配してた静寂が打ち破られ、その場の人間の視線が零治に集中する。

華琳は訝しげな視線を向けながら零治に問いかける。



「零治、何が可笑しいの……」


「ん? あぁ、すまない。別にお前の事を笑った訳じゃないんだ。ただ……今の劉備の姿が、あまりにも滑稽でな……ククク……」


「えっ? 私が……滑稽……?」


「あぁ、そうさ。……劉備、関羽を譲る事が出来ないのなら、もう一つの選択肢を選べよ……」


「え? そんな……私達にはもう選択肢なんて……っ!」


「無いとでも言うのか? いいや、あるぞ。それとも……単に気付いていないフリでもしているのか?」


「気付いていないフリって……何の事を言っているんですか?」


「どうやら本当に気付いていないようだな。だが諸葛亮……」


「はい?」


「利口なお前の事だ。気付いていない訳がないだろう。なぜその選択肢を劉備に聞かせない」


「そ、それは……」


「朱里ちゃん! お願い、教えて! 一体どんな方法なの!?」


「…………」



諸葛亮は顔を伏せて何も言おうとしない。この選択肢だけは絶対に選びたくないからだ。



「言わないつもりか? ならばオレが代わりに教えてやるよ。劉備……」


「はい!」


「お前達にあるもう一つの選択肢、それは……袁紹、袁術の軍勢を叩き潰せばいいんだよ……」


「えっ……?」



劉備はまたしてもキョトンとしてしまう。

戦う事が出来ないから華琳の領地を通らせてくれと交渉しに来たのに、ここに来て袁紹、袁術と戦えと言われるなどと誰が予想できようか。



「おい、音無。貴様は何を言っているのだ? それが出来ないから、劉備達は華琳様の領地の通行許可を求めに来たんじゃないか」


「いいや、出来るさ」


「そんな! 私達の軍じゃ、袁紹さんと袁術さんの軍と戦うだけの兵力は……!」


「誰が兵を使えと言った。そっちには黒狼達が居るだろう。あの三人を使えばいいんだよ……」


「なっ……!?」


「反董卓連合時に、あの三人がシ水関で何をしたかはお前もよく憶えているだろう。あの時のようにお前があの三人に命令すればいいんだよ。袁紹、袁術の軍勢を殲滅しろ、とな……。特に金狼と銀狼はあの時の袁紹の高飛車な態度が気に食わなかったようだしな。今の奴らに命令をすれば、あの二人は喜んで出撃するはずだぞ。反董卓連合での憂さを晴らすためにな……」


「零治」



それまで話を黙って聞いていた華琳が会話に割り込んでくる。



「何だ?」


「もしも仮に、黒狼達が袁紹、袁術の軍勢と戦った場合、彼女達の軍が生き残る確率は?」


「無いな……。まあ黒狼はこの世界の事情を理解してると思うから、流石に逃げる奴にまでは手を出さないだろうから多少は生き残りが出るかもしれないが、袁紹が相手となると金狼と銀狼は見逃してはくれないだろうな。連合での憂さ晴らしのために、全力で袁紹を殺しにかかるだろうよ……」


「そんな……っ! そんな事私には……」


「出来ないとでも言うつもりか? 劉備……。関羽を渡して領地を抜けるのは嫌。袁紹、袁術とも戦わない。ならお前に残された選択肢は降伏だけだな……」


「降伏はしません!」



それまで弱気な態度だった劉備は一変して、声を張り上げる。



「なぜだ?」


「袁紹さんも袁術さんのやり方も間違っているからです! だから、降伏なんかしません!」


「ならば戦ってそれを証明すればいいだろう。何度も同じ事を言わせるな……」


「でも……そうしたら袁紹さん達が……っ!」


「……フッ、なるほどな……」



零治は劉備の思考を読み取り、冷笑しながら彼女が戦いを挑むのを躊躇う理由を突いて来る。



「劉備、お前……人を殺すのが嫌なんだろう……」


「っ!?」


「図星か。だがおかしな話だな。お前は今まで大勢の人を殺してきて今の地位に上り詰めたのだろう? 今更何を躊躇う必要があるのだ?」


「わ、私は……人を殺してなんか……っ!」


「音無! 桃香様は一人たりとも人を殺してなどいない! 直接手を下したのは我らだ!」



それまで黙って二人のやり取りを傍観していた関羽がとうとう我慢できなくなったのか、声を荒げる。

だが零治はその反応も予想済みだったのか、涼しげに返す。



「確かに直接手を下したのはお前達だろうな。だが劉備は、お前達という将を動かして間接的に人を殺している。それは直接手を下したのと同義なのだよ。違うか?」


「くっ!」



零治の鋭い指摘に関羽は何も言えなくなり、悔しげに歯を食いしばり、零治を睨み付けながら黙り込む。



「理解できたのなら話の邪魔をするな。さて、劉備……」


「は、はい……」


「お前は反董卓連合時に、オレに言ったよなぁ? この大陸に生きる全ての人が笑って過ごせる国を作る、と……」


「……はい」


「お前は今までその理想を実現するために戦ってきた、そうだな?」


「はい」


「そして今は、その理想に共感した民や兵達の期待もその一身に背負っている……なのに、お前はそいつらの期待を裏切るのか?」


「そんな事はしないっ!」


「だが現に今、生きるか死ぬかの瀬戸際だというのに重要な決断を下せずにいて、自滅の道を歩もうとしている。これを裏切り行為と言わずして何と言うのだ?」


「…………」


「黙っていれば事態が好転すると思っているのか? 現実はお前が思っているほど甘くはないぞ……」


「……っ!」



零治の言葉は劉備の心に深々と突き刺さり、劉備は何も言えなくなり、ただ俯いて悔しげに唇を噛む。



「劉備、お前の手はすでに大勢の人間の血で汚れているんだ。今更付いてる血の量が増えた所で大して変わらないだろうが。なぜ躊躇う?」


「…………」


「お前はその程度の覚悟も持たずに軍を立ち上げ、今の地位に就いたのか? だとしたらとんだお笑い草だな……」


「零治、もういいわ。これ以上は時間の無駄だもの。……勝手に通って行きなさい」


「……え?」


「聞こえなかった? 私の領を通っても良いと言ったのよ。……益州でも荊州でもどこへでも行けばいい」


「華琳様!」



納得のいかない春蘭が声を張り上げるが華琳はこれを無視する。



「そ、曹操さん……ありがとうございます!」


「ただし」


「……通行料、ですか?」


「当たり前でしょう。……先に言っておくわ。貴方が南方を統一した時、私は必ず貴方の国を奪いに行く。通行料の利息込みでね」


「…………」



劉備は息を飲む。華琳の先程の言葉、これは即ち宣戦布告を意味する。



「そうされたくないなら、私の隙を狙ってこちらに攻めてきなさい。そこで私を殺せば、借金は帳消しにしてあげる」


「……そんな事」


「ない? なら、私が滅ぼしに行ってあげるから、せいぜい良い国を作って待っていなさい。貴方はとても可愛らしいから……私の側仕えにして、関羽と一緒に存分に可愛がってあげる」


「く……曹操殿! これ以上桃香様を侮辱するといくら貴方とはいえ……!」



怒りに震える関羽を華琳は無視し、霞と稟にテキパキと指示を出す。



「霞、稟。劉備達を向こう側まで案内なさい。街道の選択は任せる。劉備は一兵たりとも失いたくないようだから……なるべく安全で危険のない道にしてあげてね?」


「はっ」


「それでウチも連れてきた訳か。了解や」


「それでは私達は戻るわよ。……劉備、貴方がした選択、間違っていなければ良いけれどね」


「…………間違ってなんかいません。それを、絶対に証明してみせますから!」


「良い返事だわ。……帰るぞ」



華琳達はくるりと踵を返し、来た道を戻っていく。



「うぅぅ……。ちびっこなんかに負けないのだっ!」


「ぐぬぬ……。ボクもお前なんかに負けないから!」


「ちょっと、季衣ってば……」



反董卓連合時以来、犬猿の仲になっている季衣と張飛が睨み合う。流琉が間に入って仲裁をしようと試みるが二人は全く流琉の言葉に耳を貸そうとしない。



「季衣、遊んでないで行きますよ」



見かねた亜弥が割って入り、季衣の首根っこを掴んでそのままズルズルと引きずりながら来た道を戻っていく。



「うひゃっ!? ね、姉ちゃん! ちょっと、引っ張らないでよー! ……って、あれ? 兄ちゃん、どうしたの? 早く帰ろうよ」


「…………」



他のメンバーは引き上げ始めているというのに、零治はズボンのポケットに両手を突っ込み、無言のまま直立不動の姿勢を保っている。



「零治、何をしているの。行くわよ?」


「華琳。すまんが先に行っててくれ。オレはまだ一刀と劉備に個人的な話があるのでな……」


「えっ? 私達に話?」


「何だよ。個人的な話って……」


「……華琳」



零治はチラリと華琳に意味深な視線を向ける。席を外してくれと言いたいのだ。



「しょうがないわね。あまり待たせないで頂戴よ?」


「分かってる」



零治の考えを理解し、華琳は他のメンバーを伴い、一足先に劉備軍の陣営から立ち去っていく。

その場には零治、一刀、劉備、関羽、張飛、諸葛亮の五人が残る事となった。

話があると言ったのは零治なのに、いつまでたっても口を開かないので、劉備がおずおずと尋ねてくる。



「あの……私達に話って何ですか?」


「…………」


「おい。話があるって言ったのはそっちだろ。黙ってないで何とか言えよ」


「フッ……」



劉備と一刀の態度を嘲笑うかの如く、零治は口の端を歪めて鼻を鳴らす。



「何だよ。人を鼻で笑うとか……まさかそれがやりたくて俺達を引き止めたのか?」


「な訳ないだろ。……そうだな。あまりウチの主君を待たせるわけにもいかんし、さっさと終わらせるか」



零治が話を始めようとした矢先、零治の事を心底疑っている関羽が口を挟んでくる。



「音無。一体なんのつもりで我らの主を引き止めたのかは知らんが、おかしな素振りを見せたら……その時は貴様の命、無いと思え」


「そのセリフ、そっくりそのまま貴様に返してやるぞ。……それにオレがその気になれば、貴様ら全員を瞬時に殺すなど、赤子の手を捻るよりもたやすい事だ」


「貴様……」


「おい。オレはお前と喧嘩をするために残ってる訳じゃないんだ。話の邪魔をするんじゃねぇよ……」


「愛紗ちゃん」


「……失礼いたしました。どうぞ続きを」



関羽が先を促し、零治は改めて一刀と劉備に向き直り、口を開く。



「劉備、話とは他でもない。あの時……反董卓連合時にオレが指摘したお前の掲げる理想の矛盾についてだ」


「…………」


「あれからもう随分な時間が経ったが、答えは見つかったのか?」


「そ、それは……」



劉備は言い淀む。

もうこの時点で答えが出せていないの明らかである。



「やれやれ。……なら一刀、お前はどうだ? ちゃんと宿題は済ませてきてるんだろうなぁ……」


「…………」


「おいおい。まさか白紙のまま答案用紙を先生の前に持ってきたのか? こんなんじゃ花丸どころか点数すら与えてやれないじゃないか……」



零治は出来の悪い生徒を前にする教師のように呆れながら嘆息し、やれやれと言わんばかりに肩をすくめながら首を横に振った。



「仕方ない。もう少し助言してやるよ。……劉備、反董卓連合時に二人の少女を保護したのは憶えているよな?」


「あ、はい。憶えてます。それが何か?」


「メガネをかけてた方の名前は分からんが、もう一人の少女……アイツは董卓なんだろ?」


「っ!?」


「やはりな……」


「音無! まさか貴様、それを理由に我らを恫喝するつもりか!?」


「安心しろ。そんな真似はしないし、その事をウチの主君に告げ口する気も無いさ。それをやったら、あの時オレが役目をちゃんと果たさなかった事がばれちまうからな」


「ほっ。よかったぁ」



零治にその気がないという事を理解した劉備は安堵の溜息をつきながら胸を撫で下ろす。



「零治。だったら何のつもりであの二人の話を持ちかけたんだよ?」


「……あの二人は今どうしてる?」


「えっと、私達の所で侍女として働いてもらってますよ。もちろん一部の人達以外には正体は伏せてますけど」


「そりゃそうだろうな。……で、そいつらは幸せそうか?」


「はい! 初めの内は浮かない顔でしたが、最近はよく笑うようになってますよ!」


「そうか」


「音無さん。ゆ……董卓ちゃんは確かに酷い目に遭って悲しい思いもいっぱいしてきました。でも、今はその悲しみを乗り越えて日々をちゃんと笑って過ごせているんです。だから……私の理想の実現は無理じゃないし、矛盾なんか無いと思うんです」



劉備は胸を張って零治に答えてみせる。

彼女にとってはこれが答えなのかもしれない。だが零治が求めている答えは違う。

劉備の言葉を耳にした零治は俯きながら小刻みに肩を震わせる。



「……音無さん?」


「フッ……クックック。フフフ……ハッハッハ!」


「お、おい! 何が可笑しんだよ! 零治!」


「違う。違うんだよ、劉備。オレはそういう意味で董卓の話を持ち出したんじゃないんだ」


「えっ? それじゃあ、一体……」


「仕方ないな。これは最大級の助言だぞ。……劉備、お前は董卓達を保護する前に、『何』をしてきた?」


「はい? 何をしてきたって……いきなり何を?」


「まったく。なら少し視点を変えるぞ。……お前は今日この日まで、今の地位に辿り着くまで『何』をしてきたんだ……」


「それは……まず、みんなで旗揚げをして、困っている人達を助けてながら名を広めて、それから……」


「桃香が領主になってからは、治めている領地の人達の困り事の解決やその他諸々。……周りからの助けもあったおかげでもあるけど、桃香は領主として立派に今までやって来たぞ」



劉備と一刀が揃って零治の問いに答える。

だが零治にとって一番重要な事が答えから抜け落ちていたため、零治は失望の色を露わにする。



「お前ら。揃いも揃って目先の事しか言えないのかよ。いくらなんでも視野が狭すぎるんじゃないか……?」


「何だよ。今のは違うって言うのか……」


「ああ。全然違うな。もういい。お前らに訊いても時間を無駄にするだけだ。……おい、諸葛亮」


「はひっ!?」



今まで全く話しかけられていなかったせいもあるのか、零治に声を掛けられた諸葛亮はまたもや上ずった声で噛みながら返事をする。



「何をそんなに驚いてる……」


「す、すみません。今まで全く相手にされず、いきなり声を掛けられたもので。……それで、私に何か?」


「お前ならもう分かってるはずだろ? オレが言った矛盾について……」


「…………」


「その顔、やはり気付いてるんだな」


「えっ!? そうなの! 朱里ちゃん!」


「……はい」


「朱里、教えてくれ。零治が言ってる矛盾て一体……」


「おいコラ。ズルはいかんなぁ、ズルは。知りたければちゃんと自分の頭を使って答えを導き出せよな……」



二人は諸葛亮に詰め寄り、答えを訊き出そうとするが、後ろから零治に釘を刺すように言われ、劉備と一刀は無言で諸葛亮から身を離す。



「諸葛亮、分かっているだろうが、後でこの二人に答えを教えたりするんじゃないぞ。そんな事をしたらコイツらのためにならんからな」


「分かっています」


「ならいい。……でだ、諸葛亮。オレが言った矛盾にもう気付いているのなら、なぜ劉備の考えに同調するんだ。実現も出来ない理想を目指して何の意味があるというのだ……?」


「確かに音無さんの言いたい事は分かります。でも……だからこそ私は桃香様の理想のために力を貸したいんです。桃香様のような考えを持つ御方は滅多に居ないし、何よりその理想はとても尊い物なんですから」


「大層なご高説だな。……だがそのために、劉備と一刀が大陸の一部の人間から一生恨まれるような事になってもいいと言うのか?」


「そうならないようにするのが軍師である私の役目です。そんな事には絶対にさせません」


「口で言うの簡単だが、人の心はそこまで単純には出来てないぞ。恨みの連鎖が言葉だけで断ち切れるなどとは思わない事だな。……諸葛亮。主の理想に同調するのは別に悪くない事だが、だからといって甘やかすのは良くないぞ。今回の一件も、ウチの主君のお情けがあったおかげなんだ。こういった幸運は二度も続きはせんぞ……」



話を終えた零治は、これ以上華琳を待たせまいと踵を返し、劉備の陣営を立ち去ろうとするが、不意に足を止め、背を向けたまま口を開く。



「諸葛亮。本当に劉備と一刀の事を想うのなら、もう少し厳しく接する事だな。王を甘やかしても本人のためにも国のためにもならん。それが出来ないと言うのなら……そんな国はお前ら共々滅んでしまえ。その方が世のためだ……」


「なっ!? 貴様! 最後の最後で減らず口を!」



後ろで関羽が激昂するが、零治はその言葉に耳を貸さずに早々にその場を立ち去って行った。


………


……



「すまん。遅くなった」


「まったく。随分と待たせてくれたじゃないの」


「だからこうして謝ってるだろ。早いとこ戻って今後の方針を決めようぜ」


「ええ」



零治がようやく合流してきたので、一同は自分達の陣営を目指して足を進める。



「……大層な悪役ぶりだったな」



その帰り道、先程のやり取りで思った事を零治は口にする。



「そう? 貴方には負けると思うわよ?」


「……褒め言葉として受け取っておこう」


「ええ。そうしてちょうだい」


「それにしても意外ですね、華琳。無償で劉備達の通行を許可するなんて」


「……この時代を徳と理想だけで乗り切ろうなんて、余程の世間知らずか頭のおかしな賢人だけよ。彼女がどこまで行けるのか、見てみたいじゃない?」


「華琳様。また悪い癖が……」


「…………」



劉備の事が話題に出てきたせいか、零治の表情に苛立ちが浮かび、急に立ち止まる。



「零治、どうしたの?」


「悪い華琳、先に行っててくれ。ちょいとタバコが吸いたくなったんでな……」


「あ、なら私も」


「まったく貴方達は……手早く済ませないさいよ。この後、劉備達を追撃に来る袁紹達の軍勢の相手をしなければならないんだから」


「分かってる」



華琳達は一足先に秋蘭達が待つ場所まで戻り、その場に零治と亜弥が残される。

二人は懐からタバコを取出し、火を点けて煙を吹かし始める。



「……フーー……」


「何をそんなに苛立ってるんです?」


「…………」


「劉備の事、ですか……?」


「フーー……まあな」


「零治、貴方の眼には彼女の姿はどのように映りましたか?」


「……人としては立派かもしれんが、王としては失格だな……」


「これはまた手厳しい意見ですね。どうしてそう思うのです?」


「オレに言わせる気か? 頭のいいお前が分からない訳がないだろう」


「まあそう言わずに聞かせてくださいよ。貴方のこういった事の意見は興味深いので」


「ったく。……フーー……」



零治は煙を大きく吐き、気持ちを落ち着けて静かに口を開く。



「まず関羽の事だが、確かに劉備にとっては掛け替えのない存在だろう。だがそれはあくまで劉備個人の都合だ。少なくとも、あの場ではそれは胸の内に留めておくべきだ」


「フーー……ですね」


「確かに関羽ほどの強さを持つ将となれば、王としても重要な存在だろう。だが、関羽一人とそれ以外の将兵全員の命と引き換えでは釣り合いなど取れる訳がない。そして、華琳から叱責され二度目の選択を迫られても、劉備は関羽を渡すとは言わず、かと言って他の将兵を犠牲にするとも言わず、結果は沈黙。つまりは、王として決断を下すべき場面で奴はその責務を放棄した」


「……フーー……」


「幻想としか言えない理想に賛同してくれる多くの人々の上に立つ者として、またその理想を実現するために多くの命を奪ってきた者として、あの行為はあまりにも無責任だ。それどころか、人を殺す覚悟も持てていなかったようだ……」


「まあ、黒狼達を使うとなると風評にも関わってきますから仕方ない部分もあると思いますが……」


「確かに風評は大事だが、生きるか死ぬかの瀬戸際でそんな事を言える立場でもあるまい。それにだ、黒狼達の手綱を引くのも王の務めだ。諸葛亮があの時オレが言った選択肢を劉備に聞かせてなかったのは、奴にはそれが出来ていなかった証拠だ」


「でしょうね……」


「だからオレは……劉備を認めない。あんな甘い考えを持つ女が王などと認めてたまるか……」


「それは向こうに黒狼達が居るからですか……」


「それは考えすぎだ……」


「…………」


「そろそろ戻るぞ。この後はどうせ袁紹どもの相手をしなきゃならんからな……」



零治はそう言って忌々しげにタバコの吸い殻を地面に投げつけ、靴の底でぐりぐりと踏みにじる。



「零治、タバコのポイ捨ては感心しませんね」


「今ぐらい許せよ。正直胸糞が悪いからな」


「なら、その怒りは袁紹軍にぶつけてやればいいでしょう? 反董卓連合時の袁紹のあの高飛車な態度、貴方も気に食わなかったんでしょう?」


「まあな。だが……そういうお前もだろ?」


「ま、多少は……」


「なら行くぞ。これ以上華琳達を待たせると何を言われるか分からんからな」


「ええ」



二人はコートを翻し、華琳達が待つ場所まで足を運ぶ。

いよいよ、華琳の軍勢と袁紹軍の戦いが本格化し、次なる戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。

零治「ここは元からそうだったが、またアンチ色が強くなってるなぁ」


作者「だねぇ。そしてその原因はやっぱ一刀のせいになるんだよなぁ」


亜弥「まあ、ストーリー上の演出なら仕方なんでしょうが」


奈々瑠「自分の好きなキャラ達に対してアンチ色の入った話を書くなんて、貴方も思い切った事をしますね」


作者「いやいや。オレも結構心を痛めながら書いてるんだぜ。なんだけど……」


臥々瑠「うん? なんかあるの?」


作者「いやね……蜀のアンチ話を書いてる時さ……好きなキャラ達のはずなのに、それを書いて楽しんでる自分が居るんだよ。何でだろ……?」


零治「さあな? まっ、人には色々あるって事だろ」

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