幕間7 ナチス・ドイツ(第三帝国)および枢軸国 配置・装備編成大鑑
【大ドイツ帝国(第三帝国) 統治構造と戦略】
1941年11月の首都モスクワ完全占領によるソ連赤軍の崩壊、そして1942年8月のアシカ作戦(イギリス本土上陸)成功に伴うロンドン・シティの灰燼。 アドルフ・ヒトラー総統率いるナチス・ドイツは、わずか数年のうちに欧州大陸の完全な覇者となり、ユーラシア大陸の西半分を強固なファシズムの牢獄へと変貌させた。大英帝国のウィンストン・チャーチル首相はカナダへと逃亡し、ソビエトのヨシフ・スターリンはウラル山脈の東側へと駆逐され、第三帝国は歴史上のいかなる帝国すら成し得なかった「戦略的絶頂期」を謳歌していた。
しかし、この勝利の裏には、地球の裏側にある異形の連衡国家──豊栄大日本帝国が仕掛けた、冷徹極まる地政学的アシストが存在していた。 イギリスが国債を盾に日本のインフラを強奪しようと極東へ送り込んだ東洋艦隊(Z部隊・35隻)を、日本海軍がジャワ海で一網打尽に蒸発させたことで、ドーバー海峡の防壁は物理的に消滅した。ドイツ軍が一切の海上妨害を受けずにイギリス本土へ数千隻の上陸舟艇を差し向けられたのは、偏にこの「日本の完璧な海上執行」の賜物であった。
だが、ベルリンの総統官邸をはじめとするナチス首脳陣は、この奇妙な東西挟撃を「自らの天才的指導力の証明」としか捉えていない。 人種至上主義(アーリア人第一主義)に目を曇らせた彼らは、日本が自国の暗号網を完全にすり抜ける二重暗号『紫式部』を用い、ロンドン占領のドサクサに紛れてオランダ亡命政府から蘭印(オランダ領東インド)全域を「合法的」に買い取り、ドイツの足元に将来の対独戦介入の楔を打ち込んでいることなど、微塵も気づいていなかった。 彼らにとって日本は、いずれドイツが世界を支配するまでの間、極東で米英の兵力を削ぐための都合の良い「名誉アーリア人(東洋の番犬)」に過ぎなかったのである。
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【ドイツ国防軍(陸軍)および武装親衛隊 兵力配置】
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イギリス本土を陥落させ、東部戦線の決着を事実上終えたドイツ国防軍および武装親衛隊(ヴァッフェンSS)は、その膨大な軍事質量を、地中海・北アフリカ、およびウラル防衛線へと再配置し、新たな獲物を求めて牙を研いでいた。
■ 西方総軍(大不列顛島・イギリス本土占領および大西洋防壁) 司令官:ゲルト・フォン・ルントシュテット 元帥
アシカ作戦を成功させ、ロンドンのザ・シティを軍靴で踏み躙った欧州最強の占領部隊。現在はスコットランドの山岳地帯に潜伏する英軍パルチザンの掃討と、アメリカ軍の大西洋からの上陸(奪還)を阻むための沿岸要塞線の構築を行っている。
【配備戦力および主要兵器】
占領および防衛兵力:ドイツ第9軍、第16軍 合計 124万5,000名
装甲師団:15個装甲師団
III号戦車(5センチ砲搭載型):1,240両
IV号戦車(7.5センチ長砲身型・F2/G型):850両
VI号戦車(ティーガーI・8.8センチ砲搭載型):120両(初期生産分をロンドン占領のプロパガンダとして集中配備)
III号突撃砲(歩兵直協用):680両
重火砲・対戦車砲:8.8センチ(88ミリ)高射砲 450門、7.5センチ対戦車砲(Pak40) 1,120門
※ハインリヒ・フォン・フィースティングホフ大将率いる装甲部隊や、ハンス・フォン・ルック少佐らの先遣隊が所属する部隊[115]。イギリス本土の工場群と造船所を完全に接収し、これらをドイツの戦争機構へと組み込むための過酷な徴用を行っている。
■ アフリカ装甲軍(北アフリカ・エジプト・スエズ攻略戦線) 司令官:エルヴィン・ロンメル 元帥
ロンドンとモスクワが陥落したことで、本国からの兵站と増援が潤沢に届くようになった北アフリカの決戦部隊。最大の目的は、エジプトの英軍を物理的に粉砕し、スエズ運河を強奪すること。そして中東の油田地帯を抜け、インドで日本軍と合流するという壮大な「ユーラシア分断」の南の刃である。
【配備戦力および主要兵器】
ドイツアフリカ軍団(DAK)兵力:21万8,000名
装甲師団:第15装甲師団、第21装甲師団、第10装甲師団
IV号戦車(7.5センチ長砲身型):420両
III号戦車(5センチ砲搭載型):380両
VI号戦車(ティーガーI):45両(チュニジア・リビア方面への特別先行配備)
8.8センチ(88ミリ)高射砲(対戦車転用):210門
※ロンメルの機動戦術と、砂漠に張り巡らせた88ミリ砲の対戦車トラップにより、イギリスのエジプト防衛軍(マチルダII歩兵戦車など)を血祭りに上げ続けている。現在、アレクサンドリアに立て籠もるイギリス地中海艦隊の残党を、陸路から完全にすり潰すべく東進中である。
■ 東方軍(ウラル防衛線・シベリア残党掃討部隊) 司令官:フェードア・フォン・ボック 元帥
首都モスクワを失い、ウラル山脈の東側へと逃げ延びたスターリンとソ連赤軍の残党を、完全に凍死・餓死させるために構築された長大な東部防衛線。
【配備戦力および主要兵器】
防衛兵力:185万名(うち同盟国ルーマニア・ハンガリー兵 45万名を含む)
装甲・機械化部隊:III号戦車 820両、IV号戦車 640両、各種装甲車 1,550両
列車砲・重砲陣地:80センチ列車砲「ドーラ」 1門(ウラル山脈のソ連軍要塞粉砕用)、各種重砲 3,400門
※広大な雪原において、パルチザン掃討と資源地帯(バクー油田など)の治安維持を過酷な暴力で遂行している。主戦線が西と南に移ったため、兵員の大半は占領地行政と防衛任務に就いている。
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【ドイツ空軍および海軍】
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■ ドイツ空軍主力 司令官:ヘルマン・ゲーリング 国家元帥 / 前線指揮:フゴー・シュペルレ 元帥(第3航空艦隊)
イギリス本土の防空網を完全に粉砕し、制空権を確固たるものとした欧州の空の覇者。イギリス王立空軍(RAF)が事実上消滅したため、その巨大な航空質量は、大西洋におけるアメリカ軍上陸船団の迎撃と、地中海・北アフリカでの対英艦隊・対米上陸部隊(トーチ作戦)の粉砕へと振り向けられている。
【主要稼働航空機 総計:5,300機】
Bf 109G 戦闘機:1,850機
Fw 190A 戦闘機:1,200機
Bf 110 双発重戦闘機:450機
Ju 87D/G スツーカ 急降下爆撃機:850機
Ju 88 双発爆撃機:1,150機
He 111 双発爆撃機:650機
Fw 200 コンドル 長距離哨戒・爆撃機:150機(大西洋の米船団監視用)
※日本の『烈風』が1500馬力級液冷エンジン『水星』を搭載して極東の空を制しているのと同様に、ドイツのBf109やFw190もまた、ダイムラー・ベンツやBMWの精緻な職人技が生み出した超高性能機である。しかし、ドイツの航空機産業は日本の「堺公差」のような極限の規格化を達成できておらず、各工場やマイスターごとの微細な仕様違いが、前線での部品互換性の低さ(カニバリゼーションの困難さ)というアキレス腱を生んでいる。
■ ドイツ海軍大西洋・地中海部隊 司令長官:エーリヒ・レーダー 元帥 / 潜水艦隊司令官:カール・デーニッツ 提督
大英帝国本国が陥落した今、ドイツ海軍の最大の標的は、アメリカ合衆国がカナダや北アフリカへ向けて差し向けてくる「天文学的な数のリバティ船(輸送船団)」を大西洋の海の底へ沈めることである。
【潜水艦隊(Uボート)群狼作戦部隊】
VII型 Uボート(主力中型潜水艦):185隻
IX型 Uボート(長距離大型潜水艦):60隻
XIV型 Uボート(潜水補給艦・乳牛):14隻
※アメリカのルーズベルト大統領が宣戦布告を行った直後から、アメリカ東海岸沿岸や大西洋中央部で、アメリカ海軍の護衛空母14隻・護衛駆逐艦250隻と血みどろの死闘を展開している。アメリカの「建造速度」とドイツの「撃沈速度」の、純粋な工業力の殺し合いである。
【水上打撃艦隊(ノルウェー・フィヨルド待機部隊)】
ビスマルク級超弩級戦艦 1隻:ティルピッツ(※姉妹艦ビスマルクは開戦初期に沈没)
シャルンホルスト級戦艦 2隻:シャルンホルスト / グナイゼナウ
ドイッチュラント級装甲艦 2隻:リュッツォウ / アドミラル・シェーア
アドミラル・ヒッパー級重巡洋艦 2隻:アドミラル・ヒッパー / プリンツ・オイゲン
※日本の大和型がハワイを金縛りにしているのと同様に、38センチ砲を擁する巨大戦艦『ティルピッツ』は、フィヨルドに停泊しているだけで、ソ連へ向かうアメリカ・イギリスの残存輸送船団に絶望的な恐怖を与え、その航路を物理的に塞ぐ「北海の孤独な女王」として機能している。
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【イタリア王国および欧州枢軸同盟国】
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■ イタリア王国(北アフリカおよび地中海・バルカン方面) 国家統領:ベニート・ムッソリーニ
ドイツの威光を背に地中海を「我らが海」とすべく蠢く枢軸国の第二の柱。兵卒の士気や兵站能力には難があるものの、その艦隊は地中海においてイギリスを完全に締め上げるだけの物理質量を備えている。
【イタリア王立陸軍兵力】
北アフリカ(エジプト侵攻部隊):25万名(ドイツアフリカ軍団の指揮下に編入)
バルカン半島・ギリシャ占領軍:30万名
主力戦車:M13/40 中戦車 650両、M14/41 中戦車 480両(いずれも装甲・火力ともに英米の戦車に対しては劣勢)
【イタリア王立海軍】
新鋭超弩級戦艦(リットリオ級) 3隻:リットリオ / ヴィットリオ・ヴェネト / ローマ(38.1センチ砲9門搭載、30ノットの快速戦艦)
近代化改修戦艦(コンテ・ディ・カブール級等) 4隻:コンテ・ディ・カブール / ジュリオ・チェザーレ / アンドレア・ドーリア / カイオ・ドゥイリオ
重巡洋艦 7隻:ザラ級4隻、トレント級3隻
軽巡洋艦 12隻:コンドッティエリ級各型
駆逐艦 56隻 / 潜水艦 82隻
※アレクサンドリアに立て籠もるイギリス地中海艦隊(ウォースパイト等)を海上から完全に封鎖している。イタリア艦隊はレーダー技術において英独に劣るが、ロンドン陥落によってイギリス側の暗号解読情報が途絶したため、地中海での海上作戦において圧倒的優位に立っている。
■ 東欧枢軸同盟国(ルーマニア、ハンガリー、ブルガリア)
ルーマニア王国軍:45万名(ウラル防衛線および黒海沿岸・バクー油田防衛)
ハンガリー王国軍:25万名(ウラル防衛線における後方支援およびパルチザン掃討)
ブルガリア王国軍:15万名(バルカン半島治安維持)
※彼らは主にドイツ軍の側面の盾として機能しているが、装備の大半は旧式の兵器であり、ソ連の残存パルチザンに対する過酷な治安維持・掃討作戦に投入されている。
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【ナチス・ドイツ 航空機・主要陸戦兵器ドクトリン】
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豊栄大日本帝国が「三百諸侯の職人技と堺公差(極限の規格統一)」を融合させ、アメリカ合衆国が「デトロイトの自動車産業ラインを用いた究極の使い捨てと暴力的な大量生産」を解答としたのに対し、ナチス・ドイツの兵器ドクトリンはそのどちらとも異なる、極めて歪な思想の上に成り立っていた。
それは「ゲルマン民族の優秀性の証明」というイデオロギーに縛られた、過剰な複雑さとマイスター(熟練職人)の技への病的なまでの依存である。 一個の兵器のスペック(単体性能)を極限まで追求するあまり、部品の標準化や量産性を犠牲にし、戦場で故障すれば未熟な整備兵では修理不可能という致命的なアキレス腱を抱えていた。兵器というよりも「機械工学の芸術品」を戦場へ投射する彼らのやり方は、アメリカのマニュファクチャリングの波に飲み込まれる運命を孕んでいた。
■ 陸戦兵器(無敵の重装甲と複雑怪奇な機構)
VI号戦車 ティーガーI
生産・配備数(1942年末時点):165両
主砲:8.8センチ(88ミリ) KwK 36 L/56 戦車砲
前面装甲厚:100ミリ
エンジン:マイバッハ HL210 P45 V型12気筒ガソリンエンジン(650馬力)
【運用ドクトリン】
アメリカのM4シャーマンやイギリスのマチルダIIを、2,000メートル以上の彼方からアウトレンジで一方的に粉砕できる、文字通り「無敵の重戦車」。前面100ミリの垂直装甲は、当時の連合軍のいかなる対戦車砲も弾き返す。 しかし、その重量57トンという巨体を動かすためのマイバッハ製エンジンや、複雑怪奇な「千鳥足型転輪」のサスペンションは、整備兵にとって悪夢そのものであった。日本の「堺公差」のように規格化された予備部品をボルトで留めるだけというわけにはいかず、泥や雪が詰まれば熟練のマイスターが何時間もかけて履帯を外さねばならない。単体では最強だが、生産性と整備性を完全に無視した、ドイツ軍事思想の象徴である。
IV号戦車(長砲身 7.5センチ砲搭載型 F2/G型)
生産・配備数:1,270両
主砲:7.5センチ KwK 40 L/43(またはL/48) 戦車砲
【運用ドクトリン】
開戦前からドイツ装甲師団の主力(軍馬)として活躍し続ける中戦車。ソ連のT-34ショックに対抗するため、長砲身の7.5センチ砲を強引に搭載したことで、火力において圧倒的な優位性を獲得した。ドイツ軍の兵器の中では比較的量産性が高く、ルントシュテットのロンドン侵攻からロンメルのアフリカ戦線まで、全軍の屋台骨を支えている。
8.8センチ(88ミリ) FlaK 36 高射砲
生産・配備数:4,500門(対空・対戦車兼任)
【運用ドクトリン】
本来は対空砲として開発されたが、水平射撃を行えば敵の重戦車を1,500メートルの距離から豆腐のように貫通する「史上最強の対戦車砲」として猛威を振るう。ロンメル将軍はこれを砂漠の地平線に隠し、突撃してくるイギリス戦車を片端から鉄屑に変えた。
■ 航空機(マイスターの芸術と生産の限界)
メッサーシュミット Bf 109 G型 戦闘機
エンジン:ダイムラー・ベンツ DB 605 液冷倒立V型12気筒(1,475馬力)
武装:20ミリ機関砲 1門、13ミリ機関銃 2丁
【運用ドクトリン】
日本の『烈風』や『凱風』と同じく、液冷エンジンを搭載した細身の機体。ダイムラー・ベンツの精緻な技術の結晶であり、一撃離脱と高い上昇力で空を支配する。しかし、日本の「堺公差」のような全土規模の規格統一が行われていないため、工場ごとに微細な部品の違いがあり、前線で墜落した僚機から部品をもぎ取って修理する(共食い整備)ことが極めて困難である。また、主脚の幅が狭く、未熟なパイロットが着陸時に事故を起こしやすいという欠点を抱え続けている。
フォッケウルフ Fw 190 A型 戦闘機
エンジン:BMW 801 空冷星型複列14気筒(1,700馬力)
武装:20ミリ機関砲 4門、7.92ミリ機関銃 2丁
【運用ドクトリン】
空冷エンジンを搭載しながらも、洗練されたカウリング設計で空気抵抗を減らし、Bf109を凌駕する速度と圧倒的な重火力を手に入れた「ヴュルガー(百舌鳥)」。重装甲と大火力を併せ持ち、イギリス上空や大西洋の哨戒任務において、連合軍パイロットから最も恐れられる存在である。設計者のクルト・タンクの思想により、Bf109よりも量産性や整備性に配慮されているが、それでもアメリカのプレス加工による暴力的な生産速度には遠く及ばない。
ユンカース Ju 87 D型 スツーカ 急降下爆撃機
武装:1,000キログラム爆弾(最大搭載量)
特殊装備:ジェリコのラッパ(風力サイレン)
【運用ドクトリン】 急降下爆撃の代名詞。固定脚の鈍重な機体だが、目標の頭上から垂直に飛び込み、サイレンの悪魔的な絶叫とともに爆弾を正確に叩き込む。制空権を確保した状態では無類の対地制圧力を見せるが、敵の戦闘機が現れればただの動く標的に過ぎない。




