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本物のおうじとひめの物語  作者: ぬりえ


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2/3

「これより、二年四組、手作り劇場です」


 ブー……



 カーテン上がる。



 以下、演劇部部長作、台本。


継母「いつもその大きく背の開いた服を着てるから、この子はヒロなのよ」

 まったく、とぺっぺっぺっとたくさんつばを吐く仕草。このへんは劇らしく。

 ヒロ。ヒロインと広瀬さんの苗字をかけた名前、演劇部部長作。

 そんで、本人了承済み、鍛え上げたお体を見せるというある意味ラッキースケベ?

女子モノローグ「ヒロイン役、本名、広瀬です」

女子モノローグ「継母役、〇〇です」


悪役令嬢(シンデレラ)「おかあさま、あまり声に出してはかわいそうですわ」

継母「まぁ、シンデレラったら、なんて優しいの」

シンデレラ「ふふふ、だってわたくし、王子の婚約者ですもの」

女子モノローグ「シンデレラが悪役令嬢?!」

 このへん、ギャグを入れてみました。


継母「まだお姿も見たことないのに、婚約を決めてよかったの?」

シンデレラ「いいのよ! 王子様なんだから、イケメンで頭脳明晰の金持ちに決まってるわ」

女子モノローグ「だといいけど」

 悩む体勢の継母。


女子モノローグ「噂によると、王子ってとっても醜いって話だけど…… 大丈夫かしら」

 継母、まだ悩み中の心の声。

女子モノローグ「お母さま悩んでるけど、ま、いっか☆」

 てへぺろをするシンデレラ。軽いかんじでギャグ演出。



 カーテン下がり、その前にて。



シンデレラの婚約者王子「あー、早く会えないかなぁ、僕の愛しい婚約者ちゃぁん」

 うっとりの婚約者王子。全身らくだ色のぴったり衣装。しかし、おなかにはクッションを入れて脂肪を作る。

男子モノローグ「これがシンデレラの婚約者、はだかの王様です」

婚約者王子「ぼくの美しい着物を見たら、きっとくらっときちゃうよね」

男子モノローグ「この人は、着物を着ているとまだ思っています。かわいそうに」

 ここへギャグ。

男子モノローグ「ちなみに、ばかにした男の子とつい笑った民は殺されてしまいました」

 ここでさらりとダークを入れてみる。

ヒーロー台詞「王子、そちらのお召し物、汚してしまっては大変です。お召替えになってはいかがですか」

 従者がヒーローです。

婚約者王子「はぁ? そんなことしないよ! ばかかお前は!」

 ばしんとはたかれる従者。ぶよんと垂れる脂肪で。ギャグ。

男子モノローグ「王様はたいへんな脂肪の持ち主で、人を叱るときにはその脂肪で挟み込むか、叩くか、をしています」

 ダークなかんじの絵もダンボールに描く。

ヒーロー台詞「あー、この仕事、辞めたーい」

 ヒーロー、にこにこの顔で。台詞読みの人は棒読みでよろ。

ヒーロー台詞「なぁんて言ったらその腹に包まれて臭い汗のなか轢死しそうだわー」

 にこにこの顔で。台詞読みの人は棒読みでよろ。


 馬車、通り過ぎる。

 カーテン上がる。上手にライト。


女子モノローグ「着替え中♡」

 シンデレラ、着替えている動きし、その前でモノローグ役は大きなダンボールを持っている。

 なるべく色っぽい動作をして。いいポイントをさっとダンボール係は隠してください。

シンデレラ「ついにこの日が来たわ! おっおじっさまぁ~♡」

女子モノローグ「きれいにしています」

 がちゃ、ノブの音をさせる。

継母「入るわよ…… って」

シンデレラ「きゃー! ってやるなら、王子様がよかったのに」

女子モノローグ「なぁんだラッキースケベ失敗、と着替え中の姿で思っているシンデレラです」


上手のライト消され、下手にライト。


婚約者王子「どんな子か、楽しみだなぁ」

 馬車の外を見ながらうっとりする婚約者王子。

ヒーロー台詞「ソーデスネ」 棒読みで。

婚約者王子「ぼっきゅっぼんの子がいいなぁ」

ヒーロー台詞「いるかよ」

 へん、ってかんじの顔してね。

婚約者王子「なにか言った?」

 聞こえてなかったから、でれでれの顔のままで。

ヒーロー台詞「いいえ」

 おい比米、にこにこイケメンでよろ。声出させないでやるんだから顔だけはよくしろ。



 上手のライト点く。



継母「はくしゅんっ」

女子モノローグ「ここにいました、ぼっきゅっぼん!」

 継母はぼっきゅっぼんの身体でよろしく! さらしとクッション用意必須!

シンデレラ「お母さまお風邪?」


 カーテン閉まりながら、カーテン前に役者全員出る。


ヒーロー台詞「お待たせしました、こちらのお方が」

 従者、横に立つ婚約者王子を紹介しようとする。

継母「うそでしょう」

女子モノローグ「めっちゃタイプ!」

 これは実は……

シンデレラ「まぁ! なんて素敵なかたなの!」

 ヒーローにくっつくシンデレラ。

シンデレラ「顔よし、身体よし、声よし、きっと頭もいいのよね!」

ヒーローの声「は?」

婚約者王子「余が王子である! くるしゅうない、(おもて)をあげよ」

シンデレラ「え?」

女子モノローグ「なによこの男、パンイチとかなに?! めちゃデブ! ありえない!」

 なにこいつ、という顔のシンデレラ。マジで死にそうな顔してね。

婚約者王子「え?」

シンデレラ「こっちのイケメンじゃないの~?!」

女子モノローグ「やっば、声に出ちゃった☆」

 婚約者王子、がーん、ってことで膝から崩れ落ちてみる?

 でも実は……



 そんなこんなの間、花道にて。

継母「あんな人が王子? 肩書はいいけど、あの子には似合わないわ! わたくしがぴったりじゃない! いいわ、ふふふ、この毒リンゴを食べさせてあげましょう」

 錆びた鍋で煮込んだリンゴはとろっとろのコンポートを作りました。

 ってことで、継母、鍋煮込んでね。

女子モノローグ「なんと、継母のタイプはシンデレラの婚約者、王子のほうだったのです!」

女子モノローグ「めっちゃタイプ! は継母の心でした」


 消灯、全員消える。


 ヒーロー、椅子に座る。

 ヒーロー、べたべたくっついてくるシンデレラから逃げるために、婚約者王子と二人きりにするという理由をくっつけて逃走。お庭で息をついています。


 花道にて。

継母「少しのあいだ、我慢なさい」

 耳元で内緒話なかんじで。

シンデレラ「へ?」

継母「王子様、こちら、特製のリンゴです、ほらシンデレラ、食べさせてあげて」

シンデレラ「うぇぇぇ」

 すごく嫌そうにして。

 目で合図し、継母は去る。

女子モノローグ「わたしがやりたかったわ!」

 と思ったのは継母のほう。

男子モノローグ「あの人にやってもらいたかった!」

 というのは、ぼっきゅっぼんの継母に一目ぼれの婚約者王子!

男子モノローグ「なんと、王子も継母に惚れていた!」

 ってわかるようになんかして。

シンデレラ「あーん」

婚約者王子「あーん」

 もぐもぐ、ばた、

シンデレラ「ぐぇっ」

モノローグ「なんとシンデレラは、たっぷりの脂肪に潰されて動けません」

婚約者王子「一緒に死ぬなら、あの人だったらよかったぁ……」

シンデレラ「くるし、」

 二人して、なかよくさよなら、

 ちーん、とおりんを鳴らす。


 そのまま昇天…… とはいかず、


 二人、ゾンビのようになりました。毒りんごのせいです。

「あいつのせいだぁ」「あいつのせいよ」

「ヒロインの!」「ヒーローの!」

「死んでもらうわ!」「死んでもらう!」

 声を合わせてね。

女子モノローグ「なんでもヒロインのせいにするシンデレラです」

男子モノローグ「シンデレラの母親を先に紹介してくれなかったヒーローのせいにする王子です」


 二人はゾンビの動きでそれぞれを探し始めます。キョンシーっぽくもいい。


継母「なんてこと?! シンデレラ? 王子様?」

女子モノローグ「なんと、ゾンビにさせたのは、継母だったのです」


 というのはのちほど。


ヒーロー台詞「あー、つかれた。早く帰りたい~」

 がさ、と音させる。

ヒーロー台詞「だれ?」

ヒロ「え? あなたこそ、早くここから出たほうが」

ヒーロー台詞「あー、オレ、王子の従者だから」

ヒロ「そうですか。ではごゆっくり」

ヒーロー台詞「あんただれ? っての忘れた?」

ヒロ「あ、わたしはヒロです。義妹がお世話になります」

ヒーロー台詞「なんでこんなとこいるの?」

ヒロ「ふたりでよろしくやってるところを邪魔できないので、野宿です」

ヒーロー台詞「野宿ぅ?! 部屋ないの?」

ヒロ「ありません」

ヒーロー台詞「即答かよ!」

ヒロ「今夜は夜が長く感じるかと思いましたが、あなたとおしゃべりしていれば、すぐに明けそうです」

 天使役、弓矢でヒーローをとすっ

 王子、どっきーん、そのまま恋に落ちました。

男子モノローグ「ちょろ……」

 ここのへんギャグっぽくね。


男子モノローグ「なんとこの従者、肩書見た目その他もろもろのすべてで、城のなかの女性男性からもてもてなのです」

男子モノローグ「いいよってこなかったことにも好感、そしてこの言葉で落ちました」

男子モノローグ「ちょろ……」


ヒーロー台詞「オレと、いや、こほん」

ヒーロー台詞「わたしと一曲、踊っていただけますか」

ヒロ「音楽ありませんけど」

 ずばっと切られた。ぽきっと折れる演技してね。

ヒロ「あ、歌えばいいですね」


 ヒロイン、歌い始める。

 ヒーローとダンス。

 その光景を、継母が見た。


 継母、あの子のせいよってかんじの恨めしい顔してね。

 黒いマントを羽織らせてね。魔女っぽくね。


女子モノローグ「愛する人を二人も一度に失いました」

女子モノローグ「どこで知ったのか。鍋で一部始終を見ていたのです」

女子モノローグ「継母は呪いをかけたのです」



女子モノローグ「ヒロインが、氷になり、くだけるように」


 ダンス終了。


ヒロ「なんか、寒いですね」

ヒーロー台詞「え? 熱いけど」

男子モノローグ「熱? 恋? 運動のせい?」


 そこへ、ゾンビの二人が襲ってきました。

 黒っぽいマント羽織ってるといいな。


ヒーロー台詞「伏せて」

ヒロ「きゃ」


 どさ、

 出ました床ドンです!


 ここは恋愛漫画っぽい描写必要でしょ! 二人ともしっかりね!


 そこで時間が止まる。

 ヒーローはアームアンドレッグレイズの恰好で、シンデレラと王子の二人は襲いかかるかっこうで両手をあげたままでがんばって。筋肉つけといて。

 シンデレラはヒーローにくっつきそうなぎりぎり範囲で。


 ヒロだけ動く。


ヒロ「こういうの、ほんとにあるのね! せっかくなら、わたしがやってみたかったわ」


ヒロ「こんなふうに」


 くるくるくる、とヒロまわる。


 との間、モノローグ隊がスカートの生地を剥がしていく。

 と、白いスーツの男装ヒロイン登場!

 衣装係、がんばって!




 以上、演劇部長が書いた台本ですが、

 以下、は、このあとの実際のこと。



ヒロ「よっと」

 壇上から下りる。

ヒロ「すてきなお嬢さん、」

 生徒会長に声をかける。

ヒロ「わたしと踊っていただけますか?」


生徒会長「へっ」


ヒロ「どうか」

 生徒会長の手を引く。

生徒会長「あ、えっと、」

ヒロ「おっと、そんなに逃げなくても」

生徒会長「いえいえいえ、適正に審査するので」

ヒロ「適正に? できますか?」


 とん、


 壁ドン! 男装で! イケメン! きゃー! と黄色い声があがる。


ヒロ「どうぞ、しばらくお楽しみください」


ヒロ「気分はどうですか? ひ、め?」

生徒会長「きゃー」


 ぷしゅー、と生徒会長落ちる。




 では、以下、台本に戻ります。


 ってかんじで壇上に戻り、モノローグ隊がスカートをつける。

 よいしょ、ともとに戻る。もちろん、王子の床ドンの場所。

 比米、筋肉つけとけよ。その体勢、けっこう辛いぞ。

 ずりずり下に入ったところで、「はい、開始!」と監督のあれがパシンと鳴る。


男子モノローグ「あれ、なんかスカート変わった?」

 が、返事の間はなく。

婚約者ゾンビ「余の従者ごときが、なぜシンデレラにくっつかれておった」

 しゃーっとマントを広げるも、

継母「かっこいいですわ! 殿下! 生きておられたのですね!」

 継母が抱き着いて停止。

女子モノローグ「そして婚約者王子は、継母の分厚い抱擁でゾンビから人間に戻りました。めでたしめでたし」


女子モノローグ「というわけにはいかず」


女子モノローグ「人を呪わば、ということで、呪った継母も、ゾンビになってしまったのです」

男子モノローグ「ただよかったことは、あのリンゴは最初に見た人に惚れる惚れ薬で、死んだわけではなかったという点でしょうか」


女子モノローグ「調合に使用した材料にゾンビになるものが入っていたことに、作った継母本人も気づかなかった。しかしぼっきゅっぼんの継母に一目ぼれしていた婚約者王子は、ある意味めでたくなりました」

男子モノローグ「二人ともゾンビのままだけど」



ヒーロー台詞「え? なにが起こったの?」

男子モノローグ「ヒロを庇ったままの王子、一部始終の二人を見て、頭の回転が止まりましたが、この二人からは救われたと頭脳明晰、すぐ悟りました」


 とすると。


シンデレラ「あたしだけ不幸じゃないの! すべてあんたのせいよ!!」

女子モノローグ「こちら、王子の脂肪で本当に死亡したシンデレラ、ゾンビではなく悪魔に変化。人の魂を喰らおうとします」


 が。


男子ヒーロー台詞「やめろ!」

シンデレラ「きゃぁっ」

女子モノローグ「王子の顔面偏差値の高さと彼女本人の好みがドストライク、半分浄化されました」

シンデレラ「くぅっ! ここで消えるわけにはいかないわ! お母さまの呪いよ!」

 庇われているヒロインの背にくるりとまわり、浄化されていない力を振り絞り、完全に発動していなかった継母の呪いをかけるため、ふぅ、と息を吹きかけました。


シンデレラ「これで呪いは発動ね」 ってことで。

女子モノローグ「きらきらきら、おーっほっほっほ、と消えていきましたが、その先は地獄でしょう」


 去ったあと、シンデレラの叫び声。もちろん地獄です。


ヒロイン、倒れる。斜めなかんじで。

ヒーロー台詞「え? どうしたの?」

 なにが起きたのかわかりませんってかんじでやってね。

ヒロ「さ、さむい……」

 ぴしぴしぴし、って効果音準備してね。

女子モノローグ「そのまま氷の彫刻になってしまいました」

 ヒーロー、つんって触ってつめたっ! みたいな演技してね。

 観客から見るとこの体勢辛いだろ! みたいな体勢にしてね、ヒロイン。広瀬(おまえ)ならできる。

 で、ヒーローが手を離しても動かなかいことで凍ってるのを再現。

 ヒロインはここはただ動き止めるだけ。

女子モノローグ「こういうときこそ愛の力です!」

ヒーロー台詞「さっさと起きろ!」


 ごん、

 頭突きして、


男子モノローグ「これって愛?」

 ギャグ。


ヒロ「いった!」

 ぱりぱりぱり、と氷が解けて倒れそうになるところ、ヒーローキャッチ!

ヒーロー台詞「あ! 生き返った!」

ヒロ「え? たしかに、冬眠でもしていた気分です」

ヒーロー台詞「したことあるの?」

ヒロ「ありません」

ヒーロー台詞「ある意味してた。で、寝起きの気分は?」

 地面に座って、腰を支えられている状態に気づきます、

ヒロイン「おでこ痛いです」

ヒーロー「……」

女子モノローグ「もちろんさっきの頭突きのせいです」

ヒロ「どんな起こし方されたんでしょうか」

ヒーロー台詞「こんな起こし方」

 ヒロインに唇を重ねたのでした。


 できれば全員で言いましょう、


「めでたくふたつのカップル成立!」


「ゾンビの国と、隣国で、新たな王と妃が生まれたのでした」


「めでたしめでたし~」





シンデレラ「じゃ、なーい! わたし死んだのよ?! ちょ、ちょっと離してー!」

女子モノローグ「シンデレラは悪魔に連れて行かれ、転生してきた人間の幸せを壊す悪役令嬢の訓練を、みっちり受けることになりましたとさ」


 今度こそ、


 なるべく全員で「お・わ・り」


 で、しめくくります!


 台本・演出、演劇部部長


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