第86章 大不列顛(グレートブリテン)の泥沼
1944年11月下旬。
地球の裏側、熱帯のパナマ地峡において、豊栄大日本帝国が放った深海の暗殺者『伊号第四百潜水艦』と『晴嵐』の精密爆撃が、二つの大洋を結ぶ巨大な水門を完全に粉砕した。この「動脈切断」という絶望的な地政学的歪みは、アメリカ合衆国が太平洋へ向けて投射しようとしていた巨大な質量の行き場を失わせ、そのすべてを強制的に大西洋一箇所へと叩きつけさせる結果を生んだ。
「太平洋への扉が閉ざされ、艦隊が迂回に半年を要するというのなら、その間に余る兵器と兵士をすべてヨーロッパへ叩きつけよ。ナチスを我が国の全質量で物理的にすり潰すのだ」
フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領の狂気的な決断により前倒しで発動された、大英帝国本土奪還作戦──『リターン・キング作戦』。
アメリカのカイザー造船所とデトロイトの自動車工場から無尽蔵に吐き出された天文学的な数の上陸舟艇と戦車、そして数百万のアメリカ兵は、アイルランド海を越えてイギリス西海岸へと猛烈な上陸を敢行した。彼らは『要塞イギリス』の強固なコンクリートの壁を、海軍の艦砲射撃と純粋な人命の浪費によって強引にこじ開け、血みどろの橋頭堡を築き上げることに成功したのである。
彼らはその勢いのまま、圧倒的な航空支援と物量を傘にしてイギリスの大地を東進し、かつて大英帝国の王都であったロンドンへと向かって突き進んだ。
だが、合衆国の首脳陣は致命的な計算違いをしていた。
彼らがイギリス本土で相対しているのは、数年間の占領統治で疲弊した二線級の守備隊などでは決してなかった。1941年末にソビエト連邦の首都モスクワを完全占領し、東部戦線の決着を事実上つけていたナチス・ドイツは、無傷のまま温存されていた「最強の精鋭装甲師団」のすべてを、すでにこのイギリスの防衛線へと反転・配置し終えていたのである。
ヨーロッパの扉を力技でこじ開けようとしたアメリカの「マニュファクチャリング・モンスター(大量生産の怪物)」は、ロンドンの市街地外縁部で、極限の職人技で鍛え上げられた多種多様な「鋼鉄の猛獣」の群れと、真正面から激突することとなる。
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1944年11月25日 午前6時00分
大不列顛島 ロンドン北西外縁部
チルターン丘陵 ドイツ国防軍 西方総軍 防衛線
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凍てつくような冬の氷雨が、鉛色の空から絶え間なく降り注ぎ、かつて美しかったイングランドの緑の田園地帯を、膝まで埋まるほどの底なしの泥濘へと変えていた。
「……アメリカの成金どもめ。西海岸の水際陣地を艦砲射撃で抜いたからといって、無警戒に我々の『キルゾーン(殺戮地帯)』の奥深くまで入り込んできおったか」
大ドイツ帝国・西方総軍司令官、ゲルト・フォン・ルントシュテット元帥は、強固な鉄筋コンクリートで覆われた地下司令部の観測スリットから、カール・ツァイス製の双眼鏡で西の地平線を冷ややかに見据えた。
ルントシュテットが構築した防衛線の真の恐ろしさは、海岸線の水際陣地にはなかった。水際はあえて突破させ、アメリカの膨大な兵站線が伸びきり、海軍の艦砲射撃が届かなくなったこの内陸部──ロンドン外縁のチルターン丘陵地帯こそが、彼が設定した「真の決戦場」であった。
そして、その防衛線の要として配置されていたのは、極寒のロシアの雪原で赤軍を粉砕し、無傷のままイギリスへと移送されてきた、多種多様にして最強の猛獣たちである。
「総統の直命により、我々が大ゲルマン帝国の西の防壁となる。……アメリカの素人どもに、モスクワを落とした本物の戦争を教えてやれ」
武装親衛隊(ヴァッフェンSS)第1SS装甲師団『ライプシュタンダルテ・SS・アドルフ・ヒトラー』の装甲連隊長、ヨアヒム・パイパー少佐が、愛機である重戦車『VI号戦車B型(ティーガーII)』のキューポラから身を乗り出し、軍用無線の送話器に向かって冷徹に命じた。
丘陵地帯のオリーブ畑と森の境界線、完全にカモフラージュネットに覆われた陣地の中には、ナチス・ドイツの重工業が誇る「異形の兵器体系」が、極めて合理的に配置されていた。
最前衛で睨みを利かせるのは、ポルシェ博士とヘンシェル社が生み出した前面150ミリの傾斜装甲と、恐るべき71口径8.8センチ戦車砲を誇る、重量70トンの怪物『ティーガーII』。そしてその脇を固めるのは、MAN社が開発した避弾経始に優れる傾斜装甲と長砲身75ミリ砲を備えた次世代主力中戦車『V号戦車 パンターG型』の群れである。
さらに、森の奥深くには、パンターの車体に同じく長砲身8.8センチ砲を固定戦闘室に搭載した、流麗にして凶悪な駆逐戦車『ヤークトパンター』が、猟犬のように低く伏せて標的を待っている。
だが、ドイツ軍が用意した「牙」は自国製の戦車だけではなかった。
「イギリス軍から接収した戦利品も、有効に活用させてもらおう。アメリカ軍に、かつての同盟国の兵器を撃たせてやるのだ」
パイパー少佐の視線の先、丘陵の窪地には、かつてダイナモ作戦や本土陥落時にドイツ軍が大量に鹵獲したイギリス軍の戦車が据え付けられていた。分厚い152ミリの前面装甲を誇るボクスホール・モーターズ製の『チャーチル歩兵戦車』は、エンジンを外されて土中に埋められ、砲塔だけを地上に出した強固な固定砲台として再利用されている。さらに、機動力に優れる『クロムウェル巡航戦車』には黒十字の国籍マークが上書きされ、アメリカ軍を誘い込むための囮部隊として配置されていた。
「敵戦車群、距離2,500! 丘のふもとの泥濘を直進してきます! M4中戦車のみならず、新型の重戦車の姿も確認できます!」
パンター戦車の砲手が、精緻な照準器越しに報告する。
「アメリカの工場から吐き出されただけのブリキ缶だ。我がゲルマンのマイスター(職人)が鍛え上げた装甲と火力の前に、数は意味を成さん」
パイパー少佐は、黒革の手袋をはめ直し、軍刀のように右手を振り下ろした。
「全車、目標を完全なキルゾーンに引き付けろ! 撃て(フォイア)!!」
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同日 午前7時30分
ロンドン外縁部 チルターン丘陵西麓 泥濘の平原
アメリカ合衆国陸軍 第1軍・第3機甲師団
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ズドガァァァァンッ!!!
氷雨の降る薄暗い丘陵地帯の静寂を、数十発の凄まじい砲声が一瞬にして引き裂いた。
「敵襲! 正面の森からだ! ジャーマン・88(エイティエイト)だぞ!」
アメリカ陸軍・第3機甲師団の先鋒を進んでいたM4A3シャーマン中戦車の砲塔が、直撃を受けた衝撃で数十メートルの高さまで吹き飛び、巨大な火柱が平原を真昼のように照らし出した。
「散開しろ! 泥に足を取られるな! 新型のパーシングを前に出せ!」
アメリカ軍の車長たちがパニックに陥りながらも、無線で怒号を飛ばす。デトロイトの自動車工場から次々と吐き出されるM4シャーマンだけではドイツの重装甲を抜けないことを痛感していたアメリカ軍は、このロンドン奪還作戦のために、開発を急がせていた真新しい矛を投入していた。
フォードGFA V8エンジンを唸らせて泥濘を掻き分けて前進してきたのは、長大な90ミリ戦車砲M3と分厚い鋳造装甲を備えた、アメリカ軍の新鋭重戦車『M26 パーシング』であった。さらにその後方からは、M4の車体を流用し、強力な3インチ(76.2ミリ)高射砲をオープントップの砲塔に搭載した駆逐戦車『M10 ウォルヴァーリン』の群れが展開し、砲塔を丘陵地帯へ向けて旋回させる。
「見えたぞ! 正面の森の中にナチスの重戦車だ! 90ミリ砲、撃て!」
M26パーシングの90ミリ砲が火を噴き、放たれた徹甲弾がドイツのパンターG型の正面装甲に命中した。激しい金属音とともにパンターの傾斜装甲がひしゃげ、キャタピラを引きちぎられて動きを止める。
「ハッハァ! 見たか! これが合衆国の新しいハンマーだ! ナチスの装甲もぶち抜けるぞ!」
アメリカ軍の戦車兵が歓喜の声を上げたのも束の間。
ガァァァァンッ!!!
そのM26パーシングの極厚の防盾を、はるか2,000メートル先の丘の上から放たれたパイパー少佐のティーガーIIの71口径8.8センチ砲弾が、まるで薄いガラスのように容易く貫通した。内部の弾薬に引火したパーシングは、中からの凄まじい爆発によって砲塔を吹き飛ばされ、一瞬にして鉄の棺桶へと変わったのである。
「ダメだ! 奴らの主力の砲弾は、パーシングの正面装甲すらもアウトレンジで貫通してくるぞ!」
「M10駆逐戦車隊、前へ出ろ! 側面から撃ち込め!」
M10ウォルヴァーリンが軽快な足回りを活かして側面へ回り込もうとするが、彼らを待ち受けていたのは、戦車だけではなかった。
「アメリカの薄っぺらい駆逐戦車など、榴弾の破片で十分だ! 撃て!」
丘の後方の砲兵陣地から、II号戦車の車体を流用して10.5センチ榴弾砲を載せた自走榴弾砲『ヴェスペ(スズメバチ)』と、IV号戦車の車体に長砲身8.8センチ砲を強引に搭載した対戦車自走砲『ナースホルン(犀)』が、一斉に長距離からの曲射および水平射撃を開始した。
オープントップ(開放式)の砲塔を採用していたM10ウォルヴァーリンは、頭上から降り注ぐ10.5センチ榴弾の破片を浴びて乗員が次々と肉片へと変えられ、ナースホルンの超高速徹甲弾によって車体ごと真っ二つに引き裂かれていった。
「歩兵を前へ出せ! 戦車の死角をカバーしろ!」
アメリカ軍の歩兵たちがM1ガーランド小銃を手に、泥水に腰まで浸かりながら前進を試みる。
しかし、彼らの足元を縫うように、コンクリートで固められた塹壕から、モーゼル社製の『MG42機関銃』が、毎分1,200発という狂気的な連射音──「ヒトラーの電動ノコギリ」の異名そのままに、途切れることのない火線を吐き出した。
布を引き裂くような独特の排莢音が戦場を支配し、泥の中を進むアメリカ兵たちを、泥と血の混じった肉塊へと変えていく。さらに、土中に埋め込まれていた鹵獲チャーチル戦車の砲塔が、思わぬ方向から6ポンド砲を放ち、アメリカ軍の側面を抉り取った。
「退け! 一旦後退して空軍の砲兵支援を呼べ!」
わずか数時間の戦闘で、ロンドン外縁の平原は、数十両のM26パーシングとM4シャーマンの燃え盛る残骸、そして泥に沈む何千というアメリカ兵の死体で完全に埋め尽くされたのである。
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同日 午後1時00分
イギリス本土 上空 2万フィート
アメリカ陸軍 第8航空軍
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地上での凄惨な殺戮を打開すべく、アメリカ軍は彼らの最大の矛である「空からの暴力」と「無尽蔵の砲弾」を投入した。
「地上のボーイズたちが泥の中で立ち往生しているぞ! ナチスの装甲師団ごと、この丘陵地帯を地形ごと更地にしろ!」
分厚い雨雲を突き抜けて飛来したのは、ボーイング社が誇る四発重爆撃機『B-17G フライングフォートレス』の数百機に及ぶ大編隊であった。そしてその周囲には、パッカードV-1650(マーリン)液冷エンジンを積み、層流翼の圧倒的な高高度性能を誇るノースアメリカン航空製『P-51D マスタング』戦闘機の群れが、隙間なく護衛の傘を広げている。
制空権を強引にこじ開けたB-17の編隊が巨大な爆弾倉を開き、チルターン丘陵のドイツ軍防衛線へ向けて、何千トンという航空爆弾の雨を降らせた。
さらに、地上ではアメリカ陸軍が誇る『M7 プリースト』105ミリ自走榴弾砲の群れが数百門規模で展開し、後方から湯水のように届けられる砲弾を、狂気的なペースでドイツ軍の陣地へと叩き込み始めた。
ズドガァァァァァァンッ!!!!
大地が波打ち、オリーブ畑や森が土砂もろとも完全に消滅する。アメリカの「マニュファクチャリング・モンスター」が放つ、純粋な質量の暴力であった。
だが、ルントシュテット元帥が構築した『要塞イギリス』は、単なる野戦陣地ではなかった。
爆撃の雨が止み、アメリカ軍が再び前進を開始した時、完全に更地になったはずの泥土の中から、再び8.8センチ砲の閃光とMG42の銃弾が吐き出されたのである。
「……アメリカの工場の力は確かに凄まじい。だが、爆弾で地形を変えることはできても、大地を制圧するのは歩兵と戦車だ。我々は数メートル地下のコンクリート壕でこの爆撃を耐え抜き、奴らの血を最後の一滴まで絞り取るまでだ」
泥にまみれたパイパー少佐が、ティーガーIIのハッチから再び身を乗り出し、残忍な笑みを浮かべた。ドイツ軍は、爆撃の瞬間だけ地下深くの堅牢な掩蔽壕へ退避し、爆撃が止むと同時に再び定位置に戻って火器を構えるという、モスクワ防衛戦でソ連赤軍から学んだ「モグラ戦術」を完璧に実践していたのである。
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1944年12月上旬
大不列顛島 ロンドン市街外縁部
アメリカ軍 前線司令部
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「……第1軍、またしてもチルターン丘陵の突破に失敗。昨日デトロイトから補充されたM4A3E8(イージーエイト)120両のうち、すでに半数がスクラップです。M26パーシングもティーガーIIの正面装甲を抜けず、一方的に撃破されています」
泥と血の匂いが充満する前線司令部のテントで、参謀が絶望的な報告を行った。
アメリカ合衆国・欧州遠征軍最高司令官、ドワイト・D・アイゼンハワー大将は、疲れ果てた顔で葉巻を噛みちぎり、泥だらけの地図を睨みつけた。
「太平洋の島々へ送るはずだった兵士と戦車をすべてこの大西洋に注ぎ込み、空を爆撃機で埋め尽くしているというのに、ロンドンの市街地はまだ見えないのか」
「アイク(アイゼンハワーの愛称)、奴らの防衛線は異常です。モスクワを落として無傷で戻ってきたナチスの精鋭たちが、多種多様な戦車と自走砲をパズルのように組み合わせて完璧な火網を敷いている。我々の戦車はただの動く的であり、歩兵は泥の中で溺れ死んでいます。……まるで、第一次世界大戦のソンムやパッシェンデールの塹壕戦の再来です!」
傍らで指揮を執る第3軍司令官、ジョージ・S・パットン中将が、自らのコルト・リボルバーを机に叩きつけて吠えた。
「だが、退くわけにはいかない」
アイゼンハワーの目に、冷徹なインダストリアル・キャピタリスト(産業資本家)としての狂気が宿る。
「パナマ運河をジャップに破壊され、太平洋での反攻が半年遅れている今、我々はこのヨーロッパで勝利のニュースをワシントンへ届けねばならない。ティーガー1両にシャーマンが5両破壊されるなら、明日工場から10両のシャーマンを運ばせろ。兵士が1万人死ぬなら、カイザーのリバティ船で2万人を送り込め」
アイゼンハワーは、冷酷な決断を下した。
「これはもはや、戦術の戦いではない。純粋な『鉄と肉の消費量』の戦いだ。奴らの弾薬と職人が造った戦車がすべて尽きるまで、我々のマニュファクチャリングの暴力を泥沼へ投射し続けろ」
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1944年12月下旬
大不列顛島 ロンドン西部戦線
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ロンドン奪還の野望は、市街地の外縁部で完全に粉砕され、米独の巨大な質量は真正面から激突したまま、一歩も引かない膠着状態へと陥った。
そこはまさに、人類の流血の許容量を限界まで試す、「果てしのない泥沼の塹壕戦」の再来であった。
冬の氷雨が降り続く中、アメリカ兵たちは水浸しの塹壕の中で凍え、足の肉が腐り落ちる塹壕足に苦しみながら、ただ前方の見えないドイツ軍のトーチカへ向けて無機質にM1ガーランドを撃ち続けていた。
「おい、新しい戦車が来たぞ」
泥まみれのM1ヘルメットを被ったアメリカの歩兵が、後方からキャタピラ音を響かせて進んでくる新品のM4A3E8やM26パーシングの群れを見て、力なく笑った。
だが、その戦車が前線の泥濘を越えた瞬間、ドイツ軍のヤークトパンターやティーガーIIの8.8センチ砲の閃光が走り、真新しいアメリカの希望は数分で火だるまの鉄屑へと変わる。
「……また明日の朝、同じ数の戦車が来るさ」
アメリカの巨大な兵站は、太平洋で投入されず温存されていた膨大な兵員と無数のM4シャーマン戦車を、ロンドン郊外の泥沼へと湯水のように送り込み続けた。
対するドイツ軍も、東部戦線で温存した精鋭部隊の命と、多種多様なマイスターの兵器を限界まで消費し、アメリカ軍の進撃を何ミリたりとも許さなかった。
互いに何十万という命を泥に沈め、何千両という戦車をスクラップに変えながら、ただ無意味な最前線を維持し続けるだけの、完全な地獄。
パナマ運河破壊という豊栄大日本帝国の冷徹な「地政学的切断」によって、アメリカの全質量が押し付けられたイギリスの大地は、米独両軍の血と鉄を底なしに飲み込む、終わりのない消耗戦の深淵へと完全に沈み込んでいったのである。




